Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』 作:七宮 梅雨
誕生日12月12日
異名『人殺し』
見た目は理亞と瓜二つと言わんばかりの容姿。つまり、美男子。
髪型も理亞と同じ色でボサボサ頭。
しかし、身長は178とそこそこ高め。
元々、運動自体は『人殺し』になってしまった以降はしなくなったが、身体能力は高い。バク転やロンダートも簡単に出来る。
頭もそれなり良い。
〜電車〜
俺達は今、電車に乗って東京に向かっている。目的地である秋葉原駅に着くまでまだ時間がかかるので、メンバーは車内でワイワイしていた。
俺以外のメンバーは仲良くトランプで遊んでいた。チョロっと見た感じ、ババ抜きをしている。
先輩たちの誘いを断った俺は窓で景色を見ながらポケーっとしながら、零さんに東京に行くことになったことを伝えた時のことを思い出していた。
〜数日前〜
明「ちょっと話があるんだけどさ…………」
俺は晩御飯を食べている所に向かいの席に座っている零さんに今日あったことを伝えた。Aqoursが前のPVで結果を残したこと。そして、それが理由で東京のイベントでライブすることが決まったこと。そして………俺の姉2人もスクールアイドルをやっており、そのイベントに参加するということを………。
俺の話を聞いた零さんはゆっくりと口を開いた。
零「あ、そう。じゃあ、お土産よろしく。」
……………は?
明「それだけ??」
零「え?それだけだけど…………」
零さんはキョトンとした顔で言う。
明「俺、結構真面目な話したつもりだったんだけど………」
零「だから、東京でライブすることが決まって、もしかしたらそこで明ちゃんの実のお姉さん達に会うかもしれないっていう話でしょ??」
あっさり言うやん。こっちはそれを言うのにめっちゃ緊張したのに。
明「う、うん。」
零「それを知ってもなお、明ちゃんが行きたかったら行けばいいじゃないの。」
明「零さん…………」
零さんは微笑みながら俺の頬を触れる。彼女の手は優しく、暖かった。
零「いい?明ちゃん、よく聞いて。例え『人殺し』になってしまったとしても、明ちゃんには明ちゃんだけの道があるの。そして、どの道を通るのかは明ちゃんが決めるの。私は明ちゃんの味方だし、君が選んだ道をならばどんな道でも全力で応援する。………………家族として当然のことよ」
彼女の言葉が俺の心の中で響く。どうして、この人が言う言葉はいちいち安心感があるのだろうか。
零「それでどうするの??行くの??行かないの??」
零さんのこの言葉で俺は曖昧だった気持ちをはっきりとさせて、初めて言葉として出した。
明「俺は……………姉ちゃん達に会いたい!!」
曜「おはヨーソロー、奥山くん。秋葉原に着いたよ」
明「ふぇ??」
曜先輩は笑いながら、俺の肩を叩き起こす。どうやら、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。
俺は曜先輩にお礼を言いながら、座席から立ち上がり電車に降りる。
梨子先輩以外のメンバー「「おぉーーー!!!」」
梨子先輩の人たちは秋葉原の様子を見て、感激していた。確かに、沼津とかはこんなに人はいないからな。千歌先輩達にとっては新鮮なんだろうな。
善子「ここが……あまねく魔の者が闊歩すると言い伝えられる、約束の他・魔都東京。」
魔都じゃねぇよ。首都だよ
曜「はしゃいでいると、地方から来たって思われちゃうよ」
ルビィ「慣れてますーって感じにならないと
と」
2人の言う通りだ。
千歌「そっか!!………ほんと原宿って、いっつもこれだからまじヤバくな〜い??」
明「千歌先輩。ここ、秋葉原っす。」
俺は秋葉原駅に指を指し、ジト目で指摘してやる。すると、千歌先輩はてへぺろとする。うん、千歌先輩が美人じゃなかったら飛び蹴りしてたわ。
花丸「未来ずら〜!!」
花丸さんは秋葉原の街風景を見て、目をキラキラさせている。そういえは、花丸さんはお家が寺だから今時の物をあまり熟知してないんだよな。この前、俺のスマホを見て「これ何ずら??」と聞かれた時はマジでビビったわ。
それから、千歌先輩の案で各自で行きたいところに行って観光することとなった。
千歌先輩とルビィさんはスクールアイドルのショップへ、曜先輩は制服ショップに。善子さんは堕天使ショップに行き、梨子先輩は本屋の同人誌コーナーへとお手洗いと嘘を言ってコソコソと入っていく様子を目撃した。あの人、百合系の人間だったんだ。意外だ………。
そして、俺と花丸さんに誘われ、梨子先輩が入って行った同じ本屋へと立ち寄った。もちろん、同人誌コーナーではない。
花丸「ここの店、品揃えいいずら〜。」
花丸さんは嬉しそうにどんどんと本を手に取り、カゴの中へと放り投げる。更にどんどん放り投げる。もっと更に……………え?君どんだけ買うん??カゴの中既にパンパンよ??
明「本当に本を読むのが好きなんだな」
花丸「ずら〜。特にこの張江先生が書かれた『人殺しの息子と呼ばれて』は本当に傑作で……………」
『人殺し』…………
花丸「…………奥山くん??」
明「ハッ…………!?」
しまった。『人殺し』という単語で、少しの間フリーズしてしまった。汗もかいてるし、息も少しだけ荒くなっていた。
花丸「体調…………悪いずらか??」
花丸さんが心配そうに話しかけてくる。俺はなんとか誤魔化すように作り笑いをする。
明「いやいや、なんでもないよ。ただ、花丸さんが凄い量の本を買おうとしてるから驚いてただけ。」
花丸「そうずらか??これでもまだまだ少ない方ずらよ??ルビィちゃんと買いに行く時はもっと凄いずら」
マジか。この子の家の本棚一体どうなってんの??
花丸「それにしても、奥山くんって時々だけど唐突にぼーっとしてる時があるずらよね??なにか、理由があるずら??」
明「ーーーーッッ!?…………特に何も無いよ。」
危なかった。またしても、彼女の質問のせいでフリーズするところだったが、なんとか持ちこたえて普段通りの様子で答えることが出来た。
…………国木田 花丸。この子とは距離をとった方がいいな。
この後、観光を終えた俺達は無事合流した。善子さんは両手に恐らく堕天使ショップで購入したであろう紙袋を持っており、曜先輩は何故か巫女のコスプレをしていた。いや、何でだよ。
そして、今俺達の目の前にあるのが、神田明神へと繋がる階段。しかし、この階段はただの階段ではないらしい。
ルビィ「これが、μ'sがいつも練習していたって階段。」
音ノ木坂学院を廃校から救ったといわれる伝説のスクールアイドルμ'sが練習として使われていた階段……………。今となっては、ファンの人達が聖地巡礼として足を運ぶほどの人気スポットとなっているらしい。(ルビィさん情報)
千歌「登ってみない??」
千歌先輩の言葉でみんなが頷き、そのまま登って行った。毎日、走り込みをしているおかげか、みんなはあっという間に登りきっていた。
明「まぁ、俺は別に踊らないし、μ'sとか興味ないからここで待っとこ。」
俺は階段に座り込み、フードを被って先程、本屋で買った本を取り出して読み始める。
5分くらい経った時であろうか、上の方から誰かが階段を降りてくる音が聞こえた。
俺はてっきり千歌先輩達かと思い、本を閉じ、ケツをパンパンと埃を落としながら立ち上がる。
明「みなさん、意外と早かっ……………………」
言葉を出しながら振り返った俺は、途中で声が出なくなる。
理由は降りてきたのはAqoursのメンバーではなかった。
2人組で、1人は穏やかそうな顔つきにサイドテールである女性で、もう1人の方はキリッとした顔つきにツインテールである女性だった。
そして、俺はこの2人に見覚えがある人物で、東京に来た目的でもある人物でもあった。
明「Saint Snow……………。」
神田明神の階段から降りてきたのは、俺の実の姉である鹿角 聖良と俺の双子の姉である鹿角 理亞であった。
実質、この話がこの作品の1話といっても過言ではない。ようやく、物語が始まる笑
あと、この作品のヒロインは花丸さんにしようと思います。