明日の貴方(わたし)   作:tamagoyaki224

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その、理由

放送局のHPの1ページに、あたしの番組の内容が付け加えられた。

内容はふつおた、そしてあたしの巡ったパワースポットや風水効果の紹介、そしてあたしがリスナーの運勢を占うミニ占いコーナー。

募集は早速開始され、……た物の、新人アイドルの新番組。

お便り…メールは中々来なかった。

 

「まあ、まだ時間はありますから」

そう構成作家さんは励ましてくれるものの、やっぱり焦りがあった。

元々自信が無い方だからか、やっぱり自分がラジオを持つなんて早いんじゃないか、とすら思ってしまった。

 

そんな不安が拭えないまま、数日が過ぎた時。

番組宛てに、メールが届いたと言う知らせがあった。

 

あたしは嬉しくて、早速そのメールの内容を確認しに行った。

ただ、そこには少し困った顔をした構成作家さんが居た。

「どうしたんですか?」

「いや、メール、きたはきたんですけど…ちょっと、朋ちゃんに見せるのはどうなんだろう、と思っちゃいまして」

「勿論、中傷の類等ではないんですが」

「けれど…いや、見てもらったほうが、早いですね」

そう言われて、メールを見せてもらった。

 

メールは、受験生の女の子からの物だった。

そこには、自分にはずっと夢に見ている高校がある。だけど、今の学力で行けるのか、少し不安な所がある。

お守りを買ったり、色々験担ぎもしていたらしい。

しかし不安は拭えず、良く当たると言う占い師に自分の将来を占ってもらった所、その高校は諦めた方が良い、と言われてしまったらしい。

私はどっちを信じれば良いのか、もう分からなくなってしまった。

夢か、その占いか、どっちを信じれば良いのか。

そんな内容…そして、最後にはくしゃくしゃの、涙で濡れた文字で、たすけて…と書かれていた。

 

「……」

「朋ちゃんには、少し辛いかもしれないですね」

「その子の夢を肯定することは、占いを否定してしまうことですから」

「だけど、占いを肯定してしまったら、その子の夢を否定してしまう」

「占いには、人を幸せにする力がある、そう、朋ちゃんは言ってましたね」

「…はい」

「……これに、答えられますか?」

「…今すぐじゃなくて良い。これを取り上げて良いか取り上げてはいけないか、…期日までに決まったら言ってくれませんか」

「……期日は、明日の夕方、なんですが…。もし取り上げられないのだったら、こっちで内容は何とかします」

そう言って、構成作家さんはメールを私にくれて、一人で考える時間が必要だろう、と私を事務所に返してくれた。

 

私は事務所のソファに寝転んで、メールのことを考えていた。

夢を信じさせても、その夢が叶うかどうか分からない。

それどころか、叶わずに傷ついてしまうかもしれない。

占いを信じさせたら、その夢を叶うチャンスすら得られない。

…占いには、人を幸せにする力がある。

頭の中で、考えがぐるぐるしていた。

 

物心ついた頃から、占いは好きだった。

そもそも、何で占いを好きになったのか。

切欠は、些細なことだったと思う。

 

テレビで見た、星占いのコーナー。

そこであたしは、自分の分の運勢だけじゃなくて、家族の運勢も調べていた。

……家族に、褒められるのが嬉しくて。

朋のお蔭で、良いことがあったよって言われると、嬉しかったのを覚えている。

 

いつしか、色々な占いがあるのを知って、占い方も覚える様になって。

家族だけじゃなくて、友達の運勢なんかも調べる様になって。

家族だけじゃない、友達にも喜んでもらえて。

それが嬉しかった。

 

……いつからだろう、占いが、そうじゃなくなってしまったのは。

あたしの幸せを作ってくれる物じゃなくなって、絶対の物になってしまったのは。

 

色々なことを頭の中で考えながら過ごしていると、プロデューサーがよう、と声をかけてきた。

プロデューサーは別件で、あたしと別れていたのだ。

 

「何だ、いつもの元気はどうした」

「いつでも元気な訳ないでしょ…」

ゆっくり起き上がって、プロデューサーの方に向き直る。

「……何か、あったのか」

タバコを吹かして、そう聞いてくる。

 

「…だから嫌いなんだってば、タバコ」

あたしは構成作家さんと、メールの件を話した。

 

「へえ。メール来たのかよ、良かったじゃねえか」

「良かったは良かったけど…どう答えてあげれば良いのよ」

「あの子、凄く苦しんでるみたいだし…」

 

「あの子のこと、と分からないことを考えるからこんがらがるんだろ」

「お前はどうしたいんだよ」

「え?」

「お前ならどうすんだよ、そんな時」

「あたし?あたしだったら…」

「多分、占い通りにしちゃう、かな」

 

いつからだろう、あたしが占いの結果を盲信してしまうようになったのは。

切欠は、良く覚えていない。

昔から運が悪い子だと自覚していたし、周りからも言われていた。

 

でも、占いを好きになったのは、それを信じ込んで、塞ぎ込んでしまう為じゃない。

占いは、自分を信じる為の大切な物。皆と幸せになる為の物。

それを教えてくれた、気付かせてくれた、仲間達と、…眼の前の人。

 

「……今迄の、あたしだったら」

「お前はあの子にはなれない。だったら、自分だったらどうするかって、言う他無いんじゃねえのか」

「どうあがいても、あの子は傷つく。でも、あの子はお前に助けを求めてきてんだ。お前の言葉が、必要なんだ」

「逃げるなんて、出来ねえだろ」

「……うん」

 

「やっぱりあたしには、占いには人を幸せに出来る力、あるって、信じてる。そして、あの子の未来も信じてる」

「そう、伝えるよ。矛盾してるかもしれないけど、それが、あたしの答え」

「うまく言えないかもしれないけど、自分の言葉で伝えてきてくれたあの子に、自分の言葉で向き合うわ」

プロデューサーは、おう、とだけ言ってくれた。

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