明日の貴方(わたし)   作:tamagoyaki224

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私の答え

そして、収録当日。

結局来てくれたお便りは、その一通だけだった。

むしろ、その方が良かったのかもしれない。

そのお便りと、ちゃんと向き合う機会が、出来たのだから。

 

収録スタジオに入り、ふう、と息を吸って、吐いてを繰り返す。

眼の前にはマイク、そして進行用の原稿、そして今回読むお便り。

 

スタジオの周りでは構成作家さん、そしてプロデューサーが見守っている。

「藤居朋さん、スタンバイオーケーです!」

緊張が走る中、そのラジオは始まった。

 

「こんばんは、藤居朋のフォーチュン・ラジオ。始まりました、パーソナリティは私藤居朋です」

原稿をただただ読んでいるだけの棒読みに近い。

「えっと…初放送ってことで自己紹介をします。名前は藤居朋、身長は…」

言わなくていい体重、スリーサイズまで言ってしまった。

 

「え、えーっと、あたし、占いが好きなんです。皆も知ってますよね?占い!占いには、人を幸せにする力があるって信じてて」

「その良さを伝える番組ができれば良いなって思って、この番組をはじめました…」

緊張で自分でも何を言っているのか良く分かっていない。

 

「出身は滋賀、滋賀にはですね…」

これはマズいと思ったのか、スタジオの周りから指示が入る。コーナーを進めろ、と。

「えあ、すみません、コーナーに入りますね。…今回、突然の告知にも関わらず、メールが来てくれたんです。ありがとうございます」

 

「ラジオネーム、アカマルさんからのお便りです」

以前読んだ内容を再度読み始める。

取り敢えず、散々読み返した内容だったので内容自体は落ち着いて読めた。

 

問題は、それにどう応えるか、だ。

あたしは深呼吸して、そのお便りをまじまじと見つめてから、もう一度収録スタジオをゆっくりと見回す。

 

そして意を決して、答え始めるのだった。

「アカマルさん、お便り、ありがとうございます」

「アカマルさんの苦しみ、あたしには分からない程、苦しんでいるんだと思います」

「何を信じて良いのか分からなくて、何もかもが信じられなくなって…助けを求めてきたんだと思います」

 

「……アカマルさんのことは、あたしは分かりません、だから…あたしに置き換えて、考えてみたんです」

「…そうしたら、やっぱりあたしは、自分のやりたいことを、やるべきだと、思ったんです」

「占いを否定しているじゃないかって、思われるかもしれません。でも、占いは、自分の人生を幸せにする為の物なんです」

「貴方の人生を否定するものじゃないんです」

「あたしも前だったら、占いの通りにしていたかもしれません」

「でも、あたしは変わったんです。運命は、自分で切り開くものだって、教わったんです」

 

「もし、貴方が自分を信じられないなら。貴方を信じる、あたしを信じて欲しいの」

「貴方は、自分の意志で道を選んで良い。自分の思いに素直に、それが一番、自分が幸せになれる方法だと、信じて欲しいの」

「貴方は、幸せになれるんです、自分の運命を、切り開こうと戦う限り、貴方はその権利があるんです」

 

「幸運は、キラキラ輝いている人に寄ってくる物なんです。だから、自分を信じて、輝いてください」

ゆっくりと頷いて、言葉を終えた。

 

回答を終えると、スタジオの外から拍手が聞こえた。

それが少し、照れくさかった。

 

数日後、再びメールが届いた。

それは、先日回答したアカマルさんからの物だった。

『朋ちゃん、こんばんは。ラジオ、聞きました』

『占いは自分の人生を幸せにするもの、そして自分の意志で道を選んで良い、色々な言葉が胸に響きました』

『頑張って、今の夢を追いかけたいと思います、後悔はしたくないから』

『ありがとう、これからもラジオ、聞いていきたいです』

 

少しだけ、眼に涙が浮かんだ。

それをプロデューサーに誂われて、ムキになって追いかけた。

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