こちら、椴法華鎮守府日常譚   作:汐ノ爾

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作戦終了:終

午後9時過ぎ

 

「加賀さん、七味取ってもらえますか?」

「はい、どうぞ」

「ありがとうございます」

「赤城さん、それで何杯目ですか?」

「えっとですね…、2ダース目ですね」

「ごめんなさい、私が聞き方を間違えたみたいで…」

「いえいえ。でもここまでくるとちょっと味を変えないと飽きるんですよね」

「…そういうものですか」

 例の部屋、毎度のようにコタツにあたっている赤城と加賀。すでに夕食は済ませた後だが、部屋(ここは宿直室のようなものなので自室にあらず)に戻るやいなや「小腹が空いた」と、早速買い置きのどん兵衛に手を付ける赤城。すでに12個をたいらげ13個目に突入している。黙ってそれを見守る加賀。

「イベント、そろそろ最終海域が終わる頃でしょうか?」

「そうかもしれませんね。加賀さんは最後ちょっと出撃しましたから余計に気になりますよね。私は春になんかあるらしいとかどうとかで今回は結局最後まで出撃を見送られましたけど。まぁその分ゆっくりできたので春から頑張ります」

「そうですね、大切な体ですから。とうとう一航戦にも改二の波が来るのでしょうか」

「烈風っていうものがとうとう何かわかる日が来るのでしょうか。美味しいんですかね?」

「…」

 目の前に「烈風キャリア」の異名を取る相方がいるにもかかわらずこの体たらく。汁も残らずすすり14個目に突入する赤城をチベットスナギツネのような目で見ている加賀。

「ところで赤城さん」

「はい、なんでしょう?」

「正月太り、しましたか?」

「そうなんですよ、わかりますか!? 300グラムも増えちゃったんです!!」

 麺を口にすすり上げながら加賀の問いに答える赤城。天高く舞い上がった麺は勢いよく踊りながら口へ吸い込まれる。

「…なぜ私より食べているのに私より増えていないんですか」

 

 午後11時過ぎ

 

 積み上げられた空の容器、コタツに突っ伏して寝ている赤城。それを黙って眺めている加賀。静かな部屋に反射式ストーブの上に置かれたヤカンから漏れるカンカンという音が小さく響いている。

 

 トタタタタ

 

 廊下に足音が響く。こちらへ向かってくるものだろう、その音に気付いた加賀が見えはしないがその音のほうへと視線を向ける。そして足音が扉の前で止まり威勢よくドンドンとノックをする音が響き、同時に扉が開く。

「加賀さん、イベント完走したよ! そしてこの子が新入り!」

 瑞鶴が新しく加入した艦娘を小脇に抱え(?)部屋の中へと突入してくる。

「落ち着きなさい瑞鶴。新入りの子が頭を打ってるわよ」

 ノックをしたのは瑞鶴の手ではなくその小脇に抱えた新入りの頭だった。何があったか知らないがのびている新艦娘

「あ、あぁいけない。ちょっと、起きて」

 ペチペチと頭をひっぱたく瑞鶴。ほどなくして意識を取り戻すその小脇の娘。

「…ん。こ、ここはどこじゃ?」

「あぁ、起きた起きた」

「おはようございます、お疲れ様。そしてようこそ椴法華鎮守府へ。あなたお名前は?」

 よどみなくその艦娘に挨拶をする加賀。

「ん…。あぁここは鎮守府か。随分わしゃ迷子になっていたようじゃの」

「取りあえずお名前だけでも。私は正規空母の加賀です、よろしく」

「おお、お主が加賀か。昔直接会ったことはなかったと思うが。まぁなにかと久しいメンツが多いのぅ。わしゃ日進じゃ。以後よろしゅう」

 新しい艦娘は日進と名乗った。すると微動だにせず寝ていた赤城がその声に反応し、次の刹那こう言葉を発した。

 

「あなた、安藤百福のご親戚ですか!?」

 

 イベントお疲れさまでした。

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