遊戯王 振り子使いの少年と連鎖使いの少女   作:DICHI

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休日回。こういう日はゆっくり寝ているのに限る。


第8話 軽音部の休日

遊輝 side

 

「・・・・・っほい」

 

「サンキュー、いや〜マジで助かるわ。タブレット壊れたから何事かと思ったよ」

 

「たいした事ねぇよ。バッテリーがヒートアップしてただけだ」

 

土曜日、桜と一緒にスバルのガレージに来た。スバルは家のガレージを使って簡単な修理屋をしている。主に子供達のデュエルディスクを直す事をやっている。今日はタブレットの修理を依頼しに来た。

 

「これでもう使えるはずだけどあんまり使いすぎるなよ。バッテリー変えたばっかなのにまた修理とかやめてくれ」

 

「それはこっちが願い下げだよ。んで幾ら?」

 

「えっと・・・・バッテリー代が高いからな。1000円」

 

「・・・・それでも1000円でやる辺りが良心的だよ」

 

そう言って財布の中から1000円札1枚を取り出してスバルに渡す。スバルはそれを金庫の中に突っ込んだ。

 

「よし!じゃあこれで出掛けられるな!」

 

「ほんと悪かったわ・・・」

 

「・・・・どこ行くの?」

 

「お前にこの街を案内するのと、軽音部のみんなでお茶しようって。全員で纏まって休みを取るのは久しぶりだから」

 

「・・・・お茶?」

 

「あぁ・・・・まぁどっかの喫茶店でティーブレイクしようって話」

 

「・・・・・・(ジュルリ)」

 

「飯食わねぇぞ」

 

「・・・・・・・・」

 

「なぜそんな驚いた表情をする!?普通ティーブレイクって言ったら喫茶店で紅茶とか飲むくらいだろ!?」

 

「紅茶も何も、ほとんどのやつがコーヒーも飲めないけど」

 

まぁ確かに、コーヒー飲める奴って言ったら俺かスバルだもんな。後のほとんどは紅茶を好んで飲む。

 

「それにお前、お茶するって言ったって最初は昼飯食って次カラオケじゃないか」

 

「いやだって・・・・・桜の食費「お前は母親かよ。いい加減隠し貯金くずせよ」・・・・」

 

「とりあえず行こうぜ。もうレミたちを待たせているんだから」

 

工具を片付けてカバンを背負うスバルが、俺たちに文句を言って外に出た。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「いたいた、お〜い!」

 

桜とスバルと一緒に目的地にまで来て、レミたちを探していたら、手を振っている響を見つけ、3人でそっちに向かう。

 

「遅いよ〜!何してたのよ!?」

 

「こいつのタブレットの修理だよ。朝早くから持ってきてさ」

 

「タブレット修理しておかないと曲の歌詞書けないじゃん」

 

「それ以前に何でタブレットを修理出さないといけないのよ」

 

「桜がタブレットにジュースこぼしてさ・・・」

 

「・・・・お兄ちゃんが悪い、桜に声をかけるから」

 

「いやお前、出掛けるぞって言っただけじゃないか」

 

普通に家から出るときに「出掛けるぞ」って言ったら何故か口の中の水を吐き出してタブレットにかかったんじゃないか。

 

「どうでもいいから早く行こうよ!もうお腹空いてんだから!」

 

「そう言えば昼飯どこで食べるんだよ?なんか行きたいところがあるって」

 

「そうそう!ここ!ここのバイキング行ってみたかったんだよ!」

 

「バイキング?」

 

桜は首を傾げるが、俺は右手を顔に当ててあちゃ〜っていう表情をしている。絶対こいつ、見境なく食べまくって店に迷惑かけるもん。

 

「とりあえず行こう!もうすぐ12時だし!」

 

響に背中を押されて近くの建物の中に入る。そのままエスカレーターを上がっていき、レストランのフロアのところで目的のお店を見つけた。日曜日のお昼前なのですでに人で列が出来ている。

 

「ここ!」

 

「うわ・・・・日曜だからもう並んでるわね」

 

「今からだったらまだ30分くらい!並ぶわよ!」

 

「何でそんな気合入ってるんだよ・・・・」

 

「・・・・バイキングって何?お兄ちゃん」

 

「・・・・・時間制の食べ放題のお店」

 

「・・・・・・・(キラリッ)行きたい」

 

「30分くらい待たないとダメだ」

 

「30分ならすぐ、待つ」

 

そう言って桜は走って列の最後尾に並んだ。本当に食べる事になると見境ないな・・・・流石、ピンクの悪魔。

結局、桜の意向(と響の意地)のために30分並び、目的のお店に入店、店員からの説明を聞き終えると桜は一目散に駆け抜けていった。

 

「あ〜あ・・・・・始まるわ」

 

「そう言えば私たち、聞くだけ聞くけどどれだけ食べてるか見たことないわね」

 

「確かに、桜っちの本気を見たことがないかも」

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・おい、なんだそりゃ」

 

後ろに振り返って桜を見ると、お盆の上に乗った3枚のお皿にてんこ盛りとなって料理が盛られていた。満面の笑みで机に置いた桜はそれを食べずにまた料理の方に走っていく。

 

「・・・・・・どうやら本当にヤバいみたいね」

 

「なんか俺、見てるだけでお腹いっぱいだわ」

 

「分かる・・・・一応、なんか取ってこよう」

 

桜の量が異常な事にメンバー全員で驚いてるがせっかくの食べ放題なので俺たちも何か食おう。じゃないとただ金を払うだけになる。

 

 

〜〜(2時間後)〜〜

 

 

「・・・・満足満足」

 

「えぇそうでしょうね。ラスト30分前には店のオーナーが「もう勘弁してください!」って泣いていましたからね」

 

「あれは違う意味で傑作だったわ」

 

「まあまあ・・・・・何とかなったでしょ。サインとかしたし」

 

「そういう問題じゃないと思うわよ多分・・・営業出来るかどうかでしょ」

 

あの後、桜は店の料理を全部食べ尽くす勢いだった。本当に店のオーナーが出てきてやめてくれって頭下げたもんな・・・あんなことってあり得るんだ。多分、桜は今後出禁だな。

 

「じゃあ今度はカラオケに行こう!みんなで歌おう!」

 

「良いね!カラオケ久しぶり!」

 

「その前にお買い物!遊輝と一緒だと桜ちゃんの服少ないだろうし」

 

「そんな事ないよ響っち、遊輝っち女物の服あるだろうし」

 

「おい茜その発言は撤回してもらおうか。まるで俺が女物の服を持っているみたいじゃないか」

 

「何言ってるのよ、実際に持っ「ワアアアアア!!!!!!」

 

茜がとんでもない爆弾発言をしようとしたところで俺が茜の口を防ぐ。そんな事、こんな大勢がいるところで喋っちゃダメだ!俺の人生が終わってしまう!

 

「じゃあ先ずは桜ちゃんの服探そう。桜ちゃんはどんな服が着たい?」

 

そう言ってレミと茜は桜の手を掴んでアパレルショップに行ってしまった。それを追うように響と奏も行ってしまう。

 

「あ〜あ・・・・どうする?女の買い物は長い上に荷物持ちただぞ?」

 

「それは本当に勘弁してほしいなぁ・・・」

 

「ここは悲しく男二人でゲーセン巡りするか?」

 

「賛成だな!まずは音ゲーやろうぜ!」

 

「二人とも何してるのよ!早く来なさい!!」

 

「「・・・・・・は〜い」」

 

レミに見つかって俺とスバルはテンションダダ落ちで後ろについて行く。絶対この後暇且つ退屈な時間がやってくる・・・・

 

「あ〜あ・・・・何かこう、RPG風のイベント起きないかな」

 

「例えば?」

 

「平和に買い物をしていた少年少女のグループ、しかしその平和は突然終わる。それは強盗グループの襲撃に「きゃあああああ!!!!!」!?!?」

 

「おいお前!?そういうフラグは立てるなよ!?」

 

「知るかボケ!!マジで起こるとは思わなかったわ!!!あっちだな!?レミ!!牛尾さんに連絡頼む!!」

 

もっと先に進んでいた女性陣はレミに連絡を任せておいて、スバルと二人、悲鳴が聞こえたところまで走る。3階のレストランフロアからエスカレーターの吹き抜けの所を下に見る。刃物を持った武装集団が女性と子供を人質に取っていた。

 

「動くな!!動くと刺すぞ!」

 

「物騒な格好しているわりには武器は大した事ねぇな・・・・」

 

「やるか?」

 

「モチのロン」

 

「よっしゃやるぜ!」

 

俺とスバルは柵を乗り越えてそのままジャンプ、武装集団に向かって飛び降りる。

 

「俺たちは仲間の釈放と金を「おぅらあああ!!!!」ぐはっ!?」

 

「!?どうし「お前の相手はこっちだ!!」グホッ!?」

 

飛んだ勢いでそのまままず、武装集団二人を殴り、下敷きにして着地する。

 

「うっひょ〜・・・・足が痺れる〜」

 

「な、なんだお前ら!?」

 

「とうりゃ!!」

 

「グホッ!?」

「き、貴様ら!!これが見えん「動きが遅えんだよ!!」グボホッ!?」

 

俺とスバル、二人で武装した集団を殴っていく。既に戦意喪失の奴らは武器を捨てて逃げていき、ある奴らは俺らに向かうが肉弾戦で負けていく。全く、こんな奴ら能力使う必要もない。そんなこんなでスバルの方は人質を救出成功。先に二人を逃していた。

 

「遊輝!もう何の心配もいらねぇぞ!」

 

「うっしゃ!これで好き放題やれるぞ!」

 

「で、撤退だ!!撤退だ!!」

 

「こんなふざけた事しといて撤退?そんな事させるわけないでしょ?」

 

「ひっ!?な、何だ!?」

 

一部残ったものが撤退しようと出口の方に逃げ出そうとしていたが、そいつら全員の足は既に氷漬けにされて動けない状態になっていた。

 

「人の事を殺そうとして周りの建物とかめちゃくちゃにしてそれでピンチになったら逃げるとか愚の極みだわ」

 

「もうすぐセキュリティ来るし、そのままじっと待って起きなさい」

 

武装集団が逃げようとしたところからレミたちが歩いてきていた。先に逃げようとしていた奴らも響によって氷漬けにされてポイっと投げた。それを見た残りの奴らは身体が震え上がっている。寒さで震え上がったのか、恐怖で震え上がったのかは分からない。

 

「サンキュー、取り逃したらまたやるかもしれないから」

 

「にしてもあんたら、3階からいきなり飛び降りないでよね」

 

「こ、こっち、階段から、ダッシュで・・・・ハァ・・・ハァ・・・・」

 

「ほんと、体力ねぇよな奏。ライブであれだけ動いているのに」

 

「・・・・・・・」

 

「桜の方が息切れしてねぇなぁ・・・大丈夫か桜?」

 

「・・・・大丈夫、これくらいどうってことない」

 

ハァハァと息をする奏に対して桜は涼しい表情をしている。こいつ、本当に表情が表に出ないよな。ポーカーフェイスもいいところだ。

 

「セキュリティだ!どいてくれ!」

 

「おっ、来た来た。おおい、こっちだ」

 

「セキュリティ」という牛尾さんの声が聞こえたので俺は手を振って居場所を教える。牛尾さんたちが来たところで俺の能力を使い、氷漬けになっている奴ら、足が凍っている奴らの氷を溶かしていく。

 

「これでいいな・・・・お前たちにはまた世話になったな」

 

「そんな事ないですよ〜」

 

「茜、お前何もしてないだろ」

 

「また後で報酬を払う、じゃあ今日はこれで」

 

振り返った牛尾さんは部下に指示をして素早く撤収して行った。迅速にやってくれたおかげで最小限の被害に抑えられた。良かった良かった。

 

「よーし!!じゃあ桜ちゃんの服の続き、いっくわよ!!」

 

「えぇ・・・・」

 

「えぇって何よ!?えぇって!?」

 

「遊輝とスバルも行くわよ!!」

 

レミと茜に背中を押されて俺とスバルは女性陣に連れていかれる。この後、待っていたのは非常に退屈な時間と荷物持ちという役割だった。

 

 

〜〜(数時間後)〜〜

 

 

「桜ちゃんオシャレ〜」

 

「さすがファッションモデル。こういうの任せたら一丁前ね」

 

「「・・・・・・・・・・・・・」」

 

ウィンドウショッピングが終わり、女性陣はワイワイキャッキャッしているが俺とスバルはげっそりとして荷物を持っている。しかもこいつら、この衣装代金を俺持ちにしやがった。

 

「次カラオケ行こう!」

 

「今日は何歌おうかな・・・」

 

「ああ・・・・疲れた・・・」

 

「ああ・・・早い所休もうぜ・・・」

 

「だらしないわね!男でしょ!?体力きたえているよね!?」

 

んなもん関係ねぇよ・・・いつの時代でも女の買い物に付き合わされる男は体力的にも精神的にもしんどいんだよ・・・そうこう思いつつ、カラオケ屋に着いた。

 

「カラオケカラオケ♪」

 

「すみませ〜ん!フリーで学生7人で!」

 

「申し訳ありません、現在満席で2時間待ちでして」

 

「えぇ!?」

 

そりゃあんた・・・・今日はゴールデンウィーク真っ最中ですよ。誰だってフィーバータイムで楽しみまくるよ。

 

「もう5時前だっていうのに・・・今日は見たいテレビがあるからなぁ」

 

「しょうがない。また別の日にしましょう。今日は解散っていうことで」

 

「っしゃ!ようやく解放される!」

 

解放という言葉を聞いて意気揚々とするスバル。荷物持ちから解放されるからだろうが俺はそうは行かない。この荷物、すべて桜の服なので俺が持って帰らなくちゃいけない。

 

「ハァ・・・・荷物どうするんだよ」

 

「そんなため息つかなくても荷物くらい私たちも手伝うわよ」

 

「マジ助かる・・・この量持てん・・・ってか買い物しないと行けないんだよ」

 

「それじゃ買い物して帰るわよ」

 

「ん」

 

結局、今日のカラオケは諦めて、みんなで俺の家の晩飯の買い物に付き合ってくれて解散した。




遊輝「つっかれた・・・・・」

桜「満足、またあの店行きたい」

遊輝「もう2度と行けねぇわ・・・・」

スバル「ガチで出禁じゃないか?」

桜「出禁?」

遊輝「二度と来るなって意味」

桜「・・・・・・・・・・・」

スバル「露骨にショック受けとる」

遊輝「やり過ぎなんだけどな」

桜「・・・・・・・・・・・・」

遊輝「・・・次回、『中間試験 星の戦士』。次回もよろしく」

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