Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』 作:七宮 梅雨
合宿2日目。
1日目同様、午前中は海の家のお手伝いだ。
しかし、1日目と違うのはお客さんの数が多くなってきて忙しくなっているということ。聞いた話によると、どうやら昨日来たお客さんがSNSで俺たちが働いている海の家のことをツイートした所、爆発的な拡散が起こったという。絶賛人気急上昇中のスクールアイドルのメンバーが働いてるとなれば、1目会いに行きたいという理由だろう。
花丸「曜ちゃん、ヨキソバ注文入ったずら!!」
曜「はい、ヨキソバ!」
花丸「ありがとうずら」
ルビィ「奥山くん!!小豆ぜんざい2つ追加で注文入ったよ!!」
明「はいよ。」
料理組は、せっせと注文が来た料理を各自で作っていた。俺の小豆ぜんざいと曜先輩のヨキソバは昨日と同じく売り上げに貢献しているが、鞠莉先輩のシャイ煮と善子さんの堕天使の涙はというと……………、いや、これ以上言うのはやめておこう。
ちなみに、千歌先輩と梨子先輩と果南先輩の3人は千歌先輩の部屋で、作詞の方を作っている。もうすぐ、ラブライブの予選が来るからな。
明「ほい、小豆ぜんざい2つ。よろしくな」
ルビィ「頑張ルビィ」
その掛け声、気に入ったのね。
作った小豆ぜんざいをルビィさんに渡した後、「うおぉぉぉ」と言いながら、軽く背伸びをする。長いこと、小豆ぜんざいを作っていたので、身体が少しだけダルい。
曜「奥山くん、休憩の時間だよ」
お、ようやく俺の所に休憩の番が回ってきたか。丁度いいな。
明「わかりました。30分休憩いただきます。」
俺はそう言って、調理場から離れる。
作詞の方を頑張ってる3人になにか差し入れ持ってってあげるか、と思った俺は、俺達が手伝っている海の家とは、また違う方の店を目指して歩き出そうとした。
ルビィ「ねぇ、奥山くん」
明「ん?」
ルビィさんが心配そうに俺の方に駆けつける
明「どうしたの?」
ルビィ「花丸ちゃん知らない?」
明「花丸さん?花丸さんだったら、曜先輩が作ったヨキソバを提供しに行ったはずだけど」
ルビィ「そっから花丸ちゃん、こっちに戻って来てないの」
明「どっかで道草してんじゃねぇの??」
色んな所に出店あるしな。
ルビィ「そんなことないよ!休憩の時間になったら一緒にお好み焼きお腹いっぱいになるまで食べようねって約束してたもん」
あー、それだったら道草はありえないな。いくら、食い意地が強い花丸さんでもルビィさんと約束していたならば、我慢して戻ってくるはずだ。
明「分かった。ちょっと花丸さんを探してくるからルビィさんは店の手伝いの方を続けてくれ」
合宿でも、花丸さんとの接触はできる限り避けてきたがルビィさんのこんな顔を見せられたらほっとくことなんてできない。
ルビィ「うゆ…………」
明「そんな、しみったれた顔すんなよ。可愛い顔が台無しだぜ??」
ルビィ「ピギィ!!」
おおっと。安心させようと思って、言ったつもりだったけど逆効果だったようだ。すまねぇ、ルビィさん。
明「じゃあ、行ってくるから」
ルビィ「う、うん。」
さてさて、あの子はどこに行ったのかね。俺はとりあえず辺りを見回りながら小豆ぜんざいを渡した時に彼女が向かった方を歩いていた。
渡してからそこまで時間経ってないから、そんな遠くの方までは行ってないはずだ。しかも、花丸さんはAqoursのメンバーの中で1番体力がないしな。
女1「ねぇねぇ、君〜」
明「はい?」
花丸さんを探していると、顔の赤いビキニ姿のお姉さん2人に話しかけられた。
女1「私達とぉ、少し遊ばない??」
これは、いわゆる逆ナンというやつか??なんか、この人たち口が酒臭いし面倒臭いな。
明「すみません、今、人を探しているので。」
女2「そんなの、後ででいいじゃん!!ほら、お姉さんがたこ焼き奢ってあげるからさぁ」
明「いえ、結構です。」
女1「釣れないなぁ〜。そんなんだと君、モテないぞぉ〜」
明「モテなくても結構ですよ。それでは」
俺はペコッと頭を下げてその場を去る。後ろからは「えぇ~」と残念そうな声が聞こえてきたが無視だ無視。
花丸さんの捜索が始まって早15分。一向に見つける気配がない。
今は人混みの少ない海岸の方へと足を運んでいる。
あんだけ探してもいないということは、最悪の場合、良からぬ人間に連れ去られたかもしれないという疑いが出る。彼女のことだ、「のっぽパンあげるからこっちおいでぇ」とか言ったら「行くずらぁ♪」と笑顔満載で言って着いていくに違いない。
そんな訳で、連れ去られたと予想して人混みの少ない場所へとやって来たのだ。ほら、こういう展開だと海岸の方に無理やり連れてって強姦するパターンとか多いだろ??え、なんで俺が知ってるかって??高校生なめんな。
そして、俺の考えは当たっており花丸さんを見つけるのは数分後のことだった。
〜花丸視点〜
男「へっへっへっ、いい女、GETしたぜ」
花丸「んーーーーーーー!!!」
やられたずら。このお兄さんに昨日発売された新作ののっぽパンあげるから付いてきてって言われて危ないって分かってたのにのっぽパンの魅惑に負けて付いてきてしまったずら。恐るべきのっぽパン。
そして、人混みの少ない所に連れてかれた瞬間、口にガムテープ付けられて両手も紐みたいなやつで縛られてしまったずら。
男「いやぁ、過去に色んな女食ってきたけど、今回は特上だなぁ」
花丸「んーーーーーーー!!!」
逃げなくては!!、と本能が告げている。しかし、このお兄さんの身体がなかなか鍛えられていてオラみたいな力のないやつが足掻いてもなんも効果がなかったずら
男「ひっひっひっ」
怖い。こんな怖い思いしたのは初めてだ。お兄さんが気持ち悪くくねくねさせながらマルの胸に手を触れようとする。
やだ………やだよぉ
男「それじゃあ、楽しませてもらうぜ」
花丸「んんんーーーーーーー!!!」
助けて……………
明くん!!
そう心の中で叫びながら、私は目をぎゅっと瞑った。
男「ぎゃあ!!」
目を瞑った瞬間、勢いよく何かが通りすぎた感触が襲いかかり、その後に先程のお兄さんの痛そうな声が聞こえた。
目を開けると、そこには
白目を向いて倒れているお兄さんと
明「大丈夫だったか??」
心配そうにマルの方を見る奥山 明くんがいた。
〜明視点〜
危ねぇ、本当に危なかった。
だって、岩陰見たら気持ち悪い男が泣きそうになっている花丸さんを犯そうとしてたもん。マジで焦って、その男の脳天に目掛けて思いっ切り飛び蹴りしてしまったわ。大丈夫だよね??死んでないよね??
とりあえず、俺は花丸さんの口についているガムテープを剥がし、縛っている腕も解放させる。
花丸「明くん!!」
明「わわ!!」
腕を解放させた瞬間、花丸さんは俺のところに抱きついてきた。あれ?このやり取り、東京で経験したばかりなんですけど………。
花丸「明くん明くん明くん明くん明くん明くん!!」
花丸さんは泣きながら、俺の名前を連呼する。てか、苗字じゃなくて、名前呼びかよ。それ、めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど。
明「ひとまず、間に合って良かった。みんな心配してるから戻ろう」
花丸「ずらぁ」
男「ふざけんなよぉ……………」
花丸「ひぃ」
飛び蹴りを喰らわした男がヨダレを垂らしながらもヨロヨロと立ち上がった。結構、脳天にクリティカルヒットしたつもりだったのだが………。
男「俺はもともと、ラグビーやってんだよ。そんな攻撃、屁でもねぇよ」
いや、嘘つくなよ。確かにガタイは良いからラグビーやってるかもしれないけど、めっちゃ足震えてるやん。筋肉鍛えても、脳天にダメージ与えられてら、筋肉もクソもねぇからな。
明「無理すんなよ。特別に通報だけはしないようにこの子に説得してやるから、そのまま寝とけって」
嘘だけどな。倒れたところで、警察署に突き出してやる。
男「分かりやすい嘘つくんじゃねぇよ!!お前だけは許せねぇ!!絶対に殺してやる!!」
殺してやる…………ね。
いるんだなぁ、簡単に『殺す』って言うやつ。そうやつを見ると非常に腹が立つ。
だって……………
明「人を殺そうとしたことなんて生きてきて1度もないくせに」
〜花丸視点〜
明「人を殺そうとしたことなんて生きてきて1度もないくせに」
花丸・男「ッッ!?」
何ずらか、今のは。背中が凍りつくような感じは……………。
恐らく、お兄さんもこのオーラを感じたのか口から泡を吹き出して倒れてしまったずら
明「ありゃりゃ、倒れちゃった」
お兄さんが倒れたのを見て、明くんは驚きの表情を見せている。もしかして、今のオーラを与えたことに気づいていないずか??
明「まぁ、いいや。花丸さん、俺この変態を警察に突き出してくるから1人で海の家戻ってくれる??」
今の明くんはさっきと違って今まで通りだ。
明「花丸さん??」
花丸「ん、なんでもないずら。分かったずら」
マルはそう言って、明くんから離れるように走り出す。
今日、明くんに助けてもらって、とても嬉しかった。
だって、明くんはマルの初恋の相手だったから。たとえ、過去に殺人を犯してしまったとしても
けど、『あの』明くんを見てしまったせいで、彼に対する感情が生まれてしまった。
怖い。
『あの』…………いや、『人殺し』の奥山 明が怖くなってしまったずら
暗殺教室の渚の有名なセリフを少しだけいじって使いました。
このセリフだけはこの作品において使いたいと思ってたので、出されて良かったです。
では、また次話をお楽しみにしてお待ちください。