遊戯王 振り子使いの少年と連鎖使いの少女   作:DICHI

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ひっさびさにあのアイテム登場。そして遊輝ちゃんに新たな属性が付きました。


第47話 優姫ちゃんのセレブな生活

 桜  side

 

高○山のハイキングが終わって翌日、現在時刻は11時。今日は晴天で実に清々しい朝だった。やはり昨日、山歩きして運動したのが効いている。こう思うと運動するのは大変素晴らしいと思う。こんなにも清々しい気持ちになるならたまには運動するのも良いのかもしれない。そう思い、ベランダで紅茶を飲む。

 

「ん、美味しい・・・・・お姉ちゃん(・・・・・)の入れてくれた紅茶は素晴らしい」

 

ネットに書いてあった完璧な紅茶の入れ方を見たお姉ちゃんが作った紅茶、安物の茶葉だけど凄く美味しい。そしてこれがアリアお姉ちゃんの手作りのクッキーと相性抜群だ。そしてベランダの庭、ここはまるで西洋にいるみたいだ。今日も一日、素晴らしい日になりそうだ。

 

「いやああああああ!!!!!!!」

 

・・・・・・綺麗に髪を整えポニーテールして、ハイヒールを履いて、清楚なお嬢様が来ていそうな白いワンピースを着たお姉ちゃんの悲鳴が無ければ、の話だけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「違うわよ優姫ちゃん!そんな歩き方じゃなくて線の上を歩くイメージで歩きなさい!」

 

「もう嫌だ・・・ヒールで歩きたくない・・・・・スカートなんて嫌だ・・・・」

 

「あんまりやり方悪いとまた残業よ!!」

 

「いやああああ!!!!!」

 

先ほどの服装を着たお兄ちゃんの声が屋上のベランダに響き渡る。そのお兄ちゃん、いや、お姉ちゃんを指導しているのはアリアお姉ちゃんではなく茜のお母さんだ。

昨日の○尾山でお姉ちゃんはアリアお姉ちゃんにデュエルでコテンパンにされて、2週間の無賃労働と言葉で聞いただけでは意味が分からない授業をアリアお姉ちゃんから受けることになった。このワンピースの衣装はアリアお姉ちゃんのコスプレ衣装らしい。

 

本気でリーリエそっくり、一瞬『マジでお兄ちゃん?』って言ってしまった。アリアお姉ちゃんのコスプレ力ヤバすぎる。お姉ちゃんをチノちゃんに変えた実力は伊達じゃなかった。

 

因みにアリアお姉ちゃんが言っていた無賃労働、あれはお金を払わないわけじゃなくて、お姉ちゃんがモデルとして発生した賃金丸々がアリアお姉ちゃんの授業料として回るみたい。アリアお姉ちゃん、濡れ手に粟だ。

 

「ほらしっかりしなさい!手は横にするだけじゃなくてこうやってしなやかに振りなさい!!」

 

「意味分かんねぇよ!!普通に手を振っているじゃねぇか!!」

 

「優姫ちゃん!!言葉が悪いわよ!!そこは『ごめんなさい、意味が分からないです。教えてください』でしょ!!」

 

「うわあああああ!!!!!!」

 

「・・・・・お姉ちゃんって言葉遣い悪いからそんな綺麗な言葉言えないと思う」

 

「まぁ確かに、遊輝っちって言葉遣いとか全然気にしないタイプだもんね。それでいて年下相手には敬語を言えって言っているけど」

 

「・・・・それ、典型的な嫌なタイプの上司」

 

「確かに」

 

お姉ちゃんの仕事の様子をベランダでティーセットのカップとソーサラー、そしてお皿に洋菓子を並べたテーブル近くの椅子に座り、茜と一緒に話す。茜は軽音部のバンドの他にファッションモデルもやっている。寧ろ後者が本業、昔からファッションモデルをやっているというからこういうのはお手の物だ。実際問題、お姉ちゃんと同じ量を昨日やったらしいけど1時間半で終わらせたっと言っている。お姉ちゃんは3時間経ってまだ1/10だ。残業って言われても仕方ない。

 

「・・・・そう言えばここ最近軽音部練習している様子ないけど大丈夫?」

 

「この前のライブである程度一区切り付けたからね〜、レミっちには休んで欲しいって言うのがメンバーみんなの希望だったから。ここ2年はずっと走りっぱなしでレミっちなんか私たちの倍以上の仕事量をこなしていたからね」

 

「走りっぱなし?」

 

「最初のツアーの前のアカデミアのライブ・・・・私達が中等部2年の文化祭ライブの練習だから大体3ヶ月前・・・・2年間丸々、そこから私たちはずっと音楽漬けの生活をしてきたわ。みんな多分、一日足りとも楽器を触らなかった日はないくらいよ」

 

「・・・・・それは大変」

 

「そんな中で遊輝っちや奏っちは作詞をしていたから大変だったけど、レミっちはそれ以上だったからね〜。全部の曲の作曲から編曲、ライブのステージ構成やらセットリストやら会議やら、私が見ているだけでも結構な量の仕事があったわね〜。下手したら寝てないなんて時もあったんじゃないかな?」

 

「寝てないって・・・・・」

 

「そんな状態が2年続いて、ツアーが2回だからね〜、本人も休みたい休みたい言っていたし、2枚目のアルバムもほぼほぼ完成したからちょうど良いタイミングかな〜って」

 

紅茶を飲みながら茜は私に丁寧に教えてくれる。確かにそんな状態をずっと続けていたら何処かで休みたくなる。っというか休まないと体を壊してしまう。レミも普段ふざけたりしているけど、実はかなり大変だったんだ。

 

「まぁ今日は皆ここに来るみたいだけど」

 

「えっ?」

 

ピンポ〜ン

 

「あっ、来た来た。多分これよ」

 

家のチャイムが鳴ったので私は茜の言葉を聞きながらインターホンに向かう。カメラ越しには確かに軽音部と祈、恭輔といういつもどおりのメンバーがいた。

 

「桜ちゃ〜ん、ごめんね」

 

「今開ける」

 

扉越しで確認した私はそのままインターホン脇のボタンを押す。私がボタンを押したことで軽音部のメンバーが建物の内部へと入り、エスカレーターの中に入っていく。その後、私は玄関に小走りで行く。

 

ピンポ〜ン

 

「ん、開ける」

 

玄関の鍵を開けて扉を開ける。いつも通りに手を振るみんながいた。

 

「よっ、桜。急に悪いな」

 

「ごめんね。これ、私の店のカップケーキよ」

 

「ん、奏ありがとう。どうぞ」

 

奏からカップケーキが入った紙袋を受け取ってみんなを中に入れる。奏の店のカップケーキは美味しい、しかも小ぶりだから何個で「いやああああああ!!!!!」・・・・相変わらずお姉ちゃんの悲鳴がうるさい。

 

「な、何ですかこの悲鳴!?」

 

「・・・・・また師匠ですか」

 

「昨日アリアからL○IN来たわね〜。アリアに勝てるなんて思わない方が良いのに」

 

「あいつ下手に勝っているから勝てるって思うんだろ」

 

「っていうか3人で高○山にハイキングに行くなら私たちも誘ってよ!!」

 

「ん、誘ってもその後のバイキングには誘えなかった」

 

「ハイキング行った帰りにバイキングに行ったのですか・・・・普通疲れてそんな大量に食べられませんよ」

 

「何言ってる恭輔、体を動かしたあとだからご飯は美味しく進む」

 

「・・・・何となく店長辺りが泣きついた様子が目に浮かぶわ」

 

「・・・・それよりなんで来たの?」

 

「いや〜、なんかすみれさんに呼ばれてさ」

 

「茜のお母さんから?」

 

「そうそう、またモデルの仕事じゃないんかな〜」

 

「あの人、作るだけ作ってそれを溜めて私たちに仕事としてやらせるからな〜、良い加減新しい人雇えば良いのに」

 

「それ今日の朝、お姉ちゃんも言ってた」

 

みんなのたわいの無い話をしながらベランダに向かう。ちょうど休憩に入ったのか、お姉ちゃんは椅子に座って「優姫ちゃん!!そんな座り方したらダメでしょ!!」・・・・座り方一つにも注意されるお姉ちゃん、情けなさすぎる。

 

「すみれさ〜ん、来ましたよ」

 

「ようやく来たわね。なんで時間かかったの?」

 

「響が寝坊したから!」

 

「ちょっ!?スバル言わないで!!」

 

「じゃあ響のバイト代は減額ね」

 

「す、すみれさ〜〜ん!!!!」

 

「そ、それよりすみれさん。私たちを呼んだ理由ってなんですか?」

 

「あっ、そう言えばそうだ。ちょっと待ってて、資料とってくる。アリア、休憩入るわ」

 

「は〜い!じゃあ優姫ちゃん!!私の授業受けてもらうわよ!!」

 

「いやああああ!!!!!!」

 

「・・・・・・何してるのよ」

 

茜のお母さんは何かを思い出したようにベランダからリビングに戻り、アリアお姉ちゃんは椅子に座ったお姉ちゃんを捕まえてリビングに戻る。

 

「・・・・アリアお姉ちゃんはともかく何で茜のお母さんも私の家に慣れているの?」

 

「ア、アハハ・・・・なんだかんだここ溜まり場にさせてもらっているから・・・・」

 

「ごめんね〜、3人ともこの資料見てくれる」

 

茜のお母さんが資料らしきものを手に取ってそれをレミ、響、奏の3人に渡す。私は隣にいたレミの資料を覗くように見る。

 

「『関西コレクション 参加される企業様へ』これって・・・」

 

「関西コレクションって有名なファッションショーじゃない!?えっ!?すみれさん参加するの!?」

 

「参加するからその資料があるじゃない。ようやく個人事務所としての地位も築いてモデルの数もある程度雇えてきたからそろそろ参加しようと思ってね。まずは国内から、ゆくゆくは海外のファッションショーも個人事務所の名で参加する予定だから」

 

「へぇ〜・・・・・で、これを私達に渡した理由は?」

 

「何聞いてるのよ、貴方たちはモデルで参加してもらうのよ」

 

「デスヨネ〜」

 

茜のお母さんが澄まし顔で言い切り、奏は少し苦笑いで返答した。へぇ、関西地方でのファッションショーか。私この街しか知らないからな・・・

 

「あ、あの・・・・すみれさん、私は?」

 

「祈は勉強のために一緒に来てもらうわよ。アカデミアの春休みと同時期に一緒に会場まで行って視察とかしてもらうから」

 

「は、はい!!」

 

「スバル君と恭輔君はアルバイトスタッフとして雇いたいわ。大きなファッションショーとなるとそれなりに人手が必要だから」

 

「あ、あの〜・・・僕一応中学生「何言ってるの?私が前に所属していた事務所は中学生から働いている人はいたわよ。それに恭輔君はすでに働いているじゃない」・・・・・・」

 

「まぁ別に良いですけど何するんですか?俺たち二人、ファッションショーについてそんな詳しく知らないですよ」

 

「何、資料をまとめてもらう事とエスコートしてもらうだけだから。スバル君は多少機械系のことを頼むかもしれないけど」

 

「分かりましたっと・・・・っで、遊輝は?」

 

「優姫ちゃんはモデルに決まっているじゃない。私の事務所の稼ぎ頭なんだから」

 

「デスヨネ〜」

 

今度はスバルが苦笑いをする。お姉ちゃん、やっぱりそういう役目になるのか、それでさっきから歩く練習していたのか。何でモデルの仕事で歩く練習しているのかと不思議に思ったから。

 

「とりあえず貴方達も午後から練習ね。パリの時は突貫工事だったけど、今回はちゃんとレベルの高いところまで持っていくから」

 

「は、は〜い・・・・・」

 

「ね、寝かしてくれないわね・・・・」

 

「・・・・パリ?」

 

「桜さんは知らなくて当然です。4年前にレミさん達はパリでファッションショーに参加しました」

 

「・・・・・お姉ちゃんも?」

 

「アリアさんは参加してませんよ」

 

「違う、お姉ちゃん」

 

「・・・・あぁ、師匠ですか。その・・・・はい」

 

「やっぱり」

 

「桜!!全部聞こえているぞ!!やっぱり「優姫ちゃん!!妹に向かって何て言葉を使ってるのよ!!」いたただだだだ!!!!」

 

お姉ちゃんがこっちに振り向いて噛みつこうとしたけど、アリアお姉ちゃんがお姉ちゃんの耳を引っ張ってお姉ちゃんを捕まえる。

 

「ついでだからそのままリビングに戻るわよ!食事の作法を教えてあげるわ!!」

 

「いただだだだ!!!!!」

 

「・・・・まぁまずはあの聞き分けの悪い子をしっかりと矯正しないといけないけど。祈、あなたは新作のデザイン考えなさい」

 

「は、はい!」

 

「・・・・・あいつ何回もやっているのにまた怒られているのか」

 

資料をもらった3人がテーブルに置き、茜のお母さんはアリアお姉ちゃんが教育をしているお姉ちゃんの方を見る。それをスバルや恭輔は凄い哀れな目で見ている。

 

「・・・・・僕、お昼ご飯作って来ますね。この様子だと師匠、また昼ごはん作れなさそうですし」

 

「あら、助かるわ。出前の費用が抑えられるわ」

 

「私も手伝う」

 

恭輔はベランダからリビングに戻り、キッチンに向かう。恭輔一人だとあれだから私も手伝いに行く。正直、お姉ちゃんの頭の悪い所はもう見飽きた。

 

「さて、何作りましょうか」

 

「何でもいい。食べることさえできれば」

 

「・・・・・少しは食べること以外のこと覚えてください。冷蔵庫は・・・・これだったらシンプルに焼きそばを作りましょう。桜さん、野菜切ってください」

 

「ん」

 

恭輔が冷蔵庫の野菜室からキャベツとにんじん、玉ねぎを出したので私はまな板と包丁を収納スペースから取り出して水洗いを始める。お姉ちゃんの影響で少しは料理することが出来た。ただ、お姉ちゃんの家事炊事のスペックが高すぎる。

 

「優姫ちゃん!お嬢様はね、そんな早くに紅茶を飲み終わらないのよ!ティータイムのマナーなってないわ!!やり直し!!」

 

「もう飲みたくねぇよ!!腹の中チャポ「その言葉使いもダメ!!こうなったら最終手段よ!!こっち来なさい!!」グヘッ!!!」

 

アリアお姉ちゃんはお姉ちゃんの服の首元を掴み、ズタズタとリビングを後にする。お姉ちゃんが何か言っているがそのまま引きずられていく。

 

「・・・・・アリアさんも大概言葉使い悪い方ですけど」

 

「恭輔、それアリアお姉ちゃんに言ったら殺される」

 

「分かってますよ、そんな師匠みたいなヘマ僕はしませんよ」

 

「恭輔、毒吐きすぎ」

 

弟子に完全に舐められているお姉ちゃん、しかしあの態度じゃ舐められても仕方あるまい。すべて自業自得だ。

 

 

〜〜(数十分後)〜〜

 

 

「みなさ〜ん、お昼ご飯できましたよ」

 

「待ってました!!」

 

恭輔の声を聞いて響が一番乗りでリビングに戻ってきた。その後に続いてみんなゾロゾロとやってくる。

焼きそばと恭輔はその付け合わせで余っていた野菜たちをオイスターソースで炒めた。ご飯も大量に炊いたので存分に食べることができる。

 

「あれ?アリアさんたちは?」

 

「お待たせ〜!!」

 

リビングから出て行ってまだ戻ってきてないアリアお姉ちゃん達がいないので恭輔はキョロキョロと見渡す。それと同時にアリアお姉ちゃんが戻ってきた、お姉ちゃんを右手に繋いで。そのお姉ちゃんは何故か伊達眼鏡を掛けていた。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「師匠、何してるんですか?早くご飯食べましょう?」

 

「・・・・はい、恭輔さん」

 

「!?!?(ガタッ!?)」」

 

余りにも、そう余りにも強烈な衝撃に恭輔は飛び上がった。いや、恭輔だけじゃない、私も飛び上がってしまった。

 

「お、おおお・・・・お姉ちゃん?」

 

「どうしたのですか桜お姉ちゃん?」

 

「!?!?お、おおおお・・・・お姉ちゃん」

 

今度はお姉ちゃんが私に言った一言の衝撃が大き過ぎた。一瞬立ち眩みを起こしてしまった。

 

「さあ優姫ちゃん、これからみんなでご飯を食べましょう」

 

「はい、アリアお姉ちゃん。皆さんも一緒に食べましょう」

 

いつもオラオラとしていた男っぽい性格やオーラは全く無くなり、そこにいたのは本当に清楚なお嬢様だった。声のトーンも一つか二つ高い。替わったのは言葉使い使いだけじゃない。椅子に座る時もお淑やかにスカートの裾を整えて、座る。そしてお箸を持って焼きそばの麺を一つ取り、上品に食べる。そして恭輔に向かってニッコリと微笑む。

 

「とても美味しゅうございます」

 

「良かったね恭輔!師匠から褒められたよ!」

 

「は、はわわわわわ・・・・あわわわわ・・・・」

 

「きょ、恭輔さん!?しっかり!!しっかりしてください!!」

 

相変わらず恭輔は口をパクパクと動かしているだったが、お姉ちゃんからの一言で頭から白い煙が出て、倒れてしまった。それを見た祈が慌てて恭輔のところに駆け込む。それくらい、あまりにも強い衝撃が私たちの目の前で起こっている。

 

「ア、アリア・・・・・貴方何したの?」

 

みんな固まったままだったが、ついにレミが一言喋った。

 

「ふふ〜ん!!レミから貰ったあの伊達眼鏡を使ってちょ〜〜〜っと教育をしたらこの通りよ!ついでに私と桜ちゃんをお姉ちゃんと呼ぶようにしたのよ!」

 

「・・・・あっ、あの伊達眼鏡か」

 

薄い胸を突きつけてドヤ顔を決めるアリアお姉ちゃん、その横でお姉ちゃんが上品な箸使いで野菜炒めを食べる。いつもならご飯と一緒に掻き込んで食べるお姉ちゃんの姿が何一つ見えない。

 

「・・・・ま、負けた・・・遂に完膚なきまでに・・・・」

 

「ゆ、遊輝にこんなマナーを付けられたら私はどうすれば・・・」

 

「わ、私、モデルだよ?本業だよ?全部取られた気分・・・・」

 

後ろで響、奏、茜の3人は膝から崩れ落ち、すごい哀愁を漂わせている。いや・・・・こんなのが男なんて言われたら世の中の女性全員が自信をなくす。家事・炊事も完璧、テーブルマナーの身のこなしから何から何まで完璧・・・・それが男なんて・・・・

 

「どうしたのですか桜お姉ちゃん?早く一緒に食べましょう」

 

「(お、お姉ちゃん・・・・・・良い)」

 

お姉ちゃんから言われる『お姉ちゃん』という言葉が凄い心に響く。妹を持つってこんなにも素晴らしいものか。これはアリアお姉ちゃんの気持ちが凄くわかる。守りたい、この笑顔。

 

 

 桜  side out

   

 No side

 

 

とある一室、大きなビジネステーブルを挟んで椅子に座っている男性と立っている女性がいる。女性・・・・・ドゥは書類は持って男性と書類の内容を淡々と話す。

 

「・・・・以上が今のDMWの現状です。感情を持ち出した事で例の計画にも影響が出るでしょう」

 

「そうか。なら一刻も早く回収する必要があるな」

 

「しかし、DMWを守るシークレットシグナーやアリアという女性はかなりの実力者です。正直言って私では勝てないのが現実です、下手したら貴方も負けるでしょう」

 

「ふむ・・・・なら手段は選ばずだな」

 

「はっ」

 

「しかし・・・・そうか、そんなに実力があるのか」

 

「えっ?」

 

「今までは敵対していたが・・・・・そこまで実力があるなら使えそうじゃないか・・・・・・第2、第3のDMWとして」

 

ドゥの間抜けな返事に男性はニヤリと笑って返事する。彼の手元にあるチェスボード、その王と女王の駒には遊輝とアリアの写真が張られている。

 

「今まではチェスのように敵を倒すことしか頭に入ってなかったが、ここは将棋のように相手の駒をこちらの戦力として迎え入れることも考えようではないか」




遊輝「桜お姉ちゃん」

桜「・・・・・良い、凄くいい」

アリア「ふふ〜ん!私にかかればざっとこんなもんよ!」

レミ「一種の洗脳ね・・・・恐ろしいわ」

スバル「ってかあいつ、あの伊達眼鏡掛けたら執事になるんだろ?」

アリア「そこもちゃ〜んと教育したわ!着ることはないと思うけど、男物の服を着ると執事属性に変わるわ!」

スバル「・・・・・本当に人形じゃねぇか」

遊輝「桜お姉ちゃん」

桜「・・・・・・・・・」

レミ「桜ちゃん!?天に招されちゃダメだよ!!」

アリア「次回、『冬景色』。次回もよろしくね!」

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