東方紅魔走~The Black Death Butterfly~ 作:Umaibo
大変長らくお待たせいたしました。
紅魔走、再始動です!!!!
実はリアルはかなり忙しいのですが、(というよりもっと忙しくなってしまった)3か月更新を目指して頑張ります!!
第5話「謎のチューナー、Morpho」
椛峠、入り口――
雨が降り続いている。
霊夢とルーミアは、クラッシュしたRのレッカーを待っている間、霊夢スープラの中で待っていることにした。
魔理沙曰く、
魔「ドラシャがお亡くなりになってる。これじゃ自走で帰るのは厳しいだろう」
すでに深夜になっており、車の通りも少ない。二人はただ静かに魔理沙を
待っていた。
やがて、ルーミアが煙草を取り出した。
ル「……吸うか?」
霊夢は無言で首を振る。
霊夢も魔理沙と同じく、嫌煙家なのだ。
ルーミアは小さくため息をつき、窓を軽く開けて吸い始めた。
白煙を吹き出しながら、ルーミアがつぶやく。
ル「速いな、お前。このあたりのやつらとは桁違いだ」
霊「…別に速くないわ。私は私でいつもと同じ走りをしているだけのことよ」
ル「なんだ、皮肉か?少なくともこのあたりでは一番速い俺を倒したんだ。少しぐらいは誇ってもいいと思うんだがな」
霊「え?それ自分で言っちゃうの?自意識過剰?」
ル「はは、謙遜するお前も同類だ」
霊「そうね、ある意味似た者同士なのかも」
二人は苦笑した。
ル「改めて自己紹介をしようか。私はルーミア。本名はルーミア・ア・リスト。一応だがカスタムメーカーの社長だ。以後お見知りおきを」
霊「博麗霊夢。博霊神社の巫女。ただの走り屋でもあるわね」
ル「おいおい、道理でずいぶんと凄い服着てると思ったんだ。巫女さんがスープラ乗り回していいのかよ?」
霊「元々先代が走り屋で、小さい頃からよく教え込まされてきたのよ」
ル「そーなのかー。親が進んで走り屋だったとはちょっとうらやましいな」
霊「よくはないわ。私は逆に普通の親であってほしかったわね」
ルーミアは煙草の煙を消し、森林へ投げ捨てた。
ル「少なくとも俺はうらやましいと思うね。俺の親は、車はただの『移動手段』としか思っていなくてな。いつも親には反抗していた」
ルーミアは遠くを眺める。
ル「でも自分ではどうすることも出来なかった。ただひたすら親の言うことに従うほかなかったんだ。でもそんな時に『マスター』が現れたんだ」
霊「『マスター』?」
ル「ああ。私の運命を変えた人。そして、今私が持っているメーカーの創業者だ」
霊夢はスープラのエンジンをかけ、エアコンを入れた。
霊「長くなりそうだからね。夏場は暑いわ」
ル「助かる」
ルーミアはそう言ってポツリ、ポツリと話し始めるのだった――
3日後、チューナー店KIRISAME――
魔「よし、こんなもんだろう。エアロはともかく、走れるようにはなったはずだ。細かい調節は自分でやってくれ」
ル「ありがとう、恩に着るよ」
魔理沙のおかげでルーミアRはそれなりに復活していた。
狭いガレージの中でRBサウンドが響く。
魔「それにしてもずいぶんとしっかりしている車だな。推定でも600馬力ぐらいはありそうだぜ」
ル「ああ、でも私一人で作ったわけじゃないんだ」
魔「あ、そうなのか?」
すると横の休憩スペースから霊夢が顔を出した。
霊「確かルバリーミボリアの師バリ匠みボリバリたいなバリ人がいボリボリるらしバリボリバリボリ…」
魔「食べながら喋るなあとそれは来客用だ勝手に食うな!」
霊「いいじゃない、一応私も客よ?」
魔「ああ。タイヤ代しか払わないで他のパーツ全部俺が払ってるリピーター様がな」
ル「ええ…(困惑)」
そう、霊夢スープラに関しては魔理沙が特別にほぼ全額を負担している。
それにはとある理由があるのだが――
魔「その話じゃなくて、ルーミアの師匠についてだろ」
ル「ああ。でも今マスターは失踪中だ」
霊「失踪中…?」
ル「どこにいるのかは知らない。でも毎年、ガレージに年賀状が送られてくるから、生きているのは間違いないんだ」
魔「ふむ、でもこの辺の界隈でもB.D.Bなんて聞いたことがないな。少し知り合いに尋ねてみるか」
魔理沙はまだチューナーになってからの日は浅いが、走り屋時代の友人が多く、顔は広い。
霊「名前が分かれば探しやすいんじゃない?名前はなんて言うのよ」
ル「本名かは分からないが、最初に会ったときは『Morpho』と名乗っていたはずだ」
魔「分かった、聞いておくよ」
ルーミアはエンジンをふかす。
『黒死蝶』の復活だ。
ル「それじゃ、また寄らせてもらうよ」
そう言って、ルーミアRは爆音を立てて走り去っていった。
魔「ああいう情熱のある走り屋を見てると、走りたくなってくるぜ」
霊「あら、久しぶりに勝負する?」
魔「いいぜ。受けて立つ」
そう言いながら、魔理沙と霊夢は、Rが見えなくなるまで、手を振っていた―――
数か月後―――
すっかりルーミアは霊夢たちと仲良くなり、「KIRISAME」の常連とも仲良くなった。
また実家の牛乳配達のない日は「KIRISAME」の手伝いもしてくれるようになった。
ルーミア自身もまた、「もっとチューニングを知らなければ」と思ったのだろう。
新たなメンバーを加えて、平穏な毎日が始まろうとしていた――
しかし、その平穏は長く続かなかった。
第6話へ続く。