遊戯王 振り子使いの少年と連鎖使いの少女   作:DICHI

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遅くなりましたが、新年一発目の投稿です。

バイト漬けの年末年始でした。目標の風邪を引かないは達成しましたが、脳みそのイカれかけてます。
忘れ物が多い・・・・・

(*・・・今回は展開の都合のため、後書きは休ませてもらいます)
(*・・・地味にアンケート設置しました。1月31日までの予定です。)


第48話 冬景色

遊輝  side

 

 

「綺麗なイルミネーションね」

 

「もうクリスマス一色だな。クリスマス終わってすぐに年越しか」

 

「・・・・クリスマス?」

 

「えっとクリスマスクリスマス・・・・イエス・キリストの生誕祭で24日の夜から25日の日没まで祝うんだって」

 

「さすがwi○i、有志の情報は響よりも賢い」

 

「ちょっと奏!?」

 

紅葉の季節から巡り12月も中旬、今日も部活の練習が終わり街に繰り出している。今日は軽音部とレミの仕事場からライブスタッフの親しい関係者と忘年会をすることになっている。街はイルミネーションで色鮮やかに照らされている。

 

・・・・因みにここ2週間の記憶が全くない。高○山で負けた次の日にすみれさんにファッションショーの特訓して、アリアに部屋に連れ込まれたところまでは覚えているけど、その後の記憶が全くない。桜は「・・・・お姉ちゃん」とか言って気色悪い顔をするからアテにならん。

 

「去年はお鍋で今年は焼肉か〜豪勢になったわね〜」

 

「今年の景品はどうなるかな〜」

 

「それより俺は桜のことで頭一杯だよ・・・・」

 

「アァ・・・・確かに」

 

「?私?」

 

「お前馬鹿みたいに食うだろ」

「馬鹿は失礼、私は満足するまで食べている」

 

「そこを馬鹿だと言ってるんだよ」

 

俺たち軽音部の忘年会には桜も出席する。本来なら関係者じゃないからあれなんだけど、アリア達も忘年会で桜は参加出来ない。そうなると桜一人にさせてしまうので、結局こっちの忘年会に参加することになった。

 

「頼むから馬鹿みたいに食わないでくれよ。ちゃんと節度を持って食べてくれ」

 

「私は満足するまで食べる」

 

「・・・・・今更だけど焼肉バイキングとかに変えてくれないかな」

 

「ア、アハハハ・・・・・・(汗)」

 

「まぁ良いじゃん。ちゃんと凄い食べる人がいるから30万は見といてくださいって伝えているし」

 

「30万でも怪しいぞ」

 

「着いた〜!!」

 

響の声が響き渡る。俺たちの目の前には高級焼肉チェーン店、学校の制服7人組来るような場所ではないので明らかに浮いている。周りからは少し見られるが、そんなことお構いなしにお店の中に入る。

 

「いらっしゃいませ」

 

「えっと、スタジオミュージックの者です」

 

「はい、スタジオミュージック様のお部屋は3階でございます。エレベーターでどうぞ」

 

入り口のスタッフがパソコンで確認した後、左横のエレベーターが開く。7人全員が乗り込んでそのままエレベーターが動き、3階に着く。

 

「小林さ〜ん、お待たせ〜」

 

「おぉ、来たね〜。10分前だよ」

 

「抽選会のグッズ持ってきたりとか準備しないといけないんでね。ちょっと時間かかりました」

 

「お久しぶりで〜す」

 

「根岸さん!出産おめでとうございます!」

 

「勝田さん、今年も一年ありがとうございました」

 

「おお〜スバル君!こっちこそ悪かったな!今年のツアーの機材チェック任せる形になってしまって」

 

3階は宴会場になっていて、エレベーター降りてすぐに簡易の受付スペースがある。そこにメンバー全員で受付係をやっている小林さんに挨拶した後は先に来ているスタッフたちに挨拶する。

 

「遠藤君〜、今年も一年お疲れ様〜」

 

「お疲れ様です。篠山さん」

 

「おっ、それが噂の妹か。色々と振り回されているって聞いているよ」

 

「・・・・・お兄ちゃん」

 

「周りが勝手に言いふらしているだけだ・・・」

 

「レミからギャ○曽根並に食べるって言っていたから。今日は遠慮なく食べていいよ。何たってお兄さんが会計持ちだから」

 

「ちょっと!?」

 

「冗談冗談、今年も会社の利益は過去最高になったからな。一番貢献してくれたみんなに恩返しで忘年会をやっているから、さすがに3桁行ったら少しストップかけるけど」

 

「肝冷やすこと言わないでくださいよ・・・・」

 

20人近くの宴会に+桜の食費なんか掛けてられるかよ・・・・ただでさえ節約に心掛けているのに。

 

「お〜い遊輝!早くくじ引き引けよ!」

 

「桜ちゃんも!」

 

篠山さんに悪い冗談を言われてヒヤリとしたが、何とかまぁ、なった。そんな事思っていたらスバルと響から催促がかかる。俺と桜は受付に戻り、くじを引く。

 

「えっと・・・・8番か」

 

「私4番」

 

「おっ、二人とも近いところに入ったね。じゃあそこで待っといてくれる?」

 

「分かりました」

 

くじ引きで引いた番号を確認して自分たちの席を目指す。テーブルにはすでに前菜のサラダやナムル類、4人前程度のお肉が並んでいる。

 

「えっと・・・・・あった、ここだな」

 

「私はこっち」

 

「向かいか・・・・頼むからあんまり食べるなよ」

 

「無理な話」

 

はぁ・・・こいつの頭は本当に食べることしかないのか。

 

「みなさ〜ん!全員揃いましたので乾杯の飲み物頼みましょう!瓶ビール何本ですか!?」

 

「私たちウーロン茶で」

 

「私はレモンチューハイ!」

 

「お前未成年だろ!」

 

「はいは〜い、軽音部のテーブルは烏龍茶ピッチャーね」

 

小林さんが全員分の乾杯ドリンクをメモして店員さんに渡す。1分くらいで最初の瓶ビールと烏龍茶のピッチャーがやって来て、各々のテーブルに置かれていく。

 

「それじゃみんな注いで注いで!」

 

「はいは〜い」

 

「ほれ桜、お茶注ぐぞ」

 

「ん」

 

ビールを飲む人は瓶ビールの栓を開けて、烏龍茶組の俺らはピッチャーからコップに注ぐ。全員分注いだのを確認してレミが立ち上がる。

 

「えぇ、皆さん。今年も一年お疲れ様でした」

 

「お疲れ様でした!」

 

「今年も無事にツアー完走できました!さらに今年はデビューアルバムも発売してとりあえず最低限の目標は売れたので一安心です」

 

「最低限の目標どころか夢物語と言われた20万枚売れたじゃないですか」

 

「それは置いといて・・・・・2ndアルバムもほぼ完成したので、今日は皆さん、今年の思い出に花を咲かせましょう!乾杯!」

 

「「「「かんぱ〜い!!!!」」」」

 

「お疲れ様でした!!」

 

「じゃあ頼むぞ!まずは・・・・」

 

「カルビ10人前、ハラミ10人前、ロース10人前、ビビンバとわかめスープ、とりあえず前菜でそれだけ」

 

「は、はい!?」

 

「・・・・・前菜で頼む量じゃねぇっつの」

 

乾杯の音頭が終わり肉を焼く物からいきなり追加メニューを言う奴も様々、目の前にいる義妹は隠し持っていたメニュー表を手に取り店員さんにえげつない量を注文する。

 

「何言ってる、こんなの全然足りない。もっと食べたい」

 

「うるせえ、それだけで3万近く飛んで行ってるんだよ。もっと物の価値を知れ」

 

「食べて美味しかった物は価値がある。安かっても高くても」

 

「ハハハハ、それは言えてるな」

 

「笑い事じゃないですよ小林さん・・・・」

 

「ほれ!バンバン肉焼いていくからどんどん食べていこうか!」

 

同席の小林さんが大皿に乗っている肉を網に乗せて焼いていく。小林さん、独り身だって言っていたから子供を持っている感覚なのかね。

 

「・・・・・・・・」

 

「こら桜、箸で肉を突くな。行儀悪い」

 

「・・・・この肉は私の」

 

「んなこと言ってねぇでサラダとか食えよ・・・せっかく来ているんだから」

 

「・・・・・・・・・ん」

 

肉ばっかり突いていた桜は丁度いい感じで焼けた頃合いを狙って一枚取る。そのままタレにつけて、ご飯にバウンドさせて食べる。その勢いのまま、ご飯をかきこむ。

 

「・・・・おかわり」

 

「早えぇよ!?肉1枚でご飯1杯!?」

 

「今日はバイキング、たくさん食べる」

 

「バイキングじゃねぇよ!!高級焼肉だよ!!」

 

「・・・・もらい」

 

「人の話を聞けええぇ!!!!」

 

「ハハハ、遊輝君もカッカせずに食べよう。こんな店滅多に来ないんだからたくさん食べよう」

 

小林さんが桜の味方されたらどうしようにも出来ないんですけど・・・・・

結局桜はそのまま食べに食べまくる。周りのスタッフも俺が散々言ってきて、且つお酒も入っているのでどんどん行け行け状態だ。

 

「はいじゃあ皆注目!!これからお待ちかねの抽選会やるよ!!」

 

しばらく時間が経って皆とたわいもない話をしていると、マイクを持った響が部屋の入り口付近に立っている。

 

「じゃあまずは会社社長から現金3万円!ここから行くわよ!番号は・・・・6番!」

 

「っしゃあああ!!!」

 

「おっと、音響Dの高梨さんがガッツポーズ」

 

「社長ありがとうございます!!」

 

「じゃあ次!!レミから!!Boseのヘッドホン!!これ私が欲しい!!ライブで使うから!!」

 

「おい、司会者が欲出したらダメだろ」

 

「関係ないね!私が引き当てるんだから!!・・・・・・8番!!」

 

「あっ、俺だ」

 

「何で!?ギタリストヘッドホン使わないじゃん!!」

 

「司会者が文句言い出したぞ〜」

 

響が引き当てた番号を聞いて立ち上がり、ヘッドホンを受け取る。ヘッドホンか〜、良いブランドなんだけど俺イヤフォン派だからな〜。ライブもイヤフォンじゃないとダメだし。

 

「まぁいいか」

 

「遊輝!!それちょうだい!!」

 

「何で司会者にやらないと行けないんだよ。自分で買え」

 

「ぶうぅ!!!じゃあ次!!ケチな遊輝から!!・・・・・何これ?」

 

「それ、魚介セット。高級魚とか詰め込んで2万円相当」

 

「おお!!それ良いな」

 

「嫁さんへのクリスマスプレゼントになる!遊輝君ありがとう!」

 

「なんか皆当てた気でいるけどまだ決まってないわよ!んしょ・・・・4番!!」

 

「・・・私」

 

「桜かよ」

 

俺が景品で出した魚セットは桜が引き当てた。つまり、実質俺の手元に戻ってきたも同然、桜が取りに行くがすごい重そうな表情する。

 

「・・・・重すぎ」

 

「そりゃ詰め込んで貰ったんだから。市場のおっちゃんに頼み込んだんだから」

 

「去年の詰め合わせも良かったから今年も狙っていたのに・・・・・」

 

「じゃあ次!!奏からはこれ!!SO○Yのウォークマン!!行くよ!!・・・・・・」

 

 

〜〜(数時間後)〜〜

 

 

 

「満足満足」

 

「よく事足りたよ・・・・3桁行かなくて良かったわ」

 

帰り道・・・・イルミネーションが点灯して綺麗な街路樹を歩いていく。皆とは別れ、帰路に着く。桜の当てた魚の詰め合わせは俺が持って帰る。

 

「とりあえず家に帰って風呂入るか」

 

「ん・・・・・・お兄ちゃん、来た」

 

「!?」

 

桜の言葉を聞いて俺はすぐに警戒心を放ち、桜を守るように囲う。

 

「(・・・・桜)」

 

「(・・・・分からない、だけど何処かに)」

 

「(・・・生命反応が反応しねぇ、ゾンビか)」

 

 バン!!!!!!!

 

「!?!?」

 

「!?お、お兄ちゃん!?」

 

「ガ・・・・ア・・・・」

 

突如聞こえた小さな爆発音、その音が鳴った直後、右足に鈍器で殴られたような痛みが駆け巡り、膝が折れる。右足は太ももから赤い血が大量に出血していた。反射的に俺は両手を使い、シグナーの能力を発動する。

 

「ガ・・・・グ・・・・」

 

「お兄ちゃん!!!お兄ちゃん!!!」

 

「無駄よ、利き足の太ももの筋肉を撃ち抜いたんだからしばらくは動けないわよ。例えシークレットシグナーの能力で回復しようとしても3日はかかるはずだわ」

 

音が鳴った方向、その方向に身体を鞭打って向ける。そこには銃を持ったドゥがいた。

 

「ガ・・・・グッ!!!こ、このやろう・・・・・」

 

「銃を撃ったのに意識がある辺り、そんじょそこらの奴と違うわね。シークレットシグナーさん」

 

「グッ・・・ウッ・・・・」

 

「だけど無駄ね」

バン!!!!

 

「!?!?!?ガホッ・・・・」

 

「お、お兄ちゃん!!!!」

 

右足の回復に意識を集中し過ぎたせいで、相手が銃を構えているのが見えていなかった。すぐに相手が銃を打ち直し、今度は左足が撃たれてしまう。

 

「アッ・・・・アッ・・・・」

 

「お兄ちゃん!!お兄ちゃん!!!」

 

「・・・・ろ、逃げろ」

 

「!?そ、そんな・・・・」

 

「に、逃げろ・・・桜・・・!!!!!逃げろ!!!!!!!!」

 

「良いの?今度は内っ腹撃つわよ」

 

涙目の桜が俺の顔を見るが、俺は力を振り絞り鬼の形相をする。相手は弾を入れ直して、俺に照準を合わせる。

 

「さあこっち来てくれるかしら?そうすればお兄ちゃんは助けてあげる」

 

「あっ・・・・うっ・・・・・」

 

「逃げろ桜ああああああ!!!!!!兄の言うこと聞けええええええええ!!!!!」

 

「!!!う、うん・・・・・・」

 

ありったけの力を込めて、俺は叫んだ。桜は俺の叫びを聞いてドゥとは反対方向に全速力で走り出した。

 

「良いの?撃つわよ」

 

「桜ああああああ!!!!!絶対に振り向くな!!!逃げろおおおお!!!」

 

・・・・ピーポーピーポー

 

「チッ、セキュリティがもう来たわ。叫んで合図にした訳ね」

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・・」

 

やべぇ・・・・もう意識が・・・・

 

「仕方ないわね。まぁ貴方も手に入れろとお察しが来たし、貴方だけでも連れて帰るわ」

 

ドゥの不敵な笑みを最後に俺は意識を手放した。


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