こちら、椴法華鎮守府日常譚   作:汐ノ爾

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その9

「ネジはこれ、ボルトはこれですね。あと工具は…、あちらですね」

 やたらと日曜大工系のことに詳しい瑞穂。聞くところによれば常に持ち歩いている三方のギミックは自作らしく、季節ごとに自身でネタを作成し仕込んでいるらしい。「今なら鳩を出せます」と、ホームセンター内で鳩を大量に出して見せる瑞穂。店内が鳥臭くなる。今日も次回作の材料を調達しに来たらしく「次は火を噴きたい」とのことらしいが、それはもう兵器ではないかとツッコミたかったが愚問とわかったのでやめる提督。しかし、この偶然の出会いのお陰で明石のお遣いはすんなり片付く。

 店を出て瑞穂とはここで別れる。

「年末、楽しみにしていてくださいね」

 と、忘年会ネタを今から仕込みに来ていたことが別れ際に判明する。そして上空待機していた水上機にさらわれるように空に舞い上がり、そして彼方へと消えていく(鎮守府のほうだけど)

「オレ、見かけで人判断するのやめるわ」

 空の向こうに見える瑞穂を眺めながら呟く提督。

「なにいってんの? 当り前じゃん」

「さぁ、最後のお遣い済ませに行こう。イ〇ン〇オン」

 残すは妙高からのお遣いのみ。

「あ、そうだ提督」

 村雨が提督に声を掛ける。

「何だ、まだ寄りたいところがあるのか?」

「うん。でも最後でいい、買い物終わったらちょっと寄って欲しいところがあるんだ」

「あぁ、あんま遅くならないなら構わんぞ」

 手を合わせてお願いしてくる村雨。それにほぼノータイムで了解の言葉を返す提督。

「やった、ありがとう」

「じゃ、いくか」

 三人が車に乗り込み最後の調達先へと向かう。

 

 そして、最後のお遣いが片付く。

「で、村雨。どこに行きたいんだ?」

 両手いっぱいの荷物をトランクにしまいながら村雨に問いかける提督。今だ目的地は聞けていない。そんなに言いづらいとこなのだろうか、なんて勘ぐっている。

「えっとね、ここからちょっと海のほうに行ってもらうとあるんだけどね」

「海?」

「あ、もしかして」

 白露は何か分かった様子。

「うん、あそこ。最近ほとんど行ってなかったしね」

「だね、久しぶりに見たいね」

「??」

 二人で話が勝手に進む、理解が追い付かない提督。

「さ、行こう提督」

「お、おう」

 車に押し込められ、言われるがままに車を走らせる提督。日が傾きオレンジ色の光が車内に入ってくる。どこへいくのだろう、何もわからずハンドルを握るが少し冒険の匂いがして不安どころか期待が上回っている。そして20分ほど走った頃、海へ続く一本の道へと入り込む。そこから間もなくだった、視線の先に大きな建造物のようなものが見えてくる。

「あれって…」

「あそこ、あそこに行きたかったの」

 優しい声が後部座席から提督に返ってくる。車は速度を緩めそしてその大きな建造物の前で止まる。ドアを開け外に出る提督、そして視線は自然とその目の前のものへと向けられる。

「灯台?」

「じゃないよ、これはね…」

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