Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』 作:七宮 梅雨
強盗「てめぇらぁ!!こいつがどうなってもいいのか!」
??「「「ママ!!」」」
とある銀行にて、強盗が急に乱入し近くにいた1人の女性が人質にされてしまった。強盗は人質である彼女の頭に銃口を向け、銀行員に金を要求しながら脅しをかける。
強盗「早く金を出せぇ!!じゃなきゃ、この女の頭が吹っ飛ぶぞ!!」
銀行員「す、直ぐに用意します」
銀行員の人達は慌てながら、金を金庫から取り出し、出来るだけかき集め、強盗が用意した袋にせっせと詰める。
人質にされている女性はひたすら怯えており、恐らく人質となっている女性の子供3人もビクビクと泣き、そして震えていた。
??「お、お姉様、ママが………」
??「で、でも………」
3人のうち、ツインテールである少女とサイドテールあるもう1人の少女が怯えながら寄り添っていた。
??(お姉ちゃん達が怖がってる…………。僕がママを助けないと!!)
??「う、うわぁぁぁぁ!!」
強盗「!?」
3人のうち唯一、5歳くらいの男の子が、叫びながら強盗の足に目がけてタックルをぶちかます。当たりどころがちょうど関節部分かつ、大量の金が袋に詰められているという幸福感に浸っていた為油断していたのか、ガクッと強盗の体勢は崩れてしまい、隙を見た女性は男性から逃げ出す。
強盗「このガキが!!」
キレた強盗は銃を持っている腕を振り回し、少年をぶっ飛ばす。
少年「いてて………ん??」
吹っ飛ばされた少年の右手に、なにか掴んでいるような感触があった。少年が手にしてたのは…………
犯人が持っていた銃だった。
吹っ飛ばされた際に、たまたま掴んでしまったのであろう。
強盗「くそっ!!クソガキが、それを返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
強盗は頭に血管を浮かべ、目を血ばらせながら少年の方へと駆けつける。その姿は幼い子供からしたら化け物以外何者でもなかった。
少年「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」
強盗の姿に少年は叫びながら、反射行動で銃を強盗に向け、そして…………
パァン
発砲した際に、衝撃と発砲音によって驚き、少しの間だけ目を瞑っていた少年は恐る恐る目を開けると、そこには…………
頭から血を吹き出し、血塗れとなって倒れている強盗と、吹き出した血によって身体全体、血がべっとりと付いた少年の姿を見て、怯えている母親と2人の少女の姿であった。
??『人殺し』
銀行強盗の事件後にサイドテールの方の少女が怯え声を震わせながら一言、その少年に向け呟いた。
そして一年後、その少年である鹿角 明は大好きだった両親、姉であるサイドテールの鹿角 聖良、そして明の双子のもう1人姉であるツインテールの鹿角 理亞と離れ離れとなってしまった。
〜10年後〜(明視点)
明「…………胸糞悪い夢を見たな」
俺は溜息をつきながら、ゆっくりと身体を起き上がらせる。思い出したくもない夢を見たせいか、パジャマがびっしょりとなるぐらいまで汗をかいていた。
明「着替えないとな………」
俺はベットから降り、湿っているパジャマを脱ぎ捨て、私服を取り出し着替え始める。
あの事件から10年という月日が流れた。
事件後、俺の何もかもが変わってしまった。
俺が人を殺してしまったことが一気に地域に噂となり、俺は周りから『人殺し』というレッテルを貼られてしまった。そのぐらいだったら当時まだ耐えれた方だが、辛かったのはそのせいで実家で経営していた喫茶店『茶房 菊泉』の客足が減ってしまったことと、家族との関係に亀裂が入ってしまったことだった。
そして、一年後遂にそれに耐えられなくなった両親は俺を他県にある有名な施設へと預けた。……………すなわち捨てられたのだ。
聖良『もう………私達に関わらないで』
施設に預けられた時に、別れの際に俺は聖良姉ちゃんに言われたことを今でも記憶に残っている。別に俺はお姉ちゃん達を恨んでる訳では無い。多分、俺のせいでお姉ちゃん達はいじめの対象にされていたのであろう。最後にそう言われてしまうのは当たり前だ。
だから捨てられた以降10年間、俺は鹿角家と関わっていない。今、何やってるのかも分からない。きっと、あっちも同じで俺が今、どこで何をやっているのか分からないだろう。いや、もう既に存在自体忘れられている可能性もある。きっとそうに違いない。うん。
??「明ちゃん、大丈夫??結構、唸ってたみたいけど………」
ガチャリと俺の扉が開き、1人の赤毛のロングヘアの女性が入ってくる。彼女の名前は奥山 零さん。 27歳OL。俺が10歳の時に幼い頃に飼ってた犬とそっくりだったから、と今考えると凄くふざけた理由で施設から引き取ってくれた人で、俺の事情を知ってもなお、家族同然として育ててくれた俺の恩人と言っていいぐらいの人である。だから、俺の苗字は鹿角から奥山へ変わっている。
明「おはよう、零さん。大丈夫だよ。心配かけちゃってごめんね。」
零「そっか…………。朝ごはんできるからちゃんと食べてね。私、そろそろ時間だから」
明「もう行くの??最近、早出勤多くない??」
零「今、仕事が頑張り所だからね。」
零さんはウィンクして言ってあと、素早く家から出て行った。あの人は社畜の鏡だな。毎日、零さんが帰り遅いので晩御飯を作っている俺は今日の晩御飯は元気が出るものにしようと決意しながらリビングにやって来て、朝ごはんであるバタートーストを齧りながら朝日新聞に目を通した。
明「お、そろそろ時間か」
バタートーストを食べ終わった俺は、学校の制服へと着替える。
俺は、年々入学者が減ってきたことにより、それを防ぐために今年から共学となった私立浦の星女学院へ入学した。
そこを選んだ理由は2つ。1つは、年々入学者が減ってきたということだったので、入学しやすかったこと。そして、もう1つは女子高が今年から共学となったということなので入学する男子は少ないはず。だから、クラスで関わる人はほぼいないにいって等しいので正直、人とあまり関わりたくない俺からしたらありがたいと思ったからだ。
だが、その時の俺はまだ知らなかった。
浦の星女学院に通っているオレンジ頭の先輩によってスクールアイドルのマネージャーとして振り回され、いつの日か『人殺し』である俺が聖良姉ちゃんと理亞姉ちゃんのスクールアイドル『Saint Snow』と出会うことになることに……………
誤字脱字などあったら言ってください。
反応によって、モチベが上がります。