明石のお遣いのものがある最寄りのホームセンターへとたどり着く。駐車場に車を止めて車外へ出ると、上空を何やら飛んでいるものがあり目に入る提督。しばらくみているとそしてそれは徐々に大きくなり、どうもこのホームセンターめがけて飛んできているような軌道にしか見えない。「深海さんの空襲?」と雑に考えてしまう。
「なぁ、あれってなんだ?」
提督が呟く。二人なら知っているかも、そう答えに期待はしていないが一応念のため。
「水上機の群れじゃない?」
「だよねぇ」
「群れ?」
あっさり答えが返ってくるが、何かおかしな日本語が耳に入ってきたためにすぐには理解できない提督。連れの二人はそれを目にした瞬間なんであるかも理解している様子。近づく水上機の群れ、下には何かぶら下がっている。複数のプロペラの音がひときわ大きくなり三人のほぼ直上に達したその時、ぶら下がっていた何かがここにめがけて落下してくる。
「ちょ!」
身構える提督とは対照的に動じない白露と村雨。すると提督が身構えると同じくらいに上空で何かが開き落下スピードに急ブレーキがかかる。ゆっくりフワフワ落下してくるその物体、というか人。落下スピードが遅くなったことで逃げ腰だったその体を元に戻し、改めて落下してくる物体というか「艦娘だろうな」と、大体察しがついた提督。それはゆっくり三人の前に降り立つ。
「よいしょっと」
フワリと舞い降りた天使のようなその人、瑞穂であった。傘を折り畳み上空の水上機に向かって「ありがとう妖精さーん」と手を振る。
「あら提督、こんにちは。いらしてたんですか?」
目の前に立つ三人に気づき、何事もなかったかのように提督に挨拶をする瑞穂。
「瑞穂さんこんちわー」
「あら、白露さんに村雨さんも。こんにちは、お買い物ですか?」
「提督の付き合いだけどね」
「あのさ、今空から来たよね? 親方に教えたほうがいいのかな? 空から女の子がーって。そんでもって空にラピ〇タとか探しに行ったほうがいいのかなオレは」
「明石さんのお遣いなの」
「あら、そうでしたか」
提督の言うことなんか聞いちゃいない三人。空から降ってくることなどさも当然と言わんばかりに、華麗にスルーして会話をしている。
「群れって何? 親鳥の代わりして水上機越冬させるつもりなの? そんなに寒さに弱かったの??」
「あら、提督。そういえばご存じありませんでしたね」
やっと提督のほうを向いて答えてくれる瑞穂。
「あれ、うちの子たちですよ。私たち遠出する足がないじゃないですか。だからそういうときはアレにつかまって移動するんです。水上機母艦の皆さんは普通にやってることですよ」
上空を旋回している水上機を見つめながら説明してくれる瑞穂。
「えぇ…」
「あの少し光ってるのがリーダーの子です。特別なんですよ」
指をさして教えてくれる瑞穂。提督が見たところでどれも同じにしか見えない水上機だったが、彼女らには違いがわかるようだ。そもそも特別とは何だろう、悩む提督。
「さぁ、お店に入りましょう。日に焼けてしまいます。折角ですからご一緒しましょうか」
「お、おう…」
瑞穂に促されて店内へと移動する三人。上空では鳥がギャーギャーと騒ぎ立てている。どうやら水上機とバトっているようだが、勝負になるのだろうか。非常に恐ろしい、生態系にやさしくない移動手段を見てしまった提督。ついでに「なんで瑞穂がホムセンに?」という疑問も湧いてくるが、上空のことに比べれば些細なことだったので忘れることにした。