遊戯王 振り子使いの少年と連鎖使いの少女   作:DICHI

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新型コロナヤバイですね・・・
皆さん大丈夫ですか?作者は寒暖差アレルギーで鼻詰まりがヤバすぎです。


第53話 逃走

遊輝  side

 

 

「(できる限り遠く・・・そして正確な場所を・・・)」

 

『この先を左です。そして突き当たりまで行ってください』

 

「(サンキュー)」

 

作業員姿になって病室を抜け出した俺は非常階段を使って下に降りた後、地下街の電気室やら倉庫やらを移動している。

 

『突き当たりの角を右、そこから非常口です。そこからは森となっています。まっすぐ行けば小さな港に着きます。そこで小さなボートがあります』

 

「(ボートね、了解)」

 

ダイヤからかけられる言葉に俺は必要な言葉だけを確認して返事する。ボートがあるならこの島からの脱出も楽だ。最初ダイヤからここが島って言われた時、どうしようかと本気で悩んだがプラチナが上手いことしてくれたみたいだ。そんな事を思っていたから目的地となる非常口が目に入る。

 

「(さて・・・この非常口だけど、反応は中か)」

 

『主、主が脱走したことが島全体に知れ渡りました。ここから先はさらに警備が厳しくなります』

 

ダイヤと反対側に精霊状態の銀河眼の光子竜、プラチナが現れて、状況を説明してくれた。脱出計画始まってまだ5分も経ってないがもうバレちまったか。ドゥ辺りが帰ってきたのか?

 

「(サンキュープラチナ、さて、大人しくしてくれたら良いんだが)」

 

『難しいでしょう。今の主の姿でもこの森にいること自体が怪しい人物ですから』

 

「(となると強行突破も視野に入れないとな・・・・)」

 

『いざと言う時は力を貸します』

 

「(助かるぜ。さて、どこまでバレずに進めるか・・・・・)」

 

プラチナの言葉が背中を押してくれる。意を決して俺は非常口の扉に手をかけてゆっくりと開ける。冬なのでもう日が暮れて辺りは一面真っ暗だ。こんな状態で森の中を進むのは危険だが、ここで足を止めると捕まってしまう。

 

「(・・・・・今は近くにいない。とりあえず進もう)」

 

生命反応がない事を頼りに俺は非常口から出て、森の中に身を隠す。そのまま前に進み港を目指す。

 

「(何もなければ良いんだが・・・・)」

 

『マスター、捜索部隊5人ほどが森の中を捜索し始めました』

 

「(う〜ん・・・・少し多いな。何とか見つからないといいが・・・)」

 

森の中をゆっくりと進む。足の調子はまだ大丈夫だが、あんまり追いかけっこはしなくない。

 

「(見つからないよう慎重に・・・・)」

 

「探せ!何としてでも見つけ出せ!社長からの命令だ!」

 

「(ッチ、近くにいたか。運が悪い。反応は・・・・2つか)」

 

近くで声が聞こえたので俺はより一層声を潜め、草原から様子を見る。周りが暗くて見えないが俺の生命反応で2つ反応した。ダイヤの言う通りならの残り3人がまだ森の中にいる。

 

「(まだ遠いしこっちに気付いてない。ゆっくりと行くか)」

 

「ちくしょう・・・・どこに逃げやがった」

 

「おい、本当に両足歩けないのか?歩けないならこんな所にいるはずねぇだろ?」

 

「あいつには車椅子がある。そいつで移動可能だ」

 

「それだったら尚更おかしいじゃねぇのか?車椅子ならエレベーターを使わないといけないだろ?何でエレベーターの防犯カメラに映ってないんだ?」

 

「・・・・・確かに、まさかもう足が治った?」

 

「だったら余計に不味いですね・・・・我々の機密情報を知っていますから」

 

機密情報もクソもオメェらのやってきた悪事はセキュリティにも薄々と知れ渡っているちゅうの。悪さしていると自覚しているならさっさと自主しろや。

 

「ああ、お前はあっちを探せ!俺はこっちを探す!」

 

「分かった!」

 

そう言って手下二人が何処かに散らばっていった。ふむ・・・散らばってくれるのはありがたい。一人襲って服を奪う手もあるが、足の状態的に無理しない方が良いだろう。

 

「(さて・・・・ダイヤ、港まであとどのくらいだ?)」

 

『(500mぐらいです)』

 

『(今のところ、港付近に人の姿は見当たらないですが、いずれ人が集まるでしょう)』

 

「(サンキュープラチナ。じゃあ少し急ぎ目に行くか)」

 

ダイヤとプラチナの話を聞き、急ぎ目に森の中を進む。幸いにも向こうはまだこっちを気付いていない。少し早めても大丈夫だ。

 

「(とにかく早く脱出しよう。そして桜の無事を確認しないと・・・・ん?)」

 

ゆっくりと前を進んでいたら変なものが目に入った。一瞬人と思ったが、動きが直角でおかしい。だが生命反応はある。

 

「(・・・・なんだあれは?ロボットか?にしては生命反応がある)」

 

『主、ロボットにしてはやけに人にそっくりな体型ですよ。生命反応があるならなおさら人では?』

 

「(しかし動きがおかしいぞ。人間、あんな動きしねぇぞ?)」

 

『・・・・・覇気がないですね。まるで誰かに操られている感じです』

 

「(・・・・・嫌な予感がするが今は構ってられねぇ。とりあえずあいつも敵として避ける事に専念しよう)」

 

何となくあの社長の言葉が頭の中で引っ掛かったがそんなに時間があるわけではない。今は脱出することに専念しよう。

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

「(気色悪いな・・・・・早いところ向こうに行ってくれ)」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「(・・・・・・よし)」

 

謎の人型ロボットが通り過ぎて行き、また前に進む。ああいうのが監視に回っているとなると早くには進みそうにないな、やっぱり慎重にゆっくりと行くべきか。

 

「(・・・・・後ろは)」

 

『(大丈夫です。私たちが見ています)』

 

『(警戒すべきポイントまで後2mです。そこを過ぎれば一気に行けます)』

 

「(OK)」

 

ダイヤとプラチナの言葉を背に、俺は港を目指す。ゆっくりと低い姿勢で前へ進む。もうすぐ危険地帯か・・・・

 

「(・・・・確かに反応が多いな。これは一苦労しそうだ)」

 

『シグナーの能力は・・・無理ですね。これだけ木々に追われていたら火事を起こしてしまいます』

 

「(そうだな。さてと・・・・少し遠回りで様子見ながら行くか)」

 

生命反応が大量に反応した。これは骨が折れそうだ。とりあえず危険地帯を覗き込む。ライフル銃みたいな物をもった兵隊のような格好をした奴らがうじゃうしゃといる。

 

「(いつもなら相手にしているんだが今回はちと無理があるな。増援なんて呼ばれたらスタミナ切れだし)」

 

『(マスター、左側のルートが空いています)』

 

「(じゃあそのルートで行こうか)」

 

ダイヤに言われ、左側へ進む。バレないように草陰に頭を隠し、時々あいつらを見ながら進む。

 

「(・・・・・・・・・・)」

 

「隊長!こちらは見つかりませんでした!」

 

「チッ・・・どこに逃げやがった」

 

「(・・・・何もないで)」

 

カサッ

 

「ん?なんかそっちの方で音がなったぞ?」

 

「(!?ヤバっ!?)」

 

「音・・・ですか?」

 

慎重に進んでいたが、草腹を踏んでその際に踏む音を鳴らしてしまった。一瞬、身体に鳥肌が立つがすぐに姿勢を低くして身の影に隠れる。

 

「(頼む・・・・来るな!!)」

 

「・・・・気のせいじゃないか?今日は少し風が強いですし」

 

「そうか・・・・悪かった。お前らはあっちの方を捜索頼む。B隊はモーメーションエリアだ」

 

「「「「はっ!!!」」」」

 

隊長らしき奴の命令ですぐに兵隊の姿をした奴らは散らばっていく。やがて兵隊たちが完全にいなくなり、生命反応がなくなったところでホッと息を下ろす。

 

「(た、助かった・・・・)」

 

『一時はどうなるかと・・・』

 

『マスター、今のうちに』

 

「(わ、分かってる)」

 

ダイヤに急かされて俺は少し急ぎ目でこの場所を後にする。何とか危険地帯を抜け出すことができた。このまま何事もなく港付近まで近づくことができた。

 

「(ふ、ふぅ・・・どうなるかと思ったが何とか港には来れたな)」

 

『主、精鋭部隊達が数人ですが潜んでいます。主のルートを悟られたようです』

 

港付近の草陰に身を潜めていたところでプラチナから最悪な情報が脳内に響き渡る。露骨に嫌な顔をして隣にいるダイヤに顔を向ける。

 

「(こんな時にそんな報告聞きたくねぇよ・・・ダイヤ、他は?)」

 

『(ヘリコプターが止まる飛行場がありますが、現在はヘリコプターはいません。港はここ一ヶ所だけです』

 

「(つまりいずれここに辿り着くだろうと予測したのか・・・かと言って他は断崖絶壁に近いしな・・・)」

 

『主、さらに最悪なニュースです。一台のヘリコプターがこちらに向かっているようです。どうやら連絡を受けたトップが止まらずに帰ってきたようです』

 

「(まずいなぁ・・・・今度捕まったら脳内に訳分からんチップ埋められて操り人形になっちまう)」

 

『しかしここにいるのも時間の問題ですよ。現に人が増えていってます』

 

「(んなもん見てもわかるし、生命反応がビンビンと立っているんだよ)」

 

港には物騒な姿をした兵隊の方、色んな人々が車からやってきて俺のことを捜索している。手には機関銃やら銃やら物騒な物しか持っていない。

 

「(こんな状態であの頭いかれている社長が帰ってきたら勝ち目ないしな・・・・こんな足の状態で強行手段を取らざるを得ないのか・・・)」

 

『我々も力を貸します』

 

『一緒にこの地から脱出しましょう』

 

「(・・・・・やるっきゃねぇか)」

 

覚悟を決めた俺は背中から2本の竹刀を取り出し、左手に作った太陽を竹刀に当てる。当然、竹刀は赤く燃え上がる、が、この竹刀はとある世界で作られた燃えない特注の竹刀。強度も抜群でそこら辺の竹刀と比べられたら困る。

 

「(さあ・・・・盛大な花火を咲かせようぜ!!)サン・フレア!!」

 

俺は右手で巨大な太陽を作り、それを港に向けて投げる。高速で移動した太陽は港付近の奴らを巻き込んで爆発、辺り一面が燃え上がる。

 

「な、何だ!?何があった!?」

 

「緊急事態だ!!火事「うおらああ!!!!」うがあ!!!!」

ドスッ!!!

 

港にいる奴らがパニックを引き起こしたところで草陰から飛び出して近くにいる奴を殴り飛ばす。

 

「なっ!て、てめぇ!!「そうりゃ!!!」グホッ!!」

 

「いたぞ!!脱走者が見つかった!!」

 

「悪いがお前ら相手にしている暇は無いんだよ!!さっさとボートの所に行かせてもらう!!」

 

「グホッ!!」

 

「ガハッ!!」

 

俺のことを見つけ近づいてくる奴らを燃えている竹刀で返り討ちにして海に落とす。

 

「くそっ!こっちガハッ!!」

 

「!?ど、どうしグホッ!!」

 

『フン!!』

 

『全く、下品な人たちです』

 

遠くから俺を攻撃、狙い撃ちしようとする奴らはもれなく精霊状態になっているダイヤとプラチナからブローやら魔法攻撃を受ける。向こうからしたら見えない敵から攻撃されている。さらにパニックを引き起こす。

 

「止まれ!!止まらないと撃つぞ!!」

 

「撃てるもんなら撃ってみろや!!!」

 

「このっ・・・!!!!」

 

機関銃を構えた兵士が俺に照準を合わせる。だが俺はそんな事を気にしていられない。目の前にやってくる敵をなぎ倒し、前に進むしか道がない。

 

「くらいやがれ!!」

 

「あめぇんだよ!!!」

 

相手が銃を乱射始めたところで目の前にバリアを貼る。銃の玉はそのまま壁に当たり燃え尽きていく。バリアを貼ったまま、俺は機関銃をぶっ放している奴まで走る。

 

「く、来るな!!来るな来るな来るな!!!!」

 

「喧嘩を売ってきたのはそっちだろうが・・・・目には目を、歯には歯を!!」

 

「ぐおばああ!!!!」

 

右手の竹刀を左手に持ち、そのまま右ストレートで相手の頬をぶん殴る。モロに受けた相手は口の中から血を出して倒れる。

 

「動くな!!」

 

「だから動くなって言われて止まる馬鹿がいるか!!サン・フレア!!」

 

今度は反転して後ろに右手で作った太陽を投げつける。さらに俺の上にいるダイヤとプラチナも魔法攻撃をして後ろの奴らをなぎ倒していく。

 

「ハァ・・・ハァ・・・運動不足には堪えるな」

 

『マスター、早く動きましょう。どんどんと人が来ています」

 

「んなもん分かってらぁ。行くぞ!」

 

「待て!!」

 

 バン!!!ガギン!!!

 

「二度も同じ手が通用すると思うなよ!!」

 

後ろから銃声が聞こえてきたが、その前にバリアを貼ったので銃弾は弾かれる。

 

「(しかし人が多すぎる・・・いつ足が悲鳴を上げるか分からなくなってきたな・・・)」

 

「足だ!!そいつの足はまだ完治していない!!足を狙え!!」

 

「そんな大声を出して狙われてたまるか!!」

 

敵の将みたいな奴が大声を出す。一斉に銃を持つ奴らが俺の足に照準を合わせるのが目に見えた。あんな大声を出されて対策しないはずもなく。全方向にバリアを貼る。

 

「ぐっ!!このやろう!!」

 

「化け物め・・・!!」

 

「前を退いてもらおうか!!俺はここから出るぞ!!」

 

「そういう訳には行かないんだよ!!」

 

バーーン!!!

 

「!?ぐっ!?」

 

「チッ!!」

 

「あっぶねぇことしやがる・・・・」

 

敵の後ろからランチャーみたいなものを構えた奴が一瞬だけ見えて、そいつが上空めがけて放つ。上空で網が広がり、間一髪で避ける。その際、一瞬右足がグネった感覚を覚える。

 

「(ハァ・・・ハァ・・・・足は・・・大丈夫か?)」

 

敵が態勢を整える前に右足を僅かに動かせる。痛み自体は走らない。だが・・・・

 

「(・・・・足の感覚がおかしくなってきている。そろそろタイムリミットが近いってことか)」

 

右足を動かした時、反応が鈍かった。それだけじゃない。軽く左手で左足の太腿を触った時、触覚の感覚を感じるのに数秒の時間がかかった。

 

「(ダイヤ、プラチナ、悪い。もうそろそろ足が言うこと聞かなくなりそうだ。一気に決めたい、前を空ける一撃を頼む)」

 

『分かりました』

 

『了解です』

 

ダイヤとプラチナに声を掛け、精霊状態の二人が俺の目の前に現れる。そして二人が同時攻撃をする。

 

『くらいなさい』

 

『ハアアアア!!!』

 

「ぐわああああ!!!!!!」

 

ドオオオオンンン!!!!!

 

二人の合わせ技で俺たちの前側にいた敵は吹き飛ばされていき、港からボートまでの道ができる。

 

「(よし、行くぞ!)」

 

「待て!!」

 

二人のおかげで道が切り開き、俺は走り出す。後ろから声が聞こえてくるが、そんな物は無視だ。足が言う事を聞かなくなる前にボートを・・・・

 

「(見えた!!あれに・・・)」

 

シュッ、ドーーーン!!!!

 

「!?ぐっ!?」

 

ボートに飛び乗ろうとした瞬間、後ろから何かが聞こえ、目の前のボードに当たり、ボートは爆発。とっさに体をかがめ、爆発したボートの破片から身を守る。

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

 

「危ないことしてくれるじゃない。本当に逃げ出すところだったわ」

 

港付近から聞きたくもない声が聞こえ、そっちの方に目を向ける。コツコツと一歩ずつ近づいてくるドゥと後ろにランチャーを構えた兵士、さらに物騒な武器を持った部下達が全員俺に向けて照準を合わせている。

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

 

「でも、あなたとの鬼ごっこもお終いね。もうすぐ連絡を受けた依頼主が帰ってくるわ。あなたの処遇はその時にでも決まるわ」

 

「ハァ・・・ハァ・・・悪いが俺はまだ捕まっちゃいないぜ?」

 

「へぇ〜、これだけ囲まれているっていうのにずいぶん余裕ね」

 

「(・・・・・ダイヤ、プラチナ)」

 

『分かってます』

 

『御意』

 

・・・・ドン!!!

 

「ぐわああああ!!!!」

 

「!?何!?」

 

ダイヤとプラチナに声をかけて攻撃を仕掛けようとした時、ドゥの後ろの方にいる兵士達何人かが吹き飛ばされていった。

 

「(・・・何だ?)」

 

「どういう事だ!?」

 

「た、大変です!!何者かが乗り込んで我々に攻撃を開始しています」

 

「何だと!?」

 

「(乗り込み?)」

 

「人数は!?」

 

「じょ、女性、2人です!」

 

「(・・・・ダイヤ、プラチナ)」

 

『はっ』

 

『御意』

 

ドン!!ドン!!

 

「うわあああ!!!!」

 

「!?ちっ!?言うこと聞かないガキがいたわ!!」

 

混乱状態をついてダイヤとプラチナに攻撃を下す。同時攻撃によってドゥ以外の前にいた兵士達が吹き飛ばされてる。ドゥは銃を俺に構えた。

 

「悪いけどしばらく大人しくしてもらうわよ!」

 

「(足が動かねぇ・・・もうなりふり構ってられる場合じゃない!)」

 

そう考えた俺は動かない足に喝を入れて少しだけジャンプ、そのまま数cm、相手にはバレない程度で宙に浮く。

 

 バン!!ガン!!

 

ドゥが発砲した弾を竹刀で弾き飛ばす。

 

「なっ!?」

 

「悪いけどお前も寝てもらう!炎舞ー龍の舞!」

 

炎を纏った竹刀をドゥに向ける。右手を使い、ドゥを空に投げ飛ばし、俺もそのまま上昇、八の字を描くように動いてドゥを斬り付ける。

 

「があああぁ!!!!」

 

「そのまま海に落ちろ!!」

 

斬りつけたところで右手で再びドゥを掴み、海に向けて投げる。

 

 ザボーーーーーン!!!!!

 

大きな水しぶきを立てて、ドゥは海に落ちていった。

 

「お前らも全員海に落ちろ!!サン・フレア!!」

 

 バーーン!!!バーーン!!!

 

「ぐおおお!!」

 

「うわあああ!!!」

 

飛び上がったまま今度は複数の太陽を作り、地上にいる奴らも焼き尽くす。港付近は炎で燃え上がり、一種の地獄絵図となった辺りは火から逃れたり、燃え上がった奴らが海に飛び込んでいく。

 

「ハァ・・・ハァ・・・・足はもうダメだな」

 

ゆっくりと地上に降りていく。足は地面に着くがもうすでに感覚がないし、何か壁にもたれないと立つこともできない。

 

「しょうがねぇ・・・霊力も完全に回復はしてないけど使って飛ぶしかねぇ。にしても誰だ?乗り込んきた奴」

 

「・・・・・私よ」

 

「・・・・・・ああ、なるほど。確かにお前ならできるか・・・・アリア」

 

「ようやく見つけたわよ、遊輝ちゃん」

 

「お兄ちゃん!!」

 

後ろから声が聞こえたので誰かと思い後ろに振り向くと、見慣れた二人が立っていた。そのうちの一人が走ってきて、俺の胸に飛び込んできた。

 

「久しぶりだな・・・・無事でよかったよ桜」

 

「良かった・・・・お兄ちゃん、お兄ちゃんが生きていた」

 

「勝手に殺すな。俺はまだまだ生きなきゃ行かん。プロポーズもしてねぇんだから」

 

「遊輝ちゃん、足はどう?」

 

「回復はして歩けるくらいにはなった。ただ、今は使いもんにならん」

 

「ああ・・・・なるほどね」

 

飛び込んできた桜は俺の胸で泣きじゃくる。そして後ろに腕を組んでいるアリアは俺の状態を聞いてきた。俺は素直に今現状の状態を言い、アリアは俺の足元を見て納得した様子をした。

 

「それより何で来たんだ?とりあえず今は逃げるぞ。社長が出張でいないんだ。帰って来られる前に「そんな逃げ腰の一手のために来たんじゃないわよ」はっ?」

 

「私と桜ちゃんの目的は2つ」

 

「1つはお兄ちゃんを助けること」

 

「もう一つは・・・・この組織をぶっ潰す。跡形もなく」

 

「・・・・・・マジで言ってるのか?」

 

「大真面目よ」

 

アリアがとんでもないことを言ってきたので俺は問い返した。アリアの顔を見て、本気である事が読み取れた。

 

「・・・・・・分かった。俺もいく」

 

「もちろんよ。元々遊輝ちゃん含めて3人でやるつもりだったから?」

 

「あいつらは?」

 

「止めたわ。今マスゴミどもに追いかけれているから、それに皆を悪者扱いにはさせないわよ。汚い手を汚すのは私一人で充分だわ」

 

「・・・・・俺はどうでも良いのか。まあ別にいいけど。あの社長を一発ぶん殴ってやらないと気が済まない」

 

「お兄ちゃん、私も手伝う。もう二度と私を付け回さないようにする」

 

「分かった。そろそろ社長が帰ってきそうだ。社長室に乗り込む」

 

アリアと桜の決意を聞いて、俺も決心する。寄っかかっていた壁から離れ、数cmだけ軽く宙に浮く。

 

「社長室の場所も分かったけど多分ヘリコプターだろ。飛行場なら右に行ったところだ」

 

「OKよ」

 

目的地を定め、俺たち3人は港から離れる。

 




桜「やっとお兄ちゃんが無事に・・・・」

遊輝「いや、全然無事じゃない。足治ってない」

アリア「いつもなら治っているのにねぇ〜」

遊輝「いやお前、死にかけだったんだから・・・・」

桜「次回から第1章最終盤、私たち3人で組織をぶっ潰す」

アリア「『怒りのアリア』。次回もよろしく」

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