「昨日言っていた作戦を実行する」
翌朝、登校した僕達に雄二はそう切り出しました。
ハァ.....。やっぱりやるんですね。
「作戦?でも、開戦時刻はまだだよ?」
確かに現在の時刻は午前8時30分、開戦予定時刻は9時でしたね。
「Bクラス相手じゃない。Cクラスの方だ」
「あ、なるほど。それで何をするの?」
「秀吉と鏡護にコイツを着てもらう」
そう言って雄二が鞄から取り出したのは、文月学園の女子制服(冬服)。
赤と黒を基調としたブレザータイプの制服で、他校の生徒にも人気のある逸品です。
.....ツッコみません。ええ、絶っ対にツッコみませんよ?何で雄二が女子の制服を、しかも2着も持っているかなんて。
「それは別に構わんが、ワシらが女装してどうするんじゃ?」
秀吉、君は男性なんですから大いに構って下さい。だから君は女性に見られ.....(ry
それに僕としてもかなり嫌なのですから.....
今この場で話を聞いた秀吉が賛同して、昨日のうちに話を聞かされていた僕が反対したら、僕がKYみたいじゃないですか。
「ああ。秀吉には木下優子として、鏡護にはその付き添いの女子として、Aクラスの使者を装ってもらう」
「つまり、Aクラスの使者として偽の圧力をCクラスにかけるってこと?」
な、なんて珍しいことでしょう!明久が自ら頭を使っています。
「そういうことだ。2人とも、準備してくれ」
「う、うむ……」
「……仕方ない。覚悟を決めるよ」
そうして雄二から制服を受け取った僕達は、その場で着替えを始めます。
「…………!!(パシャパシャパシャパシャ!)」
.....何故か康太が指よ擦り切れよといわんばかりのスピードでシャッターを切り続けています。
男の着替えなんて撮っても意味がないと思うのですが。
「よし、着替え終わったぞい。ん?皆どうした?」
秀吉の台詞に反応して教室を見回すと、何故かクラスメイト達はとても複雑な表情をしていました。
「さぁな?おれにもよくわからん」
「おかしな連中じゃのう」
「そうだね」
秀吉と2人して首を傾げてしまいます。本当にどうしたというのでしょう?
「んじゃ、Cクラスに行くぞ」
「うむ」
「はーい」
雄二が先導して、僕達がついて行きます。
「あ、僕も行くよ」
明久が僕達の後を慌てて追いかけてきます。
教室の配置の関係で、FクラスとCクラスはかなり離れています。
そのまましばらく歩き、もうじきCクラスというところで雄二が立ち止まったので、僕達もそれに倣います。
「さて、ここからはすまないが二人だけで頼むぞ、秀吉、鏡護」
Aクラスの使者になりすます以上、Fクラスの明久や雄二が同行することはできません。
よって二人は少し離れた場所から様子を窺うことになります。
「気が進まんのう……」
あんまり乗り気ではない様子の秀吉。やはり優子の姿になって他人を
「そこを何とか頼む」
「むぅ……。仕方ないのう……」
「悪いな。とにかくあいつらを挑発して、Aクラスに敵意を抱くように仕向けてくれ。お前らならできるはずだ」
秀吉は演劇部のホープで、演技が達者だからこの役割はわかります。でも僕は演技なんてしたことがないんですが.....
「はぁ……。あまり期待はせんでくれよ……」
「同じく。ド素人なんだから期待しないでね……」
溜息と共に力なくCクラスに向かう僕達。はぁ、鬱ですねぇ.....
「……行こう」
「……うむ」
秀吉が扉に手をかけてガラガラガラ、と開いていきます。
そして一言。
「静かになさい、この薄汚い豚ども!」
「……木下さん、それは豚に失礼だよ」
いきなり失礼な言葉から演技は始まりました。
秀吉、変わりすぎ.....
「な、何よアンタら!」
正面から高い声。この人がCクラス代表の小山さんですね。
入ってきて早々、いきなり豚以下にされたら誰だって怒りますよね.....
「話しかけないで!豚臭いわ!」
「そうだね。環境に悪いよ」
自分たちから入ってきておいてそれはないだろうと思ってしまう僕達の台詞。
「アンタ、Aクラスの木下と……誰?……まあいいわ。ちょっと点数良いからっていい気になってるんじゃないわよ!何の用よ!」
「あれぇ~、負け惜しみ?」
「ふん。私達はね、こんな臭くて醜い教室が同じ校内にあるなんて我慢ならないの!貴女達なんて豚小屋で充分だわ!」
「なっ!言うに事欠いて私達にはFクラスがお似合いですって!?」
「むしろ教室すら必要ないかも」
「いいわね、それ。貴女達程度は青空教室で充分よ!」
それはもう凄い勢いで失礼なことを言って怒らせていく僕達。
もう冷静に観察してる余裕もないでしょうし、そろそろ終幕といきましょう。
「手が穢れてしまうから本当は嫌だけど、特別に今回は貴女達を相応しい教室に送ってあげようかと思うの」
「よかったね。感謝してよ」
笑顔で外道なことを言う僕。ちょっと楽しいです。
それにしても、演劇部とはここまで出来ないとダメなんでしょうか?
隣で堂々と演技を続ける秀吉を見て、僕はそんなことを考えてしまいました。
「ちょうど試召戦争の準備もしているようだし、覚悟しておきなさい。近いうちに私達が薄汚い貴女達を始末してあげるから!」
「バイバーイ♪」
そう言い残して、靴音をたてながら僕達はCクラスを後にしました。
「これで良かったかのう?」
どこかスッキリした表情の秀吉。口調も元に戻ってます。
「ああ。素晴らしい仕事だった」
「凄かったよ、秀吉」
『Fクラスなんて相手にしてられないわ!Aクラス戦の準備を始めるわよ!』
Cクラスから小山さんのヒステリックな叫び声が飛んできました。
作戦の為とはいえ、本当に申し訳ないことをしました。
「作戦も上手くいったことだし、俺達もBクラス戦の準備を始めるぞ」
「あ、うん」
「そうだね。行こう」
余計なことに気を取られている暇はありません。あと十分で今日の試召戦争が始まります。
僕達は足早にFクラスへと向かいました。
* * *
「ドアと壁をうまく使うんじゃ!戦線を拡大させるでないぞ!」
秀吉の指示が飛びます。
あの後午前9時よりBクラス戦が開始されて、僕達は昨日中断されたBクラス前という位置から進軍を始めました。
雄二曰く、『敵を教室に閉じ込めろ』とのこと。
そんなわけで指示通りに戦闘をしているんですが、ここで一つの問題が発生しました。
瑞希の様子がおかしいのです。
本来は戦線の総司令官を任されているはずの彼女ですが、今日は一向に指示を出す気配がありません。
それどころか何にも参加しないようにしているような節すら窺えます。なにかあったんでしょうか。
「勝負は極力単教科で挑むのじゃ!補給も念入りに行え!」
「1対1には絶対になるな!」
そんなわけで、今部隊を指揮しているのは副指令の秀吉と僕。今のところはなんとかやれていますが.....
『左側出入り口、押し戻されています!』
『古典の戦力が足りない!援軍を頼む!』
押し戻された左の出入り口にいるのは古典の竹中先生でした。
マズいです。Bクラスは文系が多いので、強力な個人戦力で流れを変えないと一気に突破されてしまう恐れがあります。
危うい均衡の上にある今の状況では、僕も身動きが取れません。しかし、ここは僕が行くしかないでしょうか.....
「姫路さん、左側に援護を!」
明久からの要請が瑞希に届きます。普段の彼女なら迷わず行くのでしょうが.....
「あ、そ、そのっ……!」
彼女は戦線に加わらず、泣きそうな顔をしてオロオロとしています。
やはり動きません。.....っ、いけない!突破されてしまいます!
「だあぁっ!」
掛け声と共に、人ごみの中へと駆け出す明久。
そのまま左側の出入り口で立会人をやっている竹中先生の耳元でボソッと何かを囁きます。
「っ!!」
すると急に頭を押さえて周囲を警戒するような挙動をとる竹中先生。
「少し席を外します!」
なんとかこれで時間を稼げます.....
「明久!そのまま僕と指揮を代わって!」
「了解!古典の点数が残っている人は左側の出入り口へ!消耗した人は補給に回って!」
明久が代わりに指示を出してくれます。そのまま明久には副指令(仮)として指示を出してもらいましょう。
その間に僕はこっちを.....
「瑞希、いったいどうしたんだい?」
瑞希に声を掛けます。先程から様子がおかしいのは明久でも気づいているはずです。
今は彼女の抱えている事情をはっきりとさせなければ、動きの取りようがありません。
「そ、その、なんでもないですっ!」
ブルブルと大きく首を振る瑞希。その度に彼女の長い髪がふわりと広がります。しかし、そんなにオーバーに反応されては何かあるのがバレバレです。
「そうは見えないよ。何かあったなら話して?それ次第では作戦も大幅に変更する必要があるから」
「ほ、本当になんでもないんです!」
強い否定。ですが、泣きそうな顔は相変わらず。絶対になにかあります。
『右側出入り口、教科が現国に変更されました!』
『数学教師はどうした!』
『Bクラス内に拉致された模様!』
右側の方でも動きがありました。しかもまた文系科目に切り替えです。
「私が行きますっ!」
ついに瑞希が戦線に加わろうと駆け出しました。しかし、
「あ……」
急にその動きを止めてうつむいてしまいました。
なんでしょう?何かを見て動けなくなったような――。
瑞希が見ていた方に視線を向けてみます。
その先には窓際で腕を組んでこちらを見下ろしている《卑怯者》――根本の姿がありました。
ここからでは少し遠くてはっきりはしませんが、彼の手元を目を凝らして見ると――
「ッ!!」
見えました。彼の手にしている物が。
それは何の変哲もない、手に入れようと思えば普通に手に入るものですが、逆にいくらお金を出しても買えないものでもあります。
彼が手にしていた物。
それは三日前の放課後に瑞希が恥ずかしがって僕から隠した、あの封筒でした。
――そういうことか。
パチンッ。頭のどこかでスイッチの切り替わる音がした。
昨日の協定の話を聞いた時点でおかしいと思った。あの《卑怯者》が、こちらに有利になるような提案をしてくるなんて。
結局ヤツにはあの時点で既に瑞希を無力化するカードが手元にあったのだ。
であるならば、あの協定のことも合点がいく。瑞希が参加できないことがわかっていれば、あの協定はBクラスにとって圧倒的に有利な条件だからな。
正直やられた、とは思う。合理的でかつ何も失わず、これといったリスクも見当たらない。
――だが、1つだけ。たった1つだけ、ヤツはミスを犯した。
「瑞希」
「は、はい……?」
いつもより強い語気に気圧されたんだろう。瑞希が戸惑っているが、構わず続ける。
「具合が悪そうだからあまり前線には出るな。まだ試召戦争は終わりじゃないから、体調管理もしっかりしろ」
「……はい」
「じゃあ、俺は用があるから行く」
「あ……!」
瑞希が何か言いたそうだったが、無視して走り出した。大事な用事ができたからな.....
「根本……お前には絶望を見せてやるよ……」
そうして俺は左目のコンタクトを外した.....
* * *
「雄二っ!」
「うん?鏡護か?どう、し……」
教室に駆け込むと、俺を見た雄二がノートに何かを書き込んでいた状態で固まった。
「話がある」
「……わ、わかった。わかったからその殺気を抑えてくれ。それとお前の後ろで明久がノビてるんだが……」
「すまん。……しまった、そういえば忘れていた」
ここに来る途中で明久の首根っこを掴んで連れてきたのだが、どうやら気絶してしまったようだ。
明久を近くに寝かせてから雄二の方に向き直った俺は、改めて話を切り出す。
「戦後の根本の処理を俺に任せてくれ」
「……いいだろう、それくらいはやらせてやる。他には?」
「瑞希を戦線から外して欲しい」
「理由は?」
「言えない」
本来なら少なくとも雄二には話すべきだろうが、今は伏せる。
「どうしても外さないとダメか?」
「ダメだ」
雄二が顎に手を当てて考えている。
たしかに俺は今相当な無茶を言っている。瑞希抜きでのBクラス攻略など、俺達には自殺行為にも等しい。もしそれが原因で負けることにでもなれば、その責任を取るのはクラス代表である雄二だからだ。
「……いいだろう。ただし、もちろん条件がある」
「……なんだ」
「姫路が担う予定だった役割をお前達がこなせ。明久を連れてきたということはコイツにも何かさせる気なのだろうが、やるからには必ず成功させろ。いいな」
「もちろんだ。具体的には何をすればいい」
「タイミングを見計らって根本に攻撃を仕掛けろ。科目は任せる」
「援護は?」
「ない。しかもBクラスの入り口は今の状態のままだ」
「ふむ。ところで、殺ってしまって構わんのだろう?」
「ああ。できるもんなら、な」
「了解した。それなら早速行動に移る」
「頼んだぞ。俺はDクラスに指示を出してくる。例の件でな」
そう言って雄二は教室を出て行った。
「ねぇ鏡護」
すると、今まで黙って状況を見守っていた明久が話し掛けてきた。
「どうした明久」
「鏡護はどうして僕を連れてきたの?」
「今回俺がやろうとしている作戦にはお前が必要不可欠だからだ」
そうして俺は明久に作戦の内容を説明した.....
「……えぇっ!僕そんなことするの!?嫌だよ!」
「頼む、明久。多分これしかヤツらを確実に殺れる作戦がないんだ」
駄々をこねる明久を、俺は何とかして説得しようと試みる。
「さっき雄二には答えなかったが、実は瑞希が根本に脅されてる。お前も戦場で瑞希の様子がおかしかったのには気付いてただろ?」
「う、うん、確かに……ってそうだったの!?」
「ああ。俺は脅されている瑞希に戦闘を無理強いしたくなかった……。お前はどうだ?」
卑怯だと思ったが、俺は取って置きの情報を明久に明かした。これでも動かなければ、本当に俺1人で何とかするしかない。
「……痛そうだよなぁ」
声が聞こえた方を向くと、明久が顔を歪めている。ダメか.....
「――よっしゃ!あの外道に目に物見せてやる!」
「あ、明久……」
パチンと頬を叩いて、自らを奮い立たせる明久。
「よし、ならそっちは全てお前に任せる。ちゃんとタイミングを計って出てきてくれ」
「うん!」
「さあ、反撃開始といこうじゃないか!」
そうして明久と別れた俺はBクラスへと向かった。
* * *
「待たせたな!ここからは俺が行く!」
Bクラスの出入り口に着いた俺は大きな声で皆に告げる。
『誰だ、アイツは!』
『わからん!奴のデータがないぞ!』
『なんだとっ!』
『だが所詮はFクラスだ!俺達の敵じゃない!』
Bクラスの連中にしてみれば、今だ自分の召喚獣を曝していない俺は未知の存在であるらしい。
まさかこんなところで役に立つとはな.....
『天水っ!今までどこ行ってたんだ!?』
『
『頼む、Bクラスのヤツらをブッ飛ばしてくれ!』
そして、Fクラスの仲間達からは2割の叱責と8割の激励をもらった。
大丈夫、任せておけ。Bクラスの連中が大手を振っていられるのもここまでだ。
「さて、手始めにそこにいる5人!俺に付き合ってもらおうか!」
『ハッ、Fクラス風情がほざくなよ!
『そうよ、返り討ちにしてやるわ!
『後悔しても知らねぇぞ!
『まあ自業自得だがな!
『違いねぇ!
「Fクラス天水鏡護だ!いくぞ!
俺の足下に魔法陣が現れ、そこから俺の召喚獣が出てくる。
向こうにも5つの魔法陣が出現し、それぞれから召喚獣が姿を現す。
『Fクラス 天水鏡護 VS Bクラス 生徒×5
現代国語 1064点 VS 合計 782点』
そして彼我の点数が表示された。
『バ、バカな!何だこの点数は!?』
『なんでこんなのがFクラスにいるのよ!?』
『姫路瑞希よりも上だとっ!?』
『奴は人間かっ!?』
『くそ、これじゃ5人がかりでも勝てねぇ!』
おーおー、驚いてんなぁ。だが、それじゃあただの的だぜ?
Bクラスの連中が俺の点数に呆けているうちに自分の召喚獣を操作する。
ちなみに、今の俺は常時天眼の機能が使える状態にある。
そしてたった今召喚獣を喚び出してみてわかったんだが、どういうわけか俺の左目は召喚獣の左目とリンクしているらしい。自分の目の前に敵の召喚獣がいるように“視えて”いるのだから、間違いないだろう。
しかも俺の思考がダイレクトに召喚獣の動きに反映されているところを見ると、神経も繋がっていると思っていいだろう。
俺はまず召喚獣の武器である万年筆のペン先を敵に向けて横に振るった。すると.....
ピュンッ――
――ボンッ!
何かが空を切る音がして、一番近くにいた敵召喚獣の頭が消し飛んだ。
『な、何が起きたんだっ!?』
召喚獣を消されたヤツが驚いている。ハハッ、ざまぁみたか。
ちなみに今のは振ったペン先から中のインクを飛ばしたのだ。
この攻撃は1回1回インクをチャージしてから万年筆を振らなきゃならないので、本来なら遠距離からの狙撃くらいにしか使えないのだが。
今のショックでようやく動き始めたヤツらの召喚獣。だが遅い。
俺は左目に意識を集中すると、その『力』を解放する
「
以前見た「運命」という名前のアニメに出ていた全身青タイツの槍兵の記憶を呼び出す。
瞬間、俺の召喚獣の姿が敵の前から消える。
「……
そして俺がそう告げた瞬間、残っていた4体の召喚獣は全て跡形もなく消し飛ばされた.....
一瞬で教室内を静寂が支配する。そして次の瞬間――
『『うわぁぁぁっ!ば、化けもんだぁっ!』』
『『うおおっ!すげぇぇっ!』』
Bクラスの連中が恐慌状態に陥り、Fクラスの仲間達からは大歓声が上がる。
その後も俺は手当たり次第に敵の召喚獣に近づいては薙ぎ払っていった.....
――ドンッ
しばらくして、隣のDクラス側の壁から何かを叩くような音が聞こえた。
「おっ、始めたか」
現在の時刻は、午後2時57分。作戦開始時刻まで後3分だ。
ドンッ!
更にもう一発、同じような音が響く。
「お前らいい加減諦めろよな。昨日から人の教室の出入り口に群がりやがって、暑苦しいことこの上ないっての」
「どうした?軟弱なBクラス代表サマは、そろそろギブアップか?」
「はァ? ギブアップするのはそっちだろ?」
「無用な心配だな」
ドォンッ!!
さっきよりも音が大きくなった。刻々と開始の時間が迫る。
「そうか?頼みの姫路さんも調子が悪そうじゃないか?」
「お前ら相手に姫路を頼る必要なんてないさ。むしろお前らじゃ役不足だ」
「けっ! 口だけは達者だな。負け組代表さんよぉ」
「負け組?それがFクラスのことを言っているのなら、もうじきお前が負け組代表だよ」
ドォンッ!!!
これで4度目。そろそろか?
「……さっきからドンドンと壁がうるせえな。なにかやってるのか」
「さあな。それにしても人望ないな。余所のクラスから嫌がらせなんて」
「けっ。言ってろ。どうせもうすぐ決着だ。お前ら、一気に押し出せ!」
「……体勢を立て直すぞ!一旦下がれ!」
「どうした、散々ふかしておいて逃げるのか?」
そして、時計の針が3時を指す!
「あとは任せたぞ、明久、鏡護」
「だぁぁーーっしゃぁーっ!」
ドゴォッ!!!!
豪快な破砕音と共に、明久の召喚獣が壁を打ち壊して姿を現した。
それを確認すると同時に俺も走り出す。
「ンなっ!」
驚く根本の声が聞こえる。
だが、俺は気にせずBクラスの教室内を疾駆する。
「くたばれ、根元恭二ぃーっ!」
明久を先頭に、Fクラスの遊撃部隊が根本に攻撃を仕掛けようとするも、近衛部隊に行く手を阻まれる。
幸い俺の方には注意が向いていないのか、今のところ戦いを挑まれることはないが、時間の問題だろう。
俺と根本の間にはまだ20メートル程の距離がある。時間にして3秒弱。
俺は躊躇うことなく、最後の『力』を使う為の
「
『
その名の示す通り、時間を操ることができる。ただし、もちろん無制限に力を使えるわけではない。この能力の使用限界は10秒だ。その代わり、10秒までなら時間の停止も加速も思いのままだ。
『力』を解放した瞬間、周囲の時間が止まる。
そして、俺は止まった時間の中を目標まで一気に駆け抜ける。
「
時が再び動き出す。
「なっ!どうしてお前がここにいる!?」
『『っ!』』
突然背後に現れた俺に根本が、次いで教室内にいた全ての人間が驚く。
「今はそんなことはどうでもいい。……Fクラス天水鏡護」
「キ、キサマ……!」
「……Bクラス根本恭二に英語勝負を申し込む」
「クッ、クソォォーッ!」
「――
『Fクラス 天水鏡護 VS Bクラス 根本恭二
英語 1285点 VS 214点 』
俺の召喚獣が神速の勢いで肉薄して万年筆を一閃すると、根本の召喚獣の胴体に大きな風穴が開いた。
そして今ここに、Bクラス戦が終結した。
あとがき
作者 「まさに鏡護無双だったな」
鏡護 「当たり前だ。瑞希を脅すようなヤツに容赦などいらん」
作者 「おお、怖っ!というか、ほんと性格変わりすぎだよね」
鏡護 「そうか?」
作者 「だって、いつもの印象だとなんか気弱そうっていうか」
鏡護 「……よくわからん」
作者 「まあいいや。そういえば終わったな、Bクラス戦」
鏡護 「確かに戦いは終わったが、全てが終わったわけじゃない」
作者 「そうだっけ?」
鏡護 「……まだ根本のヤツへの制裁が残っているだろう?」
作者 「ああっ!そうだった!……忘レテタワケジャナイヨ?」
鏡護 「なぜカタカナなんだ。……で、次回は?」
作者 「うむ、Bクラス戦の全ての後始末をつける!」
鏡護 「それは楽しみだな」
作者 「ちょっぴりムフフ、なイベントもあるよ♪」
鏡護 「んなっ!どういうことだ!」
作者 「それでは今日はこの辺で。次回予告!
次回、第8問『《卑怯者》の末路と、ねぇコレなんてラブコメ?(仮)』
を、よろしくお願いしま~す!」
鏡護 「おいっ!無視するな!話は終わってないぞ!………