こちら、椴法華鎮守府日常譚   作:汐ノ爾

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その2

「ところで、どこでやるの?」

 純粋な疑問をその場にいる皆にぶつける提督。まさか鎮守府のグラウンドでやるのではあるまいか。そんなことをされたら窓ガラスが何枚あっても足りないどころか防弾にせねばなるまい。

「あぁ、近所の球場を借りている、毎年そうだぞ」

「へぇ………。ってあの使途不明金これだったのか!」

 提督の中で全てがつながった。昨年の決算書に目を通していた際「友好費」という、聞こえはいいが額面がとんでもないものが一つあり、それがなんだかわからなかった。ここへきてそれが「球場レンタル費」であることを悟る。

「安心しろ。チケット代やら出店の売り上げなどで最終的にプラスになる。おらが村の一大イベントになったと地域のみんなも喜んでいるぞ」

「あぁ、金取ってるんだ」

「当たり前だ。一時的に予算からちょいとお借りしてはいるがちゃんとその分補填しているわけだし、それにその後の打ち上げであったりそれこそ野球用品を買うのにまで予算を使うわけにはいかない。自分たちのことは自分たちで、だ」

 力説する長門。

「さぞかし儲かってるんでしょうね…」

 先日グラウンドに降りた際、置いてある野球道具の数々が非常に高級でプロ仕様のものばかりだったことに対しても今合点がいった。ミ〇ノにS〇K、なんでそんなものまで必要なんだとティーバッティング用のポールにピッチングマシーン(特注)「いいからここにプロ球団を作れ」といいたくなったけど、この熱の入れようだと本気にしかねないので口にチャックをした。

「ところでさ、メンバーの中にアメリカ艦いないけどなんで?」

 ベースボールといえばアメリカ、それなのにアメリカ艦が一人もメンバーに含まれていないことに疑問を持つ。勝手なイメージではあるがとても戦力になりそうと感じている。

「それは規定上NGにしている、フェアではない」

「どゆこと?」

「アイオワに限ってのことだが彼女はMLBの契約を結べるレベルだからだ」

「え?」

「本国へ行った際観戦していた3Aの試合に乱入したらしく、そこでスカウトの目に留まりメジャー契約を持ち出されたらしい。しかし本人、『私日本が好きなのでアメリカに残れまセん。帰化しようかと思ってるくらいデース。なのでオコトワリシマース』と、5年100億の大型契約を蹴って帰ってきた経緯がある。そんな殿堂入り確実な者をたかだか我々の草野球に参加させるわけにもいくまい。コーチはお願いしているがな」

 チョー似てる物まねを交えて長門が経緯を説明してくれた。中の人違うはずなのに。

「いいから出せよ、遊びだろう。てかメジャーに出すほうがルール違反だろう、艦娘だぞ」

「とにかくだ、今年は勝つ! 何が何でも勝って3泊4日熱海旅行をゲットするのだ。そこまで軍の予算にお世話になるわけにはいかないっ!」

「アレもおまえらか!」

 友好費の下に『遠征費』とこれまたわけのわからないものがあった。これも犯人はコイツらだった。報告書未記載ではないだけまだ正義は残っているらしい。

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