Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』 作:七宮 梅雨
Saint Snow「♪大切なのは〜SELF CONTROL!!♪ 」
Saint Snowのライブが終わった………。
明「すげぇ………」
姉ちゃん達のライブを見て、俺はこれしか言葉にすることが出来なかった。
心が踊るような、かっこいい歌詞に力強いパフォーマンス、そしてシンプルな照明さえもアクセントへとなっていた。
チラッと横を見ると、Aqoursのメンバー、特に千歌先輩が感化されているように見えた。
司会「では、Aqoursの皆さんお願いします!!」
2番目であるAqoursが呼ばれた。しかし、Saint Snowのライブの余韻が残っているのか、全員反応するのが一瞬遅かった。
千歌「よし!!みんな、行こう!!」
千歌以外「うん!!」
ライブステージへと向かう彼女たちは俺の方をチラッと見たので、俺は「頑張れ」という気持ちを込め、拳を突き出すと彼女たちは可愛らしく微笑みながらステージへと走っていった。
明「…………うし!」
俺は小声で気合を入れ、ヘルメットを深く被り直して音響・照明を操作する部屋へと向かう。
俺が今、出来ることは最後のライブを支えることだ。
俺は心の中でそう思いながら、彼女達が立ち位置に着いたところを確認したところで、俺は曲を流した。
〜数時間後〜
イベントが終了した。だが、俺のテンションは決して高くはなかった。
Aqoursのライブはミスひとつもなく、成功だった。むしろ、今までのやつに比べたら1番良い出来であった。
Aqoursのライブが終わっても、俺はイベントの裏方の手伝いがあり、Aqoursのメンバーと会うことが出来なかったが、イベント終了後、投稿された票数がまとめられている紙を見せてもらった時に俺は唖然した。
Aqours 0
Aqoursの票数が0であった。あんだけ良いライブが出来たというのに………。きっと、彼女たちは落ち込んでいるであろう。
ちなみに、Saint Snowは9位で惜しくも入選を逃していた。姉ちゃん達のライブも良かったのに落選したのも驚きだ。上には上がいる。
ラブライブというものは遊びなんかではない……………
なぜか、不思議とそのような結果論となった。
司会「みんな、お疲れ様〜。とても助かったわ〜」
会場の片付けが終わり、俺たちイベントの助っ人達は解散となった。報酬として、司会のお姉さんからラムネを貰った。割合わないと思ったが、周りのみんなは喜んで飲んでいたのでそんなものなのか??と、思いながらラムネを飲んだ。
LINEによると、Aqoursのメンバーは少し観光した後に、既に電車へと乗ったのこと。元々、帰りは別々という話になっていたので焦ることでもない。逆にトラブルもなく帰りの電車に乗れたことに安堵の気持ちへとなる。
明「次に会った時に辞めるって言えばいっか」
もう、目的を果たした俺はマネージャーとしている理由が無くなったので次に会った時にAqoursのマネージャーを辞めると言おうと決めた。
ピロンとLINEに通知が来た。俺はスマホを見ると6件入っていた。
千歌『裏方のお仕事お疲れ様!!明くんも帰り気をつけてね。』
曜『全力前進ヨーソローで帰るんだよー。無事に帰れるよう祈ってるであります(≧▽≦)ゞ』
梨子『お疲れ様です。また、明日ね!!』
花丸『まるずら。あかりくんおつかれさまずらー。』(ルビィのアカウント)
ルビィ『お疲れ様です!!ライブ前はありがとうね!!』
善子『我がリトルデーモンよ。しっかりと身体を休めるが良い。』
明「どうして………」
本当は今、すごく辛いはずなのに…………。
俺はなんだか、複雑な気持ちとなりながらも返信を送った。
メンバーからのLINEを見たあとは、まだ少しだけ時間に余裕があったのでぶらぶらと秋葉原を観光していた。
途中、可愛らしいメイドさんにメイド喫茶へ連行されそうになったが怖くて逃げた。だって、目が獲物を狙う肉食動物みたいな目だったもん。普通に怖いわ
女性「やめてください!!」
明「ん?」
路地裏の方から、女性の声が聞こえてきた。
ソローッと見ると、女性らしき1人が男性4人ぐらいに囲まれていた。囲まれているせいで、女性の顔があんまり見えないが、声のトーン的に嫌がっているように見えた。
これは、関わったらメンドくさいことになるやつだ。警察にだけ連絡して離れよう。
そして、俺は一通り警察に通報した後、警察に到着するまでおってほしいということだったので渋々とおることにした。
俺は再びソローッと顔を出して、状況を確認した。
男性1「ねぇ、いいじゃん??俺達と遊ぼうよ」
女性「嫌だって何回も言ってるじゃないですか!!やめてください!!」
男性2「いいねぇ、こういう女好きだわ」
男性3「俺も俺も。早く車に乗せようぜ」
ん?車??おいおい、これ、なかなかヤバい奴らじゃないか??そういえば、Yahooニュースで秋葉付近で女性が強姦の被害に遭っているという記事を見たけど、もしかして、コイツらか??
男性4「だな!!おら、こっち来いよ!!」
明(警察共は、何をやっている!?早く来いよ!!)
男性4が女性の腕をグイッと無理やりと掴み上げる。
女性「きゃあ!!」
男性2「ちっ………、これ以上騒がれると厄介だな。少し眠ってもらうか」
男性2がそう言って、女性に目掛けて手を出そうとしていたところで、俺は身体が動いていた。
明「やめろ………」
俺は男性2の拳を手のひらで受け止めたあと、すぐに男性2に目掛けて飛び蹴りを喰らわした。運良く、頭に入ったので男性2は白目になりながら倒れ込む。
男性1「なんだ、てめぇは!!」
男性1の問いに何も答えず、男性1の腹に目がけて拳を突き出し、ダウンさせる。ちょうどそこで男性3が背後から飛びかかってきたので、しゃがんで攻撃を回避しつつ首にチョップをして気絶させた。
男性4「ひぃ!!」
俺が男性4に向かって睨みつけると、彼はビビってその場で姿を消した。
明(ふぅ、零さんに鍛えてもらって良かったぜ。)
俺は垂れた汗を拭いながら零さんに感謝する。今ではOLとして働いている彼女ではあるが、実は零さんは空手の達人であり数年前までは世界チャンピオンとして空手の業界では有名な人物であった。怪我をしてしまったせいで、空手から完全に離れてしまっていたが、俺が空手を教え欲しいと頼んだところ、ノリノリで彼女が編み出した奥義まで教えてくれた。そのおかげで、今では戦えれるようになった。
埃をパンパンと払った後、襲われそうになった女性に話しかけられた。
女性「あの、ありがとうござ…………あれ?あなたは??」
明「え……………」
女性を助けるあまり、無我夢中で彼女の顔をはっきりと見ていなかったが、改めて彼女の顔を見た俺は唖然となる。
聖良「奥山くん…………??」
俺が助けた女性はなんと、聖良姉ちゃんであった。