いい加減のぼせてきたワンコも、結局のぼせて動けない水母を担いで風呂から上がる。扇風機の前に水母を放り投げ着替えを済ませ、意識が戻りかけた水母に何とか浴衣を着せて、これまた担いで大浴場を後にする。部屋に戻る道中ゲームコーナーが目に留まる。そこではヒメコがUFOキャッチャーの中身をカラにする勢いで全ての景品を吊り上げ、自身の後ろに山積みにしている光景があった。
「ヒメ、先に部屋に戻っているぞ」
その呼びかけに気づいたヒメコが振り返る。
「うん、わかったー」
「702だぞ、間違えるなよ?」
すでに視線はUFOキャッチャーに戻っていたが、後ろ手に「OK」のサインを出すヒメコ。それを確認したワンコは、水母を引きずり部屋へと戻る。
「集積地め、同じ部屋なら責任をもって回収しにこいっての…」
水母の同室の集積地が迎えに来ないことをグチりながらも、人様のご迷惑にはなるまいと律義に自分で部屋まで送り届ける。水母の部屋へ辿り着くと、そこにはすでにルームサービスで出来上がっている集積地の姿があった。軽くキレて担いでいた水母を投げつけて扉を乱暴に閉めるワンコ。
「あれではせっかくのご馳走が食べられなくなるではないか。わかっていない、アイツはなにもわかっていない!」
温泉好きというよりもう旅行大好きマナーお姉さんになっているワンコ。自室の前へと戻り鍵を開け、ようとするが鍵が見当たらない。小物入れの中、浴衣のポケット、胸の間、ありそうなところを全てまさぐるがやはりない。
「あ、あれ? どこかで落としたか?」
周りをきょろきょろと見渡すが、やはり見当たらない。困り果てるワンコ。取りあえずフロントへ行こうと踵を返しエレベーターへ向かう。するとそのエレベーター側から一人の小さな男の子がこちらへと向かってくる。
「あの、お姉さん」
その子はワンコの前で立ち止まり声を掛ける。
「ん、何か用か少年よ?」
「これ、落としませんでしたか?」
少年の掌にはワンコの部屋の鍵が乗っていた。
「あ、これは私の部屋の鍵だ。少年よ、どこでこれを?」
「一階のエレベーターの前に落ちてました。部屋の番号も書いてあったので持ってきました」
「そうか、ありがとう。探していたんだ、とても助かったよ」
微笑んでそれを受け取るワンコ。持ち主にそれを渡せたことで少年もうれしそうに微笑んでいる。
「何か礼をせねばなるまい。少年よ、何か望みはないか? そう大したことは叶えてはやれぬが」
ここでも義理堅く、少年に対して礼をすることを提案するワンコ。
「えっ、いいの!? それじゃあどうしようかな…」
さすがに悩む少年。しばらくの熟考の後その少年はワンコにこう告げる。
「えっと、それじゃあ…」
「言ってみよ」
どんな可愛い願いがくるのか、しゃがんでそれを見ていたワンコが聞いた答えは…。
「お姉さんのおっぱい揉ませて!」
「おっ…………ぱ?????」
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「ありがとうお姉さん!」
やたら艶々した少年が元気よくワンコに手を振り去っていく。
「…5秒にしておくべきだった」
両手をがっくりと床につき、せっかく流したはずの汗が体中につたわっているワンコ。そこに少年と入れ替わるようにヒメコが戻ってくる。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「…どうもしていない。さぁ部屋に入ろうか…」
椴法華なう
「加賀さん、なんでこんなに胸大きいのよー! 私に少し分けてくれてもいいじゃない!」
「…瑞鶴、あなた酔うたびに私の胸を触りに来る癖、直しなさい」
バーベキューで酒の入った瑞鶴が、加賀に絡んでいる。瑞鶴は酔うと加賀にも遠慮なく絡み、そして胸を揉むという癖があったのだ。それはもう鎮守府では周知の事実でだれも驚くことは無いが、その光景を初めて見た提督は何とも言えない気持ちになっている。しかしそれもつかの間、赤城から目つぶしを食らいもんどりうっている。瑞鶴の後ろではそれを羨ましそうに眺める葛城の姿がある。
「あ…、あたしも揉んでほしい!!」