ゼロの闇夜~貴族嫌いの使い魔~   作:R0

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1日経っていますが、新年、あけましておめでとうございます。

新年、最初の投稿です。


闇夜とゼロ

ルイズに引っ張られて、教室に入った輝夜たち。教室に入ると、一斉にいた生徒たちが輝夜とルイズのほうを向いて、クスクスと笑い始めた。

 

(俺が召喚されたことがそんなにおかしいことみたいだな)

 

輝夜は生徒たちの反応からそう思った。そして、生徒たちの周りにいる生物たちを珍しそうに観察した。そこには、蛇やフクロウなどのありふれた動物もいたが、六本足の蜥蜴や目の玉だけの生き物がいた。

 

(見たことの無い生物がたくさんいるな)

 

輝夜がそんなことを考えている間にルイズが席の1つに腰を掛けたところを見て、輝夜も彼女の隣に腰を掛けた。すると、隣からルイズが輝夜を睨んでいた。

 

「……なんだ?」

 

「ここはね、メイジの席。使い魔は座っちゃ駄目なのよ」

 

「知るか。(机の上で寝そべっている動物がいるんだ席に座るぐらい問題ないだろう)」

 

ルイズの言葉に輝夜はそんなことを考えながら、素っ気なく返した。それに対して、ルイズが言い返そうとしたが、ちょうど先生と思われる人物が入ってきたため、渋々と輝夜が席に座ることを認めた。入ってきたのは、中年の女性だった。紫色のローブに身を包み、帽子を被っている。ふくよかな頬が優しい雰囲気を漂わせていた。彼女は教室を見回すと、満足そうに微笑んで言う。

 

「みなさん、春の使い魔召喚は大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に様々な使い魔達を見るのがとても楽しみなのですよ」

 

その言葉に何故かルイズがうつむくと、シュヴルーズの目が輝夜のほうに向けられた。

 

「おやおや。変わった使い魔を召喚したものですね、ミス・ヴァリエール」

 

するとその直後、教室中がどっと生徒たちの笑い声に包まれた。

 

「ゼロのルイズ!召喚できないからって、その辺歩いてた平民を連れてくるなよ!」

 

その言葉にルイズは立ち上がり、周りの生徒たちに怒鳴り始めた。

 

「違うわ!きちんと召喚したもの!こいつが来ちゃっただけよ!」

 

「嘘つくな!サモン・サーヴァントができなかっただけだろ?」

 

(………くだらないな)

 

教室でのやり取りに輝夜は冷めた目をしながら呆れていた。

 

「ミセス・シュヴルーズ!侮辱されました!かぜっぴきのマリコルヌがわたしを侮辱したわ!」

 

「かぜっぴきだと?僕は風上のマリコルヌだ! 風邪なんか引いてないぞ!」

 

「あんたのガラガラ声は、まるで風邪も引いてるみたいなのよ!」

 

マリコルヌと呼ばれた少年が立ち上がってルイズを睨み付けた。そんな2人の様子に輝夜はますます呆れていた。そして、シュヴルーズが手に持った小ぶりな杖を振った。すると、立ち上がった2人は糸の切れた操り人形のように、すとんと席に座った。

 

「ミス・ヴァリエール。ミスタ・マリコルヌ。みっともない口論はやめなさい」

 

「は、はい………」

 

シュヴルーズにそう言われて、ルイズはしょぼんとうなだれた。シュヴルーズの一言で、さっきまでの生意気な態度が吹っ飛んだようだ。

 

「お友達をゼロだのかぜっぴきだの呼んではいけません。分かりましたか?」

 

「しかし、ミセス・シュヴルーズ。僕のかぜっぴきはただの悪口ですが、ルイズのゼロは事実です」

 

 マリコルヌのその一言でくすくす笑いが漏れると、シュヴルーズが厳しい顔で教室を見回した。そして杖を振るうと、笑っている生徒達の口にぴたっと赤土の粘土が押し付けられた。

 

「あなた達は、その格好で授業を受けなさい」

 

その一言で、教室のくすくす笑いが収まった。すると、すぐに誰かのため息をつくような声が聞こえた。

 

「………はぁ。シュヴルーズ(自分)の言葉が原因で生徒たちがこんなくだらない茶番をしたっていうのに何、自分は無関係という態度を取っているんだ?」

 

ため息をしたのは輝夜だった。そして、輝夜の言葉に教室全体の雰囲気が固まった。生徒たちは輝夜のほうを向いて、『使い魔の平民が何言っているのよ!!』や『空気を読め!!』と訴えるような視線を向けて、睨んでいた。ちなみに輝夜もここは黙っておくべき流れだということはわかっていた。しかし、わざと空気を読まずにあんな発言をした。それは言外に『貴族(お前ら)の言いなりにはならない』という考えを持っての発言だったのだ。

 

「も、もも申し訳ございません、ミセス・シュヴルーズ!この使い魔には、あとできつく言っておきますので…!!」

 

輝夜の発言を聞いて、輝夜にとって自称主であるルイズが、顔を青ざめさせながら慌てて立ち上がって、シュヴルーズに頭を下げて謝罪した。その際に隣で座っていた輝夜の頭を押さえつけて下げさせようとしたが少女の片腕の腕力では、大の大人の男性の頭を下げさせることができなかった。そのことにルイズは横目で『あんたも頭下げなさい!』と睨んでいたが輝夜は当然、無視した。

 

「いえ、ミス・ヴァリエール。構いません。確かに私の一言がこのようなことを引き起こしました。皆さん、すみませんでした。使い魔さんも指摘してくださってありがとうございます」

 

「フン……」

 

シュヴルーズの言葉に輝夜は鼻を鳴らした。その態度にルイズが目を吊り上げて怒鳴ろうとしたが、シュヴルーズが宥めて、授業を始めた。

 

それから、始めた授業では、この世界の魔法には『火』、『水』、『風』、『土』の四大系統に今は失われた系統魔法である『虚無』を合わせた、全部で5つの系統があるということを輝夜は知った。シュヴルーズはその5つの系統の中で、自分の使える『土』について説明した。シュヴルーズ曰く『土』は5つの系統の中で最も重要な系統らしい。その理由は土系統の魔法は万物を生み出すことができる系統だからだ。土系統の魔法が無ければ重要な金属を造り出す事も出来ないし、加工する事も出来ないらしい。

 

(詭弁だな)

 

それを聞いて、輝夜はそう思った。地球でもベネスタンテ星でも魔法は存在しない。そのため、魔法を使わない方法で物質を加工することができるのだ。それに、他の系統の魔法でも、物質を加工することはできる。例えば、水を高圧で放出すれば切断ができ、火や炉があれば精製ができる。しかし、輝夜はそのことを口に出す気は無かった。理由としては、そんなことをいちいち口を挟めば、授業が進まなくなるからだ。この世界のことについて知りたい輝夜にとって、それは避けたいことだったのだ。

 

しかし、そんな輝夜もシュヴルーズが『錬金』の魔法でただの石ころを真鍮に変えたときは純粋に感心した。

 

「さて、では一通り説明が終わったところで……ミス・ヴァリエール、この石を錬金してみてください」

 

この指名に、なぜか生徒たちはどよめきが起きたのだ。輝夜は何事だと訝しげに見たとこに、キュルケが真っ青な状態で手をあげた。

 

「ミセス・シュヴルーズ、それはやめたほうがいいと思います。あの…危険です」

 

キュルケの言葉に周りの生徒たちも一斉に頷いていた。

 

「危険? どうしてですか?」

 

「ルイズに教えるのは初めてですよね?」

 

「ええ。でも、彼女が努力家という事は聞いています。さぁ、ミス・ヴァリエール。気にしないでやってごらんなさい。失敗を恐れていては、何もできませんよ?」

 

「ルイズ。やめて」

 

キュルケが蒼白な顔でルイズにそう言うが、ルイズは立ち上がってはっきりした声で告げた。

 

「やります」

 

ルイズはそう言うと、教壇のほうに向かって歩いていった。そして、ルイズが来るとシュヴルーズは微笑んで、ルイズに言った。

 

「ミス・ヴァリエール。錬金したい金属を、強く心に思い浮かべるのです」

 

ルイズはシュヴルーズの言葉を聞くと頷き、自分の杖を振るった。輝夜が周りを見てみると、なぜか生徒たちは机の下に隠れていた。どういうことだと思っていると……

 

「!?」

 

何か、嫌な予感を察した輝夜は咄嗟に懐に入れていたリングを指に嵌めて、死ぬ気の炎の盾を張った。

 

ドカーーーーーン!!!!

 

すると、輝夜が炎の盾を張るのと同時に大音量の爆音と衝撃波が起こった。爆発が治まると教室は見るも無惨な状態になっていた。そして、使い魔たちは今の爆発に驚き、いろいろと騒ぎ立てていた。ちなみに輝夜は炎の盾のおかげで無傷であり、炎の盾も爆音が治まるとすぐに消したのであった。

 

そして、今の爆心地である教壇では、ルイズは制服が破れて、煤で真っ黒になり、シュヴルーズは同じように真っ黒になりながら、気絶していた。そして、ルイズは周りを見渡すと、ハンカチを取り出し、自分の顔を拭きながら、呟いた。

 

「ちょっと失敗したみたいね」

 

その直後、ルイズは他の生徒達から猛然と反撃を食らった。

 

「ちょっとじゃないだろ! ゼロのルイズ!」

 

「いつだって成功の確率、ほとんどゼロのルイズじゃないかよ!」

 

(……なるほどな。興味は無かったし、何かの蔑称だとは思っていたが、『ゼロ』というのは、そういうことだったのか)

 

輝夜はリングを懐に直しながら、そんなことを考えていた。

 

「…………」

 

そして、そんな輝夜を水色の髪の眼鏡をかけた少女がじっと見つめていた。




今年もよろしくお願いします。
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