遊戯王 振り子使いの少年と連鎖使いの少女   作:DICHI

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お久しぶりです。

仕事でなかなか時間が取れない上に日本選手権とYUDTに参加したためひたすら調整してました。結果は・・・・お察しです(汗)

でもYUDTのジャンケン大会は勝てたんです!!(ジャンケンの)読みは当たってたんです!!
・・・・ジャンケン大会の賞品はヴァイスのごちうさ ココアのSSPの尊い生贄になりました。


第69話 グリート・アナコンダ

「今日からあなた達の部屋はここ。結構良い所でしょ?」

 

「・・・・・まぁ、確かに」

 

「の、割には窓が無いわね」

 

「当たり前よ。あなた達は私たちの組織にとって、重要な切り札よ。外にバラすなんてことはしないわ」

 

上海で出会った女、マフィアのボス、リーについていき、とある建物の中にはいった。中は白を基調として必要な物が揃っているオシャレな部屋となっている。部屋も1LDK のそこそこ大きい間取りとなっている。

 

「隠れ家としては最高でしょ?」

 

「まぁそうだな・・・・」

 

「トイレとお風呂はあそこ、台所はあの部屋ね。後は自分達で確認してちょうだい。詰めの話は今日の夜にしましょう、私今から忙しくなるから。私の部下が呼びに来るまでこの家から出ちゃダメよ」

 

「部下との区別は?」

 

「ここの家と鍵を知っているのは私とここにいる私の直属の部下のみよ。心配しなくても誰も訪れないわ」

 

「・・・分かったわ」

 

「それじゃ今日の夜のご飯、楽しみにして待っていてね。玄関は鍵をかけておくから」

 

リーは笑顔で右手を振り、部屋から出る。そのまま後ろにいた男の部下と一緒に隠れ家から出て、外から鍵を掛けた。アリアは玄関まで行って鍵の様子を見る。

 

「・・・・電子ロックも掛かってるわね。中から出るのにも暗証番号がいるわ」

 

「予想通りといえば予想通りだな」

 

「お姉ちゃん、解除は?」

 

「時間を掛けたら出来るだろうけどしない方が身のためね。電子ロックということは何かしらの方法で向こうにも伝わるはず」

 

「やらなくて良いぞ。あのタイプの人間は一度敵に回すと厄介だが、味方にすれば心強い」

 

「そうね。とりあえず迎えに来るまでの間、身の回りの整理をしましょう。飛び出して来たから何が必要なのか確認もしないといけないわ」

 

アリアはそう話してリビングに戻ってくる。俺たちは鞄を持ち寄りお互いの荷物を出し合う。

 

「まずは服ね、それから財布に救急用品と寝袋・・・」

 

「俺の方は服と・・・・・」

 

そんな感じでお互いに荷物を出し合う。小さなリュックサックしか持ってこなかった為、数着の衣類と簡素な救急セット、スマフォにデュエルディスク、そして幾ばくかの現金しか持ってきていない。

 

「・・・・しばらくはここに住むとはいえ、基本的に現地調達ね。特に食料をどうするか考える必要があるわ」

 

「お姉ちゃん一人だけ自由に動き回れるから何とかならない?」

 

「ある程度は・・・・だけど長期的に誰かからの支援はいるわ」

 

「・・・ねえ、それってあの女性からできない?」

 

アリアが腕を組んで悩み始める時に、桜は長期的な支援をリーからできないかと言ってきた。ふむ・・・・確かにあいつは俺たちのことを非常に気に入っている。上手いこと話を付けたら何とかなるかも知れない。

 

「試してみる価値はありそうだな」

 

「そうね、マフィアのボスなら裏ルートからの支援も容易でしょう」

 

アリアも桜の考えに賛同した。もし資金面が解決したらこの旅は一気に楽になる。それくらいお金をどうするのか悩まされていた。

 

「次に逃走ルートね・・・・空のルートが一番だけど危険性も高いわ」

 

「空のルートはダメだ。情報社会のこの世界じゃすぐに情報が回ってしまう。陸路や海路で行けるところはそれで行こう」

 

「・・・・そっちも危険じゃないの?」

 

「どのルートも危険だ。だけど狙われる頻度が違うし、敵に見つかりにくい」

 

「でも陸路ばかりでは危険なのも変わりはないわ。ケースバイケースで見極める必要があるわ」

 

それからも俺たちは今後の計画やこのマフィアの情報を仕入れる作業をした。特にこのマフィアの情報は可能な限り調べた。だが、表社会の情報しか載ってないネットではやはり何の役目もなかった。

 

・・・・ピンポーン

 

「・・・・時間のようね」

 

アリアが代表して玄関の前に立つ。玄関の電子ロックが鳴り、リーの近くにいた男二人が立っている。

 

「お迎えに来ました」

 

「・・・分かったわ」

 

アリアは返事を返し、桜が俺の車椅子を押す。そのままガタイの良い男たちに挟まれながら俺たちは隠れ家から出る。隠れ家には車庫があり、家から外に出ることも出ずに車庫に直接行き、車に乗ることができる。それにより俺たちは誰にも目を合わさず車に乗り込むことができた。窓は黒いカーテンが惹かれている。そのまま男二人が運転席と助手席に座り、車庫の扉が開いて車が動き出す。

 

「5分ほどで到着します」

 

「近くなんだな」

 

「ココラ一体ハ我々ノ支配エリア、警察ヤ大企業ナンカヨリモ偉クデキル」

 

「ふ〜ん」

 

桜は適当に相槌を打つ。俺は黒カーテンで何も見えない窓を見つめる。正直、マフィアをやるんぐらいだったらそれくらいの影響力があってもおかしくない。

 

「着いた」

 

車は店の前に止まった。男達二人が先に降りてドアを開ける。先にアリアと桜が降り、その後に俺が車椅子ごと降りる。桜が車椅子のハンドルを手にして店の中に入る。スーツを着た店員が軽く会釈をしてそのままエレベーターに案内、上に上がり、最上階に着く。そのまま歩き、目の前にある個室の前にたどり着く。その個室には入ると中国料理店独特な大きな円形テーブルがあり、すでに料理は並べられていた。その一番上座の席にリーが笑顔で座っていた。

 

「来たわね。あなた達とは面で話したいからそちら側にお願いね」

 

男二人が俺たちの席の椅子を少し後ろに下げ、リーの後ろに立った。アリアと桜はその席に座り、俺はその二人の間、明らかに開けられたスペースに車椅子を止める。

 

「・・・・二人は食べないの?」

 

「えぇ、この二人は食に興味がないみたい」

 

「・・・・もったいない」

 

「それじゃ私たちの出会いを祝福して乾杯しましょうか、乾杯」

 

リーがワイングラスを片手に上げ乾杯の音頭を上げた。桜は訳がわからないようで適当にグラスを上に上げたが俺とアリアはそんな事しなかった。単純にそこまでお互いのことを知っている訳じゃないのに乗り気ではない。

 

「料理は好きなように食べて。私の奢りだから」

 

「いただきます」

 

好きなように食べて、その言葉を聞いて桜はすぐに皿と箸を両手に取り、料理を食べ始める。

 

「・・・・お前はもう少し見境を見ろよ」

 

「ふふ・・・さて、色々と話をつける前に貴方達のこともう少し詳しく教えて欲しいわ。そこの遊輝さんだけでなく、義理の妹に魔法使いさん?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「ふふ、やっぱり驚いたわね。あまりマフィアを舐めないで欲しいわ。これくらいの情報なら少し埃を叩いたらすぐに出てくるわ」

 

リーの不敵な笑みに俺とアリアは汗を垂らす。やはりこの女は侮れない。

 

「貴方、生まれこそ人間世界だけど育ちは全く知らない・・・異世界と言えばいいのかしら?学歴がない上に未知の力を持っているじゃない。まるで魔法みたいに」

 

「・・・・・」

 

「でも不思議な事に貴方たちの出生だけが不明なままなのよ〜。折角仲良くなるんだから教えてくれない?」

 

「・・・悪いけどそれは無理だ。どんなことがあってもそれは教えられない」

 

「ふ〜ん・・・まあいいわ。それくらいのことは気にしないわ。折角シークレットシグナーに魔法使いが手元に入ったんだもの。充分すぎるくらいだわ」

 

リーはワイングラスに入った赤ワインを一口飲んでワイングラスを回す。マフィアの底力は半端ないな。

 

「それじゃ料理を食べながら色々と条件を話し合いましょう。貴方たちの望みは、この騒動の首謀者を探し出す事だね」

 

「随分簡単に言ったわね。アテがあるのかしら?」

 

「それは秘密よ。でも、この条件が貴方たちが今一番求めているものでしょ?」

 

「ああ・・・・それと、この両脚を治す医者を探してる」

 

「貴方ご自慢のシークレットシグナーの能力を使えば治せるでしょ?」

 

「まだダメだ。能力の使いすぎで癌になる可能性があるし、他の副作用が否定できない」

 

「へ〜副作用なんてあるんだ。それは拾った情報になかったわ。良いわ。この辺りで一番の医者を紹介してあげるわ」

 

「助かる」

 

「他に条件は?」

 

「・・・・私たちが旅をしている間の資金面の援助、それをお願いしたい」

 

「資金面の援助?まさかそんなことを持ち出してくるとはね。仮にも海馬コーポレーションにカードの提供している者でしょ」

 

「そんなもの置いてきた。海外の銀行から下ろす余裕もないんだ」

 

「まあいいわ、それくらいなら余裕よ。ただルートを確保するのに時間がかかるから待ってもらう必要がある」

 

「それくらい構わない」

 

よし、これで資金面の問題は解決した。隣のアリアも少しホッとした表情をしている。

 

「次は私たちの、いや私の条件ね。まずは貴方たちには私の部下を鍛えてもらおうかしら?」

 

「何?喧嘩?マフィアの方がプロでしょ」

 

「デュエルに決まっているでしょ。初代WRGチャンピオンチームのリーダーにしてエクシーズ、ペンデュラム、リンク召喚の生みの親、そしてそのチャンピオンよりも強いと噂されている魔法使いからカードを貰い、鍛えてもらうのよ。私たちの組織がさらに強くなり、中国一、いや世界一の組織になれるわ」

 

銃や麻薬などが飛び交うマフィアの世界も決闘による弱肉強食の世界なんだな。本当、前世では考えられないことだ。

 

「・・・良いだろう。多少のカード提供とデュエルの腕前を上げてやる」

 

「一つ目は良し、次に貴方たちには私の会社の経営を手伝ってもらうわ」

 

「会社?なんの会社よ」

 

「表側の貿易関係の会社よ。なに、私の指示することをただ従ってやれば良いだけ。最近は裏社会だけではお金稼ぎが厳しくてね。こうやって表社会の会社を経営をしていかないと部下たちを養うことができないのよ」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「因みに私の会社は忙しいよ。これでもアジアではトップを誇る貿易会社を経営しているの。でも弱音を吐かせはしない」

 

アジアでトップの貿易会社、か。この女、表世界でもそれなりに顔が効くのか・・・・なるほど、情報を表社会でも裏社会でも情報を探し出すのは俺たちと比べたら苦労しないわけか。

 

「分かった。それくらいなら引き受けられる」

 

「ありがとう。さて、最後なんだけど・・・・ぶっちゃけ、今までの報酬だけでは貴方たちの報酬の一割も満たないわ」

 

「どういうことよ?」

 

「当たり前じゃない。こっちは情報提供に治るか分からない怪我を治すこと、裏ルートからの資金援助を受け入れたのよ。これだけの条件で終わると思った?」

 

「・・・・・最後の条件は何?」

 

アリアはリーにそう問いかける。リーはその質問を待っていたかのように口元をあげ、ワイングラスをテーブルに置き、立ち上がった。そのままゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。

 

「貴方たち3人、私の忠実な人形になりなさい」

 

「人形?僕でななく?」

 

「ええそうよ・・・・この仕事柄、私には部下が付き纏うことは当たり前、数少ない一人の時間も命を狙われないように大人しくじっとしている・・・・そういう運命を私は選び、そしてここまでのし上がってきた。けど遊び相手がいないのはやっぱり退屈なの。本当なら同世代などの友人を誘えば良いのだけど、そこの妹さんと同じで私も親なしの孤児、しかも一人っ子政策の闇に葬られた無戸籍よ。今は地位と金で戸籍を作りはしたけどね」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「それに私は戯れ合うことに楽しみを持てないわ。友達と遊ぶ?そんなもので私は満足しない。私は非常に強欲なのよ・・・・欲しいと思ったものは必ず手に入れて支配する。お金は死に物狂いでかき集め、道具なら金目に厭わす大量に手に入れ、ペットなら心ゆくまで私好みにするの・・・・・人間も一緒よ」

 

ゆっくりと歩いてきたリーは俺の真後ろに立ち、少し前屈みの態勢になる。右手は俺の頭に乗せて優しく撫で、左は腕まで回し俺の首をガッチリとホールドする。

 

「ふふふ・・・本当に可愛いわね。まるで子犬みたいだわ」

 

「・・・・・・・狂ってるわね」

 

アリアが絞り出すように、そう返答した。かくいう俺も額から汗を流し、料理にしか目をくれていない桜ですら箸を止めてしまっている。この女の欲望は底知れぬくらい深い。その為にマフィアのボスという地位まで上り詰めたくらいなのだから。

 

「最初にアムールから情報を受けた時は何の魅力も、は嘘になるけどそれほど感じなかった。世界中で貴方みたいな異端児は探せば出てくるから。サイコパスなマッドサイエンティストにでっち上げも魔法使い、アムールが計画していたサイコデュエリストが例かしら。貴方を捕らえる仕事が来た時も単なる金のなる木にしか見えなかった。でも、今日実際に見て180度変わった。あの会社が貴方達3人を手にしようとした考えがよく分かったわ。だから、お金を捨てて、世界の表社会・裏社会から敵に回そうが今こうして貴方たちを匿っているのよ。それ以上の価値が貴方たちにはあるわ」

 

「・・・・・・・・・」

 

リーはそう言いながら俺から離れ、今度はアリアの後ろに立ち、同じように頭を撫でたり体を触る。この女から発せられる言葉一つ一つの重み、それが俺やアリア、桜に鎖のように重く、そして固く雁字搦めになって縛り付ける。

 

「だから決めたの。貴方たち3人を私好みのお人形にするの。イエスとしか答えない心ある部下や僕、奴隷ではない。本当に私の好きなように操ることができるお人形になること・・・・これが最後の条件よ」

 

リーはハッキリとそう言った。その条件の答えに俺は躊躇ってしまう。分かっていた、こんな事になるとは。だが、俺たちはそうなってでも情報が欲しかった。そして・・・・

 

「・・・・・何となく読めるけど、最後の条件をこちらが飲み込まなったら」

 

「交渉決裂、だけど逃しはしないわ。私の欲しいものが今こうして目の前にあるんだもの」

 

「・・・・・・・・・」

 

「ふふ、言ったでしょ?私は非常に強欲だって、どんなことをしてでも貴方たちを手に入れる・・・・・調教するのも面白いし、四股を切断して本当に人形にするのも良いわね。心配しなくても捨てたりはしないわよ?私は『手に入れた物』は最後まで大事に持っておくから」

 

「・・・・・・・・・」

 

アリアから離れたリーは桜にも同じように体に抱きついた。桜の手が少しだけ震えている。

 

「あらあら、こんなに震えちゃって。小さい女の子には少し刺激が強い話だったかな?大丈夫、貴方たちがこの条件を飲んだら五体満足の状態でお人形にしてあげるわ」

 

「・・・・・」

 

「何か考えているようだけど貴方たちに考える時間は与えないよ。今、この場でYesかNoか答えなさい」

 

リーは俺たちに時間をくれないようだ。すでに俺たちは壁に追い詰められたネズミ、この強欲な蛇に飲み込まれるしか選択肢がない。俺は横にいるアリアと桜を見る。アリアは苦しい表情をしながらも顔を縦に振った。桜は怯えた表情をして、少し抵抗したがゆっくりと縦に振った。

 

「・・・・分かった。その条件、全て受け入れる」

 

「・・・・ふふ、そうよね。少し賢明な貴方なら無条件で受け入れると思ったわ。じゃあこれから契約しましょう」

 

俺の言葉を聞いたリーはそう言い放ち、桜から離れた。部下の男の一人から銀色のアタッシュケース手にとる。

 

「私たちの組織では仲間の証として同じ模様の刺青を掘ってもらうの。でも貴方たちはこれから私専用のお人形になるんだからその綺麗な体に刺青なんて掘りたくもないわ。だから、代わりに同じ模様が刻まれたこれを身につけてもらう。これが契約を交えた証よ」

 

アタッシュケースのロックが解除され、開かれる。その中には黒色の皮製の首輪が3つが入っていた。そこ首輪の中央には銀色の紋章があり、そこには蛇の絵が刻まれていた。




遊輝「・・・・・・・」

アリア「・・・・・・・」

桜「・・・・・・・」

遊輝「・・・・悪い」

アリア「・・・・良いわよ。気にしてないわ」

桜「・・・・大丈夫お兄ちゃん。私はいつまでもお兄ちゃんの味方だから」

遊輝「・・・・・・」

桜「・・・次回、『操られた人形』。次回もよろしく」
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