Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』   作:七宮 梅雨

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昨日、投稿できなくてすみませんでした。


『人殺し』はタイミングを逃す。

 遂に、この日がやってきた。

 

 

 俺は今日、部活の時にAqoursのマネージャーを辞めることをメンバーに伝える。

 

 

 何回か、深呼吸をしたあとカバン持ち部室へと行こうとした瞬間にトントンと肩を数回叩かれた。

 

 振り向くと、のっぽパンを美味しそうに頬張っている花丸さんがいた。

 

花丸「明くん、一緒に部室に行こうずら」

 

 うっ……、ルビヨハならまだしも、花丸さんとは出来るだけ関わりたくないんだけどなぁ。

 

明「お、おう。他の2人は??」

 

花丸「先に行っちゃったずら。」

 

 花丸さんは(´・ω・`)の顔をする。このまま放置したら人としてダメな気がするな。しょうがない…………。

 

明「そっか………。じゃあ、行こっか」

 

花丸「ずら♪」

 

 そして、俺達は他愛のない話をしながら部室へと向かった。すると、部室に近づくにつれ、言い争いが聞こえてきた。

 

明「騒がしいな」

 

花丸「なにか、あったんずらかね??」

 

 そして、部室の扉を開けると困った表情をしているAqoursのメンバーと、怒った表情をしている3年生である鞠莉先輩と……見たことの無い青髪のポニーテールの女性。スカーフの色的に3年生か??そして、呆れ顔をしているダイヤ先輩がいた。

 

 いや、どういう状況これ??

 

千歌「あー!!イライラするぅー!!」

 

鞠莉「本当に腹立つよね、こいつ!!」

 

??「勝手にそっちがイライラしてるだけでしょ??」

 

 やべー、話に途中参加だから何が何だか分かんねぇな。そして、鞠莉先輩や。こいつはねぇだろ。アンタどんだけキレてんねん。

 

ルビィ「でも、この前弁天島で踊っていたような………」

 

 ルビィさんの一言でポニーテール先輩は恥ずかしそうに顔を赤くしている。それを見て、鞠莉先輩はニヤニヤ顔で彼女を煽りまくっている。その姿を見てネット上で話題のペンギンの「ねぇねぇ、今どんな気持ち」のコラ画像を連想させる。

 

 

??「スクールアイドルは絶対にやらない」

 

 

 ポニーテール先輩はそう言って、部室から出て行った。話を改めて聞くに、彼女の名前は松浦果南。3年生で住んでいる家はダイビングショップを経営しているのこと。そして、千歌先輩と曜先輩の幼馴染。驚いたことに去年、鞠莉先輩とダイヤ先輩と3人でスクールアイドルをやっていたらしい。そこそこ人気はあったものの、東京のイベントのライブで何故か果南先輩が踊らなかったらしく、そこで3人にいざこざが発生し解散。鞠莉先輩は一時的に海外に留学してしまったが、スクールアイドルを諦めきれずに、浦の星女学院に戻って来たという。なんつー執念だ。

 

曜「でも、なんで果南ちゃんは踊らなかったんだろうね」

 

 曜先輩の言葉に他のメンバーは頷く。

 

 まぁ、大体は原因の予想はついてるけどな。

 

 その鍵を握っているのは…………………ダイヤ先輩だ。

 

 

明「ダイヤ先輩は何か知ってるんですよね??」

 

 

ダイヤ「!?」

 

 

 俺の問いかけに、ダイヤ先輩の表情は曇る。………ビンゴだ。

 

 

 すると、ダイヤ先輩は俺達から逃げるように部室から逃走を図ったが、善子さんのコブラツイストによって確保された。

 

ダイヤ「ピギャアアアアアアアア!!!」

 

 あ、うん。この人、ルビィさんの姉だわ。

 

 

 〜黒澤家〜

 

 観念したダイヤさんは俺達を黒澤家に招待し、全てを話した。東京のイベントで踊るライブの練習により、鞠莉先輩の足に負担の積み重ねで怪我をしていたこと。それを果南先輩が気付いて、これ以上足に負担をかけさせないため………、鞠莉先輩のこれからの将来を守るために歌わなかったこと。

 

 そう…………、頑固そうに見える果南先輩は全て、大好きな親友である鞠莉先輩の為にやった事だった。

 

鞠莉「ッッ!?」

 

 話を聞いて鞠莉先輩は驚愕の反応を見せる。まさか、彼女が歌わなかった理由が自分のせいであったとは予想外であったのだろう。

 

 すると、鞠莉先輩は部屋から出ようとしていた。

 

ダイヤ「どこ行くんですの!?」

 

鞠莉「ぶん殴る!!そんなこと、一言も相談しないで!!」

 

ダイヤ「果南さんはずっと、あなたのことを見てきたのですよ。立場も、気持ちも、誰よりも考えている。」

 

 ダイヤさんがそう言うと、鞠莉先輩は何も言わず果南先輩の所へ雨降っている中、傘もささずに飛び出して行った。

 

 残された俺達はシーンとなった。最も、この中で1番心配そうな表情をしているのはダイヤ先輩だった。

 

ルビィ「お姉ちゃん………」

 

ダイヤ「…………」

 

明「ダイヤ先輩は行かないんですか??」

 

ダイヤ「え?」

 

 俺の呼びかけにダイヤ先輩含め、Aqoursのメンバーを見つめる。

 

明「今の鞠莉先輩は失礼ながらめちゃくちゃカッコイイと思いました。友達………いや、親友の為にあそこまでできる人はそういませんよ。………それに比べてあなたは何をしてるんですか??」

 

ダイヤ「それは…………」

 

明「あなたにとって、あの二人は所詮その程度の関係…………」

 

 

 パシィィィィィィン!!

 

 

Aqours「!?」

 

 台詞の途中に、俺の頬に強い痛みが生じながら吹っ飛ばされた。そう、怒りの表情を見せるダイヤ先輩にビンタされたのである。

 

 

 ダイヤ「そんなこと…………そんなことないですわ!!」

 

 

明「うっ……………、じゃあ貴方にとってあの二人は??」

 

 

ダイヤ「鞠莉さんと果南さんは……………私の…………私の大切な親友ですわ!!」

 

 

 ダイヤ先輩は瞳に滴を溜めながら叫ぶ。

 

 

ダイヤ「私だって、あの頃のように戻りたい!!また、鞠莉さんと果南さんと一緒に…………いたい!!話したい!!遊びたい!!そして…………歌いたい!!」

 

 ダイヤ先輩の言葉に俺はニヤリと微笑む。

 

 

明「やっと本音を言いましたね」

 

 

ダイヤ「あ………」

 

Aqours「ダイヤさん!!」

 

ルビィ「お姉ちゃん!!」

 

 そして、周りのみんなも涙を流しながら嬉しそうに微笑む。

 

千歌「私達も行こう!!」

 

 千歌先輩の言葉にみんな頷き、部屋から出て行った。

 

 ここで、俺はハッと大事なことに気づいた。状況が状況ですっかりと忘れてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

明「辞めるって言うタイミング逃しちゃった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、3年生である3人もAqoursへと加入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜茶房菊泉〜(理亞視点)

 

 

 東京のイベントのライブが終わって数日が経過した。惜しくも入選を逃した私達は、帰ってから反省会を開き、次のライブでより良いものが出来るように話し合った。

 

 そして、今は実家である喫茶店のお手伝いを姉様と2人でやっている。あ、また姉様、ぼーっとしてる。

 

理亞「姉様??大丈夫??」

 

聖良「はひ!?だ、大丈夫よ。オーダー取ってくるわ」

 

 姉様は顔を真っ赤にし、誤魔化すようにそう言って、お客さんの所へ行ってしまった。

 

 あの東京のイベント以降、姉様の様子がおかしい。いや、姉様の様子がおかしいのは10年前からそうなんだけど、前までとは少し違う。

 

 

 前までは、明の件で後悔や苦しみの表情をしていた。しかし、最近は少し嬉しそうかつ恥ずかしそうな表情をするようになった。

 

 

 私はその表情を知っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 姉様が、最近するようになった表情。あれは………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 恋をしている乙女の顔だ。

 

 





Aqoursの3年生加入編は少し無理やり感あったかな??笑


あと、Saint Snowはヤバい展開になってしまった。でも、後悔はしていない。

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