花の咲き乱れる草原の中。
蜘蛛の姿の怪人が、何かを狙っている。
その視線の先─
草原の中を歩く青年。
城南大学の若き学者・成風龍東が歩いている。
やがて龍東は歩みを止め、近くのベンチに腰をかけ立花藤兵衛と談笑する。
立花「いや~今日もなかなかいい天気だ。しかし本当に日本は平和になったよ。」
立花藤兵衛は改めて日本が平和になったことを噛み締める。
龍東「おやっさん、その話もう何度目だい?」
龍東が呆れ気味にそう言った。
立花「いいじゃねぇか、本当に平和になったんだから。 ところで龍東、そろそろ美波に告白しないのか?(ニヤニヤ)」
龍東「何で今美波が出てくるんだよ!(焦)」
立花「そりゃあお前、いつまでたっても告白しようとしないからだろ。」
龍東「おやっさんに関係ないだろ!トイレ行って来る!」
立花「逃げたな」
成風がトイレに向かって歩いて行く。
その後ろ姿を見送る立花。
立花(まったく城南大学きっての秀才なんだが、恋愛になると奥手になっちまうんだよな・・・)
トイレを済まし立花の下に戻るとする龍東。
やがて龍東に、5人の人が追って来る。
追いかけて来るのは、黒服に身を固めた女たち。
龍東「なんだあの女の人たちは......?何だか嫌な予感 がする。」
歩くスピードを上げる龍東。
5人の女は、なおも追ってくる。
すると今度は、前方からも同様の5人の女が......。
これでは挟み撃ちだ。
龍東「明らかに俺を狙っている!?よし!」
挟み撃ちになる瞬間、龍東は高くジャンプし、前の女たちを飛び越える。
窮地を脱して後ろを振り向くと、女たちは敵わないと見えたか、逃げ去った。
龍東「何のためにあんな事をしたのか突き止めてやる!」
女たちを追う龍東。
その時突然、無数の蜘蛛の糸が飛び出し、龍東を絡め取ってしまう。
龍東「あ!? うぅっ......!」
そんな龍東に、不気味な笑い声を上げつつ、黒服の女性たちが近づいてゆく。
龍東の意識が、段々遠くなっていく.....
龍東が意識を取り戻す。
そこは、円形の手術台の上。
手術陣が、龍東を囲んでいる。
龍東「ここは一体どこだ?.....俺を自由にしろ!」
どこからか、謎の声が響く。
謎の声「成風龍東! ようこそ我がガルーダに来てくれた」
龍東「ガルーダ......? いったい何のことだ!?」
成風龍東が耳にした ガルーダ
それは 世界のあらゆる所で活動している
悪の秘密結社なのだ
成風龍東はガルーダに選ばれ 日本の
人里離れた秘密のアジトに運び込まれた
ガルーダの狙いは 世界各国の優秀な人間を
改造しその意のままに動かして 世界征服を
計画する恐るべき組織なのである
謎の声「我々が求めている人材は、知能指数500、スポーツ万能の男!君は選ばれた栄光の青年だ」
龍東「ふざけるな!俺はガルーダに入ったつもりはないぞ!」
謎の声「フフフ......もう遅いのだ、成風。君の意志に 関わらず、君は既にガルーダの一員にほぼなっているのだ。君が意識を失っている間に、ガルーダの科学陣が総力を結して君の肉体に改造を施した。君は今や改造人間なのだ!」
龍東「改造人間......?信じられるものか!」
謎の声「ならば、見せてやるがいい」
手術陣「お前の体に今から、10万ボルトの電流を流す。並みの人間なら一瞬にして死体になる。しかしお前は、仮面ライダー1号、2号、ストロンガーをもとに改造し、風力と電力エネルギーを蓄えられている」
手術陣が龍東の足に電線繋ぎ、スイッチを入れる。
電線に電流が流れる。
龍東「がああぁぁーーーっっ!?」
手術陣「君の体には、火傷ひとつ残らない。ただ、その苦痛は脳改造を行ってないからだ、脳改造が終わり、指令のままに動くようになれば、完璧なガルーダの一員になれる!」
やがて、電流がやむ。
龍東「はぁ、はぁ.....だ、誰が、死んでも、お前らの 思い通りの人間になるものか!?」
手術陣「誰しもが初めはそう思う!しかしやがてガルーダの一員であることに感謝するようなる!成風龍東の脳改造開始だ!」
そのとき、突然警報が鳴り響く。
扉が開き、1人の戦闘員が現れる。
戦闘員「発電機が何者かにやられました!」
手術陣「ただちに見つけ出せ!」
手術陣たちが手術室を駆け去る。残されたのは、張り付けにされた龍東のみ......龍東が両手足に力を込める。
手足を繋いでいた枷が引きちぎれた。たしかに改造によって、自身は常人をはるかに上回る力が備わっているらしい。
そこへ1人の男が現れる。
それは龍東が通う城南大学の教授、新田博士であった。
龍東「あなたは......新田博士!博士は確か、行方不明になっていたはず......?」
新田「すべてはガルーダの......」
そのとき再び、警報が鳴る。
新田「はっ、いけない!ここから脱出するんだ!」
龍東「しかし......どうやって?」
新田「あの天井を破れば脱出できる」
龍東「......無理ですよ。あの高さでは」
新田「成風くん、君は鉄の枷を苦もなく切れた。並みの人間には不可能なことだが、君は改造人間なのだ。皮肉にもガルーダが、実験用に君の体に風力と電力を与えたために、恐るべきエネルギーが君の体に蓄積されてるのだ」
龍東「そんなことが......?」
新田「できる、今の君なら!」
龍東「......」
新田「ぐずぐずしてはられない。やってみてくれ、成風 くん!」
意を決して龍東が大ジャンプ。
新田の言葉通り、常人を越えたジャンプ力で天井をぶち破る。
やがて、手術陣が戻って来た。
手術陣「あっ、いない!?」「見ろ!天井から逃げたぞ!」
丘を縫って走る道路を、龍東がバイクで逃走。後部座席には新田を乗せている。
遠くからそれを見つめる先の蜘蛛の怪人、蜘蛛強化怪人......
木々の間には戦闘員たちが潜んでいる。
龍東の周辺、いつの間にか、霧が立ち込め始める......
突然、目の前に巨大な蜘蛛の巣。
バイクが転倒し、成風が丘から滑り落ちて行く。
成風「うわああぁぁっ!」
新田「成風くん!成風くぅん!......成風くん!」
道路に残された新田に、龍東をさらった謎の女たち、そして戦闘員たちと蜘蛛強化怪人が現れる。
蜘蛛強化怪人「ガルーダを裏切ったな。裏切れば死あるのみ。もちろんたった1人の娘もな」
新田「娘......美波も!?」
蜘蛛強化怪人「当たり前だ!死ね、新田.......!」
新田「娘だけは頼む、見逃してくれ、殺さないでくれ......!」
そのときー
戦闘員「あ、あれは!」
1人の戦闘員が指をさすその先には、丘の上に立つ、1人の戦士の姿。
その素顔を覆う仮面は、かつての仮面ライダー1号を彷彿とさせる。
彼こそ、ガルーダに敢然と挑む“仮面ライダーブラックサンダー”だ。
蜘蛛強化怪人「貴様ぁ......!」
ブラックサンダー「とぉっ!」
ブラックサンダーが丘から飛び降りると、群がる戦闘員を次々になぎ倒す。
そして蜘蛛強化怪人のもとから新田を救い、いずこかへ逃げて行く......
蜘蛛強化怪人「ぐぬぬ......」
ところ変わって、城南大学の校舎を出る新田美波。
いきなり目の前に、親友の相葉夕美が顔をだす!
夕美「わっ!」
美波「きゃっ!びっくりしたぁ......」
夕美「どうしたの、美波ちゃん?元気ないよ。何かあったの?」
美波「......ねぇ、夕美ちゃん。誰か後をつけてない?」
周囲を見回す夕美。
夕美「......別に?」
美波「この3日ばかり私、誰かにいつも見られてる気がして......」
傍らに停まっている車の中で、1人の男が美波に目を光らせ、無線機を手に取る。
男「新田美波と、その友人が通過しました」
ガルーダのアジト。
蜘蛛強化怪人「よし。逆に娘を使って博士をおびき出せ」
男「侵入地点は?」
蜘蛛強化怪人「美波の自宅か、その途中」
美波たちが歩いていると、前方から男2人が歩いてくる。
後ろを振り向くと、同じく男2人。
4人の視線の先は美波─
美波「夕美ちゃん......」
そこへ1台の車がやって来て、停まる。運転席から顔を出す立花藤兵衛。
立花「よぉ!」
美波「おやじさん!」
美波と夕美はよく立花モーターズでお手伝いをしているのだ。
夕美「私、てっきり......」
立花「てっきり何だよ?」
美波「変な男が」
立花「変な男?」
周囲を見回しても、男たちは既に消えていた。
立花「誰もいないじゃないか。はは、大人をからかうもんじゃない。さぁさぁ乗んなさい。店までドライブだ」
美波たちが車に乗り込み、車が走り出す。
立花「おやじさん、見つかったらしいよ」
美波「え、パパが!?」
立花「ここが居場所だ」
立花が美波に、居場所を記した紙切れを渡す。
やがて車は「立花モーターズ」に到着。
立花と美波が降りる。
立花「そんじゃ」
車が走り去る。
店内に入るなり、数人のガルーダ戦闘員が出現。
立花「なにをする!?」
襲い掛かる戦闘員が立花を叩きのめす。
そして美波を捕らえるが─ 店に到着してからは顔が隠れて見えなかったが、それは美波の服を着た夕美であった。
戦闘員「この娘じゃない!」「車で行った方だ!」
一方、夕美の服に身を包んだ美波は、車で父の居場所を目指す。
美波「パパはやっぱり生きてたんだ。」
その車の窓には、1匹の蜘蛛が張り付いていた......
ガルーダのアジト。
蜘蛛強化怪人「フフフ......」
とある倉庫。龍東と新田が身を潜めている。
新田「はぁ......私はこれで良かったのだろうか?も し、美波の身に万が一のことがあったら、私は......」
龍東「落ち着いて下さいよ。博士のとった行動は正しいんです。ガルーダの恐るべき野望を全世界に訴える、博士はたった1人の証人じゃありませんか」
新田「わかってはいる......だが奴らと戦うには、私は あまりにも非力すぎる......」
龍東「及ばずながら......私も全力を尽くして、人間の自由と平和のために戦います!博士、もっと自信を持って下さい!」
その頃美波はちょうど、倉庫へ到着していた。
そして倉庫の屋根の上には、蜘蛛強化怪人が......
龍東「博士、間もなく美波が来ます。元気を出して......」
ひとまず新田に水を飲ませようと、龍東が流し台を見つけ、コップを手にして水道の蛇口をひねる。
だが取っ手が固く、なかなか回らない。
力任せに龍東がひねると、取っ手ごと千切れてしまった。
龍東「そうか......普通の人の何十倍もの力が俺にはあって、それがコントロールできないんだ......既に、人間でない改造された部分が......」
龍東たちの潜んでいる倉庫へ美波がやって来る。
話し声が聞こえ、何気なしに美波が中に入らないまま、入口に耳を近づける。
龍東「博士、俺の体は......俺の体は死ぬまで改造人間のままなんですか!?」
新田「あぁ......その通りだ......」
龍東「そんな......」
美波「この声、もしかして龍東?」
龍東が新田に背を向け、壁に掛かった鏡で、自分を見つめる。
龍東(第三者から見れば、俺はただの人間にしか見えないだろう......だけど、博士とおやっさんだけは、俺の気持ちをわかってくれる)
新田のもとへ、無数の蜘蛛の糸が降りてくる......
新田「う!?うぅっ、うわぁぁ─っ!!」
龍東が振り向くと、新田が蜘蛛の糸で首を締め付けられていた。
龍東「博士、博士!?」
そのまま倒れた新田に、龍東が駆け寄る。
龍東「博士......!」
新田「うぅ......うぅっ......」
龍東「博士!」
龍東が糸を引き剥がしにかかる。
そこへやってきた美波。
美波「あっ!」
慌てて美波が駆け寄る。
美波「パパ!」
新田「うぅっ......」
龍東「博士、博士!」
美波「パパ、パパ!」
龍東「博士!」
新田が息絶える。
龍東「博士......」
美波「パパ......」
そのとき、窓から蜘蛛強化怪人が覗いていることに龍東が気づく。
龍東「危ない!」
咄嗟に龍東が美波を連れて新田から離れる。
蜘蛛強化怪人が放った毒矢が、新田に命中。
新田の体が溶け、泡となって消滅してしまった。
龍東「美波!ここは危険だ......外に出よう!」
美波「えぇ......」
そのとき、美波の背後に蜘蛛強化怪人が出現。
蜘蛛強化怪人が毒矢を放つ。
咄嗟に龍東が身をかわした隙に、蜘蛛強化怪人は美波をさらって姿を消す。
龍東「しまった......」
龍東が美波を探して倉庫の外へ駆け出す。
蜘蛛強化怪人は美波を抱えたまま、倉庫に到着したトラックの上に飛び乗る。
トラックが走り出す。すかさず龍東もバイクで後を追う。
龍東はバイクに乗りながら変身するとあの時の「仮面ライダー」になりバイクも「ターボサイクロン」に変形。たちまちスピードを増す。
仮面ライダーブラックサンダー......それは成風龍東が変身した姿だったのだ。
ガルーダのトラックの前に、仮面ライダーブラックサンダーが立ち塞がる。
トラックが停まり、美波を抱えたまま蜘蛛強化怪人が飛び降りる。
戦闘員もたちまち勢ぞろい。
蜘蛛強化怪人「出たか......今度こそ息の根を止めてやる!」
戦闘員たちがブラックサンダーを囲み、一斉攻撃。ブラックサンダーはそれを大ジャンプで交わす。そして強力なパンチ、キック、投げ技で次々に戦闘員をなぎ倒してゆく。
戦闘員が一掃され、ブラックサンダーと蜘蛛強化怪人の一騎打ち。
蜘蛛強化怪人の鋭い爪がブラックサンダーの首を裂く。ブラックサンダーの手刀が蜘蛛強化怪人に炸裂。
蜘蛛強化怪人が上方に糸を吐き、上へと逃れる。
ブラックサンダーは大ジャンプで、たちまち追い付く。
パンチ、キック、投げ技の応酬。
そして仮面ライダーブラックサンダーの必殺技「ブラックサンダーキック」渾身のキックが、蜘蛛強化怪人に炸裂。
蜘蛛強化怪人「う......う......う......うぅっ......」
倒れた蜘蛛強化怪人の体が溶け、泡となって消滅─
こうして仮面ライダーブラックサンダーはガルーダに初勝利を遂げた。
やがて、立花の車がやってくる。
変身を解いて美波を抱いている龍東に、なにかを悟り立花は無言で頷く。
立花「大丈夫か?」
龍東「気を失っている。あとは頼みます」
立花は自分の車に美波を乗せ、走り去る。
それを見送る龍東。
やがて龍東も、バイクで駆け去ってゆく......
ガルーダとその身を犠牲にして戦う成風龍東
理解者であり協力者であった新田博士は
ガルーダの魔の手にかかってしまった
ガルーダの恐るべき怪人もまた待っている
モデルの斎藤洋子は自宅マンションに帰宅した際、ガルーダの強化改造人間・蝙蝠強化怪人に襲われ、吸血鬼にされてしまう。
その翌日、成風龍東は地元の球技大会で見事に優勝を飾る。
優勝の花束贈呈に現れたのは前日、蝙蝠強化怪人に襲われたモデル・斎藤洋子だった。
吸血鬼と化したモデル・斎藤洋子は成風龍東に襲い掛かるが、苦もなく倒され、変死を遂げる。
ガルーダの影を感じた成風龍東はモデルの住んでいたマンションに向かうが、そこはガルーダの強化改造人間・蝙蝠強化怪人の人体実験場と化していた。