遊戯王 振り子使いの少年と連鎖使いの少女   作:DICHI

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すみません、書いている内に過去の話がいらないことに気づき、タイトル変えました。


コロナのせいで就活が進まない。家族とかには平気でのほほんとしている姿を見せているけど、内心は不安。
こういう不安な一面を見せないから前職でぶっ倒れたんだけど、いつになったら元の日常に戻るのかな・・・・・


第55話 桜の正体

No side

 

 

バババババババ!!!!!!!!

 

ネオドミノシティから北東に800kmにある人工島。ここは医薬会社のアムールが建てた人口の島である。面積約40平方キロメートル、大きな島であるこの島には大きく自然豊かな森と3つの巨大な建物が目立つ住居エリアに分かれている。ここでは日夜様々な研究が行われている。そしてこの会社の代表取締役社長、ゼロ・アンクルはヘリコプターに乗って自身の会社の総本山に今、着陸しようとしている。彼の隣にいる秘書、アンは忙しそうにパソコンを打ち込みながら電話をしている。

 

バババババババ!!!!!!!

 

「着陸しました」

 

ゆっくりとヘリコプターは飛行場へと降り立つ。操縦士の言葉を聞いて、秘書のアンはパソコンを閉じ、扉を開ける。アンが扉を支え、ゼロはゆっくりとヘリコプターから降りる。その視線の先には彼の獲物である3人の姿がいた。

 

 

 遊輝  side

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「これはこれは、皆さんのお出迎えありがとうございます。まさか3人揃って私を迎えてくれるとは思いもしませんでした」

 

「うるせぇ、もうテメェの声なんか聞きたくもねぇ」

 

目的の飛行場、そこに1台のヘリコプターが降り立ち、その中から首謀者のゼロと秘書のアンが降り立った。ゼロは俺たちの姿を見てニヤリと笑みを浮かべる。

 

「それより遠藤君、足は治ってないのにどうして立っていられるのかね?君の足は回復してないはずだが?」

 

「ああ、回復してない。それがどうした?俺には関係ない」

 

「・・・・・やはり君には驚かさられることばかりだ。素晴らしい」

 

「うるせぇ」

 

「あいつが黒幕ね・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

俺の後ろにいるアリアと桜はあの憎たらしい笑みを浮かべている社長を見る。どうにも胡散臭い笑顔で吐き気を覚える。

 

「さて、アン」

 

「はい」

 

「やるんか?やるんなら俺が相手してやる」

 

「おやおや、勘違いしないでほしい。こちらは歓迎の宴をやろうとしているのだよ。そこにいるDMWを私たちに返してくれるって言うなら」

 

「いらないわよ。私たちはあんたたちをぶっ倒すのみ。遊輝ちゃん」

 

すでにアリアは戦闘態勢へと入っている。アリアは前に出て、桜は俺の方に近寄ってくる。俺は桜を後ろにやる。

 

「・・・・・はぁ、最近の若い子は血の気が多い。まるでヤクザみたいだ」

 

「ヤクザの方があんた達より100倍マシだわ。殺し合いとかしても義理と人情は必ず通すんだから」

 

「私をヤクザ以下にするとは・・・・・・まぁいい。そんなことは今は関係ない。さっさとDMWを返してもらおうか。そうすれば君たち二人はお咎めなしで返してあげる」

 

「却下だ。お前、俺にあんだけ秘密をベラベラと話して普通に返すわけねぇだろ」

 

「ハッハッハッ!流石にこのくらいの嘘はお見通しですか」

 

向こうの提案を俺は速攻で返答する。その答えを聞いたゼロは大声で笑う。

 

「しかしその子を返してもらわないと私たちの計画が始まらない。その子は大事な実験材料なんだから」

 

「んのやろう・・・・相変わらず人のことをなんだと思ってやがる」

 

「人、か・・・・・君たちが言えたことか?君たちは人間ではないだろ?」

 

「俺もアリアも人間だ。ちょっと可笑しい能力を持っているだけだ」

 

「百歩譲って私たちが化け物だとしても桜ちゃんは普通の人間でしょ」

 

「その子はもう人間じゃない。すでに脳内にICチップを埋め込んでいる」

 

「んだと外道が・・・・・!!」

 

「アン」

 

「はい」

 

「!?!?うっ!?ううう!?!??」

 

「桜!?どうした!?」

 

秘書が何かをした途端、後ろにいた桜が頭を抱えて苦しみ出した。俺は桜を抱きつき、暴れようとする桜を押さえつける。

 

「ううう!?!?お、お兄ちゃん!!!!」

 

「アリア!!!」

 

「分かったわ!!!!!」

 

凄い苦しそうな表情をする桜を見ているはずもなく、俺はアリアに声を出す。アリアもすぐに反応してアンに向かって走り出す。

 

「どうりゃああああ!!!!」

 

「フン!!!!!」

 

「ぐっ!?まだまだ!!!」

 

アリアは加速した勢いで飛び蹴りをしたが、アンに見極められ両腕をクロスして防がれる。そのままアリアは横に受け流されるが、体をすぐに反転させて杖を手にする。

 

「フリージングゼロ!!」

 

杖から吹雪のような雪が飛び出してアンに襲いかかる。しかし、アンはその攻撃も見極めて直ぐに横飛びして、社長の横につく。

 

「う!?ううう!?!?」

 

「頑張れ桜!!もう少し待ってくれ!!」

 

「私の可愛い妹をいじめるな!!!!!!!」

 

「!?ぐっ!?」

 

吹雪が吹きあふれているその中心をアリアが突っ込んで、アンに飛び込み、そのまま殴る。不意打ちを食らったアンはそのまま右頬にストレートを喰らい、懐から機械のスイッチらしきものが飛び出した。

 

「こいつね!!」

 

「待て!!」

 

アリアはアンから飛び出したスイッチらしき物を拾おうと駆け出す。それを見ていた社長も慌てたように飛び出すが、すでにアリアの方が体一つ抜けていた。先にアリアがスイッチを手にして俺のほうにつく。

 

「アリア!」

 

「分かっているわよ!!このスイッチね!!」

 

「うう!!・・・・・ハァ・・・ハァ・・・・」

 

アリアが手にした数種類あるスイッチのボタンの中から『STOP』と書かれた赤いボタンを押す。俺が抱えていた桜の暴走は収まり、酷く肩で息をしている。

 

「桜!!大丈夫か!?」

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・だ、大丈夫・・・・・」

 

「ぐっ・・・・・」

 

「も、申し訳ありません!!」

 

「くそ・・・・・流石にこれは許せないな」

 

桜が苦しみから解放され、俺は桜を抱えてあいつらを睨み付ける。

 

「アリア、様子は?」

 

「こいつからは間違いない。外道がスペアがあるかもしれない。それと、桜ちゃんのあのカルテから見て、脳内にチップを埋め込まれたって話は本当のようね」

 

「油断ならねぇ状況か・・・・ってかお前何つった?カルテ?」

 

「とあるルートで入手したわ」

 

「貴様・・・・何処からそれを」

 

「あんたに言う必要ない。それと脳内チップ、やっぱり埋め込まれている」

 

「・・・・・・・マジか、いや、薄々感じていたけど、信じたくなかった」

 

アリアから聞いた言葉に驚く事はなかった。何となく、こいつらの言動とさっきのアレでもしかしたらって思ったけど。

 

「・・・・そうか、ドゥが文化祭の時に記憶を消去していたって言っていたけど、俺が拾う前にやっていたのか。テメェ、すでに人体実験したのか。外道が」

 

「実験して何が悪い?私は商品を完成させるために開発しているんだ」

 

「胸糞悪いわね・・・・」

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・・」

 

「桜ちゃん、大丈夫」

 

「ハァ・・・ハァ・・・・・・」

 

「?おい桜?どうした?」

 

息切れをしている桜を気にして顔を見るが何か暗い顔、いや悲惨な顔をしている。

 

「ハァ・・・何か・・・何か思い出しそうな・・・」

 

「何だと?」

 

「アン!!」

 

「はい!!」

 

「!?ぐっ!?」

 

「!?アリア!!!」

 

桜が何か思い出しそうと呟いた瞬間、背中の方から声が聞こえる。咄嗟にそっちの方に振り向くと、アリアが防御態勢でアンの蹴りを受けていた。

 

「てめぇら本当に邪魔ばっかりしやがって!!サン・フレア!!」

 

抱きかかえた桜を少しだけ離して、飛び上がり上空から数十発のサン・フレアを放つ。まずはあいつらの周りに太陽が落ちて逃げ道をなくし、そしてあいつらに向けて太陽が落ちる。

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・・・」

 

「ゆ、遊輝ちゃん!!」

 

「ハァ・・・・ハァ・・・すまん、熱くなった。それにダメージを与えた感覚がねぇな」

 

ゆっくりとアリアと桜のところまで降りる。すでに体力も霊力も底に尽きかけている。そして、相手に向けた攻撃が当たったとは思っていない。

 

「ちきしょう・・・・生命反応がピンピンとしてやがる。どんなタネ仕掛けやがった」

 

「・・・・危ない事してくれたな」

 

ブンッ!!と何かが切れる音が聞こえた。そしてあいつらの周りに囲まれた炎が消えた。そしてあの社長どもの周りに何人かの兵士みたいな物が囲まれた。一部、兵士の鎧みたいな物がシューと焦げていて、それが剥がれ落ちる。

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・・・」

 

「よくやったお前ら」

 

「何あの兵士?生きている感じがしない。ってか何処から出てきたのよ?」

 

「あいつら・・・・・・・」

 

「知ってるの?遊輝ちゃん」

 

「俺が逃走している時に見つけた兵士達だ。妙な反応がしたんだよ。生命反応はあるのに屍みたいで、最初見た時変な感じだったけど・・・・・・ようやく分かった。あいつら、脳内にチップを埋め込まれている」

 

「フッ、感がいいな。その通り、こいつらはDMWの大量生産の試作品だ」

 

兵士に囲まれた社長が笑みを浮かべて答える。剥がれ落ちた鎧からは到底人間の肌には思えない機械の部品が見えた。

 

「お前・・・・子供の脳内にチップを埋め込んだだけじゃなくて人体改造もしやがったのか」

 

「生憎まだまだ調整段階でね。武装強化が必要不可欠なんだ」

 

「テメェ・・・・・」

 

「そんな危ないコトを桜ちゃんに・・・・・・」

 

「ハァ・・・・ハァ・・・あ、私・・・・・あの人を見たことが」

 

「桜、無理に思い出さなくていい。それに見たことならあるだろう」

 

「違う・・・・もっと前に・・・」

 

「社長」

 

「ああ、そろそろこの場から移動しないと」

 

「待てやこら・・・・話が終わってねぇだろ」

 

兵士に囲まれた社長達は余裕が出来たのかヘリコプター場から移動しようとする。まだ決着が付いていない俺はその集団を止めようとする。

 

「やれやれ・・・・・こんなところで話すよりキチンとした場で話すのが礼儀だろ?」

 

「んなもん関係ねぇ。俺たちはここで蹴りを付けるつもりなんだよ」

 

「とりあえずここであんた達をぶっ倒して可愛い妹のことから手を離して貰わないと。それと桜ちゃんのことも色々と聞かないと」

 

「DMWに名前をつけるとはなんとも愚かな・・・・」

 

「うっせぇ秘書。人間を道具にしか見てないお前らには分からないことだろ」

 

「・・・・・・私は誰?そして何でここに囚われたの?そして貴方との関係は?」

 

「ふっ、そんな物君が知る必要がない。君は我々の元に戻って兵士として活躍するんだ」

 

「・・・・・・嫌だ」

 

「桜ちゃんは絶対にあんたらには渡さない。人間を道具に、ましてや子供にこんな事をさせる奴なんかに」

 

「孤児とはいえこの子達にも人生があるんだ。この子達も解放して貰わないと」

 

「孤児?・・・・・・孤児・・・孤児?」

 

「孤児・・・・・孤児か・・・・フフフフ」

 

孤児という単語を聞いた瞬間、社長が突然笑い出した。

 

「フフフフ、ハハハハハ!!!!!」

 

「何が可笑しい?とうとう頭のネジが全て外れたのか?」

 

「お前らが孤児だと言った事だよ!!確かに君にはDMW計画で使っている子供を孤児と言ったが、その子は孤児ではない!!」

 

「はぁ!?」

 

「じゃあ桜はなんだって言うんだ!?」

 

「その子はな・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の実の娘だ」

 

「・・・・・・・・はっ?」

 

「えっ?」

 

「・・・・・む、娘?」

 

一瞬、何を言ってるのか分からなかった。俺とアリア、桜の3人ともポカンとしてしまった。ただ、娘と言葉を聞いた瞬間、俺の右手には自然と力が入っていた。それはもう、怒りとかそんな感情じゃない。そんな感情じゃない物が込み上がってきた。

 

「そうだ!!その子は私の娘だ!!我が娘がDMWの試作機第一号だ」

 

「む、娘・・・・・私が・・・・・娘?」

 

「桜ちゃん!?」

 

「お、お前・・・・・・・お前!!!!!なんて事をしやがる!!!!!実の娘を実験材料にしたのか!?!?」

 

「ああそうだ!!DMW計画を立てた時、私の計画の最初の人間には完璧な子供が必要だった!!知能が高く、運動能力も高い子供がな!!それで手に入ったのが私の娘のその子なのだ!!!」

 

「あ、あんた、自分が何を言ってるのか分かってるの!?大事な娘をこんな危ない実験の材料にするなんて、母親が反対するわよ!!」

 

「関係ない!!その子の母親は既に病気で亡くなっていた!!父親は私しかいない!!子供が親の為に尽くす物だろ?だから私はその子を最初の実験材料にしたのだ!!!」

 

「それで・・・・・それで桜を利用したっていうのか!?」

 

「何とでもいうがいい!!私の計画は既に動き出した!!もう誰も止めることは出来ない!!そこにいるDMW第一号機を連れ戻し、私は戦争に革命を起こすのだ!!!」

 

フハハハハと笑いながら社長はそう言った。その言葉を聞いた俺は脳内の何かが切れた。

 

遊輝  side out

 

桜  side

 

 

「私には未来が見える!!このDMW計画でたくさんのお金が「ボルケーン・エルプティション」ん?」

 

「!?しゃ、社長!!下がって下さい!!!」

 

 バアアアアアアン!!!!!!!!

 

男の人が高らかに喋っている時、お兄ちゃんが低い声で呟く。何か危険を察したのか秘書の声が聞こえ社長を突き飛ばす。その直後、その場を中心に大きな爆発が響き渡る。

 

「ぐううううううう!!!!!!」

 

「さ、桜ちゃん!!!踏ん張って!!!」

 

「・・・・・・・・・・」

 

大きな爆発が響き渡り、その場にあった飛行機も誘発して爆発、辺り一帯は一気に火の海となった。お姉ちゃんは私をギュッと抱きしめて爆発から守ろうとする。

 

「ゆ、遊輝ちゃん!?何してるの!?私たちまで巻き添えにして!!」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「ゆ、遊輝ちゃん?」

 

「お、お兄ちゃん?」

 

お姉ちゃんと一緒にお兄ちゃんを見たが、雰囲気が変わっていた。今までの人を思いやるような熱い心の持ったお兄ちゃんじゃなかった。そこにいたのは冷徹で相手を見下し、機械のような心を持っているか分からないお兄ちゃんだった。

 

「ア、アン!!!くそ!?何がどうなってる!?貴様!!一体何をした!?」

 

火の海となった辺り一帯が少し落ち着いて、ゆっくりと見渡すことが出来た。社長を庇った秘書の女の人は多くの兵士と共に倒れ、気絶していた。一部の物は炎が移り燃え上がっている。

 

「クソっ!!!貴様何しやがった!?」

 

「・・・・・・お前だけは、お前だけは何があっても生かしておけねぇ・・・・」

 

「!?」

 

社長を見つめる遊輝ちゃんは冷徹な目のままゆっくりと口を開いた。その言葉を一つ一つに重みがあり、社長の表情は強張った表情をしている。

 

「お前には地獄の底に行ってもらう・・・・・今まで何人の子供を改造したのか分からねぇが、ここでお前を叩き落とす」

 

「ぐっ!!何を言ってるのか分からないが、私を倒すことなど不可能だ!!」

 

社長は秘書のところまで立ち寄り、秘書の鞄の中からデュエルディスクを取り出し、右腕につけた。

 

「ほぅ・・・・そんなに死に急ぎたいのか・・・・いいぜ、痛ぶってやる。死にたくても死ねない苦しさを味わってもらう・・・」

 

遊輝ちゃんもデュエルディスクを取り出してデッキケースからデッキを取り、デュエルディスクにセットする。

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」




桜「何・・・・あのお兄ちゃん・・・・・」

アリア「分からない・・・・私も見たことない・・・・」

桜「切れたとか怒ったとかそんな感じじゃなかった・・・・あの目・・・」

アリア「あれは不味い・・・・本気で不味い・・・・」

桜「次回、『ゼロvs遊輝  感情無き者の殺意』。次回もよろしく」

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