Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』 作:七宮 梅雨
〜裏庭〜(理亞視点)
聖良「理亞。ダンスのここのシーン、ワンテンポだけずれてますよ。」
理亞「ごめんなさい、姉様。」
聖良「大丈夫ですよ。でも、かれこれ朝からずっと練習してましたし少しだけ休憩にしましょうか。」
理亞「………えぇ。」
夏休みに入って以降、私と姉様の2人は来週に地元でやるイベントでSaint Snowのライブをすることが決定したのでそれに向けて家の裏庭で練習していた。
理亞「姉様、はい。お茶」
聖良「………」
…………まただ。またあの顔だ。
最近の姉様は、過去のトラウマによって苦しむことはほとんど無くなった。それは、昔から願っていたことだったから、嬉しく思う。嬉しく思うけど…………
胸の中がチクチクする。
けど、その原因は分かっている。
これは…………嫉妬だ。
姉様はきっと、あのAqoursのマネージャーをやっている奥村 零という男性に助けられたことによって、好意を抱いている。
恐らく、そのおかげでか、姉様は過去のトラウマによる発作は無くなり、普段通りに過ごせているのでしょう。
でも…………
私が、姉様を助けたかった…………。
10年間、すっと一緒にいた私ではなく出会ったばかりのあの男にその役を奪われてしまった。
多分、今の姉様は明のことについても、すっかり忘れてる…………。
理亞「………ここにお茶、置いとくから」
何故か無性に苛立ってしまった私は姉様の側にドリンクを置いて裏庭から立ち去り、自分の部屋へと戻る。
机の上に置いてあったスマホに手を取って、SNSのアプリを開く。こういうのはあまりやらない私だが、姉様曰くスクールアイドルをやるからには宣伝目的でやっておいた方が良いということだったので渋々入れてみたものの、案外面白くハマってしまった。
フォローしている人や、フォローをしてくれている人のツイートを下にスライドさせながら見る。
ふーん、最近はこういうのが人気で……
理亞「え?」
私はふと、とあるツイートに目が止まった。
別にそのツイートは特別なものではなく、ただの一般人が呟いたツイートで先日、海に遊びに行った時のものだった。
ツイート『昨日、友達と海行ってきた!!あと、ここの海の家の料理がすごく美味しかった!!』
しかし、問題はそのツイートと共に貼られているこの画像…………。
間違いない。多少の見た目は違うけれど、長年見てきた私ならすぐに分かる。
私達鹿角家の店である茶房菊泉で作る小豆ぜんざいだ。
まさか……………
私はボトっとスマホを床に落とし、弱々しい声で一言だけ呟いた。
理亞「そこにいるの………??明」
〜海の家〜(明視点)
海の家の手伝いが終わり、練習に励むAqoursのメンバー達。しかし、手伝いの疲れがあってか次第に動きが鈍くなってきている。
練習が終わると、みんなバタンキュー。メンバーで1番体力のある果南先輩ですらキツそうに見える。
そして、お楽しみの夕飯タイム…………のはずが
千歌「みと姉が、余った食材は自分たちで処分しなさいって」
つまり、俺達の今日の晩飯は全く売れなかった堕天使の涙とシャイ煮ということである。
明「嘘だろ………」
マジで言ってるの??あれ、食うの??あのドス黒い色しているたこ焼きに、色々と謎の食材が入っているあの鍋を??え?殺す気??
こんなもの、食べたいって言う人なんて………
花丸「食べてみたいずら」
ここにいたよ。本気で言ってるの??
鞠莉・善子「いいですわぁ!!」
そして機嫌が良くなった2人はテーブルに堕天使の涙とシャイ煮を置く。うん、絶対に美味しくないやろ。
決心した俺達は恐る恐る、シャイ煮を1口だけ口に入れる。すると
明「え?普通に美味い」
美味い………美味いぞ??シャイ煮、美味いぞ??
他のメンバーも美味しそうに食べている。特に花丸さん。行儀悪いな
てか、よくよく具材を見たら伊勢海老やら松茸やらアワビやら………なんか高級食材ばかりなんですけど…………。
ダイヤ「これ、1杯いくらぐらいなのですか??」
おぉ、流石ダイヤ先輩。聞きずらかったことを聞いてくれた。
鞠莉「さぁ?10万円ぐらいじゃない??」
鞠莉以外「ぶー!!」
あっさりと高金額を言いやがったよ、この先輩。思わず吹き出しちゃったじゃねぇか!!
ルビィ「じゃあ、次は堕天使の涙を………」
明「マジ言ってる??いや、それだけはやめておいた方が………」
しかし、時すでに遅し。
堕天使の涙を口に入れたルビィさんはみるみる顔を赤くして外に飛び出して行った。そして、外から「辛い辛い辛い」と連呼されている。
ダイヤ「何を入れたんですの??」
善子「タコの代わりにタバスコで味付けした、これぞ堕天使の涙。」
コイツ、馬鹿じゃねぇの??そんな危ないモノを客に食わそうとしてたの??逆に売れなくてよかったわ
こうして、俺達合宿1日目が終了を迎えようとした。
Aqoursの皆が寝室へと向かおうとした時、俺は行動に出た
明「鞠莉先輩、ダイヤ先輩。お話があります。」