こちら、椴法華鎮守府日常譚   作:汐ノ爾

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その2

赤城が籠城してすでに三日が経過している。とはいっても、飯を食べに外には出るし風呂にもトイレにも行く。あまつさえ「ちょっと半舷上陸してきます」と、すでに陸にいるのに申請を出して街に繰り出したりと、舞風を捕まえて踊らせるまでもなくセキュリティーガバガバの天岩戸。いつもと変わらず普通に顔を合わせるが、改二化に頑なに抵抗するという名目のもと「タダのサボリ」に成り下がっている。しかしそれに対して何も言えない提督。というよりは敢えて黙って見過ごしている感じすらしている。

「明日、か」

 書類を見ながらつぶやく提督。

「提督、あの後赤城さんと話すことは出来ましたか?」

 業務で提督執務室につめていた加賀からそんな質問が飛んでくる。

「ん? あぁ、ちょっとだけね」

「どういった?」

「えっとね、廊下ですれ違って赤いたぬきは割とイケますよとか、そんくらい…」

「私も同じことを言われました」

「…」

「…」

 顔を見合わせて黙る二人。

「もしかして忘れてる??」

「いえ、それはないと思います。宿舎廊下で名取さんが『明日〇〇買いにいくんだー』と話しているのを聞いた途端にダッシュで部屋に逃げ込んでいました。恐らく【買いに⇒かいに⇒改二⇒燃費】と脳内変換しているようですので、まだダメかと」

 とても良く出来た声真似と仕草を交えて説明する加賀。

「なかなかの連想ゲーだな…」

「提督、赤城さんはこのまま改二を拒み続けるのでしょうか?」

 再度、心配そうに提督に尋ねる。

「心配すんなって。大丈夫、なるようになる」

 そこの提督の言葉をまだ不安そうに聞いている加賀。

「そういえば提督」

「はい?」

「メンテナンスに入りましたので、いったん失礼します」

「え? なにそれ。たまに変な単語があるんだけど、それって仕事に関係あるの?」

「では」

 一礼して部屋を後にする加賀。質問の答えは返ってこない。ポツンと一人取り残される提督。

「メンテナンス…。艤装のことかなぁ」

 色々と推測はしてみるものの全く的外れ。その答えがわかることは恐らく一生ないであろう、残念な提督である。

 

「これ美味しいですね」

「でしょう? レギュラー商品にしてくれればいいんですけど、ダメでしょうか」

 部屋で赤城と二人で赤いたぬきを食べている加賀。なんだ普通に話してるんじゃねぇかよ。提督がこのことを知っていたらそんなツッコミが入るところだろうが、これも彼にはわからず終い。

 

 さて、本日のメンテナンスは何時に明けることやら。次回『赤城山に舞う復活の烈風改』

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