「代打、金剛!」
「いくデース!」
バットをぶんぶん振り回し気合マックス右バッターボックスに入る。
「さっさと投げるデース!」
「イワレナクトモ」
三連装砲さんが振りかぶって第一球を投じる。
「いきまス! 金剛型ファイナルスペシャルホールド、ヴィッカースカルテット!」
眩い光が金剛から発せられる。神通の探照灯はみなわかっていたがこればかりは敵味方双方予想していなかった。スタンド含め全員の目がくらむ。しかし提督、すでに役目を終えたリシュリューが「代わり」といってベンチに置いて出て行ったサングラスを何気なく掛けていたため難を逃れる。その後の光景を提督のみがしっかりと目撃する。右に二人左に二人、両バッターボックスにそれぞれ二人ずつの金剛が…、ではなくよーく見てみるとなんのことはない、どこからか現れた妹三人がそれぞれバッターボックスにしれっと立っているだけであった。「艤装はセーフ」というルールの盲点を突いた見事な技。
「榛名は…」
「マイク…」
「見捨てないでぇぇぇぇ!」
一人非常に悲痛、それぞれ何か叫びつつ四人一斉にバットを振る。「スパコン」と、情けない音とともにボールが前へと飛んでいく。バットに当てたのはどうやら榛名のようで「だいじょうブイ」と、往年のシュワちゃんの決め台詞を叫んでガッツポーズ。飛んだ球自体はボテボテだが、目がくらんでいるため誰も球を追ってはいない。その隙に金剛以外の三人は霞の如く消え去り、金剛は二塁まで到達していた。
「むぅ、いったい…。 !なんと、二塁まで行っているではないか。提督、何があったんだ!?」
眩しさから回復した長門が提督に問う。
「…ヴィッカース社製は金剛だけだよな、確か」
「???」
とはいえ、これでホームランが出れば同点。延長はないためこちらの負けはなくなる。しかし引き分けの場合景品はどうなるのだろう。そこら辺のシステムを提督は知らない。
「代打、私だ!」
長門自らバットを担いでズシズシとベンチを出ていく。抑えとしての役目がリシュリューに奪われてしまったため、手持無沙汰というか不完全燃焼だったのだろう。ここで追いついて負けをなくすつもりか、最後の賭けに出たようである。
「戦艦棲姫よ、とうとう決着をつける時が来たようだ」
「マッテイタゾ コノトキ」
どこで因縁があったのか知らないが、二人の間にバチバチと火花が散っているのがわかる。監督をやるくらいなのだから、それは上手いに決まっている。提督もミジンコほど期待しているが、たぶんその期待は裏切られるだろうということもなんとなーく気が付いている。ベンチの整理をしながら長門の打席をチラ見している。
「イクゾッ」
「こぉい!!」
三連装砲さんの直球が唸る…。
次回、いよいよ決着!