Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』   作:七宮 梅雨

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『人殺し』は涙を流す

 今、10年ぶりに俺は姉2人と遭遇した。まさか、こんな早く出会うことになるなんて…………。けど、不思議と姉ちゃん達を見ても拒絶反応は起こらなかった。

 

 

聖良「あのー、大丈夫ですか??」

 

 

 聖良姉ちゃんは心配そうな表情をして、俺に話しかける。困っていそうな人がいたら、優しく声をかけてくれる所は昔から変わってない……

 

 

明「は、はい………。大丈夫です」

 

 

 俺は目を逸らしながら、弱々しく答える。

 

 すると、俺を怪しく思ったのか理亞姉ちゃんが不機嫌そうな表情となる。

 

 

理亞「姉様。なんだかこの人、気味悪いわ。早く行きましょ」

 

 

 なんて、酷い言い様だ…………と思ってしまうが、理亞姉ちゃんの言う通りだった。こんな帽子の上にフードを被って、弱々しく答える男なんて一般人からしてもヤバい奴だ。言葉がキツイ所も昔からまんまだな。

 

 

 

聖良「どうして泣いているのですか??」

 

 

 

 

明「え?」

 

 

 聖良姉ちゃんの言葉で俺は自分の涙で頬を濡らしていたことにようやく気付く。

 

 腕で何度も涙を拭っても止まることはなかった。

 

 

 

 嬉しいんだ…………俺。姉ちゃん達と会えて…………。そして、同時に悲しい。だって、2人の弟、鹿角 明として話しかけられないのだから。

 

 

 

 

明「うっ…………ううっ………」

 

 15歳となった高校1年生の男が女性2人の前で泣き始めるなんて惨めだった。きっと、姉ちゃん2人は怪しがって俺の目の前から………

 

聖良「これ、良かったら使って下さい」

 

明「え?」

 

 聖良姉ちゃんは微笑みながら、俺にハンカチを差し出す。本当に昔から変わってないな。理亞姉ちゃんも呆れてるし………。

 

 俺は礼を言いながら、ハンカチを受け取って、涙を拭った。すると、自然と落ち着いた。

 

聖良「落ち着きましたか??」

 

明「はい。」

 

 俺の言葉を聞いて、ホッとする聖良姉ちゃん。

 

聖良「そういえば、私達のスクールアイドル名をご存知でしたよね??」

 

 そういえば、ポロッと言ってしまったな。

 

明「俺、Aqoursっていうスクールアイドルのマネージャーをやってまして………」

 

聖良・理亞「Aqours!?」

 

 ん?どうして、2人は驚いているんだ??

 

聖良「先程、神田明神でお会いしたんですよ。」

 

 あ、そういうことか。

 

聖良「では、また明日お会いすることになりますね」

 

 聖良姉ちゃんの言う通りだ。また、会うことが出来るなんて嬉しいな

 

 

理亞「姉様、そろそろ」

 

 

聖良「分かったわ。えぇと、名前だけ聞いてもいいですか??」

 

 

明「え?奥山……………」

 

 ここで、明と言ってしまったら、なんだかイケない気がするな。よし

 

 

明「零。奥山零です」

 

 

 ごめんなさい、零さん。貴方の名前使わせていただきます。

 

聖良「奥山くんね。それじゃあ、また明日ね」

 

明「はい。ハンカチは必ずお返ししますね。」

 

 そして、姉ちゃん達は歩き出すと、

 

明「あの!!」

 

 つい、呼び止めてしまった。2人はキョトンとして俺を見つめる。

 

 

明「Aqoursのマネージャーである俺が言うのもアレですけど……………明日のライブ頑張って下さい!!応援してるので!!」

 

 

 俺がそう言うと、聖良姉ちゃんは微笑み、そして最後まで不機嫌そうな表情をしていた理亞姉ちゃんは睨みつけながら、俺の目の前から去って行った。

 

 

 結果からして大満足だった。心の隅っこで、離れ離れとなってから10年間の間、会いたいと思っていた姉ちゃん達に会えたのだから。なんだか、今まで背負っていた重みが抜けている感じがする。

 

 

 俺はあまりにも嬉しくなってスキップを………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??「『人殺し』の癖に、なに幸せそうな顔してんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明「ッッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 唐突に、言葉が聞こえた俺はハッとなって周りを見回す。しかし、誰もいなかった。

 

 

 

 

 

 気の…………せいだよな………………??

 

 

 

 

 

 この時、俺は気づいていなかった。俺の心の底にある黒いモヤが大きくなっていることに…………。

 

 

〜10分前〜(花丸視点)

 

 

 神田明神に来たオラ達は謎の美女2人に会ったずら。歌がとても綺麗だったずら。

 

 その美女2人うち、サイドテールの女性に話しかけられ、もう1人の女性がオラ達をロンダートをして追い越したあと、そのまま去って行ったずら。都会の人はあんな凄いこともできるんずらね。

 

曜「あの二人、一体何者なんだろうね??」

 

梨子「うん……。私達のこと知ってたみたいだし…………」

 

 曜ちゃんと梨子ちゃんは、さっきの美女2人のことを気にしてるずら。

 

千歌「歌…………綺麗だったな……」

 

 千歌ちゃんはさっきの美女2人が歌ってた歌に感動していたずら。でも、オラもそう同感ずら。

 

ルビィ「でも、ちょっと怖かったな」

 

 ルビィちゃんは少し怖がっていた。なので、オラがルビィちゃんの近くに寄り添ったずら。

 

善子「まさか………暗黒の世界に繋がる扉が開いて…………」

 

 うん。善子ちゃん、それは無い。

 

善子「善子じゃくて、ヨハネ!!」

 

 

 …………心を読まないでほしいずらよ。

 

 

 こうして、おら達はライブの成功を祈ったあと、奥山くんと合流して旅館に向かったずら。

 

 

 

 

 そういえば、さっきのツインテールの子、どことなく奥山くんに凄く似ていたような……………。

 

 

 

明「あ、花丸さん。饅頭食べる??さっき買ったんだ」

 

花丸「食べるずら〜♡」

 

 

 

 ま、気のせいずらよね。モグモグ……………饅頭美味しいずら〜♡

 




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