あの後、シュヴルーズの錬金についての授業は、ルイズの失敗というアクシデントのおかげで中止となり、しぶしぶその場で解散することになった。当事者であるルイズは、その責任として教室の片付けを命じられ、輝夜と共に教室に残ることとなった。ちなみにシュヴルーズはその日一日錬金の講義を行わなかった。どうやらトラウマになってしまったらしい。
(チッ。なぜ、俺がこいつの尻拭いをしなければいけないんだ?)
輝夜は心の中で舌打ちしながら、そんなこと思っていた。しかし、そんなことを考えながらも、黙々としながら着々と重い物を運んだりなどして、教室の掃除を行っていた。一方、ルイズは黙って、煤で汚れた机を拭いていた。
「………これで、わかったでしょ?」
「あ?何がだ?」
すると、机を拭いていたルイズがその手を止めて、ポツリと輝夜に呟いた。それに対して、『いきなり何だ?』という感じで返した。
「私の二つ名の由来に決まってるでしょ!!」
そして、それに対してルイズは悲痛な声を上げた。
「何を唱えても、爆発ばっかり!!魔法の成功率ゼロパーセント!!それで付いたあだ名が『ゼロ』のルイズよ!!あんただって本当は、わたしの事馬鹿にしてるんでしょ!?貴族のくせに魔法が使えない落ちこぼれだって!!メイジ失格のできそこないだって!!笑えば良いじゃない!!どうせ本当の事なんだし、あんたも笑って馬鹿にすれば良いじゃない……!!」
そう叫ぶと、ルイズはうずくまって、啜り泣き始めた。
「………どうして…、………どうして、私は……魔法が使えないのよ………どうして……!!」
それを見て、輝夜は呆れたようにため息をついた。
「ハァ……。(慰めの言葉が欲しいのか、こいつは?悪いけど、俺はそんなお人好しじゃない。)別に
輝夜の言葉にルイズはキッと輝夜を睨んだ。
「はぁ!?あんた、何言ってんの!?私はメイジなのよ!!それに魔法が無ければ、何も――――」
「俺の故郷では誰1人、それこそ貴族、平民、関係無くお前らの言う魔法を使える者など誰もいない」
ルイズの言葉を遮って言った輝夜の言葉にルイズは訳がわからないという表情をした。
「はぁ!?平民はともかく、貴族も魔法が使えないって、何よ!?そんなの聞いたこと無いわよ!!何?あんたの故郷の貴族もゲルマニアのような成り上がりなの!?」
「聞いたこと無いのは、当然だな。俺はこことは別の世界からな」
「……は?」
さらりと言った輝夜のとんでもない言葉にルイズは目を白黒させた。輝夜はそんなルイズを無視して続けた。
「俺のいた世界には魔法なんか存在しない、代わりに科学というもので生活を安定させている。それから、月は1つしか存在しない」
「そ、そんなの、信じられる訳ないでしょ!!」
輝夜の言葉に対して、ルイズは信じられないと言った。それは、当然なことだ。誰も『自分は違う世界から来た』なんて、信じられない。それは輝夜もわかっていたのか淡々と答えた。
「別にお前に信じて貰おうとなんか思ってない。……だが、俺を召喚した張本人にしては、ずいぶんと無責任な言葉のような気がするが?」
輝夜のきつい言葉がルイズに突き刺さった。
「うっ……。……あの召喚は……この世界に存在するものを呼び出す魔法なのよ!!他の世界からなんてそんなの知らないわよ!!」
ルイズの反論に輝夜は興味なさそうに言った。
「あっそ。ってか、魔法が使えないとかほざきながら、俺の召喚はできているだろ」
「えっ……?」
輝夜の言葉にルイズは目から鱗が落ちた気分になった。
「………」
「………」
それから、お互いに何も言わなかった。少し時間が経つと、ルイズが希望を持ったように呟いた。
「………そうね。私もあんたみたいな平民とはいえ、召喚自体は成功したんだから他の魔法もきっとできるはずよ!」
「(調子の良い奴だな……。)まぁ、話を戻すが、俺は魔法が使える、使えないとか関係ない。(そりゃあ、無能よりも有能の方がいいが。)そもそも、俺は貴族の犬になりたくないって、さっき言っただろ?」
輝夜の言葉にルイズは睨み付けた。
「あんた、まだそんなこと言っているわけ!?あんたはもう、私の使い魔って決まっているのよ!!使い魔ごときが御主人様に逆らわないでよ!!」
そう言うルイズに、輝夜は冷たい目をして、言い返した。
「部下だって、自分が忠誠を誓うべき主かどうか選ぶさ。なんたって、下手すれば自分の今後の人生に関わってくるからな。俺はお前に対して、忠誠を誓うべき主だと思っていない。俺が忠誠を誓ってもいいと思っている奴は現時点で
輝夜はそう言うと、その人物のことを頭に浮かんだ。一方でルイズはなぜか俯いた。そして、輝夜に尋ねた。
「あんたの言う人って、全てのことに優れているわけ……?」
どうやら、結局、ルイズは自分が魔法を使えないというコンプレックスからその質問をしたようだ。
「その質問に答える前に、お前、年いくつだ?」
「なっ!?あんた!!レディに年齢のこと聞くなんて失礼じゃないの!?」
「いいから、いくつなんだ?ティーンだってことはわかっているんだから」
「………っ!!16よ!!それが何!?」
真っ赤な顔をしたルイズの答えを聞いた輝夜は淡々と言った。
「そうか。……俺の言った奴が全て優れているのかっていう質問だが、答えはNOだ。そいつはお前よりも2つ年下のガキで勉強も運動もダメダメ、何をやらしてもダメなところから蔑称に自分の名前の頭にダメをつけられている。要するにお前と同じ落ちこぼれの奴だ」
輝夜の言葉にルイズは信じられないという顔をして、次の瞬間、輝夜を睨み付けて叫んだ。
「ふざけないで!!確かに私は魔法は使えないわ!!でも、私は勉強に関してはクラスでも、上位にいるのよ!!それなのに、私がダメで私よりも年下でしかも、何をやらしてもダメな奴に忠誠を誓いたいですって!?私の何がダメって、言うのよ!?」
ルイズは悲痛の叫びを輝夜にぶつけた。認めることができなかった。もし、輝夜の忠誠を誓いたい人間が全てに優れているというならば、どこかで諦めがついたのかもしれない。しかし、輝夜が上げた人物はその真逆で自分以上の落ちこぼれだった。自分を差し置いて、そんな人物に忠誠を誓いたいというのは、ルイズのプライドが許せなかった。せめて……、せめて、その人物にあって、自分には無いものをルイズは知りたかった。だから、ルイズは叫びながら、輝夜に尋ねた。
「それぐらい、自分で考えろ」
しかし、ルイズの願いはことごとく裏切られた。しかも、輝夜は追い討ちと言わんばかりに輝夜は言い続けた。
「一応、言っておくが魔法は関係ないからな。俺たちが別の世界から来たってことは信じられないかもしれないが、あいつは貴族ではないから、魔法は使えない。それだけは絶対的な真実だ。つまり、それ以外のことだ。せいぜい、必死に考えることだな。今のままじゃ、確実にお前はあいつに追い付くどころか、足元にすら届かないからな」
「~~~~っ!?」
バタンッ!!
輝夜の鋭い刃物のような言葉にルイズは耐えることのできず、顔を真っ赤にして、目には涙をためて、教室から出て行った。
(………ガキだな)
輝夜は出て行ったルイズを見て、そう思った。輝夜はこの世界の貴族の成り立ちがどうなっているのか、まだ理解していなかった。しかし、同じ人間である以上、元の世界での知識からだいたいの予想はできた。何かしらの組織に関わる以上、周りからの反感は付き物であった。ときには罵詈雑言もあるものだ。ルイズの家でのルイズの立ち位置も知らないうえに、輝夜自身、かなりきつい言葉だったと自覚はあったがあれでも押さえていたほうであった。だからか、あの程度の言葉で逃げるなんて、まだまだだなと輝夜は思ったのだ。
「おまけに自分のすべき罰の掃除もまだ終わっていないのに逃げるなよ………」
輝夜はまだ散らかっている教室を見て、ため息をつき、1人で掃除を再開した。
「ハァ………(やっと、終わった……)」
あれから、掃除を終わらせた輝夜は学院内を歩いていた。そんな輝夜は先程のルイズとの会話を思い出していた。
(………俺は、今まで誰かの下について動こうと考えたことは無かった筈だった……。ロヴィーノ教団のときも生きるために利用しただけに過ぎなかった……。それなのに、あの小娘との会話で『貴族に忠誠を誓う気は無い。誰かに忠誠を誓うとしたら』……そう考えたとき、真っ先に
輝夜はそう考えると、心の中で苦笑した。
(ふっ……。『全てに染まりつつ全てを飲み込み包容する大空』……。まさしく、そうだな。あいつは敵ですら受け入れる大空のように広い器の持ち主だ。俺はその器に惚れ込んだのかもしれないな……)
そう考える輝夜の頭には、かつて命懸けの戦いをした少年のことが浮かんでいた。
(はたして、平民だからというくだらない理由だけで相手を見下し、相手の力量を見抜くことすらできない小娘にあいつにすがりつくことはできるのやら……)
輝夜は自称自分の主を名乗る少女のことを頭に浮かびながら、そう考えていた。
「……ん?」
そんなとき、輝夜は何かに気がついて、そちらのほうに視線を向けた。
「………」
そして、輝夜は視線を向けたほうに足を進めた。
そこは、『アルヴィーズの大食堂』での出来事だった。
「君。君が軽率に香水のビンを拾い上げたせいで、2人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね?」
「は、はいっ!申し訳ございません!(……ああ、どうしてこんな事に…)」
目の前の、金髪の緩い巻き髪に、薔薇をシャツに刺した貴族、ギーシュ・ド・グラモンに対し、必死で床に膝をつけて謝罪しながら、シエスタは心の中で自分の不幸を嘆いていた。ことの始まりは、シエスタが普通に給仕の仕事をしていたときだった。
ギーシュは他の貴族の男子生徒達と、彼が現在誰と付き合っているのかという話題で話していたのであった。そんなときに彼のポケットから香水の瓶が落ちたのであった。それをシエスタが拾ったのであったが、その香水をきっかけにギーシュが二股していたのがばれたのであった。それにより彼女たちはギーシュをフリ、フラれたギーシュは香水を拾ったシエスタにいちゃもんをつけたのであった。
「僕は君が香水のビンを拾った時、知らないフリをした。話を合わせる機転があってもいいだろう?」
「は、はいっ!おっしゃる通りです!」
シエスタはそう答えたが内心では『無茶苦茶だ!!』と思った。周りの貴族たちは面白がってニヤニヤとこちらを見ていたし、他のメイドたちはシエスタのことを心配そうに見ていたが自分と同じように貴族に恐怖を抱いているために見ることしかできなかったため、誰もシエスタを助けようとしてくれなかった。『いつまで、続くのだろうか……?』とシエスタは泣きたくなった。
「ぐえっ!?」
「!?」
すると、蛙のつぶれたような声が聞こえた。シエスタはそれに驚き、顔を上げた。そこには………
「……テルヤ……さん……?」
ギーシュの首根っこを掴んでいた輝夜がいた。
「ぐっ!?何だ君は!?その手を離したまえ!!」
「ほらよ」
ギーシュの抗議に輝夜は手を離したが、素直に離さず、椅子から引きずり下ろすように自分の後ろのほうへ投げたのだった。シエスタ含めて、それを見て、目を丸くした。輝夜はそのままギーシュが座っていた椅子に座った。
「ぐっ……!!君!!貴族に対して無礼じゃないか!!」
投げ飛ばされたギーシュは怒り出し、立ち上がって薔薇の造花をモチーフにした杖を突きつけた。
「フン。二股がばれたのを善意で動いてくれたメイドのせいにする厚顔無恥の貴族にかける礼儀なんか無いな」
それに対して、輝夜は鼻で笑いながら、ギーシュに毒を吐いた。それを聞いて、周りはドッと笑い出した。そして、ギーシュは顔を赤くして、逆にシエスタは青ざめた。しかし、ギーシュは何とか怒りを抑えた。
「フン。彼女にも言ったが香水のビンを拾った時、僕は知らないフリをした。話を合わせる機転があってもいいではないか?」
「はぁ?それ、本気で言ってるなら、お前の頭の中、ウジ虫でも湧いてるんじゃないのか?どうせ、自分が同じ立場になったときには、そんな機転を働かすことなんてできない癖に」
「ッ!?……ど、どうやら、君は貴族に対しての礼儀というものを知らないみたいだな…」
「そう言うお前は、自分の私物を拾ってくれたら礼を言うっていうガキでもできるような、人としての礼儀を知らないみたいだな」
「ッ!!?」
ギーシュの言葉に輝夜は涼しい顔で言い返した。しかも、きつさを何倍も上乗せした言葉をギーシュに言ったのであった。おかげで、ギーシュの顔は怒りでさらに赤くなった。シエスタは輝夜を止めようとしたが、輝夜の雰囲気に気圧されて、できなかった。そんなとき、ギーシュは何かに気付いたような表情を浮かべた。
「ん、そう言えば……。あぁ、君は確かあのゼロのルイズが呼び出した平民だったな」
そこで輝夜がルイズの使い魔(輝夜は認めていない)だということを知ったギーシュは調子に乗って言った。
「さすがはゼロのルイズの使い魔だ!!主人が出来損ないであれば、使い魔も出来損ないというわけだ!!」
それを聞いて、輝夜はうんざりとした様子で答えた。
「言っておくが俺は、あいつの使い魔になることを認めていない」
そう言うと、一瞬周りは静かになった。しかし、次の瞬間ドッと貴族たちが笑い出した。
「ハハハ!!ゼロのルイズは平民を従わせることもできないのか!!だが、君も君だ!!君の左手にルーンが刻まれているじゃないか!!それがある限り、君はゼロのルイズの使い魔だということは決まっているのさ!!」
「………」
ギーシュに言われて輝夜は自分の左手のルーンを見た。それから、少し思案した。そして、何を思いついたのか、次の瞬間、輝夜はいまだに笑っている貴族たちに向けて言った。
「………黙れよ。社会のゴミ共」
その言葉に周りはまた静かになった。しかし、先程と違い、貴族の子供たちは皆、輝夜を睨んでいた。シエスタはもう泣きそうになっていた。
「………今、何て言ったんだい?」
輝夜のあまりな暴言に今にも怒りが爆発しそうなギーシュが輝夜に尋ねた。それに対して、輝夜は相変わらず涼しい顔で答えた。
「喧しい笑い声と重なって聞こえなかったか?それなら、もう一度だけ言うぞ。『黙れよ。社会のゴミ共』」
「ッ!?ど、どういう意味何だい……?僕たち、貴族のことを社会のゴミとは……」
聞き間違いじゃなかったという事実に余計に怒りを募らせたギーシュは輝夜に尋ねた。
「……表現に多少、盛っているかもしれないが、お前らの今の行動は屑に違いないだろ。もともと、
それに対しても、輝夜は淡々としかし、どこか馬鹿にしたようにギーシュたちに言った。すると、どこか図星なところがあったのか、何人かのメイジは俯いてしまった。
「……………しろ」
「ん?」
すると、ギーシュが何か言い出した。
「今すぐ、ここで僕たちに土下座して謝罪しろ!!そうすれば、特別に今の君の暴言を無かったことにしてやる!!」
これは、慈悲で恩情のつもりだった。このまま、この無礼な平民を痛めつけるのは簡単だ。だが、相手はたかだか、平民。そんな奴相手に本気にするのもばかばかしい。ここで土下座して謝罪すれば、許し己の器のでかさを見せつけることができる。ギーシュはそう言う意味を込めて、輝夜に言ったのだった。
「悪いけど、口を閉じてくれないか?これ以上、屑の言葉を聞いていたら、俺の耳が腐ってしまう」
「ッ!!!?」
しかし、輝夜はそれすらもバッサリと切り捨てた。それによりギーシュも完全にキレたのだった。我慢の限界だった。
「よかろう決闘だ!!君に貴族としての礼儀を教えてやろう!!ヴェストリの広場で待っている!!」
そう言うと、ギーシュはヴェストリの広場という場所に向かって歩き出した。
「いいぞ!!ギーシュ!!」
「そんな平民、叩き潰しちゃえ!!」
「貴族の怖さを思い知らせるんだ!!」
他のメイジたちはギーシュに声援を送っていた。それを横目に輝夜は顔面蒼白となっていたシエスタに声をかけた。
「……お前、大丈夫か?」
尋ねられたシエスタは涙を溜めて叫んだ。
「大丈夫じゃありませんよ!!テルヤさん、あれはどう考えても言い過ぎです!!どうして、こんなことを!?いえ、そもそも、どうして私を庇ったのですか!?」
「朝飯の礼」
「……えっ?」
いきなり答えられた輝夜の言葉にシエスタは目を丸くした。
「だから、朝飯を食わせて貰った礼だって言っているだろ。お前を庇った理由はそれだけだ」
「そんなことで………」
思いがけない理由にシエスタは驚いた。しかし、おかげでシエスタに向けられていた怒りは全て、輝夜に向けられるようになったのだ。怖い貴族から助けてくれた事実にシエスタは少し嬉しく思ったが、今の輝夜の現状を再認識して、ハッとなった。
「で、でも……そのせいで……テルヤさんが……。……貴族を本気で怒らせたら………あなた……殺されちゃう……。……私のせいで………」
ダッ!!
罪悪感に耐えきれなくなったのか、シエスタはその場から走り去ってしまった。そして、それと入れ替わりにルイズがやってきた。
「ちょっと、あんた!!」
「なんだ、いたのか、お前」
ルイズが来たことに対して、輝夜は興味なさそうに言った。
「『なんだ、いたのか』じゃないわよ!!全部、見ていたわよ!!何、勝手に決闘の約束なんかしているのよ!!」
「俺の答えを聞かずに出て行ったけどな、あいつ。まぁ、行くつもりだけど」
「そんなことはどうでも良いわよ!!ほら、早く謝っちゃいなさいよ!!」
「は?なぜだ?」
「いいから!!」
輝夜の言葉に対して、ルイズは強い口調で返した。
「断る」
しかし、当然、輝夜が頷く筈も無く、ルイズの申し出を断った。
「分からず屋ね……。いい!?平民はメイジには絶対、勝てないの!!だから、早く謝って許して貰えば、怪我せずに……」
「……あのさ」
「な、何よ……」
突然、輝夜がルイズの言葉を遮って、話しかけてきた。
「俺はさっき言ったよな?『俺はお前に対して、忠誠を誓うべき主だと思っていない』って?」
「ッ!?」
輝夜の言葉にルイズは先程のことを思い出して、俯いてしまった。しかし、輝夜はお構いなしに続けた。
「だから、俺はお前の指図を受ける気は無い。俺は勝手にさせてもらう」
そう言うと輝夜はこれ以上ルイズの言葉を聞く気は無いと言わんばかりに椅子から立ち上がって、自分が逃げないように見張っていたギーシュの友人の1人に尋ねた。ちなみにその友人も輝夜を睨んでいた。
「ヴェストリの広場ってどこだ?」
そう言われると、ギーシュの友人は顎をしゃくった。
「こっちだ。平民」
「どうも」
そして、輝夜はギーシュの友人の案内のもと、ヴェストリの広場に向かった。
「あぁ、もう!!本当に!!使い魔のくせに勝手な事ばっかりするんだから!!」
俯いていたルイズは顔を上げて叫びながら、輝夜の後を追いかけていった。
次回は決闘です。