遊戯王 振り子使いの少年と連鎖使いの少女   作:DICHI

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遅くなって申し訳ありません。

仕事には慣れてきました、が、とにかく筆が進みませんでした。
骨格は出来ているんです。肉付けがうまく出来ないんです。どうしても薄っぺらい内容になってしまいました。暫くこの状態が続くかもしれません。


第67話  世界が敵に回る時

 No side

 

 

「何ですって!?」

 

「牛尾君!!声が大きいわよ!!」

 

「す、すみません・・・ですが声を大にして言わないとダメでしょう!!」

 

ネオドミノシティ、セキュリティ。市の制度となり、長官から市長となって2年近く経つこの街でまだまだ警察としての役割を保つこの組織。そんなセキュリティ本体の会議室の一つでセキュリティ特別捜査課の部隊リーダーを務める牛尾は上司の狭霧の話を聞いて驚きの声を上げた。

 

「何で昨日起きた事件がいきなり捜査終了になるんですか!?犯人を誰一人捕まえてないどころか、何も調べてすらいないんですよ!?」

 

「私だって分からないわよ!今朝、出勤していきなり長官に呼ばれて捜査終了を突きつけられたんだから!」

 

「俺は納得しませんよ!!昨日のアレだって解決してないんですよ!?」

 

「だから私も理由を聞こうとしたわよ!だけど何も取り受けてくれないのよ!」

 

「くそっ!!どうなってるんだ!?」

 

牛尾は上司である狭霧の目の前だと言うのに苛立ちを隠せなかった。

二人が言う昨日の事件、遊輝が謎のグループに襲撃された事件、それが突然捜査打ち切りとなった。狭霧は異議申し立てをしたが何一つ要望が通らなかった。明らかにおかしいと感じた狭霧は信頼できる部下である牛尾だけを呼び出し、この事を伝えた。

 

「何で・・・何で何だ・・・あんな目立つ事件で捜査打ち切りだなんて・・・」

 

「・・・多分、私たちには見えない巨大な何かが隠れているわ。この掲示板を作った人たちみたいに」

 

二人が気にしているのは昨日の事件だけではなかった。昨日、遊輝の主治医から寄せられた情報で、遊輝は今、立場的に問題が起きており、その状況をひっくり返すことが出来ていないのだ。

 

「くそっ・・・あいつがあんなに苦しんでいるのに・・・・」

 

「・・・・・牛尾君、この件から降りて、この件は私一人で調べる」

 

「!?さ、狭霧さん!?」

 

「どうも嫌な予感がするわ・・・あなたは万が一私に何かあった時のために、この件から降りて」

 

「し、しかし「これは上司命令です!」!?・・・・・」

 

「二人で一緒に捜査して二人とも何かあったらダメなの・・・私が万が一のことになった場合、その時に捜査をして欲しいわ・・・」

 

「ッ・・・・・」

 

「・・・・今日は別の仕事をして」

 

狭霧は牛尾にそう言い残して会議室から出る。牛尾は右手に力を込めて、壁を殴りつける。

 

「クソオオオオ!!!!!俺は認めないぞ・・・・あいつがあんなに苦しんでいるのに見逃すかよ・・・・」

 

 

 

 桜 side

 

 

「傷は大きいが大した怪我じゃない。普通に生活していても治る怪我だ」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「お兄ちゃん・・・・」

 

昨日の夜、お兄ちゃんはまた変な組織に襲われた。私と一緒に必死に逃げたがその際に肩に大きな怪我をした。幸いにも傷が開いただけですぐに治ると医者の方は言ってくれて、お兄ちゃんはベッドで寝ている。

 

「どうして・・・お兄ちゃんばかり・・・・」

 

「・・・・・狭霧さんから言わないように、と釘を刺されたがやっぱり言わないといかん。桜ちゃん、これを見てくれ」

 

医者の方はタブレットを出して私にとあるページを見せてくれた。私はそれをスライドして読み、医者の顔を見る。

 

「・・・・これ、本当?」

 

「・・・残念ながら本当だ」

 

そこのページにはお兄ちゃんの写真がデカデカと掲載され、その写真の下に10億円という数字が掲載させてれていた。

 

「いわゆる闇の売買サイト、これに遊輝君が乗っていた。誰が載せたか分からない。だが、これによって昂っていた火種が一気に爆発した感じだ。表社会、裏社会関係なく、今金に目が眩んでいる全ての人間が彼を捕らえようと必死になっている」

 

「・・・・・・・・・」

 

「タチが悪いのは日を追うごとにドンドンと価値が上がると言っている。このままじゃ・・・」

 

「う・・・うう・・・・」

 

「お兄ちゃん?」

 

「うう・・・うわあああ・・・うがああ・・・・!!」

 

・・・ピー!!ピー!!

 

「!?みゃ、脈拍が!?おい!!手伝ってくれ!!」

 

「は、はい!!」

 

突如、お兄ちゃんの脈拍が乱れ、心電図から危険信号の音が鳴る。医者は近くにいた看護師を捕まえて心臓マッサージを始める。

 

ピー!!ピー!!

 

「け、血圧上昇!!心臓が大きく乱れてます!!」

 

「何故だ!?どこにも体に異常はないぞ!?」

 

「お兄ちゃん!!お兄ちゃん!!」

 

私は苦しんでいるお兄ちゃんの右手を両手で握りしめる。

 

「うがああ!!!うううう・・・・・ うがああ・・・・」

 

その瞬間、あれだけ苦しんでいたお兄ちゃんが突如苦しみがなくなり、大人しくなった。

 

ピー!!ピー!!・・・ピー・・・・ピッ、ピッ・・・・

 

「みゃ、脈拍正常・・・その他も異常なしです・・・」

 

「・・・・い、一体この子に何が起きてるんだ?」

 

「お兄ちゃん!!お兄ちゃん!!」

 

「う、うう・・・・・うあ・・・・うわあああ!!!!!」

 

私は必死にお兄ちゃんを呼びかけた。苦しみが抑えられたお兄ちゃんはそのままいきなり大声をあげて、上半身を起こす。

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・」

 

「お兄ちゃん!!」

 

「ハァ・・・・ハァ・・・」

 

「ゆ、遊輝君!!大丈夫か!?」

 

「み、水・・・・水・・・・」

 

「お、おい!!誰か水を持ってきてくれ!!」

 

「は、はい!!」

 

医者は近くの看護師にお水を持ってくるように指示、慌てた看護師の一人は一度病室から出て、すぐにペットボトルに入った水を持ってきてお兄ちゃんに渡す。お兄ちゃんはペットボトルのキャップを開けて勢いよく水を飲む。

 

「・・・・プハァ!!ハァ・・・ハァ・・・」

 

「お兄ちゃん!?大丈夫!?」

 

「ハァ・・・ハァ・・・あ、あぁ・・・」

 

「・・・遠藤君、あれは一体・・・・」

 

医者は先程のお兄ちゃんの状態を聞いてきた。素人の私から見てもさっきのお兄ちゃんは明らかに不味かった。お兄ちゃんはペットボトルのキャップを閉めて静かに語り出した。

 

「・・・・1ヶ月前、マスコミやスカウトから追いかけられ始めてから悪夢のようなものを見出した。それからうなされている」

 

「う、うなされるって・・・・そんなレベルじゃなかったぞ!?君、死にかけたんだぞ!?それに一ヶ月前って・・・・まさか毎日とか言わないよな?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「な、何故言わなかったんだ!?こんな状況が続けばいつか命を落としていたんだぞ!?」

 

「せ、先生!!落ち着いてください!!」

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・お、お兄ちゃん、他に知っている人は?」

 

「・・・アリア、ただ一人。俺の世話で部屋に入った時に見られただけ。その時に黙らせた。余計なネタを掴まれたくなかったから」

 

「・・・・・・・・・・」

 

プルプル・・・

 

「失礼・・・・私だ。・・・・何!?・・・・分かった。すまない、カーテンを閉めてくれ」

 

「えっ?」

 

「いいから!!マスコミがヘリコプターでこの部屋を撮影している!!

 

「え!?は、はい!!」

 

医者からの指示で看護師は慌ててカーテンを閉めて外から見れないような状況にする。カーテンを閉めた後、誰も何も言えない状態になってしまった。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・遊輝君、君はどうしたいんだ?」

 

「・・・・・仰ってる意味が分かりません」

 

「今、君の周りには多くの人間が君を追いかけてきている。このまま、この病院にいたら間違いなくマスコミやスカウトは何か仕掛けてくる」

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・あまりこういうこと言いたくないけど、転院することをお勧めする。人が少ないところで治療する方が君のためになる」

 

「・・・・・どこに行くんですか?マスコミとかはまた追いかけてきますよ?」

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・・まぁ、逃げようとは考えていましたけど」

 

「えっ?」

 

「すみませんが出ていってくれませんか?しばらく桜と話したいです」

 

「・・・・・分かった」

 

「先生!?良いのですか!?彼はまだ不安「患者のいうことを聞けないのか!!」!?」

 

「・・・・・病室から出るぞ」

 

医者は叫んだ後、お兄ちゃんに頭を下げて部屋を出る。看護師の方も戸惑った表情をしながら病室から出た。残ったのは私とお兄ちゃんだけだ。

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・お兄ちゃん、逃げるって」

 

「・・・桜、一生のお願いがあるんだ」

 

「・・・何?」

 

「・・・・俺を病院から連れ出してくれ」

 

「・・・何処に行くの?家?」

 

「いや・・・・荷物は取りに帰るけど、家には帰らない。しばらくは身を隠す旅に出よう」

 

「えっ?・・・・」

 

「もう・・・・うんざりだ。マスコミと訳分からない連中に追いかけ回される日々は・・・・・疲れた・・・・・しばらく出かけよう」

 

お兄ちゃんからポツリポツリと言葉が漏れる。その一言一言に覇気を感じられない。まるで死人のように感じる。

 

「・・・・・・・」

 

「校長の言う通り、しばらくは世界を回ろうと思う。俺の足りないところを探しに行く」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・嫌だったら着いてこなくて良い。1年くらいこの街に帰ってくることはないと思う」

 

「・・・・・私、約束した。お兄ちゃんは私を守ってくれた。今度は私が守る番」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・何があろうと私はお兄ちゃんについて行く」

 

「・・・・・・・ありがとう」

 

「・・・・行こう、お兄ちゃん」

 

私は車椅子をベッドのそばにつける。お兄ちゃんは起き上がり、無理矢理点滴を抜いて車椅子に移動する。私は車椅子のハンドルを持ち、病室から抜け出した。

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「良いんですか先生!!あの子達本当に抜け出して「良いんだ・・・」せ、先生?」

 

「・・・・もう、あの子達はこの街に居られない。だから、あの子達自身で解決するしかない」

 

「せ、先生・・・・」

 

「・・・・非常に情けない、何が医者だ・・・・」

 

 

~(翌日)〜

 

 

「・・・・・・・」

 

「お兄ちゃん」

 

「・・・・悪かった。行こうか」

 

翌朝、早朝、病院から抜け出した私とお兄ちゃんは鞄に必要最低限の荷物を持った。お兄ちゃんは少しだけ部屋を見て玄関を出る。そのまま家の鍵をかけ、エレベーターに乗る。このエレベーターから降りたら私たちはこの家にしばらく帰ることはない。下手したら一生、この街に帰ってくることがないかもしれない。だけど、それでも私はお兄ちゃんを助ける。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・桜、ありがとうな。無理矢理着いてきて」

 

「・・・・大丈夫、私はお兄ちゃんに一生ついて行くから」

 

「・・・・・・」

 

ピーン

 

エレベーターが1階につき、扉が開く。エレベーターから降りてトップスの玄関口を出る。そこで、私たちは足を止めた。そこには鞄を肩からかけ、帽子を被ったお姉ちゃんがいた。

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・水臭いわね。兄妹だけで海外旅行なんて」

 

「・・・アリア、お前・・・まだ神戸にいるんじゃ」

 

「アリアさんや皆が異常事態に気が付かないと思った?一昨日の事件、みんなの耳に入ってるよ。本当なら皆、帰って来たいって言っていた。けど私とレミが止めたわ」

 

「レミが?」

 

「リーダーとしての役割だって。『今、私たちが言ったらもっとややこしくなる。それに、私たちが今、できることは限られている。だから、私たちは今あることをやりましょう』って・・・・皆、色々文句を言っていたけど、私が無理矢理納得させたわ」

 

「・・・・どうして」

 

「腹の内は分からないわ。正直、ここ最近のレミは様子が変なところはあったから。でも、色々と考えた結果だと思う」

 

「・・・・・・・・・」

 

「仲間としては最低な判断だっかもしれない。けど、リーダーとしては最適な判断だと私は思うわ。この場で混乱して遊輝ちゃんに迷惑をかける方がダメでしょ?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・私も行くわよ。仲間は多い方が良いでしょ?特に遊輝ちゃんは足の怪我が完治していない」

 

お姉ちゃんはそう言ってお兄ちゃんの両手を手に取り、白い紙の束をお兄ちゃんの手に渡した。

 

「これ、皆からの手紙。私が代表して行くって言ったら皆手紙を書いていったわ。後でゆっくり読みましょう」

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

「皆、遊輝ちゃんを心配しているのよ。確かにここ最近はこんな状態だけど、あなたの事を心配している。それが仲間なんでしょ?遊輝ちゃんが私を救ってくれたように、今度は私が遊輝ちゃんを守る番よ」

 

「・・・・・アリア、桜・・・・」

 

手紙を受け取ったお兄ちゃんは下に俯き、涙を流していた。強がっていたお兄ちゃんが、この場で初めて涙を流した。

 

「泣いている暇はないわよ。さっさと行かないとマスコミ達が追いかけてくる」

 

「・・・・分かった。空港に行こう」

 

涙を拭いたお兄ちゃんの一言で私たちは空港を目指す。目的も内容も、何一つ無い、永遠に終わることがないかもしれない旅が始まる。

 

「(・・・・・へぇ〜、この街を出る、か。面白そうだから俺も追いかけてみようか)」

 

 

桜  side

 

 

 レミ  side

 

 

「・・・・そう、言ったのね」

 

『はい、間違いないです』

 

「・・・・・ねぇフェザー、私って最低だよね。仲間を見捨てるような行動をして。皆の意見を無視して」

 

『・・・・私はレミ様の側をずっと見てきました。レミ様の考えは理解しています。遊輝さんを思っての行動をされたのです』

 

「・・・・ありがとう。それより、例の件、調査している?」

 

『はい。ですがまだ・・・・ダイヤに聞いても分からないの一点張りで』

 

「でしょうね。これはあくまでも私の仮説だから・・・・・・・・シークレットシグナーが歴史において何も記載されていなかった理由、私自身が感じたんだから・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シークレットシグナーは、その能力の副作用のせいで短命、説は」




レミ「・・・・・・・・」

フェザー「レミ様」

レミ「・・・そうね、私は私なりに出来ることを探さないといけないわね」

フェザー「はい」

レミ「(遊輝・・・頑張ってよ)」

フェザー「次回、『未開の地による仲間』。次回もよろしくお願いします」
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