こちら、椴法華鎮守府日常譚   作:汐ノ爾

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その3

 試合当日、快晴。

 

 ポンポンと、試合の開催を告げるのろしが上がり、どこからか放たれた鳩の群れが空を舞っている。村営の球場は「椴法華Ball Park」といわんばかりに客で溢れ出店が並び、年一の盛り上がりを見せている。

「想像してたんと違う、人多過ぎ」

 余りの人の多さにうんざり半分で驚く提督。

「そうですか? まぁ確かに去年より人は増えてますね、順調順調」

 観客が増えご満悦の大淀。話題が話題を呼んで、まだ3回目ではあるが爆発的に観客は増えている。チケット完売出店盛況、興行的には大成功、鎮守府大喜び。

「あれ、そういえば今日鎮守府に誰か残ってるよね?」

 提督が大淀に尋ねる。

「何言ってるんですか、全員出払ってますよ。試合に出る人応援する人、出店担当の人デモンストレーションする人、一人も残ってないですよ」

「いやマズいだろう! 仮にも軍港ですよあそこ?」

「大丈夫です、ペッ〇ーとAIB〇置いてきましたから。受付と留守の対応くらいならなんとかなります」

 

 …その頃、鎮守府正門前のペッ〇ー

「いらっしゃいませ、ご注文をドウゾ。いらっしゃいませご注文をヲヲヲガタピシ」

 すでにトラブっており、宅配業者にわけのわからない自動音声で対応していた。AIB〇は足元でフリーズしている(寿命がぁぁぁぁぁ)

 

※実のところ「日光に当たると溶けるから外に出ない」と頑なな初雪だけが自室に引きこもってゲームをしていた。チャイムが鳴っても当然無視だが

 

「鍵もかかってますし、不法侵入に対しては簡易イージスもありますから大丈夫ですよ」

「警備ザルなんだか鉄壁なんだかよくわかんねぇな、うちの鎮守府」

 覚悟は決めた提督。始末書1枚くらいで何とかなるならもうこの日を楽しもうと腹をくくる。陽炎型数名が営んでいるたこ焼き屋でたこ焼きを買う。

「楽しんでいるか、提督!?」

「あぁ、なが…と?」

 大声で呼ばれ振り向くとそこには長門。なのだが、真新しいユニフォームの凛々しい姿がそこにはあった。胸には『TODOCHIN』って書いてある。帽子には『TL』の文字が燦然と輝いている。袖には『ミ〇ノ』と刺繍がある、高そう。

「また大層なユニフォームですこと」

「あぁ、この日のためにあつらえた。30着まとめてだったから多少割引は効いたが。当然提督の分もあるからな、後で着替えるといい」

 横からこそっと大淀が請求書を渡してくる。「ユニフォーム代 ¥309,000 椴法華鎮守府様」と記載がある。白髪が増えそう。

「さぁぐずぐずするな。もう選手はウォーミングアップを始めているぞ。座っているだけとはいえ一応ヘッドコーチなのだ、さぁいくぞ」

 襟首つかまれて引っ張られていく提督。人波をかき分け球場内へと向かう。通り過ぎる人々はみな笑顔でこのイベントを楽しんでいるようである。やってよかったんだろう、とここに来るまでは多少否定的に見ていたが、そんな気持ちも吹っ飛んだ。

「ところでチーム名ってあるの? 帽子のLってもしかして」

「あぁ、そうだ。チーム名は『椴法華ライオンズ』だ」

「せめて海の生き物モチーフにしなよ」

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