いつも通り・・・と言うわけではなかったが、碌でもない仕事を終わらせ行きつけの酒場でお気に入りの酒を飲む。
紅魔館にいたころとは全く別の生活、まったく別の習慣。
でも数年も続けているうちに慣れてしまった。
「ご注文は?」
聞き慣れた声、聞き慣れたセリフ。
私は煙草を蒸かしつつ、いつものと注文した。
「ウィスキーのハーフロック。ですね、少々お待ちを」
この現実は、あの時の非現実をわずかながらに癒してくれる。
仮にも恩人に似た彼女たちを、撃って撃ち落して殺したのだ。
罪悪感が無いわけではない。むしろ、罪悪感はありすぎで困る。
ふぅー・・・と、たばこの息と一緒に吐き出すため息。
「お待たせしました。」
マスターが私が注文したものを持ってきてくれた。
ありがとう、と言いつつまずは軽く一口。
「・・・おいしい。」
ウィスキーの香りと味わいが引き出されており、おいしく感じる。
今は防弾ベストとか暗視装備などは付けていないから多分外見から見たらただの女が飲んでいるだけだろう。
ちなみにこのBARでは争いは一切禁止されてる。喧嘩しようとした途端、マスターのレミントンM870が火を噴くのである。マスターの射撃の腕は間違いなくヤバい
「それで、今回のお仕事はどうでしたか?」
「中々、きつかったよ。」
「そうですか。では店のおごりでこちらを」
するとマスターは、厨房に入って行きしばらくしてガーリックシュリンプを持ってきた。
これは中々、いい摘みになりそうだ。
「ああ、それと。こちらを。」
懐からパッと封筒なようなものを私に差し出してくる。
どうやらマスター経由で、あの男からの調査結果が渡されるらしい。
よほど、あの男は忙しいと見た。
「では、ごゆっくり」
「ありがとう、マスター」
マスターが離れてゆくのを見て私は封筒から調査結果に目を通す。
=====================
”S‐444 Ⅴiolet”
現在は近接特化型の
しかし、万能戦闘型の
これを開発した博士は現在この
一度も顔を見せたことがないことから”
”近距離特化型生体兵器
”S‐444 Ⅴiolet”の近接特化型タイプ。
注目すべき点は見目麗しい容姿ではなく、人知を超えた身体能力と性能である。
ミニガンの超速射の弾丸すら切り裂き装甲輸送車の全速力のスピードにも追いつく身体性能と言われており
戦場では”破壊の子”と呼ばれて恐れられているらしい。
”中遠距離専用生体兵器
”S‐444 Ⅴiolet”の中遠距離専用タイプ。
注目すべき点は見目麗しい容姿ではなく、異常なほどの射撃正確率、カリスマと言えるほどの指揮能力、そして常軌を逸した集中能力である。
彼女たちが持つ銃のサイトの先では必ず敵がハチの巣にされ、彼女たちが持つスナイパーライフルのスコープでは赤い花が咲き誇っている。身体能力は普通。(それでも常識を超えた身体能力だが)特質すべき点は射撃能力が高いということだけだ。しかしながら、生体兵器でありながら戦車や軍事ヘリなどの兵器も使えることからフランドールよりも対処が難しいとされる。
ごくたまに頭を抱えて震える個体もいるようだ。その際、うー。とかわいらしい声も聞こえるとかなんとか。
======================
「・・・・・・」
調査結果をそっと丸め潰しそっとしまう。
やはりと言っていいほどあの生体兵器はレミリア様と妹様のDNAを使って作られているみたいだ。
だとするならば、私は
銃の製造だけでなく、戦車や戦闘機、果てには戦艦を作っている。
キャッチフレーズは”棍棒から起動兵器まで”というどこかで聞いたようなフレーズで安定性も高いと言われている。
(・・・いや、今だけは考えないようにしよう。)
そう思いつつ、ウィスキーが入ったグラスを傾け、ガーリックシュリンプを軽くつまむ。
「お待たせしました、美鈴さん」
隣によく知った顔・・・小悪魔さんが隣の席に座る。
小悪魔さんはマスターに赤ワインとカプレーゼを注文していた。
マスターはかしこまりましたと言うとテキパキと用意を進めていた。
「で、どうでしたか?」
「どうも何も、私たちが見たものがすべてだったわ」
「・・・やはり、あれは」
「ええ、そういう事。」
私と小悪魔さんの間で沈黙が流れる。
仮にも恩義のある主、召喚主の親友を撃ったのだ。流石に心にくるものがある。
私たちにとってそのお二方は、とても久しく恩義のある人でもある。
小悪魔さんにとっては恐ろしい存在ではあったものの、実はこっそり遊び(ボードゲームとか)に付き合っていた間柄だった。それゆえ、撃つのにも殺すことにも躊躇はある・・・それほど似ているのだ、
仮に撃たなければ自分たちが殺され、撃てば恩人の影がちらつくのである。
「・・とてもやり辛いわね」
「・・・・・・ええ」
そのあと、一言も会話せずに静かにグラスを傾けていた