Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』 作:七宮 梅雨
Aqoursに3年生であるダイヤ先輩、鞠莉先輩、果南先輩が加入し月日が流れ、季節が夏となり学生が楽しみにしている夏休みへと突入した。
そして、俺は未だに彼女達に辞めると伝えてないまま、Aqoursのマネージャーをズルズルとやっている。
自分でも、今の状況は不味いと思っている。しかし、中々言えないでいた。なにせ、3年生が加入してからは、賑やかへとなり俺にとって更に居心地の良い場所へとなってきている。辞めたくないという気持ちが無意識に勝ってしまうのだ。
なので、近々、Aqoursのメンバーで俺の過去を知っている鞠莉先輩とダイヤ先輩の2人に相談することにした。元々、マネージャーをするきっかけを作ったのは彼女たちなので、それなりに親身になって考えてくれる……………はずだ。
今日からAqoursは合宿なので、合宿中………もしくは合宿が終わった後に話しかけようと思う。
そして、現在、朝の4時。俺はぽつんと1人で集合場所である砂浜で体操座りをしていた。
んー??あれあれ??4時に集合って言ってなかったっけ??どうして、誰もいないの??おーい、Aqoursに入ってポンコツ化としたダイヤさん??決めた貴女がいないってどういうこと??
とりあえず、俺はスマホを取り出しLINEを開いてダイヤ先輩に連絡する。
明『朝の4時に来たのに誰もいないんですけど。』
ダイヤ『………おはようございます。そして、本当に申し訳ございません。今起きましたわ』
ダイヤ先輩が美人じゃなかったら、普通にぶっ飛ばしてた。他のメンバーに送っても、皆『今起きた。』という連絡が返ってきた。終いには、善子さんに『あなた、それ本気で信じてたの??まじウケるwww』とディスられたので絶対にいつか仕返ししてやろうと心の中で誓う。
唯一、花丸さんだけスマホ持ってないので連絡することは出来なかったが、恐らく彼女も寝ているだろう。まぁ、今のところ俺は彼女のことを避けているのでそれはそれでありがたいんだけどな
明「まぁ、いいや。寝よ」
俺は持ってきていたブルーシートを敷き、横になって目を閉じた。ザザーと波の音が心地よく耳の中に入り、気持ちよく寝れそうになっていたが…………
??「あれ?明くん??」
聞き覚えのある声が聞こえ、目を開けるとそこには
花丸「どうして、みんないないずら??もう集合時間過ぎてるのに…………」
俺が今最も警戒している人物…………、国木田 花丸さんであった。
えぇ……(困惑)。よりによって、花丸さんかよ。俺、さっき彼女のことを避けてるって言ったばかりじゃん。神様、俺の事嫌いすぎでしょ。
花丸「明くん??」
明「あ、いや、なんでも。他のみんなは寝坊しちゃったらしい。」
花丸「えぇーーー!!マル、せっかく早く起きたのにぃ!!」
花丸さんは頬を膨らまし、プンスカと怒る。うわぁ、可愛いわぁ………。
花丸「奥山くんはこれからどうするずら??」
明「このまま、寝るよ。眠いし」
あと、君と関わらなくて済むしな………
花丸「………………そうずらか。マル、一応本を何冊か持ってきたから読みたくなったら言って欲しいずら」
明「ん、了解。」
会話が終わり、俺は再び目を閉じようとする。
ピタッ…………
明「…………花丸さん??近くね??いや、近いよね??」
目を開けると、横になっている俺の肩のすぐ側に花丸さんが本を読もうとしていた。てか、普通に俺の肩が花丸さんの腰と接触している。これはあかん!!
花丸「ん?そうずらか??」
そうずらか??じゃねぇわ!!何?この子、思春期っていう言葉知らないの!?
明「ちょっと近いかな。気になって寝れないよ」
花丸「ごめんずら………これでいいずらか??」
明「うん。ごめんね」
花丸さんが少しだけ距離を撮ってくれたので、ようやく俺は目を閉じ、寝ようとした。
耳には、先ほどと同じく、波の音と新たに花丸さんがぺクリと本のページをめくる音が加わった。
そして、俺はそのまま夢の中へと入っていった。
〜花丸視点〜
スースーと、彼の方から寝息が聞こえる。きっと、もう夢の中に入っちゃったずらね。
マルは、本を読むのをやめてこっそりと彼の顔を覗き込む。
……………やっぱり、似てる。東京で出会った北海道のスクールアイドル、Saint Snowのあの2人に……………。特にツインテールの鹿角 理亞っていう女の子に………。
あの2人がステージに現れた時、彼が少しばかり焦りの表情を見せたのをマルは見逃さなかった。きっと、あの2人と何か関係があるんだ。
東京のライブ以降、奥山くんはみんなの前ではなんとか元気を装っているけど、マルは知っている。
奥山くん………いや、明くんはとてつもなく苦しんでいる。
どうして、彼のことをそんなに気にかけるのかはマルにも分からない。けど、何故か見逃せないずら。
マルは、ゆっくりと明くんの髪の毛を撫でたあと、顔を明くんの耳に近づけて一言だけ呟いた。
花丸「マルは…………明くんの味方ずら。例え、君がマルを嫌ってても………。」