こちら、椴法華鎮守府日常譚   作:汐ノ爾

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その2

 艤装装着用のドックにいる提督と午後の部メンバーの長良・皐月・水無月・佐渡。普通に艤装を付けて出港するだけならだれも立ち会うこともないが、提督の横には明石と夕張がいる。

「これを試す日が来るとは、正直思っていませんでした」

「私の足の遅さをカバーするために作ったものですが、まさか実践投入できるとは」

 感動に打ち震える二人、冷たい目でそれを見る提督。既にワクワクしている四人。

「で、何を使うの?」

「それはですね、ふふふ…」

 提督の質問に不敵な笑みで答える明石。

「これだーっ!」

 壁に隠れたボタンをポチと押す明石。すると通常の艤装装着システムとは異なる場所から、ニョキと出てくる一つの艤装がある。自動的に装着されるわけでもなく、出てきたソレを明石が手に取り高々と掲げる。「自動じゃねぇんだ」という提督のツッコミが入ったのは言わずもがな。

「ハイパー韋駄天くんSZ!」

「おぉー!!」

 目を爛々と輝かせる艦娘、「うわぁ…」といった感じの提督。

「従来の三倍のスピードを60秒の間出すことができるこの艤装オプション。足の速い子に付ければ付けるほど効果はテキメン! 高速艇だろうがシャチだろうが追いつける者は無し。警備哨戒のお供にもってこい!」

 聞けば聞くほどゲームのブーストアイテムにしか聞こえないタイプの代物。不安しかない提督が明石に問う。

「…構造は?」

「ブラックボックスです!」

 提督の問いに自信満々に親指を立てて舌を出し片目をつぶって笑顔で答える明石。もうそれ以上聞くまいと瞬時に判断する提督。艤装についている怪しげなメーターが目に入ったので大体察する。

※深海さんからの技術供与とお考えください

 

 装着完了

 

「それじゃあみんな、無理はしちゃだめだよ。危ないと思ったらちゃんと連絡入れて救援呼ぶんだよ?」

「はーい」

 いい返事をする四人、そして次の瞬間こう叫ぶ。

「くろっくあーっぷ!」

 掛け声と同時に韋駄天くんが光りだし、それと共にものすごい勢いでドックから出撃していく。「今使っちゃダメだろう」という提督の声なんて当然届いていやしない。取りあえず佐渡の顔がものすごくキラキラしていたので、何かおもちゃをもらって喜んでいる子供を見ている父親の気分になる提督だった。

「ま、そう都合よく見つかるわけもないよな。のんびり待とうや」

 そういって引き上げる提督。水平線を見守る明石と夕張。しかし一つ気になる事があり、踵を返して明石の元へと寄る提督。

「SZって何の略?」

「シャア〇クです」

 思いのほか早く、漁場荒らしの情報は鎮守府にもたらされる。

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