バカと明久と怪異鬼譚【凍結】   作:イビルジョーカー

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2014年初の投稿です! 読者の皆さま、今年も『バカと明久と怪異鬼譚』を
よろしくお願いします!!

では、どうぞ!


第七怪 ひでよしポイズン【前】

 

~~明久サイド~~

 

 

 

 

僕がこの文月学園に入学して2度目の春が訪れようとしている

この時期、僕はある試験の為に幼馴染や恋人である優子たちに

協力してもらっていた。

 

それが振り分け試験っていうやつなんだけど、簡単に説明すると

点数によって最も設備の良いAクラスに行けたりもすれば、最も

設備の悪いFクラス行きになったりもする、謂ってみれば『天国

か地獄かの審判』なんだ。

 

で、それを受けた結果は………

 

 

『試験中の途中退席により無得点』、つまり0点なんだ。

 

 

これはもう放棄も同然だけど、ちゃんとした理由があったんだ。

 

瑞希が高熱で倒れてその際担当の試験監督の教師は一切手を貸さず、

一人で保健室に行けなんてふざけたことを言ったんだ。

 

で、僕はそれを見て腹が立って瑞希を無事保健室へ送る為に一緒に

途中退席。それで0点と。

 

まっ、僕が好き勝手にやった自業自得だし別にいいんだけど。

 

やっぱり一緒に勉強して色々と努力してくれた優子と瑞希には

悪いよね。

 

あとさ、突然話が変わるようでアレなんだけど………

 

僕の目の前で秀吉が全裸ってどういう状況!?

 

いや、僕はある事情があって普通に木下家を訪問しただけだよ!? 

ちゃんと玄関から入って鍵が開いてたから扉を開けてみれば秀吉の

裸レッツオープン!的な意味不明な展開に!!?

 

 

「なんじゃ明久か。一体どうしたのじゃ、そんな驚いた顔をして」

 

「い、いや、そんなことより秀吉! 君は何て艶めかしい裸体を

僕の目の前で披露してるの!?」

 

「ああ~これかの。すまんすまん、少しシャワーを浴びておった

からな」

 

 

まったく恥ずかしがる気配もなく、平気そうな顔でそう言う秀吉

に僕はもう何て言うか……顔が耳まで真っ赤っかだよマジで。

 

 

「だからって普通はタオルぐらい巻くもんでしょ!」

 

「すまんのう。実はバスタオルが浴室に一枚も置いてなかったので

それでタオルがあるであろうリビングに行こうとしたら、ちょうど

明久が玄関を扉を開け、そこをわしが偶然にも通り掛かったという

わけじゃな」

 

「……まぁとにかく、早く何か服着てきなよ」

 

「すまんの明久。すぐ着替え終えるから家に上がって

リビングで待っててほしいのじゃ」

 

 

とまぁ、こんなやり取りがあって僕と秀吉は向かい合うかの

ような位置に置かれたソファーに座って互いに茶を啜り始めた。

 

さて、大体落ち着いたところで秀吉に説明しなきゃ。

 

 

「ふむ、なるほどのぅ。ようするにお主は振り分け試験での

失態を姉上に謝罪したくてやって来た……というわけじゃな」

 

「うん。話が早くて助かるよ。それで優子は?」

 

「姉上なら友人の家に行って料理を学んでおるらしい。やはり

明久の恋人であるが故、愛おしい人に自分で作った料理を食べ

てほしいのじゃろう」

 

 

へぇ~そうなんだ。そ、それは個人的に嬉しいかな//////

 

 

「で、その友人というのが何とあの姫路瑞希らしいのぅ」

 

「…………………………え? なに……あのゴメン。もう一回

言ってくれないかな? 僕には何故か姫路瑞希なんて幻聴が…」

 

「お主は何を言っておる。姫路瑞希で正解じゃ。幻聴などではないぞ」

 

 

………………………………………いやいやいやいやいや!!!!!!

 

全ッッ然喜べないし! 嬉しくもないよ!?

 

色々な意味で前言撤回だよそんなもん!!

 

秀吉は瑞希のことまったく知らないからそんなことが言えるんだよ!

 

小学生のころなんて、あの子の手作りクッキーで何度何十回

臨死体験させられたか……ああ~~思い出しただけでも背筋

がゾッとする!!!!

 

そんな殺人化学薬品兵器のレシピを優子が教わったら……ゴフッ!

 

僕はあまりの恐ろしさに思わず血を吐いてしまった(涙目

 

 

「明久よ大丈夫か!? いきなり吐血は何事じゃ!!」

 

 

ああ………寅さん。男ってやつは色々と辛いよね。

 

 

 

 

時刻は既に8時11分。空が完全に闇一色に染まり街中

全ての街灯が如月市を照らし出すこの時間帯に僕は裂男

が住んでいるあの定番の廃墟ビルへ向かっていた。

 

優子がいないから、とりあえず用は無いなってことで

1時間くらい秀吉と軽く談笑してから木下家を後に

して自宅に帰ったんだ。

 

特にやることもなかったから暇潰しにゲームやったり

漫画読んだりとかで適当に過ごしてたら、裂男から

僕の携帯にメールが入ってきた。

 

内容はこんな感じ。

 

 

『やぁ明久君。ちぃーっとばかし手伝ってほしいこと

があるから手数かけるようで申し訳ないけど、小生の

マイホームまで来てくれないかな? 

 

無理強いはしないけど、ここは一つ頼まれてくれると

嬉しいかな』

 

 

裂男の軽薄な口調が存分に伝わってくる、そんなメールに

対して僕はこう返した。

 

 

『OKいいよ。じゃあ今からそっちに行くね』

 

 

っていう具合で今に至ってるわけなんだけど、でも裂男

の方から用があるっていうのも何か不思議だな。だって

いつもは僕が裂男に用があってって言う感じだし(その

ほとんどが怪異絡みの件だけど)、こういうのって何か

妙に新鮮でいいんだよね。

 

 

「はぁ~何て言うか……これから先あの瑞希伝授の殺人

料理を優子の為に食べ続けなきゃダメなのかな。そう思う

と、本当僕ってつくづくツイてな」

 

 

ふと。僕の言葉が最後まで呟くことなく途中で終わる。

 

目の前に人影がいたからだ。

 

それも、明らかに『人ならざる』って雰囲気を醸し出しながら。

 

僕は瞬時に両目の視力を限界まで上げて『人影』を見た。

 

毒々しい赤紫に近い色をしたドロドロの液体。それが人の体に

蛇のように巻きついていて、そこから更に植物の根のような

感じで放射状にへばりついている。

 

ゾッとした。踏切りスプラッターもアレはあれですっごく

グロい感じがしたけど、今、僕の目の前にいる『怪異』は

それをゆうに超える不快感と不気味さを演出していたんだ。

 

 

「…………………………」

 

「…………………………」

 

 

無言の静寂。その一分一分が妙に一時間のように感じるのは

僕の気のせいなのかな? とにかく今僕の目の前にいる怪異

は気配と雰囲気から察するに人畜無害って感じじゃない。

 

条件さえ揃っていざその場に顕現すれば、その場にいる人を

一瞬で殺せそうな気迫と殺気に満ちている。

 

 

「お前、一体誰だ」

 

「………」

 

 

僕の質問を一蹴するかのように無言を貫き一歩、また一歩、

もう一歩と段々僕へと近づいていく。

 

そして、その頭部の部位のみ毒々しい色彩の液体が落ちていく。

 

 

「!!………ひ、秀吉っ!」

 

 

驚愕しかできなかった。

 

だって、顕わになったその顔は、何から何までが

秀吉本人だったんだから!!

 

 

「毒。毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒

毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒!!!!

 

毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒

毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒

毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒

 

毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒

毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒!!!!!!!!!!」

 

 

狂気的に、連続的に、猟奇的に、秀吉であって秀吉じゃない

『存在』は笑う。

 

笑って怨嗟を存分に込めた呪文のような感じで『毒』と

呟き続ける。

 

僕の背筋がまるで液体窒素でもぶっかけられたかのように芯まで

凍りつき、ふと、まるで無数の生き物の死肉が溶け込んだかの

ようなヘドロにでも触れたような、そんな気持ち悪く何とも

言えない不快感を僕の右腕が感じ取った。

 

見るといつの間にか僕の懐に入った秀吉が僕の右腕を掴んでいた。

 

 

「!!!!!!!!!!!!!!!ッッッッッッッッッ」

 

 

途方もない激痛が僕を襲った。

 

何故なら毒々しい液体によって僕の右腕は骨が見える

くらいに溶かされてるんだから!!

 

 

「(この液体……腐食性の強酸みたいなものなのか!?)」

 

 

そう思った瞬間、それが僅かな隙になっちゃったんだ。

 

ガシッ

 

気づけば秀吉は左手で僕の腹部を掴み、そのまま液体の効力

を利用しながら、抉るように押していく。

 

当然、そんなことされたら僕の皮膚、筋肉、内臓は無残にも

溶けてヤバい位に大惨事だ。

 

 

「ぐっ、ああああああああああああああああああああああああああ

ああああああああああああああああああああああああああああああ

ああああああああああああああああああああああああああああああ

あああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

ああああああああああああああああああああああああああああああ

ああああああああああああああああああああああああああああああ

ああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

今は夜中。つまりそれって僕のハーフゾンビとしての特性が目覚めて

身体能力や新陳代謝、五感や神経機能が最大限に発揮させるってこと

なんだけど、それって痛覚とかも含めているわけだから、夜中だと何

てことのないほんの少しの掠り傷程度させ腕を裂かれたような激痛に

なっちゃうんだ。

 

でもまぁ、すぐ再生できるんだけど……!?っ う、ウソだろ?

 

何で再生がこんなに遅いんだ!??

 

だって……いつもならすぐ数秒くらいで再生するのに!!

 

 

「毒、毒殺!」

 

「がああっ!!!!」

 

 

瞬間、僕は誰のと知れぬ住宅のブロック塀へと叩き込まれた。

 

 

「あ、ああ、ぐっ……」

 

「毒殺。毒。毒。猛毒。猛毒」

 

 

映画みたいにブロック塀が粉々になることはなかったけど、

それでも尋常じゃない亀裂が放射線に広がって塀が軽く凹む。

 

相変わらず秀吉は狂気の笑みを浮かべて僕を見据える。

 

 

「毒。毒。毒。毒。毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒」

 

「ひ、秀吉……一体何が……どうして………」

 

 

秀吉は何も言わずしばらく僕を見据え続けたんだけど、

どういうわけかその場から去って行った。

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、ぐうぅぅっっっ!!」

 

 

やっぱり再生力が遅い。けど少しずつ回復はしてきてる。

 

これなら何時間かぐらいで完全に復活できる……と思う。

 

 

「明久君!」

 

「……や、やぁ優子。偶然だね」

 

 

うわ~やばい。まさかこの拙い状況で優子に出会うなんて!

 

 

「これは……一体何があったの!? 大丈夫なの明久君!!」

 

「ちょ、まっ、待って! 揺らさないで! これでも怪我人だから!!」

 

 

この後、僕は優子を説得して落ち着かせるまで1時間はかかった。

 

 

 

 

~~おまけ的な次回予告~~

 

 

 

 

「ど~~も~~読者の皆さん! 新年明けましておめでとう!!

人気があるのかないのか、そこんところが不明な『口裂け男』の

鉈崎裂男だよ」

 

「何気に1話しか出番がないアレイストル・ダークだ。あけおめ」

 

「しっかしアレだね~ダークさん。貴方が登場するのって本当に

久しぶりっていうか、1話とこのおまけ企画だけだよね?」

 

「ふん。お前にあのバカ虫はいいよな。ちゃんと出番があって」

 

「いやいや、ダークさん。出番はあっても正直人気があるのか

どうか別だしさ。『裂男ってキャラクター面白いですね』とか

『裂男さんカッコイイーー!!』なんて感想一切来ないんだし

あんまり小生って人気ないんじゃないかな?」

 

「ふん。それを言ってしまえば俺も同じさ。少しくらいは俺に

対する感想くらい欲しいものだ」

 

「まぁまぁ、そう卑屈にならないで。ところで優子ちゃんの

弟くん、マジで大変なことになっちゃったな~~これ。また

確実に明久君が小生のところへ来るだろうな」

 

「その為の諸々設定だろうが。しかし題名と秀吉とやらの

状況から察するに毒に関係する怪異か?」

 

「みたいだね。つーわけで次回『ひでよしポイズン【前】』!!」

 

「あっ、そう言えばこれ、姫路瑞希って奴から貰ったクッキー。

俺今甘いもの食べたくない気分だから裂男にやるよ」

 

「え? あ、いや、あの、それって色々とヤバいって噂の化学毒殺

…ああああああああああああああああああッッッッ!!!!!!」

 

 

 

 

 




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