見た目は普通の高校生だが、裕一には特殊な力がある。それは……。
「なんだてめえ?」
不良Aが裕一に詰め寄る。
裕一は不良Aの腹部に拳を叩き込んで気絶させた。
「三峰!」
不良Bが回し蹴りを放ってくる。しかし、裕一はそれをいとも簡単に躱し、反撃をお見舞いした。
アッパーを食らった不良Bが、脳震盪を起こして倒れる。
「お前ら、あれを見ろ!」
不良たちが、電柱の前で倒れて割れている花瓶を見た。
「問い一、あれは一体なんでしょうか? はい、そこの臭そうなお前!」
裕一はそう言って、不良Cを指差した。
「こ、この前、ここで死んだガキへのお供え?」
「大正解!」
裕一は不良Cの顔面を蹴り飛ばした。
「ぐえ!」
不良Cが吹っ飛んだ。
「それじゃあ、あれはなんで倒れているのでしょう?」
不良Dが答える。
「俺らがふざけてて倒したから?」
「だったら、こいつに謝んな!」
裕一の背後から、血だらけの女の子が現れる。
「ひええええ! ごめんさいいいい!」
不良どもは慌てて逃げていった。
「あんだけ脅しときゃ、ここには寄り付かんだろ。ごめんな、こんな風に使っちまって」
「別にいいよ。追い払うようにお願いしたのは私なんだし、このくらいはしないとね。ありがとう、お兄ちゃん」
裕一の特殊能力。霊が見える。
「今度、花持ってきてやるよ」
裕一はそう言って、帰路に就いた。
「ただいまー」
家に帰宅する裕一。
階段で二階に上がり、自分の部屋に入る。
死覇装という黒衣を身に
「なんだお前?」
…………………………。
「近い」
「近い、じゃねえだろボケ!」
裕一は女を蹴り倒した。
「痛! 貴様、私が見えるのか!? というか、いま蹴り……」
「てめえ何者だ!? 人の家勝手に上がり込んで、泥棒の類か!? それとも刀持ってるから強盗か!? 上等じゃねえか!」
「縛道の一、
裕一の体が見えない力で拘束される。
「て、てめえ俺に何した!?」
「てめえではない。
「はあ? 死神? つーことは、俺を刈りにきたのか?」
ぐおおおおおああああおおおお!
(なんだ今の?)
「いや、私は
「虚?」
「ああ。虚というのは悪霊でな、人の魂を食らうんだ。妻が死んだあと、夫も後を追うように突然死するのがよくあるだろう? それらが虚の仕業なんだ」
ぐおおおおああああおおおお!
「今のが虚なのか?」
「はあ?」
「だから、さっきから叫び声みたいのが聞こえてんだろ?」
「なんだと?」
雛菊は耳を澄ます。
ぐおおおおああああおおおお!
「……!?」
駆け出す雛菊。
「待て! これ解いてけ!」
「貴様が来たところで何もできん! そこにいろ!」
雛菊は階段を駆け下りていった。
「うおおおお!」
裕一は力ずくで鬼道を破った。
部屋を飛び出し、階段を駆け下りる裕一に驚き戸惑う雛菊。
(人間が鬼道を自力で破るだと?)
一階の部屋は壁が崩れ、辺りに瓦礫が散乱している、
裕一は外に飛び出した。
ぐおおおおああああおおおお!
虚の咆哮。
(なんだよあれ!? 悪霊だっていうから、てっきり人の姿をしてると思ったけど、化け物じゃねえか!)
胸に孔の空いた、仮面をつけたその化け物が、裕一に迫り来る。
「……!?」
一瞬の出来事だった。
裕一の体が宙に舞う。
「うわああああ!」
悲鳴を上げながら、裕一は地面に落ちた。
「ぐっ!」
立ち上がる裕一。
「よせ! 貴様では勝てん!」
「うっせえ!」
裕一が虚に迫る。
虚は裕一の体から魂魄を抜き出した。その姿は、黒衣に身を包んだ、死神のそれだった。
「死神……だと?」
戸惑う雛菊。
「うわ!」
地面を転がる裕一。
「な、なんだよこれ?」
立ち上がりざまに自分の姿を見て戸惑う裕一。
「前だ!」
裕一は前を見た。
「うお!?」
虚の攻撃を間一髪で躱す。
「力が湧いてくる感じだぜ!」
裕一は背中の大刀を抜いた。
「わああああ!」
裕一は虚に迫り、その首を掻っ切った。
光の粒子になり消滅する虚。
「はあ……はあ……」
「貴様、死神だったのか?」
「死神? 俺が?」
「その姿、どう見ても死神ではないか」
「と言われてもな」
ていうか——と、続ける裕一。「どうやって戻るんだ?」
「肉体に重なれば戻れるが」
裕一は自分の肉体に重なる。
「お、戻れた」
「貴様は何者だ? なぜ死神の力を持っている?」
雛菊の問いに裕一は答える。
「そんなの知らねえよ」
「とりあえず、貴様を今から監視対象とする」
「監視対象?」
「そうだ。貴様が死神である以上、
「勝手にしろ。但し、人んちに勝手に入ってくるなよ」
裕一はそう言って、家の中に戻った。