遅れてすみません(汗)
色々と諸事情があったもので……では、どうぞ!
……さて。本当に色んな意味で大変なことになってしまった。
……胎毒に侵され、何やかんやである意味『新怪異』的な存在に
なってしまった秀吉……本当に拙いし大変だ。事は一刻を争う。
……そんなわけで……何とか秀吉を確保して俺のスキルで秀吉の中の毒を
殺そうとしたのだが……失敗した。まぁ基本的な専門は吸血鬼の方だし、
あんまりこっち方面のプライドは無いのだが……それでも傷ついた。
……無論、俺もただやられっぱなしというのは……どうにも我慢ならん。
……それについては追々説明するとして……前の回でのその後を説明する。
……まず気絶した俺を誰よりも早く発見したのは……明久だった。
……で、俺が目覚めたのは秀吉に気絶されてから軽く一日は経った日の午前
9時55分。ちなみに場所は例の廃墟ビルだ。そして………秀吉にまんまと
逃げられたことで俺のプライドが軽く凹んでいた時に秀吉の姉である優子が
到着。改めて作戦会議というか……そんなものが始まって現在に至る。
「……以上が、昨日俺が歩道橋で気絶するまでに至った経緯だ」
……そんなわけで明久と優子の二人に昨日のことを全て話した。
……無論……秀吉のことも例外じゃない。
「…………」
……その話を聞いた優子の反応は、無言。
……無言だった。言葉を付け足すのなら……何処か自分を責めているような
……そんな感じだった。
……更に言葉を付け足すと……言いにくそうにも見えた。
「……秀吉が言う『あの二人』のこと。何か知っているのか?」
……しかし……俺に優子のそんな精神的な気持ちを配慮する酌量はない。
……秀吉の救うというのなら、それは奴が抱えていた心の闇を……覗き見る
必要もある。無論ながら……毎日のように盗撮と盗聴をこなしている俺から
してみれば……覗き見ることに関しての罪悪感は毛程もない。
「話すわ。こんな事態になっちゃったんだし、言って話さないと何も解決しない
かもしれないしね」
……そう言って優子は語った。
……姉のように慕っていた幼馴染の一人とその恋人に関しての……全てを。
「……ふむ。なるほど……これで今まで不明だった部分がはっきりした。
残る疑問は秀吉の動機だ」
……………少し考えた結果、つまるところは『嫉妬』に近いものだという
答えに至った。
……と、言っても分かりにくいだろう。分かりやすく説明すれば、今まで木下優子
は幼馴染とその恋人のことを片時も忘れることなく想っていた………しかし唐突的
に彼女は一筋の希望を得たのだ。
……『吉井明久』という……たった一人の恋人を。
……明久と出会い、怪異の一件を経てから恋人同士になって優子は変わった。
……まるで人形のように無表情で何の感慨も見出せずにいた一人の少女が当たり
前のように笑い……当たり前のように泣く……そんな『人間として当然のこと』
を取り戻せた。
……つまり、良い意味でプラス的に変わったのだ。
……そこまではいい。ただ……問題はその後だ。
……秀吉的には自分の姉を何とかしようと必死だったのかもしれない。それなり
に努力はしたつもりなのかもしれないが………結果的にそれは無駄に終わった。
……明久のせいで。今俺の目の前にいるこの男によって全ては無駄という結果で
終わった。ならばこそ、自分より先に……しかもいきなり横から割り込んで来た
明久に対して嫉妬していたとしてもおかしくはない。
……と、思ったのだが……よくよく考えてみればこの仮説……辻褄が合わんのだ。
……秀吉はあの時、俺に対してこう言った。
……『明久のせいで姉ちゃんの記憶から二人が消える』と。
……この言葉の意味を理解した上で……改めて俺は、奴と向き合う必要があるな。
……あれから俺は、明久と優子に奴……つまるところ秀吉の捜索を頼み、肝心の俺
は秀吉の真意を探るべく調査を開始した。まず始めに……秀吉が所属している演劇
部のメンバーに会ってみる事にしたが、その理由は俺も明久も……雄二や他を含む
お馴染みメンバーも演劇部のメンバーには会ったことがない。
……つまるところ、いつものメンバーでは知り得ない意外な素顔が発覚したりする
かもしれない。
……そこから秀吉の真意を堀当てることも……十分とは言い難くもできるだろう。
……そんなわけで、俺はお得意の諜報戦術による独自の調査から演劇部のメンバー
全員の情報を入手し、そこから情報の内容から考えて…特に仲の良さそうな生徒を
ピックアップした。うん……我ながら素晴らしい出来だ。
……で、その秀吉と特に仲の良さそうな生徒の人数は『4人』。
……まず誰の元を尋ねるか。これが一番肝心な方針だがそう悩む必要はなかった。
……『斉藤朱美』。演劇部の中でも優秀な生徒であり、秀吉を……ちゃんと『男』
として認識している数少ない生徒の一人だ。故に俺は……俺の中で彼女を『秀吉の
証言者第一号』にさせてもらった。こんな言い方は気が重いがな。
……ともあれ彼女の元に行くに当たって俺は変装をする必要があった。
……何故かと問われれば、以前俺はその子のパンツを本能の赴くまま写真に収めて
しまったからだ。当然……その場でカメラを踏み潰され俺の顔面は彼女の壮絶な…
…ゾッとするような威力の蹴りを喰らい、そのままノックダウンした経験がある。
……つまり、俺が今のまま彼女のいる自宅へ向かっても追い返されるのが関の山。
……とは言え……吸血鬼特有のスキル『魅了』は俺の場合、色々と条件があるし、
何より制限時間があり、連続しての多用ができない。無理にしようとすれば対象の
精神を破壊しかねん。そして俺は魔術をまったくをもって知らん。当然…初歩的な
暗示や催眠といった魔術は使えない。
……ならばこそ、変装に限る。
……髪をオールバックにし、変装用のとある高校のベージュ色基調の制服を着用。
……眼鏡をつけ(もちろん伊達だ)、俺らしくもない愛想良い笑みを浮かべれば……
土屋康太本人とは思えない……そんな好少年の完成だ。そんな下準備を終わらせた
後、俺はすぐさま斉藤朱美のいる自宅へと向かった。
……木下秀吉の幼馴染の『大平恭介(おおだいらきょうすけ)』という偽名と設定を
名乗ってな。
……実際こうして見ると洋式で何とも風格のある、そんな豪邸と言える屋敷だった。
……どうやら斉藤朱美と言う少女は……そこそこ御嬢様らしいな。
「そう堅くならずどうぞ。いっそ我が家とでも思って下さい」
……そんなことを言って、客室用のソファーに腰を下ろした俺に茶を勧めるのは
………色んな意味で忘れもしない。
……長い金髪をストレートに伸ばした少女……斉藤朱美だ。
「どうもすみません。秀吉君のことで、押し掛けるように来てしまって」
「いえいえ、気にしないで下さい。私も秀吉君とはそれなりに仲良い
んで彼のことで相談しに来てくれたのなら、私も嬉しいですよ」
……ふむ。さすがは俺の演技力……全然バレてないな。
「それで、秀吉君に関しての相談って何なんですか?」
「そのことなんですが……実は一週間ほど前から秀吉君、元気が無いんですよ。
秀吉君はそのことを巧く隠しているもんですから、周りの人達は全然気がついて
ないし、僕がそのことについて質問してみても、はぐらかされてしまうだけで一
向に喋ってはくれないって感じなんです。それで丁度、秀吉君がよく貴方のこと
を話していたのを思い出したので、何か分かるかなと思い、不躾にも訪ねてしま
ったのですが……何か心当たりとかありますか?」
……云々。とか言って彼女から何か有力な情報を得られるかと思ったのだが、結果
から言うと……至って普通の凡夫とかしか言い様の無い台詞の数々しかなかった。
……『秀吉君は演技がうまく、皆から良い演劇の見本として尊敬されてました』とか、
『部活の演劇も非常に真面目に取り組んでいて、傍から見ても一目瞭然でした』など。
……そんな感じのものばかりだった。
……俺が知りたいのは『秀吉の抱える心の闇』であって『秀吉の演劇部としての顔』
じゃない。全然違う。
……そして結局『心当たりがありません』などと言う始末。
……どうやら、こいつに聞いたのが間違いだったようだな……うん。
「あの、なんか、お力になれてないみたいで……すみません」
「いえいえ。とんでもない。貴方のおかげで、幼馴染の僕でさえ色々と知らなかった
秀吉君の事が分かったし、何より貴方のような素敵な女性と知り合えてよかったです
よ」
……さすがに、これは自分で言ってアレなんだが……素で恥ずかしかった。
……斉藤朱美もこのキザったらしい台詞には引いてしま……
「い、いえ! 私の方こそ貴方みたいな人に会えて良かったですよ!?
そ、それに綺麗な女性なんて……」
……今時こんなキザったらしい台詞で喜ぶ女がいたとは……素で驚いた。
……しかし訂正を加えるなら、俺は『素敵な女性』としか言ってない。
……『綺麗な女性』と『素敵な女性』……褒め言葉には違いないが、
決して間違えてはいけない。
……まぁ、そんなことを一々訂正するほど……俺は神経質ではないがな。
「あ、そうだ。今し方思い出したんですけど」
……まだ何かあるようだ。面倒だが一応聞いておこう。
「秀吉君。前に一度だけなんですけど……誰かは分からないですけど誰かに
対してその……こういうこと言うのアレなんですけど、『憎しみ』っていう
のかな? そんな感じを思わせることを言ってたんです。秀吉君本人は別に
何でもないって言って誤魔化してたんですけど……私には、どうにもそれが
その時だけなんですけど……すごく気掛かりでした」
「………それは、どういった言葉だったんですか?」
……まさかの収穫だった。
やはり俺の推測は間違っていたらしい……あの秀吉が明久に対して抱いてのは
『嫉妬』ではなく『憎しみ』だったようだ。他にも何かあるんじゃないか、と
そんなことを思い追求するかのように聞いてみた。
「『あいつがいなくなれば』、『あいつのせいで二人が消える』とか。そんな
ことを言っていたと思います。正直、今でも意味が分からないんですけど……
すごく怖かったんです。いつもの秀吉君じゃない気がして」
「………そうですか」
……少しばかり、体が小刻みに震えていた。
……無論。俺ではなく斉藤朱美がだ。
……俺の知っている木下秀吉は……古典的な口調で俺や明久、そして雄二と
比べて見ても断然的に常識人と言える。色々な意味で良い奴だ。
そんな奴が誰かに対して……吉井明久と言う名のバカに憎しみを覚える道理
なんて……考えられない。
……いや『考えたくない』が正解だな。
……低俗でエゴ臭い考えだが……俺は俺の知る秀吉のままでいてほしい。
……聞いてみると格好良さそうに聞こえるが、所詮は勝手な理想像を他人
に押し付けているも同然だ。
……あの後、少しばかり斉藤朱美と談笑してから斉藤邸を後にした。
……ようやくと言った具合だった。色々と不明だった部分が……判明
してきた気がする。
……『気がする』、というのは確信的じゃないって意味だ。
……俺が組み立てた予想……それを実証するには直接本人に言って、
確かめる必要があるが……明久と優子からそれぞれ電話が来て、結局
まだ見つからないらしい。
……もうすぐ時刻は5時になる。
……段々と空が茜色に染まっていく。
……奴が今、現時点でいる場所は何処だ?
……考えろ……考えるんだ……。
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……………………………………………………………………………………
…………………………………………あった。
……思い当たる場所が……あった。
「で、ここに来たと。案外康太も鋭いよな~~本当」
「……」
……俺が来たのは、いつものメンバーでよく来ていた文月学園の屋上。
……そこに奴はいた。胎毒にある意味で侵されている男の娘『木下秀吉』。
……俺の……大切な友人の一人でもある。
……ちなみに言っておくが、俺のスキルであるところのポイズンキラーは
首筋に噛み付くことで初めて効果を発揮する。つまりその工程をしないと
発動はしない……故に一刻も早く秀吉に近付いて胎毒を殺したいのだが…
………………………………………………また捕まった。
……あの禍々しい感じの液体に……性懲りもなく、間抜けにも。
「あんまり邪魔すると康太でも殺しちまうぜ? ガチで」
「……貴様如き……低級怪異が俺に敵うとでも?」
……その事実があまりに恥ずかしく悔しかったので……とりあえず言ってみた。
……無論、そんな俺に秀吉は笑う。
「バっカじゃねぇの? 自分で見てろよ。中々無様だぜ、お前」
「……正論だな」
……さて。手足が動かない以上、この『口』で対抗するか。
「……秀吉。お前は以前言っていたな……『明久がいると優子の記憶から
アイツが消える』、『消えて欲しくないから明久を殺す』と」
「言ったけど? それがどうした?」
「……その時。俺にはどうにも……その意味がよく分からなかったんだがな、
あの後で色々調査をして、演劇部からも色々聞いて……そして色々考えた結果
………お前、優子の幸福を望んでいなかったんだろ?」
「…………………」
……無言だった。
……しかし無反応というわけではないらしく、僅かに体がピクリと震えた。
「『明久のせいで姉ちゃんの記憶から二人が消える』……確かに的を得た言葉だ。
人間は『忘れる生き物』だ。忘れるから生きていけていると言ってもいい位にな。
優子は……明久のおかげで幸せになれた。だがそれは………ある意味自分の不幸を
無かったことにしようとしているも同然だろう。人はそうやって生きていくからな
……戦争しかり震災とか色々な災害しかり……いずれは風化してしまうものだ。
その惨劇を。悲劇を。人は忘れるし、誰かに語り継いだ所でその時の悲しみや苦悩
というものは理解できない。ただの同情しか出来ない。ただ『そういう大変なこと
があった』と脳内に記録されるだけで真に理解などできん。実際に経験してみない
とな…………ようするにお前が恐れたのは……そういうことだ」
……何気に自分が弁舌になっている事実に心底驚いた。
……だが、それでいい。
……そうでなければ……この状況下では奴に勝てん。
「……あたかも罪を忘れ、もう一人の姉も同然だった幼馴染とその恋人。
二人の存在を忘却しようとしている……過去をあくまでも過去のものとして、
自分の奥底に封印する。本当は明久じゃなくそんな姉が……お前は許せなかっ
たんだろ? いや……もっと的確に言うなら………お前は、お前自身、自分が
許せなかったんじゃないのか?
確かに二人が死んだ要因は優子かもしれない……憎むという選択は正しいかも
しれない……しかし、それでもお前は自分の姉を『悪くない』って信じていた
んだろ? 家族として純粋に愛していたんだろ? でも………それでも憎んで
しまって仕方がなかった。だからお前は………そんな自分を隠す為に濡れ衣と
して明久のせいにしたかったんじゃないのか?」
「そんなわけ、ねぇだろがッ!!」
……身動きのとれない俺に、秀吉は容赦なく蹴りを食らわせて来た。
……頬に容赦なくめり込む……そんな勢いで叩き込まれた蹴りと言うのは、
かなり痛いものだ。
「バカ言ってんじゃねぇよ! 全部悪いのは明久! そう吉井明久なんだよ!
アイツがいなければ、絶対に姉さんの記憶からあの二人がいなくなることなん
てないんだよ!! 確かに姉さんの幸福なんて望んでなかったよ! 事実さ!
だってそうだろ!? 毎日が楽しかったら不幸なことなんて塗り潰されて消え
るもんだろ!!? それをアイツは……明久は……しようとしたんだ! 全部
全部無かったことにしようとしたんだ!! だから俺は!」
「……明久を殺そうと企てた……か? 随分と言い訳するのに必死なものだな」
……そんな俺の余計な一言に逆上したのか、思いっきり連続で蹴りを喰らわせてきた。
……な、何気に連続で喰らうと数倍になって痛いな……これ。
「……だが……実際一番憎んでいたのは、他でもないお前自身なんだろ?」
「!!っ」
……息を乱しながら、驚愕を隠し切れない表情で秀吉は……俺を見た。
「……まぁ、自己嫌悪になりたくなる気持ちは分からんでもない。醜いからな。
自分にとって本気で大切だと思ってる家族の幸福を認めようとせず、あまつさえ
、それを奪おうとするんだから……醜い以上に醜悪過ぎる」
……断言してやった。こうでも言わないと秀吉のためにならないからな。
「………そうだよ。あーそうだよ! 結局一番醜くて最悪なのは俺だよ!!」
……秀吉の叫びが、色々な感情を織り交ぜたかのような叫びが広範囲に渡って
響いていく。
……どうやら図星過ぎて、ごまかすのさえ諦めたらしい。
「でもさ、それでも、認めたくなかったんだよ……姉さんを憎むことが………
そんでもって姉さんを憎んで苦しむ姿を見て悦んでる自分が……どうしようも
なく嫌だったんだよ」
……赤く、紅い。
……そんな涙が秀吉の両目から溢れ出て、そして頬を伝って流れ落ちる。
……やれやれ……これだとまるで、俺が小さい子を泣かせてみてるみたいだな……。
「……よく聞け、秀吉。俺はエロが好きだ。皆には内緒にしていたがお前にだけは話して
やる。エロというものは即ち性行為のことを指すが、あんな世間じゃ不潔で下品なもので
もな、未来ある子孫を残していくのに必要な行為だ……何が言いたいかと言うと………『
聖人にでもなったつもりか?』『所詮人間なんてそんなものなんだ』ということだ」
「ど、どういうことだよ」
「……分からないか? 宗教なんかで見るような『聖人』なんて人種は……いない。断言
してもいい。そもそも……聖人というものは、人としての感情や欲望を廃して、神に近い
存在になろうという馬鹿げた思想家の戯言だ。人としての感情や欲望を全部捨てて、それ
で救世主にでもなって誰かを救うなどと抜かすのは滑稽以外の何ものでもない。
だから……気にしすぎない方がいい。お前は……人間だ。人間だから醜さを極めることも
あれば、逆に美しさを極めることができる……そんな生き物だ。……だから別に……お前
だけがそういう風なんじゃない。断言できる。人間なんて大体皆………『最低に醜く最高
に美しい矛盾の権化』のような存在だ」
……はぁ、何だこれは。この陳腐過ぎて笑うこともできない言葉の数々……恥曝しものだ。
……人間でない奴が……あたかも人間であるかのように金八先生並みの人生論?を語る。
…………何だ、それは。ここが学校だからといってそんな学園ドラマは……ないだろ。
……だが、これが本心なのだから……仕方なくて困る。
「じゃ、じゃあ! どうしろっつーんだよ!! もう色々と頭の中グチャグチャで……
どうしたらいいかなんて分からないよ」
「……はぁぁ~~やれやれ。本当に……人間は色々と面倒臭いものだな」
……俺は、そんなことを言いながら俺自身の身体に付き纏っていた液体を一気に弾き
飛ばした。
……何故こんなことが今になってできたのかと言うと、理屈は簡単だ。
……俺の説得のおかげで完全に殺気を無くし……ついでに戦意喪失していたからだ。
……俺は瞬時に秀吉の背後に移動すると、首筋に噛み付いた。
……これによって俺のポイズンキラーのスキルが発動され……
一気に秀吉の中にいた胎毒を殺し尽くした。無論……一片たり
とも残さずにな。
……と、胎毒を全て浄化したのはいいが……噛み付いたせいで元来の吸血鬼
としてのスキルである『エナジードレイン』が発動し、少し多めに血を吸っ
てしまった。
……そのせいで秀吉は意識を失い、現在俺に負んぶされる形でいるというわけだ。
「やぁ、ムッツリ君。そっちはそっちで小生が出るまでもなく
終わちゃったみたいだね」
……聞き覚えのある、非常にムカつきを覚える声と共に奴が姿を現した。
……『鉈崎裂男』。
……怪異でありながら怪異を狩り、人の世界と怪異の世界においての均衡を
調整し守護する男。そんな男が……俺の目の前に現れたのだった。
ちょっとした事情で『ひでよしポイズン【後】』はここまで。
次回は『ひでよしポイズン【おまけ】』を更新しますので
ぜひ、お楽しみに!
あと感想待ってます!