こちら、椴法華鎮守府日常譚   作:汐ノ爾

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その10

 毎回毎回を長々書いても読者諸君も飽きると思うので少し回を早送りさせていただく。

 

 5回裏までが終了。

 

SS:1 3 3 2 4

TL:1 1 2 0 3

 

 現在のところ【深海サーモンズ13 対 椴法華ライオンズ7】と、少々点差が開いた状態で前半を終える。5回を終えたところで瑞鶴の球数も120球を超えている(さっさと替えろよ)しかしビックリ野球大会の様相を呈している中この点数で抑えているのは、ある意味(?)見事といえよう。仕事は十分したと提督は思ってる。恐らくこの回までなのだろう、右腕をアイシングしてグッタリベンチに腰かけている。

「あ、あたしの渾身の噴式ストレート(打ち頃のド直球)がああも簡単に…」

 魂が抜けながら何か呟いている、見ちゃいられない。

「4回の0点が響いているな。8回までになんとか1点差くらいにはしておかないと厳しいぞこれは」

「しかし、今年の深海勢の気合の入り方は異常だな。昨年よりもやる気に満ち溢れているぞ」

「彼女たちになにかあったのだろうか…」

 円陣の中、そんな疑問が選手たちに湧いてくる。しかしその理由を提督だけは知っていた。話は遡り5回表攻撃開始前。

 

「ネエネエ テイトクサン」

「あら、こんにちは。えっと潜水新棲姫ちゃんだっけ?」

「ウン ヒメコデ イイ」

 ウグイス嬢の鹿島と何か話していたところに、地獄の門番こと潜水新棲姫がちょこちょこと寄ってきて挨拶をしてくる。本当にかわいい、娘にしたいと心底思っている。

「なにかご用?」

「エットネ ワタシタチ コトシモ アタミニイケルヨウニガンバル」

「へぇ、そっかー…………。ん? え、行ったの?」

 去年の勝者は深海勢、商品も長門の言うところによれば熱海旅行。そりゃ勝ったほうなら行っててもなにもおかしくない。

「ウン スゴクタノシカッタ オヘヤモスゴイシ オフロモオオキイシ オリョウリモ エビヤタイタキンメダイガ イッパイデテクルノ」

「へぇ…どんなお風呂?」

「ントネ ウミノナカニイルミタナオフロナノ」

「サンハ〇ヤか! そこまで高級じゃねぇし!」(心の叫び)

※サン〇トヤの関係者の方ごめんなさい

 旅館を的中させる提督。

「ダカラ コトシモイケルヨウニガンバル」

「そ、そっか。でもこっちも負けないぞ」

「ウン セイセイドウドウヤルノ ジャアマタネー」

「じゃあねーヒメコちゃん…」

 無表情ではあるが何となく嬉しそうに、手を振って提督の元を後にする。

 

 時間戻ってナウ。

「完全に味占めたんだな、熱海旅行…」

 気になって通りすがりの戦艦姫にも尋ねたところ「アタミノソ〇サカンノセイチメグリガタノシカッタ」とのこと。聞けば大層なオダギリジョーファンらしい。確かに彼女らにとってもうまみがなければこんな試合やるわけもなく、考えてみれば当たり前である。しかしまさかドハマりしているとは思わなかった。完全に商品目当てで本気で来ている。

「よぉーし、ピッチャーも交代して仕切り直しだ。この回はゼロで抑えるぞ!」

「んー、多分勝てねぇわオレら」

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