ゼロの闇夜~貴族嫌いの使い魔~   作:R0

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長い間、空けて申し訳ございません。

自分も就活の時期に入っていますので、これからも暇なときしか書けませんので、今後も遅くなるかもしれません。どうか、ご了承ください。


闇夜と喋る剣

輝夜とギーシュの決闘から数日の間、大きな出来事は無かった。しかし、僅かだが、今までとは少し変わった点もある。それは、貴族と平民の関係である。今までは貴族たちが威張り散らして、それに対して平民が怯えるしかないという状況だったが、それが輝夜が入ってから変わったのだ。

 

例の決闘の件で輝夜は貴族たちから恐怖対象として認識されているのだ。そして、その輝夜が平民のいる厨房に足を運ぶところをたびたび見られているため、平民たちに手を出せば、報復されるのではないかと恐れているのだ。

 

実際には、輝夜はそのようなことをするつもりなどめんどくさくて微塵も無いが、特に否定する素振りも見せていないため、勘違いが加速しているのだ。

 

しかし、実はこれが輝夜の狙いでもあって、決闘中にルイズの使い魔になることを決めた輝夜は必然的にこの学園に滞在することになるので、貴族たちからのやっかみを減らすためにギーシュへの殺人未遂を周りに見せて、恐怖心を植え付けたのだ。

 

それが結果的に平民へのやっかみを減らすことにも繋がったのであった。輝夜のおかげで貴族からの嫌味ややっかみが減っていることに平民たちは気づき、平民たちの輝夜への好感度は上がっていた。……蛇足だが、男性陣はともかく女性陣の好感度が上がったことで少し焦っているメイドが1人、存在した。

 

さらに言うと、同じ理由のルイズに対する『ゼロ』などの馬鹿にする言葉も減っていた。

 

そして、その2人だが輝夜がルイズの世話をすることになった。輝夜もとりあえず、居候する身として、やっておくべきだと考え、特に反論は無かった。……と言ってもルイズの着替えを頼まれたときは、輝夜が心底呆れながら「あー。はいはい。わかりまちたー。お着替えしまちょうねー」と真顔であからさまに馬鹿にした言葉を言われたため、ルイズが怒り、輝夜の口八丁な言い回しで言いくるめられ、結局、自分で着替えることになった。そのときのルイズの顔はものすごく納得していないという顔だった。現在の輝夜の仕事は朝になったらルイズを起こすのと部屋の掃除、それから洗濯(下着だけはシエスタに頼んで自分はそれ以外のものを)だった。

 

輝夜がありつける食事も前に言われたものと比べて普通なものであるため、輝夜は特に不満を見せなかった。

 

そんな訳で、2人の間では、口喧嘩も多いがそれなりにまとも?な、生活を送っていた。

 

 

 

 

 

そして、今日は虚無の曜日という休日のある日。

 

「テルヤ!町に出かけるわよ!」

 

「……は?」

 

いきなりのルイズの言葉に輝夜はこの世界の言語を知るために図書館から借りてきた本から顔を上げて、ルイズのほうを見た。ちなみに輝夜は図書館から借りた本とルイズたちの授業を聞いて、既に7、8割方の言語について理解している。

 

「いきなり、何を言うのかと思ったら……、それで?町で何を買うつもりなんだ?」

 

「剣よ。えーと……、この前の決闘でのあんたの功績を讃えて、私から剣をプレゼントしてあげようって訳よ。ありがたく思いなさい!」

 

胸を張りながら、そう言うルイズに対して、輝夜は……

 

(要らねぇ……)

 

と内心、顔をしかめて、そう思っていた。ルイズは知らないことだが、輝夜は自分用の武器を持っているため、剣は余計なものでしかなかったのだ。

 

ちなみにルイズが言ったことは建前であり、この前のキュルケとの一件のことを気にかけているからである。その時は輝夜はキュルケの誘いに乗らなかったが、この先どうなるのかわからない。ただでさえ、言うことをほとんど聞かないのに、因縁の相手に取られるのは嫌だ。だから、プレゼントを渡して、気を引こうとしているのだ。

 

「(……まぁ、町に行ける機会を逃す手は無いか)……わかった」

 

しかし、輝夜はもともと、ルイズの使い魔になる前から町へ行こうと考えていたため、この世界についてもっと知りたいという考えも踏まえて、これはいい機会だと思い、了承した。

 

「それなら、早く仕度しなさい」

 

そう言って、ルイズは自分の仕度をし始めた。それに対して、輝夜は特に仕度するものなど無いため、完全にルイズの仕度待ちとなった。

 

「……お前待ちだぞ」

 

「うっさいね!わかってるよ!」

 

とことん、ちぐはぐな主従である。

 

 

 

 

 

 

ルイズの仕度が終わり、外へ出ると、ルイズが学園の出口とは違う方向へ行こうとしていたので、輝夜は呼び止めた。

 

「おい。どこに行くんだ?出口はそっちじゃないだろ」

 

「わかってるよ。馬を連れてくるのよ」

 

「馬?(そう言えば、シエスタが馬で2、3時間かかる場所に町があるって言っていたな……)」

 

と輝夜が思案していると、何を思ったのかルイズはニヤニヤしながら輝夜に話しかけた。

 

「何~?あんた、もしかして、馬に乗られないの~?仕方ないわね!特別に私の乗せてあげるわ!任せなさい!私の腕なら2時間で着いてみせるわ!」

 

胸を張りながら、そう言うルイズに輝夜は呆れた視線を向けながら口を開いた。

 

「たかだか移動に2時間も掛けていられるか」

 

そう言うと輝夜はリングと漆黒の色をした1つ穴が空いた匣を取り出した。

 

「何よそれ?」

 

リングはともかく見たことの無い匣を取り出したことでルイズは怪訝そうに輝夜に尋ねた。だが、輝夜はその問いに対しては何も答えず、リングを指に嵌めて、炎を灯した。

 

()()()なら30分で着く」

 

そう言って、輝夜は匣の穴にリングの炎を注入した。すると、中から

 

「グオォォォッーーー!!!」

 

体長3、4メートルの鋭い爪と牙を持って背中には翼が生えて鍬形の角に真っ赤な目をした全身、真っ黒のドラゴンが出てきた。

 

「な、何よ!?これ!!」

 

「俺の相棒、“漆黒ドラゴン(ドラゴーネ・ネーロ・コルヴィーノ)”のドレイク。お前らの言う使い魔みたいなものだ」

 

驚くルイズを他所に輝夜は簡単に説明した。

 

「えっ?えっ?でも、今、こいつ、その小さな匣から出てこなかったかしら?いくらなんでも、大きさが違い過ぎるわよ!!」

 

とルイズは開匣された匣を指しながら、叫んでいた。

 

(こいつ)のことを説明するのに、一日中掛けてもまだ足りない。異世界の技術だってことで無理矢理でも納得してろ」

 

それに対して、輝夜はどこ吹く風のように返して、ドレイクの背中に乗った。当然、そんな説明で納得ができるはずもなく、ルイズは問い詰めようとした。

 

「ほら。そんなことよりも、早く町に行くぞ。町は逃げなくても、時間は有限なんだからな」

 

「うっ……」

 

しかし、輝夜の一言で黙ってしまい、ルイズは渋々と輝夜に続いてドレイクの背中に乗った。

 

「グルッ」

 

「な、何よ……!」

 

すると、いきなり鳴き出したドレイクにルイズは怪訝そうに見た。

 

「あぁ。気にするな。こいつの貴族に対する感情も俺と似ているからな」

 

「あら、そう。…………って、要するにこいつも貴族が嫌いってことじゃない!」

 

「そういうことだ。ドレイク、行くぞ」

 

「グルッ」

 

「あっさりと受け流すなー!!」

 

そんなルイズの叫びも空しく、ドレイクが翼を羽ばたき、2人を乗せて、町へと向かって飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

一方、そんな様子をキュルケが目撃していた。

 

「あんなドラゴンまで持っているなんて、さすがダーリンね!ますます、惚れ直しちゃったわ!……って、それどころじゃないわね」

 

熱愛的な視線を輝夜のほうに向けながらもキュルケは気を取り直して、急いである人物のもとへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「タバサ〜〜!」

 

キュルケが向かったのは、彼女の親友、タバサのところだった。輝夜のドレイクに追い付くにはタバサの使い魔である風竜のシルフィードだけである。キュルケは、タバサの部屋に着くなり、ドンドンと扉を乱暴にノックしたが、返事が無かったので、魔法で無理矢理鍵を開けた。

 

部屋に入って、すぐに読書をしている彼女にキュルケはまくし立てるが反応がない。どうやら“サイレント”の魔法で音を消しているようだ。

 

そこで仕方なくキュルケは、タバサから本を取り上げれて、自分の方へ注意を向かせるようにした。どうやらそこでやっとタバサはキュルケに気づいてくれたようであり、“サイレント”を解除した。

 

「タバサ。今から出かけるわよ!早く支度をしてちょうだい!」

 

“サイレント”を解いた途端にキュルケは捲し立てた。それに対して、タバサは短くぼそっとした声で一言、自分の都合を友人に述べた。

 

「虚無の曜日」

 

それで十分であると言わんばかりに、タバサはキュルケの手から本を取り返そうと手を伸ばした。しかし、それに対してキュルケが高く本を掲げた。身長差があるため、背の高いキュルケがそうするだけで、タバサの手は本に届かなくななってしまう。

 

「分かってる。あなたにとって虚無の曜日がどんな日なのか、あたしは痛いほどよく知ってるわよ。でも、今はね、そんな事言ってられないの。恋なのよ! 恋!」

 

キュルケの言葉にタバサは首を傾げた。それを見て、キュルケはタバサにはきちんと説明しなければならないのだと思い出し、説明し始めた。

 

「ああもう!あたしね、恋したの!でね?その人が今日、あのにっくいヴァリエールと出かけたの!あたしはそれを追って、2人がどこに行くのか突き止めなくちゃいけないの!分かった?」

 

ヴァリエールという単語に、タバサはぴくりと反応した。それからキュルケの目を見て、尋ねる。

 

「……その人というのは、彼女の使い魔?」

 

「ええ、そうよ」

 

キュルケがそう言うとタバサは珍しく何か考え込んでいるかのように顎に手を当ててから、言った。

 

「分かった」

 

するとキュルケは、自分の要望が通ったというのに思わずきょとんとした表情を浮かべた。いつもならもう少し渋るはずのタバサが、案外あっさりと了承したからだ。こんな事、今までほとんどと言って良いほど無かったのだ。実はタバサも輝夜に興味を持ったのだ。特に輝夜の使う死ぬ気の炎に対して。

 

「………」

 

タバサは窓際によって、口笛を吹いた。

 

「きゅい!」

 

すると、窓の外からドレイクと同じくらいの大きさである青いドラゴンが現れた。タバサの使い魔のシルフィードだった。2人は窓からシルフィードの背中に乗って、ルイズと輝夜の後を追った。

 

 

 

 

 

「ここが城下町か」

 

それから、約30分後、ルイズと輝夜はトリステインの城下町に着いた。ここに来る前にドレイクを見られて騒ぎにならないように少し離れた場所で降りて、ドレイクを匣に戻した。その光景を見て、再び、ルイズが騒いだが輝夜はどこ吹く風だった。

 

「おい。ヴァリエール」

 

「…………」

 

輝夜はルイズに話しかけたがルイズは上の空だった。

 

「ヴァリエール!」

 

「!?な、何よ!いきなり、大きな声出さないでよ!!」

 

「お前がボケッと絞まらない顔して、反応無かったからだろ」

 

「だ、誰が絞まらない顔ですって!?反応が無かったのは……決して、空を飛ぶってことの気持ち良さに浮かれていた訳じゃないわ!」

 

「誰もそこまで訊いてねぇよ……」

 

「っ……!」

 

ルイズが浮かれていたのはドレイクの背中に乗って飛んだことで、“フライ”という魔法が使えなかったルイズにとって、初めて空を飛んだからである。ルイズは顔を赤くして輝夜を睨んでいたが、輝夜はどこ吹く風の態度を取り、ルイズに話しかけた。

 

「それより、武器屋に行くんだろ?とっとと、案内しろ。俺は場所がわからないからな」

 

「わ、わかってるわよ!」

 

そう言って、ルイズは輝夜の前に出て、歩き始めた。それに輝夜も続いた。

 

トリステインの城下町は道端で大声を張り上げて商品を売る商人や道端で雑談している人、のんびり歩く人、逆に急いでいる人など、様々な人で賑わっていた。老若男女、そこら中にいた。しかし、道端が5メートルも無かったため、歩き辛くて、輝夜は顔をしかめた。

 

「狭ぇ……」

 

「狭いって……ここ大通りなんだけど」

 

「これでかよ……」

 

ルイズの言葉を聞いて、輝夜はうんざりした。

 

「そんな事より、財布は大丈夫でしょうね?この辺はスリが多いんだから……」

 

ルイズは財布を使い魔である輝夜に持たせているのだ。中にはぎっしりと金貨が詰まっていたので、ずっしりと重かった。

 

「あぁ、あるぞ。ってか、そう簡単に取られるヘマはしねぇよ」

 

「わからないでしょ?いくら、あんたでも魔法を使われたら一発なんだから」

 

ルイズの言葉に輝夜は怪訝な目をして、ルイズに尋ねた。

 

「貴族がスリをするのか?」

 

「貴族は全員がメイジだけど、メイジの全てが貴族ってわけじゃないわ。いろんな事情で、勘当されたり家を捨てたりした貴族の二男や三男坊なんかが、身をやつして傭兵になったり犯罪者になったりするのよ」

 

「なるほどな。……ん?」

 

ルイズの言葉に輝夜は納得したが、そこでふと疑問ができたため、ルイズに尋ねた。

 

「なぁ、訊きたいんだが、その訳ありで貴族を止めたメイジが平民と番いになって、そいつらから生まれた子供がメイジだったってことは無いのか?(リリアーナさんっていう、前例を知っているから、そんなケースで平民の中からメイジが生まれてもおかしくないんだが……)」

 

リリアーナ、輝夜の元の世界で貴族の令嬢だったが実家との考えが合わず、家出した女性だ。貴族嫌いの輝夜たちにとって、元とはいえ唯一、気を許している貴族だった。彼女は平民の男性と結婚して、子供も産んでいたのだ。その事を輝夜は思い出して、平民の中にメイジがいる可能性を提示したのだった。

 

「無いわね。少なくとも、私はそんな話、聞いたこと無いわ。そもそも魔法っていうのは始祖ブリミルから伝えられた奇跡の業よ。いくら片方の親がメイジでも平民との子供に使えるはずがないわ」

 

「……そうか。(……果たして、どうなんだ?こいつの言う通り、本当に純血のみでしか使えないのか。それとも、面倒事を避けるために隠しているか……。……どっちの可能性もあり得るな。これ以上考えても仕方ないか)」

 

輝夜はそこで考えるのをやめて、ルイズの後に続いた。そして、2人は人気の少ない路地裏を通って、一目で武器屋とわかる看板を掲げた店を見つけて、その店の中に入った。

 

店の中は壁や棚に、剣や槍が乱雑に並べられ、立派な甲冑が飾られていた。店の奥には店主と思われる壮年の男がパイプを咥えており、こちらを訝しげに見つめていた。しかし、ルイズが貴族だと気づいた瞬間、パイプを話して急に畏まった調子を取った。

 

「貴族のお嬢様、ウチはまっとうな商売をしてまさあ、お上に目をつけられることなんか、これっぽっちも――」

 

「客よ」

 

ルイズが店主の言葉を遮ってそう言った。それを見て、輝夜は怪訝な目をして、

 

(……大丈夫か、この店?)

 

そう考えていた。そんな輝夜を余所にルイズと店主は話していた。

 

「使うのは私の使い魔よ」

 

そう言って、輝夜を指差した。

 

「剣をお使いになるのは、このお方で?」

 

ルイズは頷きながら、店主に言った。

 

「わたしは剣の事なんか分からないから、適当に選んでちょうだい」

 

「……こりゃ、鴨がネギしょってやってきたわい。せいぜい、高く売りつけるとしよう」ボソッ

 

ルイズがそう言うと、店主は誰にも聞こえないように呟きながら、そそくさと奥の方へと消えていった。しばらくすると、店主は1.5メイルある大きな剣を持ってきた。宝石が散りばめられた刃はピカピカに輝いていて、いかにもよく切れそうな両刃式の大剣だ。

 

「こいつは、かの高名なゲルマニアの錬金魔術師シュペー興で、魔法がかかってあるため鉄だって一刀両断!この店一番の業物でさあ!」

 

「そ、そう……」

 

店主の言葉を聞いて、ルイズの目が輝いていた。どうやら、この大剣を気に入ったみたいだが、それに対しては輝夜は……

 

(いや、どこからどう見ても、見た目だけのナマクラじゃねぇか……。しかも、見た目も成金みたいで最悪だなおい。絶対に持ちたくねぇぞ、そんな剣)

 

かなり冷たい目をして、その光景を見ていた。輝夜は店主が持ってきた剣がナマクラだと気づいていたのだ。それにより、ナマクラを高く売り付けようとしていることに気づいたのだった。

 

「それはいくらだ、親父?(もし、ヴァリエール(この馬鹿)がこんな成金ナマクラを買おうとする真似するなら、その前に止めなくちゃな)」

 

「エキュー金貨で二千でございます」

 

「そんなの、立派な家と森付きの庭が買えるじゃないの!?」

 

「(ぼったくりって、もんじゃないな。)それで買えるのか?」

 

エキュー金貨がなんの事だかわからなかったが、ルイズの捕捉で価値を知った輝夜は内心呆れていた。

 

「……無理よ。二百しか持ってきてないわ」

 

「そうか。……ところでさっきから誰もいないところから視線を感じるが何だかわかるか?」

 

「えっ?」

 

輝夜の言葉にルイズは輝夜の視線の先のほうに振り向いた。そこには、剣の束があるだけだった。輝夜の気のせいじゃないのかとルイズが思っていると……

 

「へえ、まさかここで俺の存在に気がつくたぁね?今度のは、ちったあマシな奴が現れたじゃねえか」

 

「!?」

 

剣束の中にある剣の1つであるお世辞にも綺麗とは言えない錆まで浮いている剣が鍔をカチカチ鳴らしながら声を発したのだ。それを見て、輝夜は珍しく驚いていた。ルイズも同じみたいで店主に尋ねていた。

 

「珍しい。それってインテリジェンスソード?」

 

「そうでさ。意志を持つ魔剣、インテリジェンスソードで。いったい、どこの魔術師が始めたんでしょうかねえ、剣を喋らせるなんて……。とにかくこいつはやたらと口は悪いわ、客に喧嘩は売るわで閉口してまして……。やい、デル公!このお客様方にデタラメ抜かすんじゃねぇぞ!」

 

「はん!安心しな!俺様が何も言わなくても、そこの兄ちゃんは気づいているみたいだからよ!」

 

「な、なんだと!?」

 

剣、デル公の言葉を聞き、意味を悟った店主は慌てて輝夜のほうを向いた。しかし、輝夜はそんな周りをスルーして、デル公の柄を掴んで興味深そうに観察していた。

 

「へぇ。二足歩行の流暢に喋る赤ん坊なら7人見たことあるが喋る剣なんて初めて見たな。つくづく世界は広いし、俺の知らないことがまだまだあるって再認識されるよ」

 

「二足歩行の流暢に喋る赤ん坊って何よ!?そんなの居るわけないでしょ!しかも、7人も!」

 

そんな輝夜の言葉を聞いて、ルイズは思わず突っ込んだ。店主もデル公も輝夜の言葉に疑問を感じた。

 

「俺もそんな赤ん坊は知らねぇが……おでれーた、テメー『使い手』か? …いや、それ以前に相当な猛者だなこりゃ。こんな奴は初めてだ。……よし決めた!テメー!俺を買え!」

 

「……ふむ」

 

デル公の自分を買えって言葉に輝夜は考えた。正直、武器として要るか要らないかと訊かれたら要らないと即答する。別にデル公を過小評価している訳じゃない。手入れをすれば再び使えるうえに切れ味も先程の成金ナマクラよりも比べ物にならない位良いものになるはずだ。だが、輝夜は既に自分の武器を持っているために要らないのだ。そんな輝夜が迷っている理由はデル公が長生きしていそうだからだ。もしかしたら、かなりの情報を持っているに違いない。あわよくば、元の世界に帰る手掛かりを掴めるかもしれない。そう考えた。そこで輝夜はデル公に質問した。

 

「お前って長く生きているのか?」

 

「おう!だてにここまで錆び付いてねぇぜ!」

 

「……そうか。おい、()()()()()()。こいつにするぞ」

 

「えぇ~?そんなのにするの?」

 

輝夜の言葉にルイズは不満そうだったが、周りの剣を見ても、買えそうにないと思い、ため息を付きながら、店主に尋ねた。

 

「あれはいくら?」

 

しかし、その店主は顔を青ざめて、ぶつぶつと何か言っていた。

 

「ヴァ、ヴァリエールって、もしかして公爵家の……」

 

「ちょ、ちょっと、どうしたのよ!」

 

店主の様子がおかしかったため、ルイズが近づこうとしたが輝夜が肩を押さえたためできなかった。

 

「何するのよ!」

 

「俺が行く」

 

ルイズの文句に対して、一言で治めて、店主に近づいた。そして、店主の顔に自分の顔を近づけて、店主にしか聞こえない程まで声量を抑えて話しかけた。

 

「まさか、公爵家の令嬢を騙そうとするなんて、あんたの肝のでかさには感心するぜ」

 

輝夜の言葉に店主はますます顔を青ざめた。どうやら輝夜がルイズのことを『ヴァリエール』と呼んだことでルイズが公爵家の令嬢だということを知り、自分は騙してはいけない相手を騙そうとしていたことに気づいたのだ。

 

「!?ち、違っ!そ、そんなつもりは!?」

 

「まぁ、そんなことはどうでもいい。ヴァリエール(あいつ)デル公(こいつ)の値段について知りたいって言っていたが?」

 

「ただで!ただで良いですよ!!」

 

「えっ!?ちょっと、ただって良いの?」

 

店主の大声が聞こえたルイズは思わず、尋ねた。

 

「えぇ!えぇ!それはもちろん!!そいつを厄介払いできるとなるならこちらとしても大助かりでさぁ!」

 

「そ、そう……」

 

店主の必死ぶりに引きながらもルイズは頷いた。そうして、2人はデル公を無料で購入して店を出た。

 

「それにしても、あんた、なかなかえげつないことをするなぁ」

 

近くにいたため、輝夜と店主の会話を聞いていたデル公がルイズに聞こえないように輝夜に話しかけた。

 

「誰も俺が善人だとは言ってないだろ?それに俺はヴァリエールが公爵家の令嬢だという事実しか言ってないし、『まけてくれ』とは一言も言ってない。あの親父が全部、勝手に話を進めただけだ」

 

「ははっ!ちげぇねぇ!!」

 

輝夜の言葉にデル公は笑った。それをルイズが訝しげに見ていた。

 

「ちょっと、何笑っているのよ?」

 

「いや。なんでもねぇぜ。おっと。それよりも自己紹介がまだだったな。俺はデルフリンガーだぜ!長ければ、デルフでいいぜ!相棒!」

 

そうデル公、デルフリンガーは自己紹介した。

 

「(相棒?)そうか。俺は光城輝夜だ。まぁ、よろしく頼む。デルフリンガー」

 

「私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ!」

 

そう言って、2人と1振りは帰路についた。




投稿ペースが遅くなっている癖に輝夜を『問題児たちが異世界から来るそうですよ?』に召喚された話を書きたい自分がいます……。

皆さんはどう思いますか?

  • その話を書いて欲しい
  • それよりもゼロの闇夜
  • それよりLyrical×Darkness
  • それよりも他のキャラや他のクロスオーバー
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