それでも月一更新をしないと!短くても継続するのが大事だと思うので
体中を氷が覆っていく。四肢は既に固定され、辛うじて顔を動かせるだけの私に母さんが言う。
「まだまだ経験が足りないわね。やっぱり私が手ずから教えるべきだったかしら」
「まだ、負けてないっ!!」
負け犬の遠吠えに聞こえるそれを、母さんは笑って受け流す。筆を操ることのできない私にはもはや何の攻撃手段もないと思っているのだろう。
だが、
「イッスン。思いっきりお願い」
『任せな』
首横のハードポイントから飛び出たイッスンが腰の一刀に手をかける。
『みじん切りだ。電光丸』
電光丸。イッスンの持つそれは甘上一族の走狗が扱う特別な刀だ。伝承に拠れば、世界を隔てる壁をも断つことが出来るという一刀。そんな太刀筋が四肢の氷塊を削りきる。そしてそれに待ったをかけるように母さんが筆を構える。
……今のままじゃ勝てない。なら、ここから抜け出す手段を考えなきゃ。
「また氷漬けね。氷嵐」
描かれるのは*。それは吹雪の発展系氷嵐。尽くを氷の牢獄へと閉じ込める筆技。その威力は言うに及ばず。喰らえばひとたまりもない。
そして迫り来る勾玉も無視出来ない要素。
「ならーー」
懐から取り出すのは豪勢な装飾を持つ三枚の札。浅間神社と共同で開発した破魔札であるそれを、掴み放り投げる。
「いつの間にそんな物を」
「今日は教導院でバカ騒ぎするってウチの馬鹿が言ってたから、その余興にね」
……ごめんトーリ。ちょっとバカ騒ぎ出来そうにないわ。
その代わりに、成すべきことを成すだけ。その思いを胸に、破魔札が炸裂する。
*
「ホント、子供は創意工夫でなんでもできるみたい」
大破魔札の炸裂によって氷嵐の筆しらべの発動を阻害された。その事実を認めた咲は、視線を空中に咲いた爆煙から動かさない。
もしも上空から急襲をするならばすぐさまにカウンターを打ち込むだけで十分だからだ。
「来る」
煙の中から光が漏れる。おそらくは飛び道具の類いだろう。なら、それを避けて根本に攻撃を仕掛けるだけで終わり。
そう思い構えた手をふと、止めた。
「違う。これは――」
「画点」
体を見えない多重の突きで抑えられる中で、咲は娘の狙いを悟った。
「こじ開けて、イッスン――!!」
煙の向こう側。こちらへと筆を向け画点を放つ娘の更に向こう。彼女の走狗が空中を刀で斬りつけていく。
「全く……。全力で逃げるなんて嫌われたわね」
「突然親に閉じ込められたら誰でも逃げるわ。次はちゃんとした場所で教えて貰えると嬉しいのだけど」
呆れた様子の娘が向こう側へと歩き出す。そして、体を押しとどめた力が消えたのを感じる。
そんな娘の成長が予想よりも嬉しいのは、私が親バカだからだろうか。