Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』   作:七宮 梅雨

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『人殺し』は決意する

 〜旅館にて〜

 

 旅館に着いた俺たちは、部屋でワイワイとしていた。もちろん、2つ部屋を借りた。6人と美女と一緒の部屋で夜を過ごすとか、無理無理。俺の理性が爆発するわ。

 

 そして現在、お互い温泉に入り、食事を済ましたあと、何故か俺の部屋に入ってきて、くつろいでいた。

 

 

曜「いやー、温泉気持ちよかったねぇ」

 

 

 ちょっと待て。何でアンタはCAのコスプレしてんだ。何で誰もツッコミ入れないの??

 

 

善子「堕天使ヨハネ、降臨!!はぁ………かっこいい」

 

 

 おめーもか、おめーもなのか津島善子。マントひらひらすな!!それ、絶対今日堕天使ショップで買ったやつだろ!!あと、テーブルの上に乗るのやめなさい!!

 

 

 俺は溜息をつきながら、熱いお茶を飲む。あー、熱いお茶を飲むと和菓子とか食べたくなるよな…………と思ってたら、曜先輩と梨子先輩が隣で饅頭を美味しそうに食べていた。あれ?あの饅頭、どこかで見覚えがあるぞ??

 

明「その饅頭、どうしたんすか??」

 

梨子「テーブルの上に置いてあったの。これ旅館のやつでしょ??」

 

 いや、違う。あれは…………

 

花丸「おみやげに買ってきたけど、夜食用にととってあるず………」

 

曜・梨子「え?」

 

 やっぱし……………。あれは花丸さんがお土産用と夜食用に購入した『ぴよこ万十』だった。本屋に寄った後に彼女が買っていたのを覚えている。

 

花丸「まるのバック・トゥ・ザ・ぴよこ万十ーーーー!!」

 

 いや、花丸さん。驚きすぎて謎発言してるぞ。

 

 

ルビィ「奥山くん。ルビィがお布団の準備してあげるね」

 

 こらこら、君は勝手に何してんの?………。別に俺まだ寝ないんですけど。ドジっ娘が君がそんなことしたら…………

 

ルビィ「きゃあ!!」

 

明以外のメンバー「きゃあ!!」

 

 ルビィさんは足を滑らせてテーブルの方に勢いよく倒れ込む。その衝撃で、饅頭やらお茶やらスマホやらが宙を舞い、部屋中に散らばり、悲惨な状態へとなった。

 

 

明「はぁ…………」

 

 

 

 

 俺が顔に手を置き、もう一度深いため息をついた。そして、すぐにメンバー全員を部屋から追い出したのは言う必要も無いだろう。

 

 

〜深夜〜

 

 

 メンバー全員を追い出した後、さっきまでの騒がしさが嘘だったと思わせるぐらいシーンとは………ならなかった。彼女達の部屋は隣なので微かだが、声が聞こえる。

 

 しばらくの間、明日のライブに使う機材やライブの演出やらの最終チェックを行ったあと、布団を敷いて寝ようとした。

 

 しかし、今日の出来事が濃密すぎて簡単に眠りにつくことはできなかった。

 

 

 10年ぶりに…………、俺は血の繋がった姉2人との再開を果たした。

 

 

 もちろん、向こうは俺のことを気づいてないことに悲しさはないと言ったら嘘となるが、『人殺し』である以上、仕方がない。

 

 

 恐らく、姉ちゃん達の顔を見れるのは明日のライブで最後となる。

 

 

 明日のステージで踊る姉ちゃん達の姿を見られるのだ。最後には十分相応しいだろう。

 

 

 Aqoursのメンバーには申し訳ないが、明日のライブはSaint Snowを応援させてもらおう。

 

 

 そして、ライブが終わったらAqoursのマネージャーを………

 

 

 トントン………

 

 

 

千歌「奥山くん………まだ起きてる??」

 

明「千歌先輩??」

 

 扉から軽いノック音が聞こえたあと、千歌先輩の声が聞こえてきた。

 

明「中、入ります??」

 

千歌「うぅん。このままでいい。」

 

明「そうですか。一体どうしたんですか??」

 

 

 千歌先輩のことだ。どうせくだらないことを……………

 

 

千歌「ありがとうね」

 

明「え?」

 

 突然、感謝の言葉を送られた俺は目を丸くする。

 

千歌「奥山くん………男の子なのにスクールアイドルのマネージャーとして、とても頑張ってくれたでしょ??」

 

明「そんな大したことしてないですよ」

 

 本当のことだ。別に特別なことをしている訳ではなく、マネージャーとしての基本的な仕事しかしていない。彼女たちの休憩の間に、飲み物やらタオルやらを渡したり、予定表を組みたてたり、Aqoursの作詞・作曲・振り付け・衣装作りなどの手伝いをしていただけだ。

 

 そもそも、俺がAqoursのマネージャーに入った理由は姉ちゃん達に会うため。しかし、それは今日の夕方に見事に達成された。

 

 

 

 だから、俺は明日のライブを以てAqoursのマネージャーを辞めるつもりでいた。目的が達成された今では俺はもう彼女たちと関わる必要はないのだから。

 

 

 

千歌「うぅん。そんなことでも私達は嬉しかったよ。」

 

明「………そうですか」

 

 

千歌「うん。だから、明日のライブ。精一杯頑張ろうね!!学校のみんなの為にも!!」

 

 

 そう言って、先輩はタタタと隣の部屋へと帰って行く音が聞こえた。最後の千歌先輩の声、なんだかいつもの先輩らしくなかった。不安の感情が込められた声だった。恐らく、学校にいる生徒の期待に応えられるかどうか不安になっているのだろうか。

 

 しかし、そんなの今の俺には知ったことではない。俺はAqoursのマネージャーを明日のライブを例え成功させたとしても辞める。

 

 

 『人殺し』である俺がこれ以上、彼女達と関わる訳にはいかないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

??「なんだぁ、自分でも分かってるじゃねぇか。そうだ、お前は『人殺し』だ。それを忘れるな」

 

 

 

 

 

 

 

 

明「ッッ!?」

 

 

 

 

 

 …………まただ。またあの声だ。

 

 

 

 何も感情が込められていない冷たい声…………。

 

 

 

 

 俺はガバッと布団から起き上がり、周りを見回す。しかし、またしても誰もいなかった。

 

 

 俺は警戒しながらも再び布団に入り、眠りに着こうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??「お前は俺からは逃げられない。なぜなら俺は………………」

 

 

 

 

 

 

 

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