東方紅魔走~The Black Death Butterfly~ 作:Umaibo
そして今回からオリジナルキャラが登場します!
それではゆるりとお楽しみください。
東方紅魔走 第1話「動き始める物語」
チューニングショップKIRISANE―
魔理沙は車から降りた霊夢に声をかける。
「よう、調子はどうだ?」
「ぼちぼちよ。全く参拝客が来ないのはいつものことだけど」
「そりゃ走り屋やってる巫女がいる神社なんてだれも来ないわな()」
「うっさい」
くだらない話をしながら魔理沙は霊夢スープラをジャッキに上げる。
いつもの定期点検だ。
「んじゃ、オフィスで待っててくれ」
「はーい」
魔理沙が点検をしている間、霊夢は勝手に飲み物をオフィスの冷蔵庫から取り出し、適当に置いてある雑誌を読んでくつろぐ。
その時、霊夢はオフィス内に入っている黄色の車に目に留まった。
流線型のボディーにリトラクタブルヘッドライト、そしてマツダのエンブレムが輝くそれは――
「魔理沙のFD3S……前見たときはこんなんじゃなかった気がするんだけど…」
エアロはタイプRBの純正エアロのままだが、リトラクタブルライトは半目で二つの小型HIDライト、低めのGTスポイラー、そしてボンネットはカーボン製にしてあり、エアクリが外に飛び出していた。ホイールは王道のBBS LMで、マッドオレンジに塗り替えられている。ストリート仕様だ。
「最近店の売り上げの調子が良くてな、カスタムするお金が入ったのさ」
そこに点検を終えたのか、魔理沙が事務所から戻ってきた。
「で、検査は終わったの?」
「ああ、特に問題なし。消耗品の交換とタイヤのローテーションだけやっておいたぜ」
「いつもすまないわね。お金を払ってもないのに」
そう、魔理沙はいつも霊夢のスープラを無償で点検してくれるのだ。
しかも消耗品は魔理沙のポケットマネーからだ。
しかし、魔理沙はいつも笑顔でこう言うのだ。
「何言ってんだ、お互い様だろ。霊夢が走り続けることが、私にとっての代金さ」
「……そう」
若干恥ずかしくて霊夢はそっぽを向いた。
すると、店前に2台の車が停車した。
一台はシルバーの車体に紫のネオンライト、そしてカーボンボンネットとTE37を装備したRUF RK Coupe、そしてもう一台は無限エアロを身にまとい、エアダクト付きボンネット、無限ウイング、そしてOZ leggendaをはいたシビックTypeR FD2だ。
そして中から、二人の男性が出てきた。
一人はいわゆる若者の現代ファッションで、もう一人はチノパンに無地のYシャツを着ている落ち着いたファッションだ。
「よう、魔理沙。調子はどうだい?」
「魔理沙氏、お久しぶりです」
「ようSKY。雨霊も久しぶりだな」
そう、この人は魔理沙の店の常連客、SKYと雨霊だ。
SKYはもともと外の世界では有名な走り屋だったらしいが、今は引退し、この幻想郷で走りを続けている。
雨霊は車を使う仕事にあこがれ脱サラし、今は風景カメラマンとして様々な場所へ写真を撮りに行く。そのため仕事自体は2か月や3か月かかるのでいないことが多いのだ。
なのであったときはKIRISAMEに立ち寄り、こうやって思い出話をすることになっている。
魔理沙たちはオフィスのソファーに集まった。
雨霊がたくさんの写真を見せる。
「はい。これが今回行ってきたところの写真です」
「「「おおおおおおおお!!」」」
そこに移っていたのはたくさんのカスタムカーだった。
先週、大きなイベントがあったのだ。
「って、仕事はどうしたんだよ?」
「イベント行くために高速で終わらせました☆」
「さすが元社畜()」
そこには、様々なカスタムカーが映っていた。バリバリにカスタムされたスポーツ800や、車高短ツライチなチェイサーやアリスト、真っ黄色なNSX-Rや真っ黒なY33グロリアなど様々だ。
「相変わらずすごい車たちだな……」
「いつもの走り屋仲間さ。今度機会があれば連れてくるよ」
「よろしく頼むぜ。常連客よ」
魔理沙、SKY、雨霊が盛り上がっている中、霊夢は一枚の写真にくぎ付けになっていた。
それは、一台のスカイラインGT-R BNR32だった。
どこまでも吸い込まれそうな光沢のないブラックに大きなカーボンダックテール、そして一番特徴的なのは、21インチのホイールをはいていて、そしてそのリングが紫色に塗装されていることだ。
霊夢がSKYに尋ねる。
「ねえ、この車もあなたたちの仲間?」
「いや、違うな。こんなの見たことないぜ」
すると雨霊からこんな答えが返ってきた。
「確かその人は、あの辺りでは有名な走り屋みたいですよ。どう見てもオーナーは小さな幼jゲフンゲフンもとい女の子でしたけどね。とてもうまくは思えませんでしたよ」
「おいお前今何を言いかけた()」
「このイベントが行われた場所は?(ガン無視)」
「ああ。この町のはずれにある椛峠さ」
椛峠。
それは幻想町の郊外にある大きな山、妖怪の山の天界山ロープウェーまでの全長20.3kmの長い旧国道だ。
魔理沙がR32の写真を見ながら言う。
「予想だけど、この車のオーナー、相当強いと思うぜ」
「何故そう言えるんだい?」
「だって、この車から強さのオーラが見えるからさ。そしてカスタムのいじり方からして素人にできるもんじゃねえ」
「俺には良く分からんが…まあ魔理沙が言うんだったらそうなんだろうな」
「この車、ちょっと調べておきますね。分かり次第連絡しますよ」
そんなわけで、今回の親睦会は終わりを告げたのだった――
その後、霊夢と魔理沙はFDに乗っていつもの喫茶店に向かっていた。
「サス固くない?お尻が痛くなってくるんだけど」
「それはお前の車エアサスだし俺よりも高い車高にしてるからだろ…」
そんな話をしていると、いつもの喫茶店が見えてくる。
喫茶店、Impala.café。
そして、その店にもう一台の車が近づいてきていた。
東方紅魔走、始動―。
お待たせしました。次回からようやく本編開始です。