盾の勇者の成り上がりの主人公がハベルだったらっていうネタ作品書こうかな
SEKIRO楽しみ
水の街、地下水路。
石造りの水路はやはりゴブリン共に侵略されていた。
襲い掛かってきたゴブリン共を八つ裂きにし、腰の携帯ランタンで辺りを照らす。
照らしだされるゴブリン共の遺骸。それ以外は何もなくただ汚水の流れる音が聞こえるのみだ。
かれこれ数時間は潜っているものの、めぼしい物は何一つ見つかっていない。
あまり深くは潜っていないからか。
私やゴブリンスレイヤーの消耗は少ないが、女神官と鉱人道士の秘儀の消耗が激しい。
鉱人道士は秘儀が切れたならば私が武器を渡せばいいが、女神官はそうもいかない。
ここらあたりが潮時だ。ゴブリンスレイヤーもそう考えたのだろう。
戻るぞ、と簡潔に告げられた。
「収穫なしかぁ」
妖精弓手がガックシという風に肩を落としながら言う。
まだ一日目だ。時間はまだまだある。
時間に比例してゴブリンが増えるかもしれないが。
耳を澄ませながら道を戻る。
地下水路はまるで聖杯ダンジョンの如く入り組んでいる。
地図がなければ迷うだろう。地図も若干磨れてはいるが。
下水の臭いで鼻が効きにくいのが困る。
ゴブリン共も汚物の臭いを放つ為更にききにくくなる。
そうこう考え臭いに眉を寄らせていれば見覚えのある通路まで戻ってきた。
入口付近の通路だ。私が
一党の面々を先に行かせ、最後に昇る。
沈みかけた太陽が私達を迎える。
昼頃に地下水路に入ったのだから四、五時間ほど居たのだろう。
そこそこ居たのだなと思いつつ報告の為神殿に入ろうとしたが、流石に下水の臭いを染み付かせたまま入るのは駄目だろう。
処刑隊の装束から聖歌隊の装束に着替える。
聖歌隊の装束にはほとんど袖を通さないといっていい。あまり好みでは無いために。
依頼人の剣の乙女と言えば井戸に入る前と同じく神殿の最奥、礼拝堂にて祈りを捧げていた。
何故あのような
いや私のような者が異端であることは分かってはいるが。
祈りを捧げる対象が私を悪夢に誘った犯人の同類の以上、どうあがいても祈りなぞ捧げられない。武器なら喜んで向けるが。
「何か、成果はありますか?」
「やはりゴブリンが住み着いていた。数はわからん、が最低でも三十匹はいる」
二十匹、今日地下水路でかち合い狩ったゴブリンの数だ。
一日だけで二十匹にも遭遇するのだから下手したら潜んでいるゴブリンの数は五十、六十を優に越えているかもしれない。
だがそれだけいればこの都を襲っているだろう。
しかし地上で目撃されたのは数匹。
オーガのような、何者かがゴブリンを操っているのかもしれない。
だがそれでも狩り尽くす。何匹いようと獣は全て狩る。
報告は終わり今日はもう好きにしていいと剣の乙女から許可がでた。
外はもう夜の戸張が降りているため外出はできないが。
私は輸血液や水銀弾、武器の耐久を回復させるため裏庭の灯りに行かねばならぬが。
ゴブリン共から得られる血の意志は少ない。五匹狩ってヤーナム市民一人分だ。
耐久を回復させるには十分、だが輸血液等を購入するには不十分だ。
ゴブリン狩りの夜で水銀弾をかなり消費してしまった為に水銀弾の購入に血の意志を回したいのだ。ヤーナムであれば水銀弾を落とすヤーナム民がいるため楽に集められるが、この悪夢にはいない。
...この悪夢が夜の内にヤーナムで狩り集めることにしよう。
~~~
「ねぇ、狩人って夜に居なくなることが多いけど何か知らない?」
そう問かけ一党の顔を見回すのは妖精弓手。
「しらん」
「んー...。すみません、私も知りません」
ゴブリンスレイヤーが素っ気なく答え、女神官が唇に指を添え数秒考えたのちに答える。
「お前さんらが知らないんじゃあ、儂が知る由もないのぉ」
「拙僧も知りませぬな」
鉱人道士、蜥蜴僧侶もまた知らないと答える。
「ふむむ、誰も知らないなんてね...。そうだ、尾行しない?」
「かかっ、乗った!」
妖精弓手がニイッと悪戯っ子のような笑みを浮かべ、鉱人道士も笑いを浮かべる。
それを見た蜥蜴僧侶がフーと息を吐き、女神官が苦笑を浮かべる。
ゴブリンスレイヤーはただ何も言わず視線だけを向ける。
「さぁ行くわよ!......狩人は何処にいるかわかる?」
「なんじゃ耳長娘、それも知らず尾行しようなぞ言ってたんか」
鉱人道士があきれたように肩をすくめると妖精弓手の耳と瞼がぴくりと動く。
「狩人は報告をした時に別れたわい」
「弾を補給しにいくと言ってましたな」
「ああ、あの変な筒用の。でも補給できる場所あるの?ここに数日いたけどあの変な筒...銃だっけ?使ってるやつみたことないわよ?」
「辺境の街でも使ってはいたんけども、思えばあの防衛戦の時に出した弾の数はすぐさま用意できる数じゃなかったのぉ。こらぁ秘密がありそうだ」
「狩人様なら、裏庭に行かれました」
声の方向に一党が顔を向ければそこに居るのは剣の乙女。
女神官が慌て妖精弓手が半目で剣の乙女を見る。
「とても楽しそうに談笑されていたもので...気になってこっそり聞いていたのです」
ダメでしたか?と微笑を浮かべ小首を傾げながら問う剣の乙女。
その問いに女神官があたふたしながら答えようとし、最終的には縮こまってしまった。
「言いたいことは色々あるけど...狩人の奴は裏庭に居るのね。情報ありがとう」
「いえいえ」
ほら行くわよと鉱人道士に声をかけ裏庭へと進んでいく妖精弓手。
裏庭につき辺りを見渡すも狩人の姿はない。
騙された?と考え顎に手を添えうーんと唸っていると後ろから鉱人道士に声をかけられる。
「何もそんな急がんでもいいじゃろ」
「でも裏庭には井戸しかないじゃない?まさか一人で地下水路に行くとは思えないし」
「まぁそれはそうだけんども」
「狩人の姿はないし騙されたのかしら」
「騙してるようにゃ見えんかったがなぁ」
話し合い、とりあえず剣の乙女に文句を言おうという結論に至り、踵を返そうとするが井戸の横が紫色に光ったことに目を奪われる。そしてその中から現れた狩人のと目が合う。
「....え?」
~~~
水銀弾集めが予想以上に早く終わり、狩人の夢に戻れば人形が奇妙な言動をする。
悪夢に転移すれば戻ってきた瞬間を見られる。何だというのだ。
転移、あるいはゲート。その呪文は存在するにはするが珍しく、見つけ売り払えば多くの金貨を手に入れられるという。何を言いたいのかといえば、そう易々と使える物では無いという事だ。
夢を見ることのできる狩人は灯りを使い夢から夢に転移できる。
私達にとっては普通だがこの悪夢の存在にとっては普通ではない。
「ねぇ、今あんた、井戸の横から出てきたわよね」
「...ああ」
「どんな方法で?」
どうしたものか。灯りの事は話しても大丈夫ではあるだろうが。
「
鉱人道士の言葉で言い訳すらも無理そうだ。...仕方ないか。
「ああ、私はここにある灯りで転移をした」
「灯りそんなのどこにあるのよ」
「井戸の横にゃあ何もねぇぞ」
ふむ、灯りは見えていないのか。ヤーナムの血を流す者だけが見えるのだろうか。
「貴公等には見えぬのかもしれぬがここには灯りがある。紫の光を放つ灯りが。触ればわかるだろうか?」
掌を灯りの上に置く。心なしか灯りの周りにいる使者達が迷惑そうにしている気がする。
妖精弓手が恐る恐るといった感じにこちらへ手を伸ばし、灯りに触れ目を見開く。
「...ホントにある」
「それは本当か?耳長娘」
「嘘なんか吐かないわよ」
鉱人道士もまた灯りに触れる。
「...本当みたいだわな」
「何故貴公等には見えぬのかは知らぬがこれは辺境の街にもある。そして灯りにはある場所を中継にして灯りに転移できる力がある。それで私は転移してきたという訳だ」
「それって私達にもできるの?」
「恐らくは無理だ。私達狩人にしかできないだろう」
「そう、残念ね」
「より詳しくは明日の朝、皆の前で話そう。黙っていて悪かったな」
「ま、いいわ。許してあげる」
「血晶石さえくれりゃわしゃ何も言わんよ」
「ああ、珍しい物をやろう」
ああ、全く。本当に良い奴らだ。
ヤーナムにも彼らのような奴らがいればよかったのに。
明日の朝、皆ら何か言われなければいいが。
個人的にヤーナムの血が入っていて狩人の適性がある者しか使者の灯りを見れないと思ってる