獣を狩るもの    作:アルタイル白野威

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俺は月の子!獣ハンターBLOOD!RX!

俺は悲しみの王子!RX!ロボハンター!

俺は怒りの王子!RX!バイオハンター!

人喰い豚、ゆ"る"さ"ん"!(シャドー)ム"ー"ン"ラ"イ"ト"!

メンシス絶対にゆるさねぇ!


ふと思った、爆発金槌は槌なんだから金床に叩き付けても大丈夫だよな
つまり妖精弓手は爆発金槌を受けても平気だということでは...?

あけましておめでとうございます


6話

ゴブリン狩りの夜が終わり、幾日かが経った。

その間に昔の街だという遺跡などを探索していた。妖精弓手曰くあなた達には冒険が足りないとのことらしい。

私としては冒険は聖杯ダンジョンで十分だ。地底人と呼ばれる連中にとっては日常なのだろう。

冒涜聖杯のボスであったあのアメンドーズ、二度とやりあいたくない相手だ。

恐らく私をもっとも殺した獣、上位者はあのアメンドーズだろう。ゴースの遺児よりも苦戦した。

 

閑話休題

 

今日、昇格試験の立会人をしていたゴブリンスレイヤーが依頼書を持ってきたのだ。

その依頼書は名指し、ゴブリンスレイヤーを指名しているらしい。まず間違いなくゴブリン関連だ。ゴブリンスレイヤー以上にゴブリンに詳しい奴はいないだろう。

依頼主は水の街にいる神官だそうだ。報酬は金貨一袋、来るか来ないかを定位置の椅子に座ったゴブリンスレイヤーが確認した。

 

「報酬は一人金貨一袋、来るか来ないか、好きにしろ」

 

ぶっきらぼうな言葉に女神官がこめかみを押さえる。

 

「...はぁ、だいたいわかりました。ええ、わかっていたつもりですけど、わかりました」

 

「そうか」

 

「ええ、はい。あなたの行動にいちいち驚いてたら身が持たないということが」

 

妖精弓手が女神官の言葉にうんうんと頷き肯定する。

蜥蜴僧侶はチーズに齧り付き、鉱人道士はチョッキの裏に宝石と血晶石を二やつきながら縫い付けている。大丈夫だとは思うが変な効果が付きやしないか心配だ。

 

ゴブリンスレイヤーの行動は私からすればまだ常識的である。

いきなり裸になったり奇行に走る狩りの主や協力者よりははるかにマシだ。

時にはミコラーシュの真似をしている者もいるしな。

 

「良いですか、前も言いましたけれど、選択肢があるようでないのは、相談とは言いません」

 

「選択肢はあるだろう」

 

「『一緒に行く』『行かない』は、ただ二択を迫っているだけです。選択肢ではありません」

 

「そうなのか」

 

「そうなんです」

 

「......ふむ」

 

不思議そうに首を傾げるゴブリンスレイヤー。

 

「どうせ私たちが行かないって言ったら一人で行くんでしょ?」

 

「当然だ」

 

やっぱ相談じゃないわよ、これ。と妖精弓手はそういって笑った。

 

「ま、わしらにも『相談』するだけかみきり丸も柔らかくなったっちゅうことかの」

 

「甘露、甘露。.......うむ。よき傾向でありましょうな」

 

鉱人道士、蜥蜴僧侶の二人はそう言い、笑いあった。

 

「私達狩人の相談と比べれば格段にわかりやすいだろうさ」

 

指さしとかはわかりやすいのだがなぁ、理解できないものは理解できない。

交信オンリーの狂人もいるし唐突に座る(ジェスチャー暴発)者もいる。

 

「私達も好きにします、宜しいですか?」

 

「構わん」

 

錫杖を握りしめた女神官の言葉にゴブリンスレイヤーは淡々と応じる。

 

「では、ついて行きますね」

 

女神官がそう言いたおやかに微笑む。ゴブリンスレイヤーは黙り込み、小さくそうかと呟いた。

 

「ま、この前は私の冒険に付き合ってもらったしね。結局ゴブリン狩りになっちゃったけど」

 

妖精弓手がうきうきと長耳を上下させ、荷物をチェックしながら言う。

ゴブリン狩りと言った瞬間ジットリとした目で睨まれたような気がする。

私は狩人の役目を全うしただけであり何も可笑しいことはしていない。

ただ車輪を振り回していただけだが。そう考えた瞬間また睨まれた気がする。

 

「そうそう、あんた達。火攻めとか水攻めとか毒気とかは禁止ね!他の手段を考えるよーに」

 

妖精弓手が見惚れるような笑顔でそう言う。だがそうか...毒と火がダメか。

ならば血攻めなら問題あるまい。血は水ではない、劇毒が付加されるが毒ではなく劇毒故問題ない。

そう考え車輪を仕舞い千景を腰に据えれば妖精弓手の目が向かう。

 

「狩人、あんたのその変な剣。妙な呪文とかかかってないでしょうね?」

 

「ああ、そんなものはない」

 

呪文はかかっていない。呪文は。

ただ私の血を纏うカインハースト製の狩り道具だ。それ以上のことはない。

 

「まぁ狩人のことじゃから何かしらの仕掛けはあるじゃろうな」

 

「無いほうが珍しいですな」

 

「そうね、絶対何かあるわね」

 

確かに全ての狩り武器に変形機構はついている。

常人なら思い付かないであろうイカれた変形機構を持つ瀉血や月光等は見せてはいけないだろう。

狩人なら特別何も思わないが、彼らからしてみればあり得ない武器だ。

自分の血液を武器にするなど。ヤーナムの血さえあればいくらでも回復できる狩人とは違い、彼らがあれだけ血を出せば死ぬだろう。

 

そう考えていると妖精弓手が何か思い付いたのか掌に拳をポンッと当てる。

 

「そうだ!狩人、あんた水の街への道中武器とかあんたが居た街の話しなさいよ。

確か...ヤーナムとかいう名前だったわよね?」

 

「わしも気になるのぉ、行き方さえ分かればあの赤い石を手にいれに行きたいからの」

 

「只の陰気でよそ者嫌いな街だ」

 

「まぁまぁそう言わず、何かあるでしょ~?」

 

私の脇腹を妖精弓手が笑いながらうりうりと肘を押し付けてくる。

確かに獣狩りの夜という特異なことが起きるがそれを話して啓蒙でも得てしまえば目も当てられない。特に女神官、彼女が啓蒙を得て獣化してしまえばどれ程強大な獣になるか想像したくもない。

 

だがまぁ狩り武器や街の話だけならば問題はないか。

血晶石のでき方だけは全力で話題を変えねばならぬが。

 

「わかった、少しは話してやろう」

 

 

 

~~~

 

 

あの後妖精弓手がはっちゃけ飲み比べを鉱人道士に挑んだ。

結果は火を見るよりも明らかだろう。

さて水の街へはだが、馬車で行くという。

馬車といえばカインハーストだが、この悪夢では馬車を引いていた馬が死んでいるなんていうことはないだろう。

馬車に乗り込めば妖精弓手が開口一番こういってきた。

 

「さぁ狩人!いろいろ吐いてもらうわよ!」

 

二日酔いになっていそうなくらいは飲んでいたのだがピンピンしている。

森人は酒に弱いのではなかったのか。そう思っていればガタン、と馬車が動き出した。

それに合わせ話し始める。

 

「ふむ、まぁ昨日話した通りヤーナムは山間にある陰気でよそ者嫌いのクソのような街だ」

 

「自分がいた街をクソ扱いってどうなのよ...」

 

妖精弓手が何やら言っているがヤーナムはクソだ。クソの中のクソだ。

 

「ヤーナムは医療が発達していた、不治の病すらも治せると言われる程な」

 

実態は病を病で塗り潰す治療とすら言えない何かだったが。

 

「私はそれを求めた。結果は散々だったがな」

 

「ということは狩人さんは不治の病に侵されているんですか!?」

 

女神官が声をあげる。

神殿で暮らす彼女は病に苦しむ人々を知っているのだろう。

 

「いいや、既に病は治っている。だが厄介なものに巻き込まれたのさ。私が狩人になったのはその時だ」

 

「法外な値段でも吹っ掛けられたの?」

 

「そのほうがどれだけよかったことか。ヤーナムではあることが起きる。上位者になろうとする愚か者がそれを引き起こすのさ」

 

「上位者って確か神よね...?」

 

「ああそうだ。ヤーナムでは神を上位者と呼び、崇めている。」

 

それと同時に引きずり降ろそうともしているが。

星の娘は哀れではあるがそれはそれとして狩るべき存在でもあった。

 

「ここの狩人は猟師を指すのだろうが、ヤーナムでは違う。そのあることを治める為の存在だ」

 

「あんたが普通の狩人だったら今頃冒険者はいなくなってるでしょうね」

 

妖精弓手が何か言っているが気にせず続ける。

 

「あることを治めればその狩人は用済みとばかりに力を失う。神官が奇跡を使えなくなるようなものだ」

 

一度夜を乗り越えた狩人は夢を見れなくなる。デュラやアイリーンはそう言っていた。

 

「あんたは失ってないの?」

 

「黙秘する。...ヤーナムの話はここらでいいか?」

 

「おっ待つんじゃ狩人、赤い石について聞いとらんぞ」

 

「あれは血晶石、血のように赤い身体能力等を伸ばすことのできる石だ」

 

実際はヤーナムの特異な血が固まりできた血塊だが言わないほうがいいだろう。

血晶石を求め地下遺跡を荒らしまわる狩人もいる。

鉱人道士はそうはならないだろうが他の鉱人はわからんからな。

 

「お前の武器はなぜあんな機構がついている?」

 

ゴブリンスレイヤーが武器に興味を示すのは珍しい。

 

「ふむ、自分を人たらしめる為だったか。最初の狩人が使った狩り武器がそうであったのを引き継いだからともいえる。先日のゴブリン狩りの夜に使った故妖精弓手達は見た可能性もあるな」

 

「あの車輪?」

 

「違う、断じて違う」

 

「とすれば爆発する金鎚か鎌のどちらかですな」

 

「わしは鎌だと思うんじゃ」

 

「拙僧も同じく」

 

「あたりだ。あの鎌は葬送の刃といってな、狩りと介錯の為に最初の狩人が使っていた」

 

私も何度か介錯されている。

 

「介錯って...」

 

「ちなみにだが狩人の間では弓使いは馬鹿にされている。知り合いの弓使いは弓で獣に挑むなどとが固有名詞扱いだ」

 

「耳長のはまず間違いなく馬鹿にされるの」

 

「上等よ言ったやつの頭を射抜いてやるわ」

 

鉱人道士がおちょくり妖精弓手が乗る。

いつもの流れである。女神官が苦笑しているのが見える。

喧嘩を尻目に千景を引き抜き手入れする。といっても変形機構の確認だけだが。

...よし、特に問題はない。耐久も減っていないだろう。

 

「そういえば水の街とはどういう街だ?水がつくからには水路だのいろいろありそうだが」

 

「えっとですね、確か法「私が教えてあげるわ!」の...」

 

女神官に水の街について尋ねれば横から妖精弓手が乱入してきた。

言葉を遮られた女神官が頬をリスのように膨らませ抗議の視線を送るも気づいていないのか、妖精弓手は喋りだす。

 

「水の街はね、湖の中洲にある街よ。神代の砦の上に街が築かれていて、多くの人が訪れるわ。そして法の神殿があるのよ。近隣で一番大きい都市といっていいわ。私がオルクボルグのことを知ったのもそこでよ」

 

「ゴブリンスレイヤーさんを?」

 

辺境の一冒険者の名前を近隣で最大の都市で知るとはどういうことだろうか。

噂にでもなっているのだろうか?

 

「詩になってたのよ、オルクボルグ」

 

ゴブリンスレイヤーが詩か、これはいいことを聞いた。

メモをとって牛飼娘への土産にしてやろう。

 

それはそれとして湖に街か。水に落ちないようにしなければ。

私達狩人は泳げない。恐らく水や海水が別の上位者の領域だからだろう。

忌々しい月の魔物の眷属、使徒である私達狩人は力が出せなくなるのだろう。

 

まぁ私の憶測であり正しいとは限らない。

ヤーナム人がカナズチでその血が入っている狩人もカナズチなだけかもしれない。

なんにせよ落ちなければいい話だ。

 

「狩人殿、顔が強張っていますぞ」

 

「どうしたんじゃ?」

 

「いやなに、湖と聞いて嫌なことを思い出しただけだ」

 

「はっはーん?さては狩人、あんた泳げないわね?」

 

ぐっ...他人に指摘されるのは何でもつらいものだ。

妖精弓手め、後で唐辛子をたらふく食わせてやる。

 

「......そうだ」

 

「ほ、意外じゃのう」

 

「良ければ拙僧がお教えしますが」

 

「いや結構だ」

 

どうせ沈む。

 

 

~~~

 

 

 

馬車で二日もかけてたどり着いた水の街。

様々なにおいがする。どれもいい食べ物のにおいだ。

 

「あー......。お尻、いったぁーい...。」

 

大きく伸びをしながら妖精弓手が言う。

ふむ、聞いていた通り様々な人がいる。只人に鉱人、森人、蜥蜴人。

肉を焼いている出店や菓子が並んだ出店。成程あれがにおいの元か。

 

「胸に金床、尻には轍、へこめば釣り合いが取れるわい。歳月は物を削るからの」

 

「......寸詰まりのくせに」

 

「ふふふ。こう見えてもわしゃあ、鉱人の中じゃ伊達男で通っておるでな」

 

いつものを見つつゴブリンスレイヤーに話しかける。

 

「依頼人は何処だ?神官らしいが」

 

「法の神殿だ」

 

雑嚢からくしゃくしゃになった羊皮紙を見ながら話すゴブリンスレイヤー。

法の神殿か、妖精弓手の話にも出てきたな。

 

「法の神殿はこっちよ」

 

歩き出した妖精弓手の後ろを歩きながら街並みを見る。

見事な彫刻が商店、宿、民家、分け隔てなく施されている。

 

一見獣がいるようには思えないが、ほんの微かに獣の臭いがする。

狩人の鼻で僅かしか嗅ぎ取れない臭いも道を進むごとに濃くなる。

ゴブリンスレイヤーも気づいているようだがどうやって気づいたのだろうか。

 

やがてついた天秤と剣を組み合わせた意匠の掲げられた社。そこから臭いがする。

女神官が感嘆の息を漏らしている。確かに綺麗ではある。

が綺麗だろうが汚かろうが踏み荒らし獣を狩るのが狩人である。

 

礼拝堂、神殿の最奥。大聖堂と似たような構造のそこには白衣の女が一人。

祭壇に祈る姿を見てエミーリアを思い出し身構えた私は悪くない。

 

ずかずかとゴブリンスレイヤーが進みそれに追従する。

 

「ゴブリン退治に来た」

 

ゴブリンスレイヤーが淡々と言い放つ。

それに慌てながら女神官が挨拶しようと四苦八苦する。

 

「戦士様に...それに、可愛らしい女神官様に...」

 

視線が後ろに居た私達に向かう。

 

「そして、こちらの方々は?」

 

「うむ。一党の同胞でありまする。恐るべき竜を奉じる身なれど、拙僧も及ばずながら、力をお貸ししましょうぞ」

 

奇怪な手つきで合掌する蜥蜴僧侶の横で簡易礼拝を行う。

聖職者にはいい思い出がない。

唯一女神官がいい思い出に値するがそれ以外は襲い掛かってくる記憶しかない。

 

ゴブリンスレイヤーが詳細を聞き始める。

血族が獣になったとして狩れるかをゴブリンスレイヤーに聞いていたが...。

狩人に聞けば鼻で笑われる質問だ。むしろ積極的に狩りに行こうとするだろう。獣の苦痛から解放するために。

 

 

要点をまとめればこうだ。

一ヶ月前より犯罪が増え、巡回を行い切り伏せた人影がゴブリンだった。

地下に住み着いたのだろうゴブリン退治の依頼を出すも冒険者のは帰ってこず、そんな折にゴブリンスレイヤーの詩を聞き依頼したという。

 

地下水道を探索する際は神殿を宿がわりにしていいらしい。眠らぬ狩人に意味はないが。

裏庭の井戸から地下水道に降りるのがいいらしいが...井戸、なぁ。

巨人にお出迎えされなければいいが。そう思いいざ向かえば井戸の横に使者の灯。

なんとも不安を煽る配置である。

 

「どうしたのよそんなしかめっ面で井戸を睨んで」

 

「......トラウマだ」

 

「我慢してくだされ」

 

「わかっている。...が下で大量のナメクジと二匹の巨人がいるのではないかと思ってしまうのだ」

 

「なにそれこわい」

 

「ほ、そんな目にはあいたくないの」

 

嫌な気持ちを押さえ、かけられた梯子を下る。

幸いにもナメクジや巨人はいないようだ。

 

「さて、獣狩りの時間だ」

 

 




クトゥルフ神話trpgたのちい

豚が出るといったな、アレは嘘だ
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