審査員は間宮は固定で、残り6人をくじで決定することに。栄えある審査員は、赤城・鈴谷・那智・ザラ(帰ってきた)・多摩・クソガキ(佐渡)、以上6名が選ばれた。
「使用する食材はここに用意されているものでも構いませんが、ご自身で用意していただいても構いません。そこはお任せしま~す。それでは準備はいいですか? では、調理開始!!」
「どじゃ~ん」と試合開始を告げる銅鑼が鳴る。なんで鎮守府にこんな備品があるかはいずれ語ろう。
「じゃあ折角だからこの前持って帰ってきた名産の卵を使うわ」
瑞鳳が自身の食材庫に卵を取りに向かう。しかし提督は動かない、用意されたものを使うのだろうかとステージを降りる瑞鳳は考えたが、次の瞬間遠くから提督を呼ぶ声がする。
「ていとくー、買ってきたよー」
「おお、サンキュー」
近寄ってくるのは白露と村雨、手には何やら携えている。そのままステージに駆け上がりその手のものを提督に渡す。
「うん、これだけあれば十分だ」
それは丸いプラスチックの器に入った、無人販売所でよく目にする売られ方の卵であった。それを二ケース、提督は二人に注文していたのだ。瑞鳳は二人とすれ違ったためそれがなんであるかわかりはしなかったが、なぜ試合開始とほぼ同時に指定された食材が提督の手元に都合よく届くのか、一部観客は訝しんでいた。そうこの食材、実は仕組まれていたのだ。
…5分前
「あの、間宮さん。ちょっとお願いがあるんですけど」
「はい、なんでしょう提督」
開会式前、ステージ裏にてこそこそと話す提督と間宮がいる。提督の手には一枚の折り畳まれた紙切れがある。
「これ、食材決めの時に持って箱の中に手を入れてください」
「えぇ!? それってズルじゃないですか」
「いえいえ、中開けてみてください」
イカサマをする、当然間宮はそう考えた。しかしそういうことではないと提督がその紙を間宮に確認させる。
「…あれ? 卵って」
「はい、そうです」
「これじゃあ瑞鳳さんに有利になっちゃいませんか?」
「いえ、いいんですこれで。これで負かしてこそ彼女も納得する、だからこそこれなんです」
「…わかりました。提督にどんなお考えがあるかわかりませんが、これならそう贔屓でもないでしょう、やります」
あえて相手側に有利な食材を選択させる。そこに自信が有利になるという姑息な考えはないであろう。間宮の誤解は解け、そのくじ引きのイカサマには協力することを了承する。そして上手いこと事は進み現在に至る。
…現在ステージ上
「一番良さそうなの選んできた」
「うん、十分新鮮そうだ。助かったよ、今度ご馳走してやるからな」
提督は二人に礼を言い、いざ調理へと取り掛かる。ルールとしては最低3品、それを7人分。そううかうかはしていられない、腕まくりをして必要な調理器具を並べる。その手さばきは昨日今日料理を始めた人間の手つきではない。それは観客の誰もが思った。「コイツできる」と、間宮もステージ袖から思った。
ほどなく瑞鳳も食材を抱えステージに戻ってくる。
「提督、もう料理始めてる。…ってかうま!」
まだ食材に手を付けて間もないところではあるが、提督のその手さばきに一瞬で目を奪われる。自分もそれなりにやってきて上手くなっているという自負はあったものの、それと同じ、いやそれ以上かもしれない。楽勝ムードでやってきたがそんな気は失せ、ここで一気に身が引き締まる。
「て…ていとく、できますね?」
その言葉に返事はせずただ瑞鳳の顔見てニヤリとするだけの提督。瑞鳳に恐怖とは呼べないがなにか得も言われぬ感情が襲ってくる。
「ま、負けませんよ! 北方遠征は頂きますから!」
「そんなに鎮守府にいたくない、ねぇ?」
瑞鳳も調理開始。