こちら、椴法華鎮守府日常譚   作:汐ノ爾

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その5

 提督が男もののある反対方向へ消えていったのを確認して、頼まれ物を探し始める村雨。少しかがんで提督に見つからないように、買っているものを悟られないように相当気を遣っている。

「時雨ったら、なんで下着なんか頼むのよもう!」

 小さく叫ぶ村雨。用事というのは時雨からのお遣い、しかも下着というセンシティブなものであった。そりゃ提督には見せられない。姉妹がどんな下着を履いているのか、それを知られては何に使われるか(?)わからない。店内メタルギア状態で時雨の下着を探し回る。

「あ、あった」

 頼まれものを見つけた村雨。そこにあったのはフリフリヒラヒラスケスケ、とは程遠い上下セットのスポーティな黒の下着であった。流石に姉妹とはいえ他人に勝負下着を頼むわけもなく、普段使いのものを頼んでいたらしい。というか誰に対して勝負を仕掛けるのだろうあの鎮守府の艦娘。朴念仁昼行燈の提督はそもそも対象外であろう。

「サイズは…」

 自分の胸を揉み始める村雨。どうやらサイズは同じらしい。

「…これかな。1セットでいいんだよね」

 該当サイズの品を手に取り、また周りを見回して別の場所へと移動する。

「後は…、夕立のTシャツを。ってこれは適当でいいのか、部屋着だし」

 あとは夕立のもののようである。要望としてあるのは「少しダボっとしたの」というものだけのため、デザインなどお構いなし。ショップブランドのコラボシャツを適当に物色している。

「これでいいや」

 どこかで見たことがあるようなないような、怪しげな浮輪のイラストが描かれたシャツを手に取る。サイズは要望通り大き目でLサイズ、以上用事終了。と思いきや、もう一度下着売り場へと戻っていく。そして先ほどの時雨のものがあるところとは違い、今度はちゃんとした(?)下着の前に立っている。

「…」

 またキョロキョロ店内を見回している。そしておもむろに一つの下着を手に取って、先ほどの夕立のTシャツで畳み込むように挟む。今度は自身の下着であろう。時雨のこそ地味で言い訳も効くが、自分のに関しては今この場で提督に見られようものなら、恥ずかしくて今後目も合わせられない。男子高校生がエロ本をジャンプでサンドして買うかの如く方式でレジへと持っていく。

「おう」

「あ」

 レジ前でばったり提督と遭遇する。これがあるから危ない。しかし対策はきっちりと取っていたので問題なし。でも緊張はする。

「先いいぞ」

 レジを譲られる村雨。しかし先に会計をしてしまっては下着を見られてしまう! 店内が暑いから流れているわけではない、焦りからダラダラと汗が頬を伝う村雨。

「ん、どうした?」

 近づく提督、チラつく下着。マズい、これはマズい。村雨、どうこの危機を回避する。

「提督! 私まだ探すものあった、先に買って外で待ってて!」

 そう告げるとピューと走り去り、必要もないものの売り場へと消えていく。

「アイツ、なんで男物下着売り場にいってんだ?」

 違う誤解は生まれたが下着は提督に見られることなく無事購入。次の店へゴー。

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