頭の中にあるプロットは組んでいますが、どうもそれが文字に出来ないんですよ・・・・どうすればいいかな・・・
遊輝 side
「今日のリハビリは以上です」
「・・・・ありがとうございます」
今日も病院でリハビリの日々、いつも通りの足のマッサージをしてもらい、いつも通り足を動かしてもらい、いつも通り平行棒を補助として歩く練習をしたり、いつも通りのリハビリが淡々と作業のように進められた。全く変わらない、そして全く進歩がないこの状況に俺は機械のように淡々と進めた。
「マッサージしますね、うつ伏せにお願いします」
「はい・・・・」
リハビリの医師の手によって車椅子から医療用のベッドに移動してうつ伏せになる。そのまま医師は足を触り、ツボを刺激する。若干の痛みを感じるが、まだ足の感覚は無いに等しい。
「・・・大丈夫ですか遊輝さん?寝不足ですよね?」
「・・・大丈夫です」
「口ではそう言っても身体は正直ですよ。クマが出来ているし、体のツボを刺激してもいつもと違います。何かあったのですか?」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・そう言えば今日は検診の日でしたね、渡辺さんに少しは話してみたらどうでしょうか?普段検診ばかりで雑談とかしないのでしょ?」
「はぁ・・・・」
リハビリの医師が言葉をかけてくれるが何一つ頭に響かない。寝不足なのは理解しているし、しんどい思いをしているのは知っている。実際、眠くて頭が回っていない。だけど、どうすればこの現状を打破できるのか解決策が見つからない。
「はい、リハビリは終わりです。車椅子に移動しますよ」
俺は身体をうつ伏せの状態から上半身の力を使って仰向けになり、状態を起こしてリハビリ用のベッドから足を蹴り出す。リハビリの先生が俺の腰あたりに手を回してくれる。俺は先生の首に手を回し、そのまま腰が浮き、車椅子に乗る。
「はい、それじゃ診察室に行くよ。お願いします」
「はい」
担当の先生から看護師に変わってリハビリ室を出る。俺は先生に頭を下げてそのまま病院の廊下を渡っていく。リハビリ室から廊下を何度か曲がり、俺の主治医の先生の診察室の前に立つ。
「先生、遊輝さんをお連れしました」
「入ってくれ」
「失礼します」
看護師は扉を開けて、俺と一緒に入る。先生は机でカルテを眺めていたが、すぐに俺を見る。
「・・・・・大丈夫、とは言えそうにないね。目にクマが出来ている」
「・・・・・・・」
「話は聞いている。またマスコミにスカウトが押し寄せて来たんだってね。近頃、この街はどうもおかしい。未成年に対する扱いがあまりにも軽すぎるし、プライバシーのカケラもない。それに、どうも君たちの周りばかり追いかけて他の事件には何も追いかけて」
「先生、今は・・・」
「おっとそうだっと。すまない、君にとってはナイーブな話だった」
「・・・いえ、大丈夫です」
「・・・・・医者としてはっきり言わせてもらうよ。今の君は100%大丈夫じゃない。今すぐ何かしらの策を取らないと、君自身が壊れてしまう」
先生は俺に厳しい目つきでそう言ってきた。俺は先生の言葉が頭から離れることが出来なくなった。
「二日前に君の検査をしたが、はっきり言って最悪だった。肉体的な部分ではない、精神的な部分でだ」
「・・・・・・・・」
「肉体的には心配しなくてもしっかり回復している。このままリハビリをすれば普通に歩くことは出来るだろう。だけど、このままの状態が続けば、君は肉体が回復する前に廃人になってしまう。今の君はそれくらい危険な状態だ。鬱と言っても良いな。私はその辺の分野は専門外だから正確な診断は出来ないが」
「・・・・・・・」
「・・・・君は以前、記憶力が低下していると言っていたね」
「・・・・はい」
「恐らくその精神状態が原因の一つかもしれない。君の言っていた能力の代償という線も捨て切れないが・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・あれこれ言って悪い。こんだけ言っておきながら今の君の精神的治療法は僕には想像付かない。無責任なことを言ってすまない」
「・・・・いえ、大丈夫です」
「とりあえず来週からしばらく検査入院して、精神科の先生のカウンセリングを受けてもらう。これ以上は医者としても人としても今の君を見ていられない」
「・・・・・分かりました」
「今日はもう大丈夫だ」
「・・・・ありがとうございました」
俺は頭を下げて、車椅子を反転させる。そのままゆっくりとハンドリズムを回して部屋を出る。
「・・・・一体、あの子の周りに何が起こってるんだ」
「可笑しいですよね・・・・何故あの子ばかりに」
「ドクター!!た、大変です!!」
遊輝が出た後、診察室にタブレットを持った看護師が慌てた様子で入ってくる。
「騒々しいな。一体どうしたんだ?」
「こ、これを見てください!!」
看護師はタブレットに映し出された記事を医師ともう一人の看護師に見せる。その内容を見た二人は口を大きく開ける。
「う、嘘・・・」
「ほ、本当なのか・・・本当なら・・・君!!すぐにセキュリティに連絡するんだ!!」
「は、はい!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ご馳走様」
「うん、食べ終わった食器は洗っといてくれ。俺は書類を見ておく」
「分かった」
病院から帰って来たその日の夜、晩御飯を食べ終えた俺と桜、桜に食器の後片付けを任せて俺はテーブルの端に置いてある書類に目を通す。大半はチラシとかで、残りの半分はスカウトになる。
「・・・・これもいらん、これも・・・・」
スカウトの紙を捨てる度に思う。何でみんな俺をスカウトするのか・・・・確かに肩書きはWRGPの初代チャンピオンチームのリーダー、エースでエクシーズ・ペンデュラム・リンクの創始者となってる。だけど、それは俺の前世の知識と神様が送ってくれたカードのおかげ、俺自身の力は何一つない。優勝できたのもみんながいてくれたからだ。なのに、皆が俺を祭り上げる。
「(・・・・・・俺なんか大したことしてねぇよ。もうライディングデュエル出来ねぇし、そもそもここ2年間、まともにライディングデュエルもDホイールの練習もしてねぇよ)」
この2年間、SECRETとしてのバンド活動に魂を込めてやって来た。メンバーとも何度も話し合い、時にはぶつかった事もあるが、それでも達成して来た。俺はもう、デュエルで活躍するということよりも音楽活動をしている方にシフトしている。そっちの方が楽しいし、やりがいと感じている。
「(・・・・何でそれが分かってくれねぇのかな。俺は・・・・脚を治して、皆とまた楽しい日常が送りたい・・・ただ、それだけなんだ・・・・)」
「お兄ちゃん、食器洗い終わったからリハビリするよ」
「あ・・・・あ〜、ありが」
ガシャン!!!!
「!?」
「なにっ!?」
「どこだ!?」
「いた!!そこだ!!」
突如、リビングの窓ガラスが割れた。俺と桜は慌ててそっちのほうに顔を向ける。そこには武装した男たち3人ほどが部屋の中に入っていた。
「貴様だな遠藤遊輝!!私々と一緒に来てもらう!!」
「・・・・・・か」
「どうした?何が言いたいことがあるならはっきりいうんだな?」
「・・・・テメェらみたいな奴らがいるから、俺はゆっくり脚を治せぇんだよ!!!サン・フレア!!」
怒りに震える俺は右手に太陽を作りそれを武装集団に向けて投げる。武装集団は慌てた様子で横にジャンプ、太陽は窓ガラスを突き破り、大きく爆発する。
「桜!!」
「合点」
武装集団が怯んだ隙に俺は桜に合図をしてリビングから脱出、そのまま玄関を出て、エレベーターに乗る。
「チッ!!逃げやがった!!追いかけろ!!」
「「はっ!!」」
「お兄ちゃん」
「セキュリティだ!セキュリティのところまで行くぞ!」
「分かった」
エレベーターから降りた俺はセキュリティの所まで行くことを桜に言う。桜は俺の言葉を聞いて車椅子のハンドルを握りしめて走り出す。
トップスの目の前の道は大通りで車がたくさん往来している。俺と桜は歩道を走り、セキュリティまで向かう。
「ハッハッハッハッハッ・・・・・」
「大丈夫か桜」
「大丈夫」
ブブーーー!!!!
「!!後ろからトラックが」
「桜、この道を曲がれ」
「合点」
後ろからトラックのクラクションの音が聞こえる。一瞬だけ後ろを向いた桜がすぐにさっき襲って来た武装集団と分かり、俺に言ってくる。俺はすぐ近くの道を曲がるように指示、桜は巧みに車椅子を動かして脇道に入る。
「このまま真っ直ぐ最初に道を右だ。そうすればまた大通りに出る」
「ん」
桜は俺の指示通りに最初の角を右に曲がり、そのまま真っ直ぐ進む。すぐに車が走る音が聞こえ、大通りへと出る。その瞬間、強いフラッシュが当てられた。
「グッ!?」
「まぶっ・・・!!」
「甘いな!!そんなことで我々から撒けると思ったのか!?」
大通りを出ると武装した集団が囲んでいた。先程の人数よりも圧倒的な人数で俺たちを囲んでいた。先程追いかけていたトラックの他に色々な車が大通りを占拠している。
「・・・・・・・・・・」
「さあ観念して我々についてきてもらおうか?」
「・・・・・プロミネンス・チェーン!!」
俺は両手を前に突き出す。俺たちの周りに大量のプロミネンスが出現してそれらが縄のようにうねり、囲んでいた武装兵を叩き倒していく。
「うわあああ!!!」
「グワアアアアアア!!!」
「怯むな!!我々の方が優勢なんだ!!数で押し込め!!」
「サン・フレア!!炎舞ー鳥籠の悲しみ!!」
武装集団のリーダーらしき人物が大声を上げる。周りの奴らが怯まずに俺たちまで走り出そうとするが、俺はすぐに次の技を出す。大量の太陽を全方向に放ち、前方に固まった武装集団には炎の鳥籠で囲い込み、中で火柱が立つ。
「グオオオオ!!!」
「ギャアアアア!!!!」
「怯むな!放て!!」
バン!!バン!!
「ッ!!」
「お兄ちゃん!?」
炎が上がる中で銃声やら何やら物騒な音が聞こえる。その中の何かが俺の右肩を掠る。桜が心配の声を出すが俺は左手で右肩を抑え、すぐに桜に指示する。
「ッツゥ・・・・桜!!逃げろ!!」
「合点!!」
「怯むな!!ただの幻影だ!!」
「だったら自分で浴びてみろよ!!サン・フレア!!」
武装集団が攻撃を受けて攻めあぐねている状況で俺は桜に指示、桜は車椅子を動かす。リーダーは俺たちを追いかけようと指示したので俺はリーダー目掛けて太陽を放つ。
「ハッ!!」
「桜!!このまま真っ直ぐだ!!」
「ん!!」
ピーポーピーポーピーポー!!
桜が歩道を走ろうとする。そのタイミングで俺たちが行こうとした方向から大量のパトカーとDホイールがやってきた。先導していたパトカーが急ブレーキをかける。
「セキュリティだ!!この公道を占拠している奴ら出てこい!!」
「チッ・・・仕方ない、お前ら撤退だ!!」
パトカーから聞こえるセキュリティ、牛尾さんの怒鳴り声。その声を聞いて、リーダーらしき男の声が響き渡る。武装集団はすぐにトラックに乗り込み、逃げ出した。
「Dホイール班は追いかけろ!!絶対に逃すな!!」
『はい!!!』
パトカーから飛ばされる牛尾さんの声、それにより後ろにいたDホイールに乗ったセキュリティ組はスピードを上げ、武装集団を乗せたトラックを追いかけ始める。パトカー組は全車止まり、占拠していた公道の調査を始める。その中で一台のパトカーが俺たちの前に止まる。
「遊輝!!大丈夫か!?」
「遊輝さん!!」
「牛尾さん・・・狭霧さん・・・・」
「お兄ちゃん、肩を・・・」
「分かってる!!今救急車を呼んだ!!もう少しだけ待ってくれ!!」
「ハァ・・・ハァ・・・な、何で・・・」
「通報があったのよ。トップスの屋上で爆発音が聞こえたのと、公道を占拠している謎の集団がいると」
「トップスの爆発音で間違いなく何かあると思ったが・・・ここまでとは・・・」
「ハァ・・・ハァ・・・・・」
「お兄ちゃん!!お兄ちゃん!!」
「ウグッ・・・」
・・・ポー、ピーポー!!!
肩の痛みが強くなってくる。耳元に救急車の音が聴こえてくる。
遊輝 side out
No side
「申し訳ございません。思っていた以上に抵抗が激しく・・・」
「別に構わないよ。そう簡単に捕まるとは思っていないから」
とある場所・・・・薄暗い部屋で男二人が会話している。一人は椅子に座り、一人は姿勢を正して立っている。座っている男の膝に白猫がのんびりとあくびをしながら寝ている。
「ですが我々がしっかりしていれば・・・・」
「何、チャンスはいくらでもある。しっかりと根回しはしているんだ。ところで彼をスカウトしている奴らは?」
「以前としてスカウト活動を続けているようです・・・・あの、なぜ彼らを放っておくのでしょうか?周りを排除した方が我々としても動きやすいと・・・」
「確かにそうだ。だが、今は彼の周りを騒がした方が良い。その方が我々の事を探られにくい」
「なるほど・・・・」
「だが、ニ、三日は大人しくしておこう。もう少しすれば根回しは完璧となる。そうなれば・・・彼は我々の駒となる」
「ハッ・・・・」
男は頭を下げ、この場から立ち去った。男は猫の頭を撫でながら椅子を回転、窓に映る月を見つめる。
「・・・・・素晴らしい月だが、明るさが足りない。文字通り、太陽の力を持つ彼を手に入れば我々の野望が叶う」
桜「お兄ちゃん・・・・」
遊輝「・・・・・・・・・・・」
桜「・・・・また、怪我して」
遊輝「・・・・・・・・・」
桜「・・・次回、『世界が敵に回る時』。よろしく」