バカと天眼の賢者と召喚獣 ※凍結   作:天御柱

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補習第4問 『災厄はいつも忘れた頃にやってくる』

――清涼祭後、ある日の天水家/夜

 

 

Prrrrrrrrガチャッ

 

 

「はい、もしもし」

 

『もしもしキョウく~ん?久しぶり~!』

 

「えっと、すいません。どちらさまでしょう?」

 

『あ~、ヒ~ド~い~!キョウくん愛しの可愛い可愛い月ちゃんですよ~』

 

「……冗談だよ、母さん。っていうか、そろそろいい年なんだから自分で可愛いとか言ってるとイタいよ」

 

『……キョウくんには久しぶりに月ちゃんの“愛のお説教”が必要なのかな~?』

 

「申し訳ありません、お母様。私が悪うございました。お母様は永遠の20代でございます」

 

『うむ、わかればよろし~い!ところで、みーちゃんとゆっこちゃんと付き合いだしたってホント~?』

 

「な、なんで母さんがそれを……いや、知ってても不思議じゃないな……まあ、本当だよ」

 

『やっぱり~!キョウくんってばやるぅ~!さすがは私と星哉さんの子ね~!』

 

「それで?今日はどうして電話してきたのさ?」

 

『え~?今の話を確認したかっただけだよ~?』

 

「切るよ」

 

『ウソウソ、ゴメン~。えっとね~、実はレイちゃんがそろそろ家に戻るって連絡してきたから、キョウくんにも教えてあげようと思ってお電話したんだよ~』

 

「うぇっ!?姉さんが帰ってくるの!?」

 

『あら、な~に~?キョウくんってばお姉ちゃんが帰ってきちゃマズいようなことをしてるのかな~?』

 

「あ、いや、大丈夫だよ母さん!そんなことあるわけないじゃないか!」

 

『なら安心だね~。それじゃあ確かに伝えたからね~』

 

「ありがとう、母さん。ところで母さん達は今どこにいるの?」

 

『ちょっと待ってね~……星哉さ~ん、ここどこだっけ~?……あ~!そうだったね~……えっとね~、ギアナ高地だよ~』

 

「一体2人は何をやってるのさ!?」

 

『それはヒ・ミ・ツ、だよ~』

 

「はぁ……わかったよ。こっちにはいつ頃帰ってこれるの?」

 

『う~ん、あと2ヶ月くらいは無理かな~。でも夏休みに入る頃には帰れると思うよ~』

 

「そっか。まあ、2人とも体には気をつけてね」

 

『ありがと~、キョウくん。月ちゃんその言葉だけで頑張れちゃうよ~』

 

「はいはい。それじゃまたね、母さん」

 

『キョウくんも元気でね~。……若いからってがっついちゃダ・メ・よ~♪』

 

「――っっ////もう切るからねっ!」

 

『は~い!バイバ~イ、キョウくん。チュッ』

 

 

 

 

 

――数日後/休日

 

 

「「鏡護(君)、今日もよろしくね~(お願いします)!」」

 

「はいはい。2人ともいらっしゃい」

 

清涼祭の時に1度泊まって以降、優子と瑞希は週末になると家に泊まりに来るようになりました。

さすがに毎週はマズいと思ったので、隔週でという形ではありますが。

 

「「お邪魔しま~す♪」」

 

2人とも泊まりに来る週は月曜日からずっとソワソワしているんですが、本当に家に泊まるのが楽しみのようです。

.....2人がそんな様子なので、断るに断れなかった事もあるんですよね。

 

「荷物はいつも通り客間に置いてね。僕は飲み物を用意してくるから」

 

「「は~い!」」

 

そうして2人と一緒に勉強をしたり、ゲームをしたり、お喋りをしたりして時間を過ごします。

 

 

 

「あ、そろそろ夕飯の支度をしなきゃ」

 

3人であれこれ色々していると、時間が経つのもあっという間に感じます。それだけ充実しているんですね。

 

「それなら、今日はアタシも手伝うわ」

 

「私もやります!」

 

「え?う~ん……それじゃよろしく」

 

折角やる気になってくれているのに断るのも悪いと思った僕は、その申し出を受けることにしました。

ちなみに瑞希ですが、僕の目がある所ではもう料理に余計な手(化学薬品)を加えることはしなくなりました。

 

「「ええ(はい)」」

 

そうして3人で作った夕飯は、いつもよりも格別に美味しかったです。

 

 

 

食後も3人でまったりと時間を過ごしていましたが、お風呂に入る時に2人から『お先にどうぞ』と言われてしまったので、仕方なく先にいただいています。

 

「はぁ~。極楽極楽」

 

ちょっとジジ臭いですかね?

 

「風呂は命の洗濯、ってね」

 

どこかの秘密組織の女作戦部長さんも言っていましたが、その通りですね。

 

 

――ガチャ

 

 

「へっ!?」

 

そうして風呂に浸かっていると、突然お風呂場のドアが開きました。

 

「「失礼しま~す♪」」

 

ドアの向こうに立っていたのは身体にバスタオルを巻いた優子と瑞希でした。

 

「うわぁぁっ!?2人とも何してるのさ!?」

 

「何って、鏡護と一緒にお風呂に入ろうと思って」

 

「お背中お流ししますよ?」

 

僕の質問にそう返す2人。

 

「いや、『一緒にお風呂に入ろうと思って』じゃないでしょ!?」

 

「何恥ずかしがってるのよ。鏡護はアタシ達の裸だって見たじゃない」

 

「それとこれとは別問題だよ!」

 

「鏡護君は嫌でしたか?」

 

「うっ……」

 

瑞希が上目遣いで僕を見つめてきます。そ、それをやられると.....

 

「ダメですか?」

 

瑞希はさらに瞳を潤ませて見つめてきます。

 

 

一・撃・必・殺!効果は抜群だ!

 

 

「グハッ!……い、嫌じゃないよ」

 

そんな瑞希に止めを刺された僕は、そう口にせざるを得ませんでした。

 

 

 

 

 

 

―Side ??

 

 

 

「……やっと帰って来れたわ。久しぶりね~」

 

私は8年ぶりに帰ってきた我が家の前にたどり着いていました。

 

「キョウ君は元気にやってるかしらね?」

 

今はこの家に1人暮らししているはずの弟の事を思い出します。

何せ8年ぶりの再会なのです。どんな感じに成長したのか、今から会うのが楽しみで仕方ありません。

 

「せっかくだから、こっそり入っていって驚かせてあげようかな?」

 

それはきっと楽しいでしょう。そう思った私は早速玄関の鍵を開けると、こっそり中に入ります。

 

「ただいま~(ボソッ)」

 

『…………!?』

 

『…………』

 

『…………?』

 

なにやらお風呂場の方から鏡護の声と、女性と思われる2つの声が聞こえてきました。

 

 

.....どういう事?

 

 

なぜ鏡護しかいないはずの我が家からそれ以外の声が聞こえてくるのかしら?

 

改めて玄関を見回すと、女物と思しき靴が2足置いてあった。

 

「……決まり、ね」

 

この家には鏡護以外の人間がいる。しかも女性だ。

 

「……いい度胸じゃない」

 

あの弟がまさか家に女を連れ込んでいるとは思わなかった。これは帰ってきて早々『お説教』が必要みたいね。私は足音を殺しつつ、お風呂場へと急いだ。

 

 

 

『もう!2人ともくすぐったいってば!』

 

『まったく少しくらい我慢しなさい!』

 

『もうちょっとで終わりますからね』

 

お風呂場のドアの前まで来た私にはっきりと中の声が聞こえる。.....さあ、どうしてあげようかしら?

私はドアに手を掛けて一気にそれを開くと――

 

 

「キョウ!大人しく降伏しなさい!抵抗は無駄よ!」

 

 

そう言い放った。

 

「うわぁぁぁっ!?」

 

「「きゃぁぁぁっ!?」」

 

浴室内からは3人の驚く声が。その中で鏡護が真っ先に私に気付くと、

 

「ね、姉さんっ!?」

 

さらに驚きで目を丸くしながらそう言った。

 

「「えっ!?レイ姉さん(黎夜さん)!?」」

 

次いで一緒にいた女の子2人がその声に反応する。.....あら?私のことを知っているの?

 

「3人とも、今すぐあがって服を着なさい。それからリビングに集合!」

 

「「「は、はい!」」」

 

3人の返事を背中に聞いて、私は先にリビングへと向かった。

 

 

 

―Side Out

 

 

 

 

 

 

まさか姉さんが今日帰ってくるとは思ってもいませんでした。なんてタイミングが悪いんでしょう。

 

そして僕は今、優子と瑞希と一緒にリビングの床に正座させられています。

 

「えぇっと。おかえり、姉さん」

 

「ええ。ただいま、キョウ」

 

姉さん、笑顔が怖いです。

 

「そのー、あ、あれはですねぇ……」

 

「……その前に、こっちの2人は誰かしら?」

 

先程の光景の説明をしようとした僕を、姉さんがそう言って遮りました。.....ん?

 

「あれ?姉さん覚えてないの?僕達の幼馴染の優子と瑞希だよ」

 

「久しぶりです、レイ姉さん」

 

「黎夜さん、お久しぶりです」

 

2人が姉さんに挨拶します。

 

「へぇ……気付かなかったわ。2人とも美人になったわね」

 

「「あ、ありがとうございます……」」

 

2人がお礼を返しますが、顔が強張っています。

 

「で、その2人がどうして我が家にいるのかしら?」

 

姉さんの矛先が再び僕に向きます。

 

「そ、それはですね……2人が僕の彼女で、今日は家に泊まりに来ていたんです」

 

正直に理由を話しました。ここで嘘を吐いたら僕の命が消されますからね。

 

「ふ~ん……2人は自分の彼氏が二股かけるのを許しているの?」

 

「はい。瑞希と話し合って、お互い納得の上です」

 

「はい。優子ちゃんの言った通りです」

 

「そう」

 

姉さんは2人の答えに短くそれだけ言うと、僕に向き直って言いました。

 

「キョウ。貴方はちゃんと2人を平等に愛しているの?」

 

「もちろん。どちらかが1番でどちらかが2番じゃない。2人ともが僕の1番なんだ」

 

「「鏡護(君)……////」」

 

精一杯の誠意と共に答えます。

 

「……その言葉、もし違えた時は覚悟なさい」

 

「はい……」

 

暗く冷たい声で姉さんがそう宣言し、僕は頭を下げてそう答えました。

 

「……それなら、今回の一件は不問にしてあげる」

 

「「「え?」」」

 

姉さんの言葉の意味が飲み込めなくて、3人して聞き返してしまいました。

 

「だから、今回の件はお咎めなしにしてあげるって言ったのよ」

 

ふっ、と息を吐いて今まで纏っていた怒気を霧散させた姉さん。

 

「「「……やったぁー!ありがとう、姉さん(レイ姉さん/黎夜さん)!」」」

 

そんな姉さんに3人して抱きつきます。

 

「ちょ、ちょっと3人とも!いきなりどうしたの!?」

 

今度は逆に姉さんが驚く番でした。

 

 

 

姉さんによって僕達が強引に引き剥がされた後、3人で今の状況とそうなった事情を話しました。

 

「そんなことがあったのねぇ……キョウ君、やるわね!」

 

誘拐事件の話を聞いた姉さんが嬉しそうに笑ってそう言います。

 

「でも既に『そこ』までいってるのなら、余計に責任は重大よ。貴方にその覚悟はあるの?」

 

急に真面目な顔になって聞いてくる姉さん。

 

「うん。僕は何があっても2人を守るし、必ず幸せにするよ」

 

僕も目に決意を込めて姉さんを見返すと、そう答えます。

 

「……ふふっ。いい目をするようになったじゃない、男の子っ!」

 

優しく微笑むと、姉さんは指でおでこを小突いてきました。

 

「もうっ!最後の最後で茶化さなくてもいいじゃないか!」

 

そんな相変わらずな姉さんにちょっぴり意地になって突っ掛かる僕。

 

「はいはい、悪かったわね。でも、もしもの時は――」

 

「わかってる」

 

再び鋭い目になった姉さんに、僕も真面目な顔で答えました。

 

「ならいいわ。それじゃ今日はもう遅いし、寝ましょうか」

 

姉さんの鶴の一声で、今日はお開きという事になりました。

 

「そうだキョウ君。久しぶりに姉さんと一緒に寝よっか?」

 

「「レイ姉さん(黎夜さん)!?」」

 

突然の爆弾発言に優子と瑞希が驚きの声を上げます。

 

「姉さん!?それはほんとにシャレにならないから!」

 

僕も慌てて待ったをかけます。

 

「もう、3人とも必死になっちゃってカ~ワイイ!もちろん冗談だから安心して。愛されてるわね、キョウ君」

 

「「「……////」」」

 

何も言えなくなってしまう僕達でした。




あとがき


母、登場!そして姉、襲来!


という訳で、新キャラの設定です。


名前 天水(あまみ) 黎夜(れいや)

性別 女

誕生日 11月11日

身長 168センチ

容姿 腰まで伸ばした碧銀の髪。
   ボディラインは出るところは出ている。俗に言うナイスバディ。

性格 基本的には優しいお姉さん。
   偶にお茶目な一面を覗かせることも。
   場をわきまえて話ができるくらいには大人。一人称は「私」。
   しかし、地雷を踏んだ相手に対しては容赦なく攻撃を仕掛けてくる。

追記 8年前に留学する為、家を出て海外に渡った鏡護の姉。
   今回、あちらの大学院の博士課程を無事修了したので帰国してきた。

   趣味は鏡護をイジること。
   昔から鏡護の事はオモチャにしていた。
   おかげで鏡護は黎夜には基本的に逆らえない。
   (もし逆らった場合には『お説教』が待っている)

   そんな黎夜だが、もちろん鏡護の事は家族として大事に思っている。

   また身体を動かすことが好きで、運動神経は抜群。
   その高い運動能力は鏡護に対する『お説教』においても如何なく発揮される。
   ちなみに、優子のサブミッションは黎夜直伝である。

   しかし反面、料理が壊滅的にできないという欠点がある。
   料理をしようとすると何故か調理器具が壊れる。

   瑞希と優子は昔から黎夜を実の姉のように慕っており、それは今も変わっていない。
   むしろ、黎夜は今後『義妹』になる(予定)の2人を今まで以上に可愛がっている。

   実は留学中にあちらで知り合った友人がいるのだが、その話はいずれどこかで.....
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