年が明け銀行が開き、当選金の受け取りに向かう扶桑と山城。やはり間違いなかった、数週間後におかしな金額が自身の口座に振り込まれているのを確認する。共同購入をしたので、半分ずつそれぞれの口座に振り込んでもらった。
※贈与税とかこの際気にしないでください
「困ったわね」
「困りましたね」
「山城、このこと誰かに言った?」
「いいえ、誰にも」
「そう」
「何に使いましょう?」
「そうねぇ、あり過ぎて逆に思いつかないわ」
部屋で通帳を眺めている二人。『宝くじが当選しても誰にもいわない』という鉄則だけは守っているらしく、この事実はまだ二人だけの秘密。使う当てがない、別に給料が安いわけでもない艦娘、二人とも質素倹約で切り詰めて欲を押し殺しているわけでもなく、単純に物欲があまりない。全く思いつかない使い道に頭を悩ませている。
「山城、私取りあえず新しいポットでも買おうかと思っているんだけど」
「何千個でも買えますよ姉さま。なんなら小さい会社だったら買収できるくらいの額ですよ」
「ちょっと贅沢して海外のメーカーのモノでも買ってみようかしら」
「外資だとちょっと無理ですね」
「山城、ちょっとタブレット貸してくれる?」
「はい」
「それと、ちょっといい湯のみでも買おうかしら」
「重要文化財クラスだったらちょっと無理すれば買えますよ」
山城が無理に金の使い道を提示してみるが、それに応じるつもりはなさそうな扶桑。山城自身が何も考えつかないため、まず姉に動いてもらえないもんかと、ちょいとかまをかけている。
「…よし、注文完了」
「いくらですか?」
「ポットと二人分の湯飲みと急須で、4万円弱ってところかしら」
「贅沢しちゃいましたね」
6億マイナス4万円=残高5億9千9百9十6万。雀の涙どころかミジンコレベルの消費額、減った気がしない。
「姉さま」
「なぁに?」
「私、ちょっといいお寿司が食べたいです」
「あら、いいわね。じゃあ出前でも取りましょうか?」
「じゃあ姉さま、タブレットを」
「はい」
扶桑からタブレットを受け取る山城。おもむろに『出前館』を開いて、圏内の寿司屋を検索する。
「姉さま、特上でいいかしら?」
「いくら?」
「二人分で9980円です」
「いいわよ」
ポチっと注文完了。
…数時間後
「美味しかったわねぇ」
「ええ、高いのはモノが違うって本当なんですね」
1万円をものの数十分で平らげた二人。銀行の帰りに買ってきた高い茶葉で淹れたお茶をすすっている。
「でも、こんなの毎日は要らないですね」
「ええ、飽きてしまうわ。月に一回くらいでいいわね」
「このペースだと使いきれませんね、死ぬまでに」
「そうねぇ」
この段階で「贅沢完了!」という空気が蔓延している。温泉くらいには行こうかと考えてはいるものの、それにしてもたかが知れている。あまりの金額に未来が想像できない。ドリカムに頼ったところで何の解決にもならない。取りあえず暫く今まで通りの生活をしようと結論を出す二人。そんな結論を出した後山城が「Hulu加入していいですか?」と言い出したので迷わず加入した。ついでにアマプラも。
そしてまた時は過ぎる。