【史上最強の】貧弱一般人が一級の勇者に限界突破するの見かけたんだが【弟子ケンイチ】 作:黄雨
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「やあナイト君待ってたよ!
突然だけど豪華客船に乗ってみたくないかい?」
雪パラついてるその日学校帰りに居酒屋バイトしにいくと
カウンターで日本酒呑んだり魚摘まんでたオガタが
馴れ馴れしくもニコニコ表情でそう言ってきた
意味不明にもホドがあるので話を聞くに
なんか豪華客船タクシーにいるお客様迎えに行くらしい(要人)
それで? どこに俺が同行する必要がどこにあるんだ?
流石の俺も豪華客船運転したことはない(苦笑)
今日は来日マフィアどもの汚い取引潰すバイトが予約にあるからまた今度にしてほしいと言うと「マフィアの取引はいつでも潰せるけど豪華客船に乗る機会は早々ないんじゃないかな?」という返事
むむむ。
言われてみれば確かにそうかも
急な誘いに悩ましい思いでいるとオカマ属性の店長が
「心配しなくても『代理』がいるから大丈夫よん♪
男は度胸! 女は胸囲! そして
なんでも試してみるモンよ?
豪華客船に乗るだけの簡単なお仕事だから!
お手当てもつくから!」
とオススメしてくるので
オガタの同行なのは気乗りしないが
ダークサイドありそうなうまい話に乗ってやることとなった
とりあえず明日は学校サボり(確定)
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俺は船とかメカに詳しくないしヲタクでもないが
それは見たことも聞いたこともない船であった
見た目は一般人が妄想しがちな豪華のお船だが
どこかおかしいセレブ誰も見当たらないしね
客船なのに客船じゃない別の何かだと思った
なんか秘められた深いオーラ漂うっているし
全体的に気配沈んでるみたいで
間接的に言えば潜水艦と同等だろ……
俺はぶっとびカード並みの超速ヘリで送られた船のデッキのプールサイドへオガタに連れられ、そこで泳いでたスパーク(仮名)なる中国系女子のコンパニアンの手合わせ接待するのが今日の仕事となった
でオガタはというと要人に会うと言い残し船内に去って行った
中国系女子という話だが桃髪だな別に偏見じゃないが
俺は見た目とか気にしないタチだしゲームでは珍しくもない>>桃髪
つーかよ?
そもそもよ?
日本語通じる?
リアルには定型文ねーんだぞ
Can you speak Japanese?
If not go to Oklahoma! OK?
「?」
バタフライ終わらせてザバっとあがってきたビキニ装備のスパークは長文聞いてなかったワケだがさすがに日本語わからない奴には口でかてるわけがない
「アーユー日本語ワカルアルか?」
「ほえ? 三年近く暮らしてきたからちゃんと分かるよ?」
「それはよかった(安堵)」
「そーゆーお兄さんはどちらさま?」
「俺はブロントなんだがYOUを軽くエスコートしに来た日本人」
闇系の仕事とおいうこともあり俺は異名のほうで名乗ったんだが
そうするとスパークはゴーグル外して戦士タイプの眼差しで見つめてきた
「……そっかそっか。うん。
話は聞いてるよ。よろしくブロント」
どうやらメガネに叶ったらしい握手に伸ばしてきた手に手を返すと俺はプールサイドの寝そべるやつのとこにおいてあったハンドタオル渡してやった
そしたらパーにグーあてておじぎしてから素直に受け取り顔拭きだす
「寒くない?」
「これくらい平気だのー」
もう夜だし季節的に言えば今は秋口どころか終わりに近いんだがな……
でもぷるぷる震えてないし本人が平気と言うなら本当に平気なのでしょう
俺は更にバスローブみたいなヤツも追加で渡すと当たり前みたいに羽織った
ここで会話チェーン繋げれず無言になる奴はスキルが雑魚
とりあえず駄弁るべ
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「YOUは何しに日本に来たワケ?」
「そりゃお勤めのためだのー。
最近里帰りしてて、次のお仕事は史上最強の弟子を倒しに行くことだの」
「ほう? メチャクチャ強そうな異名だな聞いたことないが」
「そうなの? 話題沸騰中だと思ってたの。
ちょっと気絶させただけで一影九拳の弟子にもなれるんだって」
「凄いなー憧れちゃうなー」
「だの!
私が史上最強の弟子に勝ったら父上が一影九拳になって、私も月のエンブレム手に入るかも知れないのー。きっとおちんぎんもいっぱい!」
「色々あるみたいだが月のが欲しいわけ?」
「そりゃあもう欲しいの!
あの不良一派! 弟子も満足に育てないって噂されてて恥ずかしいったらないの!
あーんな連中に中国拳法代表は任せておけないのっ!」
スパークが年相応にぷりぷり怒ると桃髪ロングもいっしょにプルプル震えた。
ちなみに会話チェーンというのは
相手のセリフじょうずく拾って繋げれば
中身がよく知らないでもだいたい繋がるから
拾いかたは覚えておくと良い
先に言っておくけど知ったかとは無関係
ダから不良一派というのに【興味があります。】が
怒りのぎゃくりんに触れる可能性もあるので
聞き返さないで別に話題にするのが賢い
それにしても海外にまでもワザワザ遠征行くということは考えたことなかったが俺もそろそろアメリカとかワールドワイドにストリートファイト行く必要性を感じるな……(世界一位)
ま、どうせ行くなら日本全一の不良になってからだがな
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その後スパークは女子更衣室だろうとこに入り、出てくる頃には桃髪ツインテにしてて更にスニーキングスーツっぽい赤のに着替え、そにうえヘルメット脇に挟んでいた
で俺らも船内に移動
やはりというか貧弱一般客とエンカウントすることはなかった
通りすがりのガイコツみたいなやつがヒト睨みしてきたが
大して怖くもないずんずん地下な船倉に向かう
そしたらジムみたいな馬鹿みたいにでかいトレんにングルームに到着
勿論その間も雑談なのだが本能的に武術タイプだからだろうな、もっぱら話題はその辺だった
「ブロントの流派はなにかのー?」
「俺はブロンティスト実践派」
「うーん。聞いたことないの」
「俺が開祖だからよ。そっちの流派は【なんですか?】」
「私は地躺拳。酔八仙拳って知ってる?」
「『酔えば酔うほど強くなる』という名セリフはあまりにも有名
立ってるより寝そべった方が強いとかいうヤツだろ」
ジャッキーのカンフー映画は男の必須科目だろ(核心)
するとスパークは「それは足場の悪い場所では寝転んで戦ったほうが良いって理屈だのー」と言う俺は足場の悪い場所ではとんずらして逃げたほうが良いと思うがな
スパークは周りの筋トレマッシーンどもには目もくれず、広すぐるタイマンエリアに進む
そこでくるっと振り返り
「私も日本のこととか、色々聞きたいけど……
まずは実戦的推手しようよ。
その方が得るものもあるしのー」
そう言ってヘルメット被った次の瞬間スパークの内包するオーラが目に見えて変わった
多分だがメンタルコントロールの一環だろうな
ヘルメッポ被るのはタイマンのオンオフ切り替え用なのでしょう
「いいだろう俺は優しいからな
先手はそっちだ。適当に来い」
俺もタイマンエリアに入り首に手ぇ当ててゴキゴキ鳴らしてやると、スパークはおちょこ持つときみたいな指の構えして転がり挑んできた
XX
「アレが噂の『ダブル』か?
とても諜報員とは思えん」
「ダブル? 天然さ(にわかには信じがたいがねとは言わない大人の対応)
彼女、関東入りは初めてだろう?
現地入りから数日、彼に案内させる」
「気に入らんな。まあよい。
では見せてもらおうか。
拳聖殿のお気に入りの奇抜性とやらを」
二人が男が表面上なごやかに会話するそこは
見るからにディナールームのようなエリアであった
トクトクッっとグラスにワイン注ぐのはスパークこと李雷薙の父にして師父、李天門
壁にもたれてアルカイックスマイル浮かべてるのは緒方一神斎その人であった
二人の視線の先には手合わせするスパークとブロントのライブ映像ある
スパークがささやかに揺れる船の地のり活かした自由自在の立ち回りで攻めるのだがブロントの制空権の盾の受け流しスキルでそらされていた
「フン。見慣れん型だが、腕は師範代級と言ったところか。
才能を無為に浪費した典型的な早熟者の動きだ。
アレ以上伸びしろはあるまい」
「クカカッ……おっと失礼。しかし珍しい動きでしょお?
彼のスタイルをそちら風に言うと電脳象形拳」
「日本お得意の変態型か?
くだらん! 安易な発想で形意拳を汚すでないわ!」
「いやいや、これが中々興味深い変形型でして」
二人が牽制の差し合いみたいな会話の立ち回りしてる間にも戦いはくりひろがる
ちょうど地面タイプの不意だまアタックより更に下の低いところに回り込まれてすごくびっくりしてるスパークにグランドバイパするブロントが目立ってた
シメの膝蹴り~空中連続キックが見事に炸裂!
受け身もできないで派手に蹴っ飛ばされたスパークは痛いのにあまりそれほど痛くない人体の神秘に不思議そうに首かたむけてる。
「我々にとってはいささかスローリィですが、どう見ます?」
「蛇身鶏形? いや、龍形、虎身……フン。訳がわからんわ。
あんな何にも成れん出来そこないの動きなんぞ饕餮形と呼べば良かろう」
「トウテツパターン、ね。彼が喜びそうな命名だ」
「雷薙め……敵は木人ではないのだぞ……自分が翻弄されてどうする愚か者!」
なんでだか緒方一神斎は自慢げにブロント評価してた
希少な珍味の海外からの評価っぽい扱いにご満悦らしく喜びが鬼なってる
ちなみにここでいうトウテツは妖怪で日本妖怪のヌエに近い正体不明の意味だ
ブロンティスト実践派を別に言い換えようとする浅はかさは愚かしい
『ちっちぇえな』
『っ! 小さくなどない!』
『そういう意味じゃない武力的に動きがちっちゃくまとまりすぎてるという意味
だからオーラちぢこまって出てこれないちっちゃいから
もっと全力だしていいぞ』
『言わせておけば……このっ!』
ブロントはダウン中のスパークに挑発しまくり怒りのパワー引き出してやってるみたいだった
そしたら二ラウンド目は軽い準備運動のアップどころじゃない動きに変わっていた
『ヨミヨミですよ? お前の動きは。
地面タイプの拳法というからにはもっとアースパワー強いはずそれなのに大地の力の強さが弱いのはお前が大して地面強くないと思い込んでるだろ?』
『……そんなことはない!
地躺拳こそが最強の武術だ!』
『なら証明してみろよ出来ないんなら俺の勝ち』
ナイトは高度の心理戦で精神勝利しているので動きが読めるみたいに変幻自在の動きしてると見せかけて実は一方向からしか攻撃来てないスパークを簡単に叩き落として迎撃可能の様子
そしたらスパークはハイジャンプしてから背中叩きつけるかなりの大技使うのだがキックで撃退すると普通なら絶対致命傷なのだが手加減ならぬ足加減が今回上手く決まったみたいでダメージはノーでナッシングであった!
「敵の気を呑んでも呑まれるなと言っただろうが……!」
「おっと、彼を壊しにいかんでくださいよ。
なんかイライラしだした李天門に対しとつじょ緒方一神斎が鬼のようなオーラ込めてヒト睨みすると視線のイナズマが雷属性なので静電気バチバチしだした(リアル話)
先にビビッたのか李天門のほうが先に睨みそらしてワイン呑みだした
「……あれの予定はどうなっとる」
「我々と一緒にヘリで一足早く東京に。そちらは船で横浜へ。
史上最強の弟子とやりあう前に、軽くウォーミングアップする期間をとってある。
あんたはぐるりと大回りになるが……これも美雲氏の命令でね。
大物が釣れることはないだろうが、誰か釣れたら上手くそれを使ってくれ」
「フン……」
李天門は空になったグラスにまたワイン注いだ、ワイン本体にはちょっとまえに緒方一神斎が投げつけた
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軽く10連勝くらいしてやったらすっかり怒りが鬼なってるスパークは部屋にやってきたオガタにも気付かないみたいだった。
「取り消せ! いまの台詞を取り消せ!」
「分かった取り消す俺が悪かった。これでいいか以後揚げ足取り禁止」
「――――ッ!」
言いすぎたセリフ素直に謝ったらなんか、スパークが頭ワシワシしたくでもできないから被ってるヘルメット脱いでべしっと地面に叩きつけ全身からかもし出すオーラが悔しいみたいに見えそうになってる。
俺は謝ったんだからもうお前に怒る理由ないはずだが?
ま計算づくで実力引き出すためだが今にも殺してきそうな喉輪攻撃してきてヤバかった俺は高橋留美子指の構えでガード
するとついに感情のホンネ吐き出した。
「あ~~~~も~~~~!!!
く~や~し~い~の~!!!」
「悔しさをバネに成長するその姿、まさしく青春だね!
最後の一撃は悪くない殺意だったよスパーク」
「っ!?
こ、これは拳聖様、気付かずに失礼しました」
オガタに気付いたスパークは慌ててパーにグーあててお辞儀しだした。
なんで殺意の波動ホメてるんですかねぇ……?
そういうところだぞ>>オガタ
俺はというと「もう帰っていいか?」と明日はムリでも明後日は学校行かなきゃだし帰る気でいたんだが「彼女に東京を案内をしてくれたら300万円あげよう」とか言い出すが世の中なんでも金で解決すると思うなよ?
もちろん稼げるうちに稼がせてもらう手はず。
世の中だいたい金で解決するからな手札多いほうが強い
これで野生のゲーセン150~300クレジットいけるぞ(感無量)
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それからヘリでまた移動なったんだが
更なる追加依頼が俺を襲った
東京案内中に適当にぶっとばしていい不良どもを
スパークにぶつけて欲しいというのだ
丁重にも不良グループの電話番号とかタイマン穴場とか
いろいろ書いてあるメモ渡してくる姿に寒気すらする始末
お前絶対謀っただろ……汚いなさすがオガタきたない
確かにスパークならそこらの不良よりよっぽど強いケド
俺がその世話までするのはおかしいでしょ?
シャレンならん俺は明後日には学校行くんだよ
すると追加料金で200万ポンと出すという(太っ腹)
このままでは俺のおさいふが札束でマックスなんだが……
その頃には俺の狙いに気付いて武術的に割り切り
怒り表情も収まっていた私服スパークは
「学校か~ええの~私も行きたいの~」という
お前まさか……
沈黙美
俺は自分が学校行けないことよりリアルに学校行けない相手がいることに心が苦しいらしい、ヘリ移動終わるまでさっきまでのタイマン空気とはいっぺんして楽しい話題してやることにした
李 雷薙
可愛いのに優遇されない不遇枠なので二次創作で優遇される現象を専門用語でさっちん現象というらしい(民明書房)
早速テコ入れされた模様