「前回の旅ではあまりに多くの民間人を巻き込んでしまった」
ジョセフの言うことには、なるべく旅客機などでの移動は避けねばならないとのことだった。
「しかし日本を出るには海を越えないといけないんでな。広東省までは旅客機に乗っていくぜ」
承太郎は、これについては仕方がないので、なるべく乗客の少ない便を選んだという。
「だが、それから先はなるべく陸路か海路での移動じゃ。ルートは前回と同じくインド洋の側から中東へ行き、地中海とヨーロッパを通ってイギリスへと向かおうと思う」
「なるほど」
「かなり遠回りをしている理由については、DIOは生前、自身の蘇生の方法をノートに記していてな。ヤツはその方法を使うと考えられておる。そうすると、復活までにはまだ三ヶ月ほどかかるので、それならばなるべく安全に行こうというわけじゃ。とにかく、旅費はこちらで出すから道中は観光程度に思ってくれてかまわんよ」
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翌日 空条邸門前
「皆、準備はいいな? では、出発じゃ!」
「「「「行くぞ!」」」」
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「これなら直接イギリスに向かっても良かったんじゃねーの?」
ポルナレフは不満げに言った。
「まあそう言うな。用心に越したことはないだろう」
一行は常に目を光らせていたが、広州行きの機内では刺客による襲撃はなかった。
なんとなく拍子抜けした一行だが、無事に広東省に到着したことを祝うのも兼ねて、まずは食事をしようということになった。
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「広東料理といえば酢豚やワンタン麺が有名だな。数多い中華料理の中でも、私の好きなものは広東料理が多いんだ」
「じゃあ、その辺りのものを頼もうか」
ジョセフが注文している間、承太郎とポルナレフは香港でのことを思い出していた。
「そういえば、俺がジョースターさんたちに攻撃を仕掛けたのも料亭だったな。ジョースターさんに『メニューが読めないから助けてください』とか言って。ありゃあ聞く相手間違えたぜ」
「ああ、じじいが頼んだ料理にはロクなもんがなかったよな……」
「あ」
そう。まさにそのジョセフが注文していたのだ。
当然酢豚やワンタン麺が出てくるはずもなくーー
「いや、ちゃんと出てきたようだぜ」
「マジかよ!」
「ワシもあれから少し勉強したんじゃよ」
「さあ、冷めないうちにいただこう」
そんな一行に一人のアメリカ人らしき男が近づいてきた。
「すみません。私はアメリカ人なもので、漢字がよく読めません。助けて欲しいのですが」
「ポルナレフか」
「ポルナレフじゃな」
「その方法はオレがもう検証済みだぜ」
「まさか君がヤツの刺客で、私たちを襲うってわけじゃあないだろうね?」
などと少々ふざけていた一行だったのだが。
「なぜですか……」
「へ?」
「なぜワタシがウィルドボア様の刺客だとわかったのですか」
「マジで刺客だったのかよ」
「聞いてもいないのにヤツの名前まで教えてくれたな」
「いや、バレてしまったからには隠しても仕方がありません。ワタシの名は マイス・ゴードン。ジャック・ウィルドボア様のために、アナタ方の旅をここで終わらせに参りました。さて、ワタシの最初の相手はドナタでしょうか?」
「わざわざ名乗ってくる敵も珍しいな。コイツのスタンドは正統派の可能性が高い。ここは俺が相手をしよう」
「うむ。任せたぞ、承太郎」
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店の外に出ると、承太郎とゴードンは向かい合った。
「ジョウタロウ。アナタにお相手していただけるとは光栄です」
「ほう、どうやら俺の情報は聞いているようだな」
「アナタはDIO様を倒した男です。当然ですよ」
「なるほどな」
「では、行きますよ」
「ああ、いつでもいいぜ……」
一瞬の後、決戦の火蓋が切って落とされるーー
<To Be Continued……
1900年代だと、広州白雲国際空港はまだなかったみたいですね…
調べが足りていませんでした。申し訳ありません。
感想エネルギーこそ「仙道」パワー!!
何卒何卒。