Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』 作:七宮 梅雨
〜事件の起こる2日前〜
だいたいの振り付けや立ち位置などを話し合って決めたAqoursのみんなは、練習場所である屋上へとやって来て練習に励んでいた。
マネージャーである俺は休憩時間になったら、みんなに渡すためのスポーツドリンクとレモンの蜂蜜漬けを作っていた。
以前、ネットで調べた時に運動後などにオススメと書かれていたので、興味本位でレモンの蜂蜜漬けを作り彼女達に出したら意外にも好評だった。なので、今回も作ってみることにした。今日は、特に格段と気温も高く、暑いのでタイミング的には丁度良いと思う。
果南「それじゃあ、10分休憩にしようか
人数分のドリンクとレモンの蜂蜜漬けを完成させると共に、彼女たちの練習も一段落着いたようだ。俺は籠に、ドリンクとレモンの蜂蜜漬けが入っているタッパーを入れて9人の元へと向かった。
とりあえず、1番近くにいた果南先輩から渡していく。
明「先輩、練習お疲れ様です。良かったらどうぞ」
果南「お、気が利くねぇ。お礼にハグしてあげようか??」
明「結構です。」
果南「むぅ…………」
一緒に過ごしてして分かったけど、果南先輩はあまり異性の壁というものをあまり気にしない人だ。この前も、俺の口にした飲料水を飲もうとしてたし、先程みたいに男子である俺にハグを誘ってくれたりする。あんなモデルさんみたいなダイナマイトボディにハグなんてされてみろ。色んな意味で天に召されるわ。
明「はい、ルビィさん」
ルビィ「ありがとう。ちょうど、喉が乾いてたんだ」
ルビィさんはそう言って、渡したスポーツドリンクをごくごくと飲む。
ルビィ「ぷはぁ、美味しぃ〜」
うむ…………凄く癒されるな。家に1人は欲しいぐらいだ。
千歌・善子・花丸「隙あり(ずら)!!」
明「あっ!!」
手に持っていたレモンの蜂蜜漬けの入っているタッパーを問題児3人に奪われてしまった。
千歌「わーい!奥山くんの作ったレモンの蜂蜜漬けだぁ」
善子「クックックッ、堕天使ヨハネである私の舌をどれだけ満足させることが出来るのか……………楽しみね。」
花丸「お腹ペコペコずらぁ〜」
3人はそう言って、タッパーの蓋を取り出してレモンの蜂蜜漬けを口に入れる。
千歌・善子・花丸「んーーー、すっぱぁーーい!!!」
3人とも口を✽ の形にして声を上げる。
ダイヤ「当たり前でしょう??レモンですもの。あ、私も1ついいですか??」
鞠莉「マリーもぉ〜♪」
梨子「私も貰おうかな。奥山くんの作ったレモン漬け、美味しかったし」
曜「当然、私も貰うであります!!」
明「どーぞどーぞ。まだあるんで食べて下さい。」
そう言うと、彼女達はわいわいと集まり、そして美味しそうにレモンの蜂蜜漬けを口の中に入れ始めた。
Aqours「すっぱーい!!」
明「ん?」
突然、ズボンのポケットに入ってたスマホが鳴り出した。なんだろう………、と思い画面を開くと
『零さん』という文字が表情されていた。
明「零さん??」
珍しいな、あの人がこんな昼前に電話掛けてくるなんて………。しかも、今日は休日のはずだからずっと寝てるかアクション映画見てるかのはずなんだけどなぁ
明「ダイヤ先輩。」
ダイヤ「どうかされたのですか??」
明「保護者から何故か電話がかかってきたので少しだけここから離れてもいいですか??」
ダイヤ「分かりましたわ。皆さんには私から言っておきます」
明「ありがとうございます」
ダイヤ先輩にお礼を言って俺は屋上から出ようとした時に、背後から
「すっぱーい!!」
と、彼女たちの楽しそうな声が聞こえてきた。
俺は部室へとやって来て、スマホを起動して耳に当てる。
明「もしもし??どうしたの??」
零「もー、明ちゃん出るの遅い!!早く来てよ!!」
明「ん?早く来て??どういうことだよ」
零「だから今、浦の星女学院の校門前にいるの!!」
明「は!?」
とりあえず、校門前まで行くと本当に零さんがいた。何してんだ、この人は。しかも、ジャージ姿かよ
零「明ちゃーん」
零さんが俺の存在に気づき、笑顔で近づく。
明「マジで何しに来たの??」
零「明ちゃん、弁当忘れたでしょ??だから届けに来たんだ」
零さんはそう言って、片手に持っていた手さげから俺の弁当袋を取り出す。そういえば、今日弁当をカバンに入れた記憶が無いな………………。
明「ごめん、わざわざありがとう」
俺は謝りながら弁当袋を受け取る。
零「いいってことよ。彼女たちは今、練習中なの??」
明「さっきまで休憩時間だったけど多分、今は練習再開してると思う」
零「そっか…………大変なんだね」
明「まぁ、明後日にライブ控えてるからね…………。」
零「明ちゃん、変わったね」
明「え?」
零「最近の明ちゃん、なんだか楽しそう。笑顔も増えてきたし……………。これも、Aqoursのみんなのおかげかな」
零さんは嬉しそうに言葉を出す。この10年間、俺の姿を見てきた零さんだからこそ言えるのだろうか。
けど、言われてみれば確かに、最近の俺は前と比べて活発になった気がする。
彼女たちと一緒にいれば、いるほど何だか心地が良くなる。まるで自分が『人殺し』であることを忘れてしまうぐらいに…………。
明「………そうかもね」
零「ふふ、それじゃあ私は帰るね。練習、頑張って」
明「うん。気をつけてね」
零さんは手をひらひらとさせて、帰って行った。俺は零さんの姿が見えなくなるまで立ち続けた。
今年中には完結する予定ではある。